
お盆の棚飾りはどうする?宗派別の棚飾りの特徴についても紹介します
お盆の準備で必要なものの一つに棚飾りがあります。棚飾りは、用意するものが多く、宗派によっても異なるためわかりづらいですが、正しい準備をして故人の霊を迎えられるようにしましょう。今回はお盆の棚飾りについて詳しく解説します。
最終更新日: 2019年09月28日
お盆の棚飾りの仕方とは?

お盆はあの世から帰って来た故人の霊をお迎えし供養するための行事です。
故人の霊にくつろいでいただくために棚飾りを用意します。
しかし棚飾りにお供えするものは多く、何かが抜け落ちていないかと不安になる方もいるのではないでしょうか。
また、宗派によっても飾り方が異なるので、宗派に合った正しい飾り方かどうかも気を付ける必要があります。
今回「終活ねっと」ではお盆の棚飾りについて解説します。
そもそもお盆ってどんなもの?
お盆の棚飾りにはどんな意味があるの?
お盆の棚飾りはいつからすればいいの?
用意すべきものは?
お盆の棚飾りの宗派による違いは?
お盆が終わったら棚飾りはどうするの?
棚飾りの中には、購入しなければならないものもあるため、前もって準備することが大切です。
直前で慌てることがないよう、しっかりと確認しておきましょう。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
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お盆とは

そもそも、お盆とは何なのでしょうか。
お盆という言葉自体は仏教用語である盂蘭盆会から来ています。
日本古来より、お盆の時期にはご先祖様や故人の霊が帰ってくるとされています。
仏教の故人を供養すると自分にも幸せが帰ってくるという考え方が合わさり、お盆という習慣が出来ました。
そこから、お盆とはご先祖様や故人の霊(これを精霊と言います)が年に一度、あの世からこの世へと帰って来て、家族や子孫と一緒に過ごす時期と言われるようになったのです。
お盆の時期は、一般的には8月13日〜8月16日の間とされています。
8月13日にご先祖様の霊が帰って来て、14日・15日を家族と一緒に過ごしたのちに、16日にあの世へと戻っていくとされています。
ただし、地域によっては7月13日〜16日とされていたり、8月20日前後とされている場合もあるので、確認が必要です。
お盆の棚飾りの意味は?

そもそもお盆の棚飾りをなぜするのでしょうか。
お盆の時に帰ってくるご先祖様の霊は仏壇を通してあの世から戻って来るとされています。
この時に、ご先祖様の霊に寛いでいただけるようにおもてなしをするのが、お盆の棚飾りをする意味です。
つまりこのことから、お盆の棚飾りはご先祖様の霊が帰ってくる前に行い、あの世へ戻ってくるまで飾り続けておく必要があるとわかります。
一般的には8月12日〜13日の朝にかけて棚飾りを準備し、16日の夕方までは棚飾りをしておくと良いとされています。
ただし、初盆(故人が亡くなってから初めてのお盆のこと)の時は、故人の霊が早く帰ってしまうことがあると考えられているので、8月に入ったらすぐに準備をし始めると良いでしょう。
お盆の棚飾りに必要なもの

ここからはお盆の棚飾りに必要なものを具体的にご紹介していきます。
なんとなく、お盆に飾り付けをしていたものを覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、その飾り付けがどんな意味をもっていて、何を使って用意すれば良いかわかりますか?
お盆の棚飾りには一つ一つ意味があり、使うものが決まっている場合もあります。
お盆の棚飾りについてしっかりと理解した上で準備しましょう。
また、この記事では一般的な準備をご紹介しますが地域によって異なるものもあります。
それぞれの地域に合わせて準備をしてください。
精霊棚
お盆の時には通常の仏壇とは別にご先祖様の霊が帰ってくる場所を作ります。
これを精霊棚または盆棚と呼びます。
この精霊棚を飾り付けしお供え物を置いて、ご先祖様を供養します。
お盆の時期にはこの精霊棚にご先祖様が戻るので、位牌やろうそく立てなどの仏具も精霊棚に全て移していきます。
仏具屋さんに行けば、精霊棚に使う棚が売っていて、最近では精霊棚セットとしても販売されています。
マンションの場合、大きな精霊棚を用意できないという方も多いと思います。
その場合は低めの座卓を用意して、そこを精霊棚とすることもできます。
精霊馬・精霊牛
お盆の時には、ご先祖様の霊があの世から自宅へと帰って来ます。
その際に、ご先祖様が帰って来やすいように乗り物を用意してあげます。
この乗り物のことを精霊馬、精霊牛と呼びます。
精霊馬はきゅうりで作った馬のこと、精霊牛はナスで作った牛のことを指します。
ご先祖様があの世から戻ってくる時には、早く戻ってこられるように足の早いきゅうりで作った馬に乗って帰って来ていただきます。
あの世へ戻る際には出来るだけゆっくりと戻れるようにナスで作った牛に乗っていただくのです。
きゅうりとナスに四本足をつけて作ります。
この四本足は正式にはオガラで作るとされていますが、割り箸や爪楊枝で作っても問題ありません。
まこも
精霊棚にはまこもという植物のゴザを敷きます。
このマコモには病気を治す、邪気を払うという意味があり、ご先祖様が安心してお盆の期間中いられるようにしておくのです。
こちらも仏具屋さんや通販でも販売しています。
どうしても用意できない場合は白い布で代用してください。
笹竹
マコモのゴザを敷いたら、さらに精霊棚に結界を張ります。
この時に用意するのが笹竹です。
笹竹を四隅(または前面)に置き、飾り縄で締めて結界とするのです。
昔は大きい笹竹を用意して飾っていましたが、最近は家に場所がないというのもあるので小さい笹竹を用意すれば大丈夫です。
盆提灯
お盆の時にご先祖様の霊が迷わずに帰ってこられるように飾るのが盆提灯です。
通常は仏壇や玄関、門口に飾っておきます。
盆提灯としては絵柄や文字が入ったものを飾りますが、初盆の時だけは例外です。
初盆の時には無地の白提灯を使用するとされているので、気をつけて準備をしましょう。
また、お盆の風習としてご先祖様が帰って来やすいように迎え火、送り火をする地域もあります。
水の子
水の子とはご先祖様にお供えする食べ物の一つとなります。
お盆には直近で亡くなった方だけではなく、先祖代々の霊が家に帰って来ます。
たくさんお帰りになるご先祖様達に対して、お供え物がきちんと全ての霊に分配されるようにと分けやすい食べ物にしたのが水の子です。
作り方としては、まず器を用意して蓮の葉を敷きます。
その中に研いだお米とサイの目状に切ったきゅうりとナスを入れて、水を張ります。
地域によっては水を張らなかったり、人参を入れたりする場合もあります。
浄水
浄水とはお水のことです。
お盆の期間中に心身を清めるために浄水をお供えすると言われています。
なので、本来は浄水は自然の水を使うべきとされていました。
現在では、自然の水を用意するのは大変なので、水道水で良いでしょう。
ただし、お盆の期間中は毎日きちんと変えて綺麗なままに保っておきましょう。
生花
お盆の時には生花を飾っておきます。
しかし生花なら何でもよいというわけではありません。
棘のある花や、すぐに散ってします花は縁起が悪いとされているのでやめておきましょう。
また、飾り方ですが、生花にはお参りをする私たちの心を綺麗にするという意味もあります。
そのため、お参りする人に向けて生花を飾るのが一般的な飾り方になります。
ほおずき
ほおずきは鬼灯とも書くように、灯明の代わりとされています。
お盆の時にご先祖様の霊が迷わずに帰ってこられるように火を炊いたり、提灯を飾りますが、その火や提灯の灯明に見立てたのがほおずきなのです。
精霊棚の青竹や飾り縄に吊るすのが一般的な飾り方になります。
吊るせない場合は花と一緒に飾るかお供え物と一緒に置いておくと良いでしょう。
お膳
お膳はご先祖様にいただいてもらうものとしてお供えをします。
ご先祖様にお供えするお膳のことを供養膳とも言い、精進料理(肉や魚を避けて、豆や野菜で作った料理のこと)で用意するのが正式なものとされています。
ただし、故人の好物を並べても良いとされており厳密に決まりはありません。
おもてなしの心で用意するので、出来れば手作りで用意するのが良いでしょう。
お膳の器は仏具屋さんやインターネットでも販売されているので活用してください。
毎食精進料理を用意するのは現代では難しいと思いますので、お盆の期間中に一度は精進料理をきちんと手作りをしてお供えすると良いでしょう。
お膳をお供えする時に、箸をご飯に立てている姿を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし実は、お箸をご飯に立てるのは忌中(故人が亡くなってから四十九日を迎えるまで)の時のみです。
そのため、お盆の時は箸は通常と同じように置きましょう。
また、お膳はご先祖様にいただいてもらうものなので、すぐに食べられるようにしておきます。
蓋があるものは開けておき、きちんと器に移し替えた上でお供えをしてください。
お盆の棚飾りは宗派によって違う

ここまで一般的なお盆の棚飾りについてご紹介してきました。
しかし、このお盆の棚飾りは地域によっても違いますし、宗派によっても違います。
お盆は日本古来の民俗行事であり、自分の地域や宗派の影響が色濃く出るものです。
ここでは宗派による違いをご紹介しますので、自分の宗派の特徴を確認した上で、宗派や地域のしきたりに合った形でお盆を迎えましょう。
曹洞宗
曹洞宗の場合、お盆の盆飾りについては一般的なものとあまり変わりはありません。
ただし、曹洞宗の場合、精進料理をとても大切にするという特徴があります。
毎食とは言いませんが、お盆の期間中に一度は精進料理を作ってお供えしましょう。
真言宗
真言宗のお盆飾りは精進料理をお供えすることが特徴です。
果物は皮をむきカットしておく、箸は仏様の方に向けるなど気遣いを忘れないようにしましょう。
その他の飾りについては、一般的な飾り方と変わりません。
日蓮宗
日蓮宗の場合、お盆の盆飾りについては一般的なものとあまり変わりはありません。
地域の飾り方を尊重する考え方なので、地域にあった飾り方をしてください。
臨済宗
臨済宗の場合、お盆の盆飾りについては一般的なものとあまり変わりはありません。
地域によっては7月ごろにお施餓鬼と言う行事がある場合があります。
施餓鬼に参加した場合は、五色旗と呼ばれる旗も飾りましょう。
浄土宗
浄土宗の場合、お盆の盆飾りについては一般的なものとあまり変わりはありません。
地域に合った飾り方を行いましょう。
浄土真宗
浄土真宗の場合、お盆に対する考え方から違います。
浄土真宗ではご先祖様の霊は常にそばにいると考えられており、お盆だからといって特別なことをしないという風習になっています。
なので、精霊棚を作ることはなく、仏壇にお供え物をする程度で良いのです。
お盆の棚飾りの処分方法とは?

お盆の棚飾りの仕方がわかったところで、お盆が終わった後片付けをする時はどうするべきなのでしょうか。
ゴミに出して良いのか取っておくのかわからないこともあると思います。
お盆の棚飾りの処分方法について解説します。
お供え物
お供え物やお膳については、お供えした後にお下がりとして頂くのがマナーと言われています。
お膳については毎食変えるので、食事が終わった後には下げて、頂きます。
お供え物についてはお盆の期間中、飾った後に頂きましょう。
ただし、夏場なので果物などの生物は腐ってしまうこともあります。
気をつけて頂くようにしてください。
精霊馬・精霊牛
本来は精霊馬・精霊牛はお盆が終わった後に川や海に流すのが一般的でした。
しかし、現代ではなかなかそうはいきません。
そこで、終わった後は菩提寺に相談しましょう。
処分をしてくれる菩提寺もあります。
お焚き上げと言い、お坊さんが供養をして燃やしてくれるものです。
できない場合は塩で清めた後に燃やすなどして白紙に包みます。
そうした上で普段のゴミとして出しましょう。
盆提灯
盆提灯については、毎年使うものなので、また次に使うときまで大事に取っておきましょう。
ただし、初盆の際にだけ使う白提灯に関しては初盆が終わったら処分します。
初盆が終わったら菩提寺に相談して、お寺で処分してもらうのが良いでしょう。
その場合にもお寺ではお焚き上げをしてもらいます。
「終活ねっと」では、初盆の際の白提灯について、こちらの記事でより詳しくご紹介しています。
ぜひご覧ください。
お盆の棚飾りについてのまとめ

いかがだったでしょうか。
今回「終活ねっと」ではお盆の棚飾りについてご紹介しました。
お盆とは、ご先祖様の霊をお迎えして供養するもの
お盆の棚飾りは帰ってくるご先祖様の霊へのおもてなし
お盆の棚飾りは8月13日のお盆を迎える前に準備しておく
お盆の棚飾りは精霊棚を作り、そこにお供え物などを置いていく
宗派によって違いがあり、特に浄土真宗は棚飾りをしない
お供え物はお下がりとして頂き、その他は菩提寺に相談して処分してもらう
お盆の棚飾りはご先祖様を供養する上で大切なものです。
心を込めて用意し、安心してご先祖様が過ごせるようにしましょう。
「終活ねっと」では、お盆の歴史について以下の記事で詳しく説明しております。
興味のある方はこちらも参考にしていただけると幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。