宗派を超えたお経『般若心経』とは一体何か?

宗派を超えたお経『般若心経』とは一体何か?

「あなたが知っているお経は?」と尋ねられたら宗派に関わらず多くの方が『般若心経』と答えるのではないでしょうか。実はその中には毎日を大切に生きるヒントがあるのです。ここでは『般若心経』と宗派との関係、有名な言葉『色即是空』の意味についてご紹介します!

最終更新日: 2020年01月29日

般若心経の基礎知識

『般若心経』とはそもそもどのようなお経なのでしょうか?
宗派を超えて仏教に詳しくない方にもその名を知られている有名なお経。

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終活ねっと運営スタッフ

今回「終活ねっと」では『般若心経』について、以下の項目を中心に解説していきます。

  • 『般若心経』は誰が作ったのか、いつ作られたのか
  • 『般若心経』はどこの宗派が唱えているのか
  • 『般若心経』に出てくる『色即是空』について

お時間のない方やお急ぎの方でも、興味のある項目をピックアップして読むことができます。

ぜひ最後までお読みください。

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宗派を超えたとても短いお経です

『般若心経』は262文字の大変短いお経です。
正式名称は『般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)』というもので、宗派に関係なく日本で一番知られているお経といっても過言ではないかと思います。

いつ?誰が作ったの?

では「誰の教えでしょうか?」と質問されたら…?
「仏教のお経なのだからお釈迦様!」と答える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は『般若心経』はお釈迦様が伝えたものではなく、それより500年くらい後の時代の人たちがまとめた教えなのです。

はっきりと作者が誰かはわかっていませんが、インドで大乗仏教という宗教運動を起こしていた人々の中にいるといわれています。

『般若心経』はお釈迦様の教えをその通りにまとめているわけではなく、別の解釈を加えて何百年もかけてまとめたお経=『般若経』が元になっています。

広まるきっかけは『三蔵法師』

かの有名な中国の僧、玄奘三蔵(いわゆる三蔵法師)がインドから1,300以上の経典を中国へ持ち帰りました。
般若経ももちろんその中に含まれていました。

玄奘三蔵は数十年かけてそれらの経典をインド語(サンスクリット)から漢文にを訳し、広めたのです。
その一つが『般若心経』で、そこから日本ではこれが広まっていきました。

他にも『般若心経』を漢語に訳したものはありますが、日本に伝わり現在一番親しまれているのは玄奘三蔵の訳したものといえます。

どの宗派でも唱えているの?

日本の仏教には様々な宗派がありますよね。
でも、どの宗派でも『般若心経』をメインにして唱えるわけではありません。

法相宗・天台宗・真言宗・禅宗ではそれぞれの宗派の解釈で使用されていますが、浄土真宗・日蓮宗・法華宗は別の経典を宗派の根本的な経典としているので、唱えられることはほとんどありません。

それぞれの宗派でも『般若心経』に対してのそれぞれの宗派なりの解釈があります。

何を説いているの?

仏教は苦しんでいる人々をその苦しみから救おうとする宗教といわれています。
お経の数も宗派もたくさんあります。
その中で宗派を超えて約1600年も前から人々が唱えてきたのが『般若心経』です。
 
『般若』とは今の言葉では『智慧』と置き換えることができます。
そして『智慧』とは『物事・事柄を正しく捉える力』といえるでしょう。

お経の中には600巻で一つとされるような長いものもあります。
その中で『般若心経』は、262文字に仏教の教え、『智慧』のエッセンスが凝縮されたものなのです。

般若心経といえば『色即是空』

『般若心経』といえばこの語句、『色即是空』ですよね。
数多の仏教の経典の中で『南無阿弥陀仏』などと同じく、日本で最も有名なお経の言葉の一つと言えるでしょう。

お経全体を知らない方も仏教や宗派など詳しくない方も、この言葉はご存知ではないでしょうか。
ではこの『色即是空』という言葉にはどんな意味があるのでしょう。

『般若心経』自体、解釈や意味に関しての研究は非常にたくさんあり「これが正しい!」というものありません。
極端に言えば、見る方読む方それぞれが、それぞれに解釈して良いのだと思います。
が、今回は数ある解釈のうちの一つを紹介したいと思います。

ポイントは『空(くう)』と『色(しき)』

『空』は『般若心経』の中でポイントとなる一字であり概念です。
この『空』をどう捉えるかによって『色』との関係性、『般若心経』全体の解釈も違ってきます。

『空』について考えてみましょう。

『空』とは何か…。
これはどんな宗派の高僧でも仏教学者でも言葉ではっきりと定義づけることは難しいと思います。
強いて言えば「世界の真理を追い求めて名付けた概念」や「全ての現象を統べる法則の一つ」でしょうか。

古代インドの大乗仏教という流派の人々は「全ての世界・現象には法則があるのではないか」「宇宙を支配する一つの法則があるのではないか」ということを追求しました。
そして、その何かわからない大きなもの、宇宙観ともいえるものを『般若心経』では『空』と表した、といえるのです。

『色』とは何か?

仏教では、人は五つの要素から成り立っているとされています。
その五つとは『五蘊(ごうん)』と呼ばれ、それぞれ『色』『受』『想』『行』『識』です。
この『五蘊(ごうん)』のうちの『色』が『色即是空』ではでてきます。

『色』は肉体(この世を創っている物質すべて)を表します。
『受(じゅ)』は外からのものをどう受け止めるかを表します。
『想(そう)』は受けたことに対して考え、想い、創り上げることを表します。
『行(ぎょう)』は何かをするという意思作用を表します。
『識(しき)』は受けたことを心の中に写し出すことを表します。

『空』と『色』と『色即是空』

前述の内容も踏まえ『色即是空』について考えてみると、以下のように言えるかと思います。

<まず、人はいくつかの要素の集まり、つまり『五蘊』からなるものである。
そして『空』とは 
 その『人』すなわち『私』は仮の姿であり実体のないものであるとする概念である。


ただ、こう言ってしまうと、何だか人として存在することが虚しいことのようにとらえられるかもしれませんが、『般若心経』の教えは決してこの世と人々の存在を否定するものではありません。

『色即是空 空即是色』

この世には目に見えなくても、形にできなくても、大切なもの、何かの力、法則があり、それを感じ取ることはできます。
誰かに何かをしてもらったとき、嬉しさや感謝の気持ちを目に見えるものとして存在させることはできません。
その気持ち、この世を作っているもの=『色』は実体がない=『空』である、のです。
でも確かにその実体がない気持ち=『空』は、そこに存在し感じている自己=『色』があるのです。

これがすなわち『色即是空 空即是色』なのです。

『空』で今までと違う生き方を

日々の生活の中で、私たちは様々な概念にとらわれていませんか?
例えば『鋏(はさみ)』は『物を切るもの』です。
でもペットの犬にとってはただの金属やプラスチックの塊です。
金属とプラスチックという概念すらないでしょう。
ただの固いもの、食べ物ではない、という程度かもしれません。
人間が鋏としているものは犬の前ではそうではない、鋏のとしての実体のないものなのです。
これは極端な例ですが、立場や見方が変われば物事も変わるということなのです。
これもまた『空』です。

あなたが自分の概念と関係性で見ている世界・相手は、それは表向きのもので本質でないかもしれません。
概念と関係性にとらわれていると、他が決めたものに縛られてあなたの本意とは違う考え方や行動をしてしまうかもしれません。
『空』を、存在を否定する語としてではなく、目に見えない何か大きなものとしてとらえ、自分が生きていく一瞬一瞬に『空』を見出し意義を感じてみませんか。

262文字の『般若心経』。
仏教や宗派に詳しい方にとっても、そうでない方にとっても、瞑想や座禅に勝るとも劣らぬ、心の安らぎ・生きる力を感じられる『大人の呪文』なのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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