メキシコのお墓について

終活で自分のお墓を考え始めると海外ではお墓についてどんな考えを持っているのか、興味がわきませんか?
キリスト教を信仰しているラテン気質のメキシコ人にとっては、お墓の形やお葬式、埋葬方法がまるで日本とは違っています。
しかし、死者に対する敬愛の気持ちは世界共通です。
死者に対する敬愛の気持ちは今後、私たちのお墓を具体的に考える上で大切なポイントになります。
そこで今回、終活ねっとではメキシコのお墓について
- メキシコの死生観とはどのようなものか
- メキシコのお墓の特徴やお葬式までの流れ
- メキシコのお葬式の特徴
- 「死者の日」とはどんな行事なのか
以上のことを中心に解説していきます。
詳しくご説明しますので、終活でお墓を考える時の参考にしてください。
メキシコの死生観について

メキシコ人にとって死は終わりではありません。
「生」の先にあるものであり、「生」の一部です。
後に述べる死者の日には多くの骸骨が飾られ、骸骨の扮装をします。
骸骨はメキシコ人にとって「生」と「死」の両方を象徴しています。
すべてを飲み込むメキシコ人は「死」も当たり前のこととして受け入れます。
またメキシコの死生観を考える時、アステカ文明の影響を無視することはできません。
生贄の儀式で神とあがめられた生贄の心臓を取り出し、生贄の肉を食べる。
このような死を光栄に思う文明を経てた後に、ラテンの陽気な国民性が加わって、今のメキシコの死生観ができあがったのでしょう。
残酷で生と死の混沌とした文明を、日本人が理解することはなかなかできません。
歴史の違いからも理解できないところが多いですが、しっかりと死と向き合っている死生観だといえます。
多くの外国人がメキシコの死生観が最もよくあらわれている「死者の日」にメキシコを訪れることを考えると、メキシコの大らかで神秘的な考えに惹かれる人が多いのでしょう。
メキシコのお墓事情

それではメキシコのお墓事情や、亡くなってから埋葬する過程までを具体的にみていきましょう。
メキシコでは、どのような埋葬をしたり、どのようなお墓を立てたりしているのでしょうか。
メキシコのお墓の特徴
メキシコのお墓の特徴をご説明します。
メキシコ人の90%がカトリック教徒であるため、お墓もカトリック形式です。
カトリックではお墓ではなく、納骨堂にお骨を収めることも多くあります。
お墓の形は様々ですが、日本のものよりかなり背が低い墓石です。
十字架の形のお墓もよく見かけます。
また、日本のように先祖代々のお墓ではなく、基本的には個人のお墓になります。
メキシコのお墓で有名なものが2つあります。
1つはオアハカにある共同墓地です。
まるでお墓のマンションのように、何層にもなる区切りの中に多くのご遺体が眠っています。
オアハカの共同墓地では、死者の日に多くの観光客が訪れます。
きれいにキャンドルが灯されて幻想的な風景です。
もう1つはハルディネス・デル・フマヤ墓地にある麻薬密売人の墓です。
まるで教会のような立派な建物や、近代的なマンションのような大きな建物です。
その建物自体がお墓なのです。
それらのお墓は、ステンドグラスがはめ込まれてあったり、エアコンが付いていたり、贅沢の限りを尽くしています。
メキシコ政府が麻薬撲滅をかかげて麻薬戦争を始めてから、死者の数は数万人におよびます。
そして大物マフィアは死んだ後も自分の力を誇示するために、このような墓を建てるそうです。
利益を貪ろうとするマフィアが死後の墓を大切にする様子は、現代メキシコの問題とメキシコ人の死生観が現わされているようです。
埋葬方法
メキシコでの埋葬方法は今でも土葬が主流です。
立派な棺桶をベッドにしてそのまま永遠の眠りにつきます。
墓の中には、いくつもの遺体を納められるように、何層にもなっているものもあります。
カトリックとはいえ、メキシコ的な家族の墓です。
また、土葬の風習と独特の乾燥気候で多くのミイラが自然にできるというグアナファトという地域には、有名な「ミイラ博物館」があります。
多くのミイラを見に人々が訪れます。
亡くなってから埋葬までの流れ
日本では人が亡くなるとご遺体を自宅や葬儀会場で安置し、通夜・告別式と進みます。
遺族はその間、知人への連絡や引き出物準備やお坊さんの手配や葬儀社との打ち合わせなど、事務的な手続きをします。
事務的な手続きにより、忙しくなってしまい悲しみを感じる暇がなかったという話をよく聞きます。
メキシコの場合、亡くなってから埋葬までの流れはどのようになっているのでしょうか。
まず、日本と同様に葬儀屋に連絡します。
そこで棺桶を買います。
ご遺体は棺桶に安置し、家か葬儀屋でキャンドルを灯して弔います。
最後に教会へ行き、ミサを行い埋葬ということになります。
こうして見てみると、メキシコの葬儀までの流れはシンプルです。
メキシコのお葬式について

では、メキシコのお葬式についてみていきます。
お葬式の雰囲気はどういうものか、どんな場所でお葬式が行われるのか、どんな服装で参列するのか、香典は必要なのか。
それぞれについて日本と比較しながら具体的に説明します。
明るいお葬式
ここまでみてきたように、メキシコ人にとって死は忌むべきものではなく、親しい身近なものです。
昔からメキシコには、死者を笑うという文化があります。
これは死を恐れない、むしろ死に親しみをもち、時にはあざけりもし、「死」という言葉に愛称をつけて呼んだりします。
このようなメキシコでは当然、お葬式も日本とは違い悲しみの儀式ではありません。
もちろん、大切な人を亡くして悲しむ遺族もいますが、メキシコのお葬式はその悲しみを皆で分かち合い明るい気持ちになるために行います。
ですから、楽しく派手に、埋葬の時に楽器でマリアッチなどが演奏がされることもあります。
日本人の「永遠の別れ」という感覚とはかなり異なるようです。
とにかく、メキシコのお葬式は人々が陽気に集う明るいお葬式です。
葬儀を行う場所
続いては葬儀を行う場所についてご紹介します。
メキシコでは自宅やカフェテリア、教会などで葬儀を行います。
最近は葬儀場で行う人も増えてきています。
カフェテリアでのお葬式は、人々が陽気に集う明るいお葬式というメキシコならではのものです。
カフェテリアには軽食やお茶が用意されています。
これは、どんな時も仲間が集まって楽しく食事をするということが大切だというメキシコ人の考えです。
メキシコ人にとって、葬儀という大きな儀式では、身内や仲間で集まることに大きな意味があります。
これは日本のお通夜や葬儀にも通じるところがあります。
日本でも皆が集まることが故人にとっては嬉しいことで、楽しく過ごすことが故人の冥福になるということを言われます。
しかし、やはり日本の場合葬儀は、集まって「楽しむ」ではなく「偲ぶ」儀式です。
厳粛さが大切にされます。
一方メキシコでは、葬儀は楽しく過ごして生と死に感謝することが礼儀です。
実際、カフェテリアでの葬儀は本当に自由な雰囲気で、中にはずっとカフェテリアにいて礼拝には参加しない人もいたりします。
もちろん、誰もそれをとがめることもありません。
このように葬儀をする場所は様々であり、また、葬儀の後に二次会を行って皆で楽しく騒ぐことも多いそうです。
葬儀の際の服装
葬儀の際の服装ですが、メキシコは自由なお葬式であるため服装も様々です。
実際ジーパンで参加する人も多いようです。
派手な色でも問題はありません。
中にはカトリックの形式に則って黒い服を着る人もいます。
香典の有無
香典の有無ですが、メキシコでは日本のように香典という考えはありません。
しかしメッセージをつけた花を持って行ったり、ミサで献金したりします。
メキシコのお盆「死者の日」とは?

メキシコの死に親しみを持ち明るく受け入れるという国民性が一番強く表れている行事が「死者の日」であり、日本では「お盆」にあたります。
ユネスコの無形文化遺産にもなっているメキシコのお盆「死者の日」をみていきます。
メキシコでは死者の日にお墓参りをする
死者の日はカトリックの諸聖人の日である11月1日、2日です。
メキシコでは死者の日にお墓参りをします。
そして死者がこの世に帰ってくる、その死者と交わる日、という点は日本のお盆と近いところがあります。
お墓を装飾して盛大に弔う
死者の日で有名なのはオアハカとハニッツィオ島ですが、基本にメキシコ全土で行われる行事です。
死者の日ではお墓を装飾して盛大に弔います。
花やキャンドルでお墓を派手に、にぎやかに飾り立てます。
飾られる花ではマリーゴールドが有名です。
マリーゴールドは死者の魂を迷わずにこの世に導いてくれる花とされています。
毎年、お墓のコンテストまで行われます。
また、骸骨の人形も有名です。
土葬が主なメキシコでは骸骨も親しみのある存在です。
人々も骸骨の仮装をして楽しみます。
そしてキャンドルが一晩中灯されます。
家族が飾り立てた墓の周りに集まり、食べたり飲んだり歌ったりして夜通し楽しみます。
死者の日の幻想的で美しいお墓を巡るツアーも催されているほどです。
観光客は死やお墓がこんなに親しみを持って受け入れられているメキシコの国民性に驚かされます。
メキシコのお墓まとめ

このように、日本とメキシコではお墓が大きく異なります。
日本人から見れば、不謹慎、信じられないと感じる人もいるでしょう。
でも、この大らかさが死を恐れず生を楽しむメキシコ人のパワーの源になっています。
今回、終活ねっとではメキシコのお墓について以下のことを説明してきました。
- メキシコのお墓はカトリックの特徴を持つお墓ですが、独特の家族で入る大きなお墓もあります。埋葬方法は土葬が主流です。
- メキシコ人にとって死は親しみのあるもので、生の隣にあるものです。暗く悲しいものではありません。だから葬儀も明るく陽気です。音楽を演奏したり、カフェテリアでお茶をしたり、とにかく皆が集まって楽しむことが大切とされます。服装も自由で、香典もありません。
- メキシコのお盆「死者の日」はお墓で死者と共に楽しく過ごす日です。派手に飾り付けキャンドルを灯したお墓で、飲んだり食べたり歌ったりして楽しみます。
本当に世界は広く、人の考えは様々ですね。
終活で自分のお墓について悩んでいる方がこの記事を読んで「こんな国もある、こんな考えもできるんだ」と少しは気持ちが楽になっていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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