お寺で称える念仏【南無阿弥陀仏】だけじゃない念仏の種類と意味

お寺に行ったならば、聞いたり目にする「お念仏」。念仏と言えば「南無阿弥陀仏」だと思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、念仏はそれだけではありません。なぜ私たちは念仏を称えるのでしょうか。その意義や念仏の種類について説明します。

目次

  1. 念仏の歴史
  2. 大乗仏教の誕生と念仏の展開
  3. 浄土教の念仏
  4. お寺に行ったらお念仏を称えよう
  5. まとめ

念仏の歴史

葬儀

念仏は、インドの古語・サンスクリット語では"buddha-anusmRti"と言います。
称えるというのは後の解釈の展開であり、もともと原始仏教では仏を憶念するという意味でした。
憶念する、といっても難しいのでまずは仏の相好(仏の身体に備わっている特徴。32の相と80種の好の総称)を観じていくことが主流でした。

大乗仏教の誕生と念仏の展開

大乗とはサンスクリット語の「マハーヤーナ」訳語で、「多数の人々を乗せる広大な乗り物」の意味です。それまでの仏教を「小乗」、つまり「劣った(ヒーナ)乗り物(ヤーナ)」と下に見ているのに対する言葉です。

生きとし生ける者の救済を目ざす仏教という趣旨が大乗仏教です。
紀元前後ごろにインドにおこった新しい仏教運動は、それまでの諸部派に分かれて各自の教理体系を固めていたあり方を鋭く批判し、幅広い諸活動を展開し、やがて新しい諸経典(お経)が生まれます。

般舟三昧経の成立と念仏

大乗仏教経典の中でも早い時期に作られたのが、般舟三昧経です。
阿弥陀佛のことを説いている経典ですが、
今日のお寺では、一般的に読誦されることは少ない経典です。

般舟三昧経の内容

一世紀ころの成立とされています。サンスクリット本は伝わっておらず、漢訳に中国・後漢の時代の支婁迦讖訳三巻本のほか数種があります。
阿弥陀佛を念ずると十方の仏が目の前に立つという般舟三昧(諸仏現前三昧)を明らかにする経典であり、特に浄土経典の先駆として注目されてきました。

般舟三昧経の念仏

先にも述べたように、この経典では般舟三昧というものを明らかにします。
般舟三昧とは「目の前に仏の姿を見る」ということです。
これをまた「念仏三昧」の法とも呼びます。
その内容は次のようなものです。

① 一心に色々な方角に現在いる仏を念ずる

② 仏に三十二相という姿の特徴があり、ものすごい光明を放っているのを念ずる

③ 人々の中にあって、仏が説法しているところを念ずる

以上のような「仏を念ずる」という修行によって、
「目の前に仏の姿を見る」という般舟三昧・念仏三昧の境地へ入っていくのです。

般舟三昧経の称名念仏

ここでようやく、私たちのよく知っている念仏が出てきます。
「南無阿弥陀仏」といったように、仏の名前を称えることを
「称名念仏(しょうみょうねんぶつ)」と言います。

般舟三昧経には次のように説かれています。

「何の法を以って此の国に生ずることを得るや。阿弥陀仏報えて言わく、来生せんと欲せば当に我が名を念ずべし、休息あることなくんば則ち来生することを得んと。」

訳:どういった仏法によって、この国(西方浄土)へ生まれることを得るのか。
  阿弥陀仏は答えました。「往生したいと思うならば、私の名前を称えなさい。休むこと無く称えるならば、往生することが出来るでしょう。」

つまり阿弥陀仏の名前を称える「称名念仏」とは、
阿弥陀仏の浄土へと往生する手段だったのです。

この思想は後の日本浄土教の祖師、法然・親鸞・一遍などに受け継がれます。

浄土教の念仏

浄土教とは、阿弥陀仏の極楽浄土に往生することを説く教えです。
具体的には阿弥陀仏の誓いを信じ、念仏して死後に極楽浄土に生まれることを願います。
日本仏教では、浄土宗・浄土真宗・時宗・融通念仏宗などが含まれます。

善光寺の阿弥陀三尊(弥陀・勢至・観音)。本尊は秘仏で、古来誰も見た人はいないため、開帳されるのはその秘仏の前に安置されているこの御前立本尊です。

南無阿弥陀仏の意味

浄土真宗ではこれを六字の名号といい、本尊にもします(名号本尊)。
この「南無阿弥陀仏」の名号こそ、阿弥陀仏の救いがはたらいている姿なのです。
ではなぜ、この名号が救いとなっていくのでしょうか?

阿弥陀仏の願い

皆さまも一度は聞かれたことがあると思いますが、
『無量寿経』という浄土教の重要なお経があります。
そこには阿弥陀仏が法蔵菩薩という、修行中の菩薩だったときに
誓った願いが説かれています。それを「四十八願」というのです。

阿弥陀仏の呼び声

阿弥陀仏は法蔵菩薩として、その願いの中で、
「私の名前を称えて救われるものがいないなら、私は仏にならない!」と誓っています。
つまり法蔵菩薩が阿弥陀仏になった今、
この願いは願いだけで終わらず、人々を救うはたらきとなったのです。

浄土真宗では念仏のことを「大行」といいます。
これは私たちの行う「行」では無いという意味です。
では念仏とは何なのか?

そうそれは私が称えると同時に、
阿弥陀仏が「我に任せよ」とこの私を呼んでいる声だったのです。

阿弥陀仏との出遇い

般舟三昧経の説明で述べたように、
念仏とはもともと仏に会うための手段でした。

しかしなかなか、仏を目の前に観るといった修行の境地は
私たちのような一般人には敷居の高いものです。

そこで称名念仏という誰にでも出来る簡単な行(易行)が提唱されました。
目の前に観ることは難しい、
しかし名号を称え、そこに阿弥陀仏の呼び声を聞いていくことで
阿弥陀仏に出遇うという思想が生まれたのです。

まさにこれは「出遇い系仏教」とも言えるのではないでしょうか。

お寺に行ったらお念仏を称えよう

仏教では仏に出遇うということが、重要な思想になります。
なのでお寺に行きましたら、そこの仏さまにご挨拶の意味も含めて、
念仏を申して参拝するのが良いです。

お寺の様々な仏さま

今回は特に阿弥陀仏の名を称えるということを説明してきました。
しかし、どこのお寺の本尊も阿弥陀仏だとは限りません。
したがって、自分が信じている宗派の仏さまの名前か、
そこのお寺の御本尊さまの名前を称えるのがベターです。

様々な念仏

実際に仏さまの数だけ、念仏の種類は存在します。
ここではそのほんの一部を紹介しましょう。

「南無釈迦牟尼仏」

釈迦如来に帰依する(曹洞宗など)

「南無摩訶毘盧遮那仏」

大日如来に帰依する(真言宗など)

「南無薬師瑠璃光仏」

薬師如来に帰依する(天台宗など)

まとめ

念仏には、仏の実相を観ずる法身念仏(ほっしんねんぶつ)、仏の功徳や相好を思い浮かべる観想念仏(かんそうねんぶつ)、仏の名を口に称える称名念仏(しょうみょうねんぶつ)などがあります。

日本では当初は観想念仏が中心でしたが、10世紀頃からしだいに称名念仏が盛んとなり、観想を否定した浄土宗の法然の登場などによって、念仏といえば「南無阿弥陀仏」と称えることをさすようになりました。

念仏は仏さまと遇うためのものです。
なのでどの種類の念仏を称えるかは、
あなたが遇うことを望んでいる仏さまということになるのです。

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