
神社参拝での拍手の回数や意味は?正しい作法や手順も解説!
貴方は神社で、正しい方法で参拝をしていますか? 参拝作法で、一番正しく行うべき神様へのご挨拶である拍手やその回数などは、なかなか覚えにくいものです。 今回終活ねっとでは、神社参拝での拍手の回数や意味、参拝方法の作法や手順について詳しく説明していきます。
最終更新日: 2021年01月05日
神社参拝での拍手について

神社で神様への挨拶として、また祈願をするために、拝殿でお参りをする際に手を打ちますよね。
これが神社参拝の拍手のことです。
お参りに来た時になって、この拍手が「何回だっただろうか」と首をかしげてしまうこともあるのではないでしょうか。
今回「終活ねっと」では改めて神社参拝での、拍手を打つ回数や作法について解説していきます。
神社とは
神社参拝の拍手について
拍手の回数は決まっているの?
神社参拝での拍手の手順について
拍手についての注意点
神社参拝について
神社参拝時の服装マナーについて
神社の参拝に適した時間がある?
神社とは?

神社とは、神道という日本独特の宗教の神が祀られている宗教施設のことです。
日本に居るという八百万(やおよろず)、つまり非常にたくさんの神が、それぞれ神社に祀られて、昔から信仰されてきました。
神社に祀られた神の中には、元々は人間である天皇や菅原道真なども含まれています。
非常に奥深い神社の世界を、下記の記事でも紹介していますので、気になった方はぜひご覧ください。
神社参拝での拍手とは?

神社参拝で拍手をする由来や意味などについて、見ていきましょう。
お参りをする場所は拝殿と呼ばれる建物の前です。
拝殿は参拝者がお参りするための場所です。
賽銭箱や鈴が設置されている神社が多いです。
一般的には二礼二拍手一礼
神社でのお参りは、一般的には二礼二拍手一礼です。
つまり、二回お辞儀をして、二回拍手をして、最後に一回お辞儀をする作法ということです。
礼とはお辞儀の総称です。
これを同じ意味合いで二拝二拍手一拝(にはい にはくしゅ いっぱい)ということもあります。
拝とは90度のお辞儀のことを指しております。
行うことは同じなのですが、お辞儀をどの角度によって行うかで呼び方が変わるということです。
ただし、一般的にはそこまで厳密に分けることはしません。
他にも二揖二拍手一揖(にゆう にはくしゅ いちゆう)ということもあります。
揖とは両手を腕の前で組み合わせてする、15度から45度の浅いお辞儀のことです。
拍手は、音を立てて手のひらを打ち鳴らします。
日本は昔から、手を打ち鳴らして出た音は、貴人に対しての敬意と感激を表す敬礼だったとされています。
つまり、古来の日本では、拍手をすることは相手に対して最高の礼を尽くす意味を持っていたのです。
神社でこの拍手をする意味については、最高の礼を尽くすという古来の考えから、下記のような理由ができました。
神への敬意を表すため
神に自分が詣でたことを知らせるため
音によって邪気を払うため
なお、神道のお葬式では、故人に対して二礼二拍手一礼でお参りをします。
その時は、拍手の時には音を立てずに忍手(しのびて)で行います。
これは音によって、故人の霊が祓われてしまわないためとも、黄泉戸喫(よもつへぐい)という食べれば黄泉の国に捕らわれてしまう食べ物を、避けるためともいわれているのです。
二礼二拍手一礼を行う由来・意味
二礼二拍手一礼を行うようになったのは、つい最近、第二次世界大戦の後からです。
古くから神社があって、人々がお参りしてきたのに、何故ここまで遅かったのか、と思われることでしょう。
実は、第二次世界大戦で日本がGHQに占拠されるまで、神社のお参りについて、一般的に決められたものが何一つなかったのです。
地方それぞれの有力な神社ではお参りの仕方は、もちろん確立されているところもありました。
しかし、日本全国で統一されたお参り方法などはなかったのです。
人々がそれぞれに、自分の心のままに参拝していました。
事実、神道において何より大切にされるのは、どう参拝するかではなく、どのような気持ちで参拝するかです。
第二次世界大戦後まで、神社は国の管理下にありました。
戦争後のに政教分離政策によって、国から切り離されたのです。
その時にGHQは、他の宗教と同じように、神道でのお参り方法を確立するように命令を出しました。
そのGHQの命令によって、神社を統括する神社本庁がやむなく定めたとされます。
神社本庁が、この二礼二拍手一礼に定めた理由としては、諸説あるようです。
「魏志倭人伝」には三世紀ごろに、日本で二礼二拍手一礼に近い作法を行っていた、という記述が残っています。
貴人へ敬意を表す作法とされており、神社の参拝以外でも行われていたことがうかがえます。
日本各地の神社で行われていた、それぞれの参拝方法を、神社本庁はまとめ、一般の人にわかりやすい参拝方法に整えたと言えるでしょう。
定められた時期が、第二次世界大戦後ということで、昔から力を持っていた神社は昔からの作法をそのままに、今もなお二礼二拍手一礼以外の参拝方法となっています。
独自の回数を定める神社もある
神社本庁が、二礼二拍手一礼を定めたにもかかわらず、違う拍手の回数を定めている神社があります。
もちろん、神社本庁が定めた二礼二拍手一礼は、定められはしたものの従わなければいけないということではありません。
ですので古くから存在し、かつ格式が高い神社では今もそれぞれに確立されたお参り方法を推奨しています。
出雲大社は4回、伊勢神宮は8回
拍手の回数が違う代表的な神社は以下の通りです。
拍手の回数が4回
出雲大社(島根県)
宇佐神宮(大分県)
熊野神社(和歌山県)
弥彦神社(新潟県)などです。拍手の回数が8回
伊勢神宮(三重県) となっています。
拍手の回数にはそれぞれ意味があります。
4回拍手するのは次の謂れのためと言われています。
「四」が「死」に通じ、死霊・怨霊を封じる
「四」が「四」季を表し、実りと豊穣の祈願となる
「四」が「四」方に通じ、東西南北を守護する神への敬意を表す
8回の拍手については、「八」は八百万(やおよろず)にも示される通り、「たくさん・無限」であることを表します。
そのため、限りない敬意をもって神を称えるという意味があります。
ただし、この8回の拍手は神職が行うものであり、一般の参拝者は行いません。
一般の参拝者は二礼二拍手一礼が推奨されています。
伊勢神宮の拍手の8回というのは、厳密には四段拝・八開手・短手一段・一段拝(四回のお辞儀・八回の拍手・一回の拍手・一回のお辞儀)となっています。
これは平安時代の書物にすでに記述がみられ、現代に受け継がれてきました。
なぜ回数が異なる?
拍手の回数が異なる神社があるのは、上記で説明したように、二礼二拍手一礼と定められたのが第二次世界大戦後であるからです。
第二次世界大戦よりもずっと昔から、神社は存在しています。
そのため、昔からそれぞれの参拝方法で参拝されてきたことが、そのまま受け継がれているというわけです。
特に回数が異なる神社というのは、ほとんどが格式高く、由緒正しい神社です。
特に伊勢神宮は、神々の最高神である天照大御神を祀り、神社の中の神社とされてきました。
出雲大社においても、伊勢神宮に次ぐ格式を持っています。
神社の拍手の回数は、神様のへの敬意を表すものと考えられていたため、8回の拍手である八開手は最も重んじられたのです。
8回の拍手は伊勢神宮と朝廷祭祀でしか行われなかったことが、どれだけ格式高く重んじられた作法であったかがわかります。
4回の拍手も8回の半分で、略式とされましたが8回に次いで重要視されたため、格式高い神社に取り入れられ、受け継がれてきたのです。
神社参拝での拍手の手順

拍手の回数の意味を説明したところで、二礼二拍手一礼の手順について、説明していきます。
二礼二拍手一礼の手順
二礼二拍手一礼の手順は以下の通りです。
拝殿の真ん中を避けた、左右どちらかにずれて立ち、お賽銭を入れます
真ん中は神様が通る道ですので立たないようにします。
鈴を鳴らす場合は、お賽銭を入れた後に鳴らします。深いお辞儀を二度行います
お辞儀の角度は、45度から90度のお辞儀が望ましいでしょう。
両手を胸の高さで合わせて、二回拍手を打ち鳴らします
手を合わせてお祈りをします
深いお辞儀を一度行います
最初の2度のお辞儀と同じ角度で行いましょう
拍手をする際の注意点
拍手を行う際の注意点について、みていきましょう。
手はずらす?
拍手をする際に、手をずらして行うべきという話を聞いたことがあるかもしれません。
神社本庁では、左手よりも右手を少し下げて打ち鳴らすとしていますが、これも神社によって異なります。
手をずらさず、そのまま拍手をする作法もあります。
拍手を打つ最初から最後まで、手をずらす作法もあります。
拍手の途中でずらす作法もあるのです。
神社境内にある、参拝のご案内などに従うのが良いでしょう。
拍手をする際に、左右の手をずらして打ち鳴らすのは、以下の謂れがあります。
手のひらをずらすことで、神と人とがまだ一体となっていないことを表わすため
拍手をして神を招き、そのあとに手のひらを合わせてお参りすることで、ここで初めて神と一体となることができると考えられています。
神と一体となることで、神の力を分け与えられているのです。左手を神、右手を人と考え、神に対して一歩下がっていることを示すため
右手を下げることによって、神様に敬意を表しているということです。
良い音を出すため
ずらして手のひらを打ち鳴らすほうが、ずらさないで音を出す時より、大きく高く音を出すことができます。
音はどれぐらいの大きさ?
正しい拍手の音の大きさに決まりはありません。
しかし、あまり大きな音は慎みを欠くと見なされるため、控えめでいて高めの音が良いとはされているようです。
その音を出すには、左手の指股に右手指先を当てるように打つとよいとされています。
神社参拝の手順

これまでは拝殿を前にしてのお参りについて、説明してきましたので、ここでは神社に訪れた時からの手順を説明していきます。
鳥居をくぐる
ここから先は神社の境内だということを示すように、入り口に建てられているものが鳥居です。
魔除けの赤い鳥居や、石でできた頑丈で大きな鳥居など、人々を圧倒します。
鳥居が神社の入り口に、圧倒的存在感を持って存在するのは、これより先は神の領域であると、私たちに忠告をしてくれているからなのです。
鳥居のくぐり方にも作法がありますので見ていきます。
鳥居の左右どちらかに、ずれて立ちます
真ん中は神が通る道ですので、真ん中には立たないようにしましょう。
人が多い時は、人の流れに従って左右どちらかに寄りましょう。鳥居とその先に向けて、一礼をします
一礼をすることで、敬意を表しましょう。
中心から遠いほうの足で鳥居をくぐります
左側に寄っていたら左足から、右に寄っていたら右足からとなります。
鳥居をくぐる際には「お邪魔いたします」と心の中で言葉を紡ぎましょう
なお、境内でも常に真ん中は通らず、必ず左右のどちらかにずれて足を進めましょう。
手水舎で手を清める
手水舎は、昔に神社へ参拝する時に人々が、参拝前に川で身を清めたことに由来します。
川で身を清めることが難しくなった時代から、徐々に全国の神社に設置されるようになりました。
手水舎で手と口を清める作法は次の通りです。
なお、水は一度しかすくいません。
最初にすくった水で下記の一連をすべて行いますので、注意しましょう。
手水舎に対して軽く一礼します
右手で柄杓を持ち、水をすくいます
左手に水をかけて清めます
柄杓を左手へと持ちかえて、右手清めます
柄杓を右手へと持ちかえて、左の手のひらに水を溜めて、その水で口をゆすいでそっと吐き出します
水を溜めた左手を清めます
柄杓の椀が上に来るように、柄杓を傾けて柄杓の柄を清めます
柄杓を元の位置に戻して、手水舎に一礼します
神社での手洗いの作法については、こちらの記事でより詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
礼拝を行う
手水舎で手と口を清めた後、拝殿へと向かいお参りをします。
拝殿の真ん中を避け、左右どちらかにずれて立ちます
鳥居や参道と同じように真ん中は神様の通る道です。
真ん中に立たないように注意しましょう。お賽銭をいれます
投げ入れず、そっと賽銭箱に滑らせるようにしていれましょう。
鈴を鳴らします
鈴から伸びる鈴緒をもって鈴をならします。
控えめに二、三回鳴らしましょう。二礼二拍手一礼にてお参りをします
鳥居をくぐり境内から出る
鳥居は、神域と俗界を隔てる結界とも言われています。
なんにせよ、心してくぐらねばならないことは、間違いがありません。
お参りが終わって帰る際には、来た時と同じ作法で鳥居をくぐります。
しかし、帰る時には鳥居をくぐり終わった時に立ち止まり、拝殿の方へと体をの向きを変えて、一礼をするようにしましょう。
その際、お邪魔いたしましたとの気持ちを伝えましょう。
神社参拝をする際の服装マナー

神社の参拝に関して服装にもマナーがあることはご存知でしょうか。
詳しく見ていきましょう。
通常の参拝
普通に神社を訪れて参拝をする分には、特にかしこまった服装は必要ありません。
ただ、普段着でも全く問題はありませんが、マナーは存在します。
露出が大きい服装は、神様に対して礼と品と欠くといわれますので避けましょう。
肩の出ているキャミソールやタンクトップ、短パンやミニスカートなどですね。
またできるだけ派手な衣装も避けましょう。
また神社は穢れや罪を嫌いますので、血の不浄や殺生の罪を思わせる革製品や毛皮なども、避けるとよいでしょう。
ちなみに和装で着物は問題ありませんが、浴衣だけは肌着と見なされるので避けるべきです。
昇殿参拝
昇殿参拝とは正式参拝ともいわれ、拝殿の中に上がって、より神に近い場所でお参りをする方法です。
一般的には拝殿の中へは、立ち入ることができませんので、特別な場所でのお参りとの認識で間違いありません。
社務所で受付があり、神職の祝詞奏上や巫女の神楽、直来のお神酒などを頂くという流れがあります。
この流れも神社で違いますので確認が必要ですが、服装マナーはほぼ同じです。
男性は落ち着いた色合いのスーツとネクタイ、革靴です。
女性は男性に準じた、落ち着いたワンピースが好ましいとされています。
男女ともに、殺生を連想させる革製品の小物は避けましょう。
(靴は例外です)
派手な化粧、派手なネイル、キラキラしたアクセサリーなども厳禁です。
あくまで神様にお参りをするという、慎みを服装で表すようにしましょう。
神社参拝の服装マナーについての詳しい説明は、下記の記事で紹介していますので、ぜひそちらをご覧ください。
神社参拝に適した時間帯とは

神社参拝に適した時間があるのでしょうか。
朝にお参りに行く人、お昼に行く人、神社には様々な時間に参拝の人を見かけますよね。
「自分の都合のいい時間でいいのでは」と考える人もいるかもしれません。
参拝時間について紹介していきます。
神社参拝に適した時間帯って?
神社参拝に適した時間と言われているのは、朝から夕方4時頃までです。
それは神道の考え方にあります。
陽の力が強い時間帯が、朝から4時となっており、夕方4時以降から夜にかけては陰の気が強まる時間とされています。
陰の気が強まる時間帯は、よくない気である邪気の力が強まり、神社の神聖な気が弱まってしまうことで、神から遠ざかってしまうと考えられています。
そのため、神に近づくことができる朝から4時ごろが望ましいとされているのです。
夕方や夜の参拝は大丈夫?
夕方や夜の参拝は、推奨されておらずとも禁止されているわけではありません。
しかし、社務所がしまっていたり、足元が暗い為、転倒の危険性があるため避けた方がよろしいです。
また、夜の参拝は誰にも見られてはいけない、すれ違ってはいけないなどとも言われてもいます。
その詳しい理由については、下記の記事にて詳しく説明してありますので、そちらをご覧ください。
なお、こちらの記事では、参拝に適した時間全体について徹底解説しています。
神社参拝での拍手についてのまとめ

いかがでしたでしょうか。
神社参拝での拍手を中心に、解説してきましたのでまとめてみます。
神社とは日本の神々を祀る宗教施設である
神社参拝は二礼二拍手一礼で行う
二礼二拍手一礼は第二次世界大戦の後に神社本庁によって定められた
二礼二拍手一礼は、二回のお辞儀、二回の拍手、一回のお辞儀から成り立っている
二拍手ではなく四拍手としている神社もある
拍手の回数が異なる神社があるのは、昔からそれぞれに受け継がれてきた参拝方法を、そのまま取り入れているからである
拍手をする際には、手をずらす作法とずらさない作法のどちらもある
拍手の音は、高めの耳障りの良い音が、好ましいとされる
神社参拝は、心して鳥居をくぐることから始まる
神社参拝は、真ん中を通らず常に左右どちらかにずれて進む
神社参拝時は神様に失礼のない服装を心がける
昇殿参拝には服装に決まりがある
神社の参拝は朝から夕方4時ごろまでが望ましい
神社は神様がおられる大切な場所です。
一番大切なことは、神様を敬う気持ちを持って参拝することです。
その神を敬う気持ちの表れに、マナーというものがありますので、今回を記事を参考にして頂ければ幸いです。
「終活ねっと」では、神社に関する記事を多数記載しています。
以下の記事では、神社と寺の違いについて詳しく紹介しています。
こちらもあわせてご覧ください。