3回忌で使う御仏前とは?

葬儀について考えることは、終活の大きな柱のひとつです。
そして葬儀と合わせてぜひ考えておきたいのが、その後に行なわれる年忌法要についてです。
年忌法要は亡くなった方の命日に合わせて行なう追加のご供養です。
ご親族や親しかった方たちが集まり、お坊さんにお経をあげていただきます。
年忌法要は、一周忌・3回忌・7回忌・13回忌のように続けて行われます。
遺族の方から年忌法要に招かれたときは、ご香典を持参するしきたりがあります。
今回の記事では、3回忌の法要で持参するご香典について解説いたします。
次の点がポイントです。
- 3回忌法要とは?
- 3回忌の御仏前の書き方
- 3回忌の御仏前の金額相場はどれくらい?
- 3回忌の御仏前のマナー
- 香典へのお返しはどうする?
3回忌の法要に招かれたとき、あるいはご遺族として3回忌の法要にお招きするとき、いずれの場合にも役立つ内容となっております。
少し長い記事ですが、ぜひ最後まで目を通していただければと思います。
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3回忌法要とは?

仏教の年忌法要である3回忌は、葬儀の喪主だった方が施主をつとめ、ご親族や親しかった友人などをお招きして行ないます。
年忌法要は亡くなった年を含めて数えるので、命日から2年後が3回忌にあたります。
3回忌の法要はお寺で行なわれるのが一般的です。
お坊さんにお経をあげてもらい、参列者が御焼香をして御供養をします。
御供養のあとは参列者全員で会食をする流れとなります。
亡くなった方との思い出を偲ぶ集まりです。
終活ねっとでは、終活に関する用語をわかりやすく解説した用語集を用意しています。
3回忌法要についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下の用語記事もあわせてご覧ください。
“三回忌” とは? - 終活用語集
三回忌とは故人が亡くなってから満2年後に行う法要のことです。 三回忌という名前の由来は、故人が亡くなった日が1回目の忌日(きじつ) に当たることから来ています。 満1年目が2回目の忌日、満2年目が3回目の忌日のため、三回忌と呼びます。
3回忌の御仏前の書き方

3回忌の法要に招かれたときは、御香典を準備して当日会場へ向かいます。
ここでは、3回忌で準備する香典袋の書き方について詳しくご説明します。
表書きの書き方
香典袋は、表書きのない水引きだけが付いたものと、御霊前あるいは御仏前の表書きがすでに印刷されているものとが市販されています。
御霊前と御仏前、どちらの袋を使えばよいのか?
いざ買おうとして迷ってしまった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
香典袋の表書きについてのしきたりは次のとおりです。
49日より前は「御霊前」と書く
御霊前と御仏前の使い分けは、49日の法要で区切られます。
49日より前のお通夜と告別式、初七日の法要では「御霊前」と書きます。
これは仏教では亡くなったあと49日間を中陰(ちゅういん)と呼ぶことからきています。
なかでも49日目は満中陰(まんちゅういん)とされ、この日を境に極楽浄土に行けるか、閻魔大王による判断がなされると言われています。
49日後は「御仏前」と書く
49日当日を含めて、49日よりあとは、亡くなった方は仏様になります。
そこで、香典袋の書き方も「御仏前」とします。
49日の法要は忌明けの区切りとなります。
49日を含め、1周忌、3回忌、7回忌といった年忌法要ではすべて「御仏前」と書きます。
仏教では、亡くなった方は49日を機会として成仏するため、49日より後の香典は、厳密にはお供えと呼ぶことになります。
名前の書き方
3回忌のために用意した「御仏前」の袋には、下部に名前を書きます。
名前の書き方には次のようなマナーがあります。
連名の場合
3回忌の法要には、ご夫婦で参列することも多いものです。
その場合の表書きは、夫の名前だけを記入します。
しかし、たとえば仲人など、ご夫婦ともに故人との関係が深かったという場合は、ご夫婦の連名で表書きをすることができます。
その場合は、夫の名前を中央に書いたあと、左横に小さめに妻の名前を書くとスマートです。
亡くなった方の友人知人など、連名の二人がご夫婦ではない場合は、同じ文字の大きさで二人の名前を書くようにします。
複数人の場合
たとえば会社の部下や同僚など、3名以上で「御仏前」を準備したい場合があります。
その場合は、袋の中央に一人の名前を書き、その両横にあとの二人の名前を書きます。
もし4名以上でひとつの「御仏前」を準備したい場合は、表書きには代表者の名前だけを記入して、その横に、他3名というように書いておくとスマートです。
その場合は、施主の方がわかるように、全員の名前を書いた別紙を「御仏前」の袋の中に入れておきます。
中袋の書き方
一般的に、香典袋には中袋がすでに付いています。
中袋には「御仏前」の金額、住所と氏名を書くのがマナーです。
金額の書き方
中袋に書く金額は、すべて旧字体の漢数字を使って書くようにします。
壱、弐、参、伍といった書き方です。
たとえば、5000円の場合は金伍仟円、10000万円の場合は金壱萬円となります。
これは数字の改ざんを防ぐためです。
ちなみに、このような旧字体で表わす漢数字は大字(だいじ)と呼ばれることがあります。
中袋なしの場合
市販の香典袋は、ほとんどの場合に中袋が付いていますが、中袋がないものもあります。
中袋がない場合は、香典袋の裏側に金額と住所を書いておきます。
やや小さめの文字で裏側の左下部に金額と住所を書くとよいでしょう。
また地域によっては、不幸が重なるのを避ける意味から、あえて中袋を使わずに外袋だけでお金を包む場合もあるようです。
もしお住まいの場所にそのような慣習があれば、中袋は使わずに「御仏前」を準備しましょう。
3回忌の御仏前の金額相場はどれくらい?

「御仏前」の金額は、亡くなった方との関係によって決まります。
ここではそれぞれの関係別に、金額の相場をご説明します。
故人が祖父・祖母の場合
金額の相場は1万円から3万円です。
祖父母が暮らしていた場所との距離、さらに香典を持参する方の年齢によって、金額に幅があります。
20代の方なら1万円、40代の方なら3万円が目安です。
孫としての立場で祖父母の3回忌に招かれた場合、ご両親に扶養されている間は「御仏前」を準備する必要はありません。
すでに社会人になっていたら3回忌の法要には「御仏前」を持参するのがマナーです。
故人が実親の場合
ご自分の親の3回忌の場合、ご自身が施主でなければ「御仏前」を準備する必要があります。
金額の相場は3万円から5万円です。
この場合も「御仏前」を持参する方の年齢によって、金額に幅があります。
20代の方なら3万円、40代50代以上の方なら5万円が目安です。
夫婦で包む場合
3回忌の法要では、ご供養のあとに会食の場が設けられることがほとんどです。
ご夫婦で参列する場合は、食事代の分も考えて二人分の「御仏前」を準備するのがマナーです。
お一人の参列で1万円が相場でしたら、ご夫婦での参列の場合は2万円を包むようにします。
子どもがいる場合
子どもを連れて3回忌の法要に参列する場合は、どうしたらよいでしょうか?
子どもの分の香典料は特に必要ありません。
しかし、3回忌の供養のあとにいただく会食で子どもの分も用意がされていることを考えると、子どもの食事代を「御仏前」の額に上乗せするのがマナーです。
子ども一人あるいは二人の場合で、「御仏前」の額プラス5000円が目安です。
子ども三人の場合は、「御仏前」の額プラス10000円が目安となるでしょう。
3回忌の御仏前のマナー

3回忌の「御仏前」を準備するときは、社会常識としてのマナーがあります。
主なマナーは次の4点です。
薄墨で書く必要はない
お通夜や告別式では薄い墨で名前を書くのがマナーですが、3回忌の場合は薄い墨を使う必要はありません。
これは、3回忌の法要の日取りは前もってわかっているためです。
3回忌の「御仏前」には、普通の濃い墨で名前をフルネームで書くようにします。
新札の使用は避ける
3回忌では故人のご供養をして、故人との思い出をしのびます。
おめでたい席ではないので、新札、きれいなお札は使わないようにします。
もし手元に新札しかない場合には、二つ折りの折りめを付けて開いてから中袋に入れるようにしましょう。
お札の入れる向きに気を付ける
「御仏前」の袋の中袋にお札を入れる際は、お札の向きを必ずそろえて入れます。
このとき地域によっては、お札の顔がある方を伏せて、お札の裏を上にして入れる場合もあります。
特にしきたりがない地域でしたら、お札の顔(表側)を上にして入れて問題ありません。
袱紗に包んで渡す
「御仏前」の袋を持参するときは、袱紗(ふくさ)に包んで会場の受付まで持っていきます。
受付係の方、あるいは3回忌の施主の方の前で、袱紗から袋を取り出すのがマナーです。
受付では袱紗の表側を上にして、「御仏前」の表書きが見えるように、布を開いてお渡しします。
なお袱紗には慶事用と弔事用があります。
弔辞用の袱紗は、紫色やグレーといった地味な色合いが特徴です。
3回忌の法要に限らず、香典袋は必ず袱紗に包んで持参します。
終活ねっとでは、終活に関する様々な記事を掲載しています。
袱紗について詳しく知りたいという方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
葬儀の袱紗(ふくさ)とは?渡し方や包み方などのマナーを解説!
葬儀に参列した時、他の人が袱紗(ふくさ)に包まれた香典をサッと出しているとカッコイイと思いませんか?でも、そもそも袱紗って何なのでしょう?葬儀の時には絶対必要なものなのでしょうか?そこで、袱紗について詳しく解説しますので、ぜひ読んでくださいね。
香典へのお返しはどうする?

カタログギフト
施主の立場で3回忌の「御仏前」を受け取った場合は、お返しの品をお渡しします。
品物に決まりはありませんが、お茶や海苔といった乾物類やカタログギフトをお返しとすることが多いです。
お返しの品は、3回忌の会場もしくは会食の場所でお渡しします。
このお返しの品のことを引き物(ひきもの)と呼ぶ場合もあります。
3回忌で使う御仏前についてまとめ

3回忌の法要で持参する御仏前について、詳しくご説明してきました。
いかがでしたでしょうか?
今回の記事は次の点がポイントでした。
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3回忌法要とは?
故人の命日から2年後に迎える法要である。お坊さんの読経とご供養がある。
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3回忌の御仏前の書き方
3回忌では表書きは「御仏前」と書く。49日より前は御霊前、49日を含めて49日より後は御仏前とする。
表書きの中央下部に名前を書く。名前は3名まで連名で書ける。4名以上ならば全員の名前を書いた別紙を付ける。
中袋の金額は旧字体の漢数字で書く。地域によっては中袋を使わないこともある。 -
3回忌の御仏前の金額相場
故人が祖父母の場合1万円から3万円、実親の場合3万円から5万円が目安である。夫婦で包む場合二人分の金額にする。子どもがいる場合子どもの分の会食の費用を上乗せする。
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3回忌の御仏前のマナー
薄墨は使わず普通の濃い墨で書く。新札の使用は避ける。お札の向きをそろえて入れる。御仏前の袋は袱紗に包んで手渡す。
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香典へのお返しはどうする?
お返しの品は乾物類など、3回忌の会場もしくは会食の場所で施主からお渡しする。
地域のよってさらに細かいしきたりはありますが、今回ご説明した内容は全国に共通したマナーと言えます。
3回忌は葬儀からの流れで命日に行なわれる、大切な年忌法要のひとつです。
今回の記事を皆様の終活の一環として、お役に立てていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。