老後の資金は夫婦でいくら必要なのか御存じですか?

65歳定年時に必要な老後の資金については、多くの報告がなされています。まず、多めの意見と少なめの意見を紹介し、それを基に検討を加え、筆者の考えをまとめました。老後の資金を考える上で、読者の皆さんの参考になればよいのですが。

目次

  1. 老後の必要資金、持ち家なら3,500万円
  2. 老後資金は、最低限1,500万円
  3. 老後資金の検討
  4. 支出額についての検討
  5. 収入額についての検討
  6. 不足額についての検討
  7. まとめ

老後の必要資金、持ち家なら3,500万円

保険・相続

支出額

総務省の家計調査によれば、高齢夫婦無職世帯の1か月の支出は約28万円です。夫婦平均で95歳まで生きると想定して65歳から30年間分を見込みます。

ほかに、介護やリフォーム費用などの予備費を夫婦合計で600万円見込みます。

合計金額は 28*12*30+600=10680  1億680万円 となります。

(参考)寿命予測

65歳の人の4人に1人(25パーセントの人)が何歳まで生きるかを予測しますと、男性は93歳、女性は98歳とのこと(国立社会保障・人口問題研究所の予測)。平均をとると95歳になります。

収入額

夫婦の年金世帯収入は、会社員と専業主婦の場合、厚生労働省の想定の月22万円とします。しかし、将来の年金の所得代替率が減少すると予想されており、実額は必ずしも減るとはかぎりませんが、厳しく見て1割減として計算します。

30年間の合計金額は 22*12*30*0.9=7128 万円 となります。

不足額

不足額は   10680-7128=3552 万円となります

老後資金は、最低限1,500万円

支出額

総務省統計局の家計調査(2015年)によれば、65歳から69歳の無職世帯の生活費は月約28万円です。一方、世帯の平均人数は2.59人です。したがって、2人分として計算し直しますと、約22万円となります。

老後に必要な医療費や介護費用

老後には、日常生活とは別に、イザというときのために、準備しておく必要のあるお金があります。その主なものが、介護費用や医療費です。

・介護費用は、生命保険文化センターの調べでは、1人平均で約526万円。2人ですと、1,000万円ちょっとです。

・医療費は、高額療養費制度がありますので、200万円~300万円を取っておけば何とかなるでしょう。この制度では、夫婦でそれぞれが月100万円の治療を受けたとしても、治療費の自己負担は2人分でも月4万4,400円で済むのです。

収入額

家計調査(2015年)の年金受給額の平均は、夫婦で約22万1,000円。夫が40年間会社員で、妻が専業主婦のケースです。

不足額

日常の生活費は 22万円であり、年金の世帯収入は22万1,000円ですので、ほぼ年金の範囲内で生活できるということです。

したがって、老後に必要な医療費や介護費用としての、1,200万~1,300万円 が不足することになります。葬式代なども考えて、「最低限1,500万円あればいい」ということになります。

老後資金の検討

検討の前提条件

これから、老後資金の検討を始めますが、その前提条件を下に示します。

世帯主が持ち家の会社員で、65歳定年時に専業主婦の妻と2人で老後を過ごすための必要資金、について検討するものとします。

検討の進め方

上記の紹介記事と同様に、支出額、収入額、不足額の順に検討します。

支出額についての検討

上記の2つの紹介記事では、支出額の計算に、総務省統計局の家計調査(2015年)を利用しています。
基(もと)データを確認したところ、2015年データの中の第3-14表、「2人以上の世帯/無職世帯」が見つかりました。下にその主要点を紹介します。

世帯主の年齢  60-64  65-69  70-74   75-79   80-84   85以上  65以上
世帯人員     2.59   2.51   2.40    2.36   2.28   2.52   2.41
(内18歳未満)(0.07) (0.06) (0.05)  (0.06) (0.02) (0.02) (0.05)
持ち家率     93.3   93.2   92.4    91.6    92.7   96.1   92.7
実支出    307,883  312,104 277,903  261,124  250,041  249,581 275,906
消費支出   276,620  275,872 248,122  233,159 221,941  217,939 245,129
   (**消費支出以外の支出としては、税金や社会保険費用があります。)

この表からの分析

・65歳以上の、9割以上の人は持ち家です。
・紹介記事では両者とも支出を月28万円としていますが、前者は65歳以上の実支出(275,906)をとり、後者は65-69歳の消費支出(275,872)を採用したものと思われます。同じ28万円ですが、考え方としては、前者を採ります。
・世帯人員は、60-64歳は2.59、65-69歳は2.51、65歳以上平均では2.41です。老後の2人分の支出を計算するには、2.41を使うのが妥当と考えます。
  

支出額の計算

65歳からの老後期間は、安全サイドで考えて、30年間として、支出額を計算します。
65歳から30年間の2人分の支出額は 28万/2.41*2*12*30=8,365万円  となります。

収入額についての検討

内閣府の平成26年版高齢社会白書の「高齢者の経済状況」から収入額を検討します。
これによれば、高齢者世帯(1人世帯も含む)当たりの総所得は303.6万円です。

この内、公的年金が209.8万円、稼働所得(仕事をして得た所得)が59.2万円となっています。
高齢者世帯の世帯人員は平均1.56人です。

収入額の計算

稼働所得は含めずに、65歳から30年間の公的年金だけの収入を計算します。

65歳定年時から30年間の2人の収入額は、 209.8/1.56*2*30=8,067万円 となります。

(209.8万円の年金は月当たりにすると22.4万円となり、この数字は前出の2ツの紹介記事の収入額(22.0と22.1万円)や上図の月23万円とほぼ一致しています。)

不足額についての検討

30年間の総収入 8,067万円と 総支出 8,365万円の差は 298万円 となります。

家計調査(2015年)データには、老後の医療費や介護費用も含まれているはずですが、全世帯で平均化されていますので、実際に高額な医療費や介護費用が発生した世帯では不足額が大きくなるでしょう。

そのような場合を想定しますと、介護費用約526万円(生命保険文化センターの調べ、1人あたり必要額)と医療費300万円を加えて、合計約800万円を準備する必要があります。
これは万一に備えて準備するお金であり、全世帯で必ず発生するものではありません。

不足額のまとめは、次のようになります。

通常であれば、300万円の備えでよいでしょう。
高額の介護費用や、医療費が発生する場合を想定すれば、1,100万円の備えが望ましい。

まとめ

老後の資金は3,500万円、と 1,500万円の記事を紹介しましたが、筆者の検討結果は、300万円となりました。通常以上の介護費用や、医療費が発生した場合に備えれば、1,100万円を準備したい、ということです。

尚、持ち家の高齢者世帯を想定していますので、介護費用や、医療費が発生して資金不足になった場合には、持ち家を売却して老後資金に充てることも可能である事を知っておくべきでしょう。

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