
デジタル終活の進め方|データ・情報・整理・管理・保管場所
近年、何かとブームの終活ですが、その中でもデジタル終活というものも流行しています。終活といえば、最期に備えてお墓を用意したり、これまで保有してきた財産について整理をつけることなどが挙げられますが、デジタル終活とはいったいどのような内容のものなのでしょうか?
2019-10-26
デジタル終活ってどんなもの?

2010年代に入ってから、人生の最期に向けてさまざまな準備を行ったり、またご自分の人生を総括したりする一連の活動である「終活」がブームになっています。
具体的な活動として、ご自身が亡くなった後に備えてあらかじめお墓を用意したり、また生涯の中で貯めてきた貯金などの財産について整理を行ったり、亡くなった後にご家族にあてて遺言を残したりすることなど、いろいろと挙げることができます。
主に現時点で高齢者と呼ばれるご年配の方々が終活の主な担い手となっておりますが、その終活の中でも一見すると異質な「デジタル終活」という方法も行われています。
「デジタル」という語を聞いただけで身構える方も少なくありませんが、果たしてデジタル終活とはいったいどのような終活の方法なのでしょうか?
今回は、この一見すると謎のような終活の方法であるデジタル終活について取り上げていきます。
なお、この記事の主なポイントとして
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デジタル終活とはどのようなものを意味するのか?
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デジタル終活で実際にやることとしてどのようなことが挙げられるか?
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デジタル終活の中で整理していくべきものは何か?
の3点を軸に、デジタル終活について解説していきます。
終活をお考えの方はぜひこの記事を参考にして見てはいかがでしょうか。
デジタル終活って一体なんのこと?

一般的な終活で行われることといえば、先ほどもふれたような亡くなった後に備えてお墓を用意することや財産の整理をつけておくこと、遺言を残しておくことなどが挙げられます。
さらには、亡くなった際にどのような埋葬の方法を選ぶか、お墓をどこに立てるかといったことについての検討も一般的な終活の中で行われることです。
それでは、これに対してデジタル終活とはいったいどのようなものなのでしょうか?
「デジタル」と聞くとテレビやパソコン、スマートフォンといった電子機器を用いるイメージがありますが、まさしく主にパソコンやスマートフォンなどに関係する終活のことを意味します。
つまり、お墓を立てたり、遺言を残すなどといった機械の力を使わない終活と異なり、パソコンなどデジタル機器やインターネット上に残した生前のご自身に関するデータ(以下、デジタル遺品)の取扱いについて考え、対策を講じるための一連の活動のことを指します。
デジタル終活って実際何をすればいいの?

それでは、デジタル終活とは実際のところ具体的にどのようなことをやっていく活動なのでしょうか?
ここでは、デジタル終活の方法についてより具体的に見ていきましょう。
家族や親族にデータの保管場所を話しておく
近年では情報技術の飛躍的な発展の影響で、世代に関係なくパソコンやスマートフォン、タブレットなどを駆使して、それらのデジタル機器の中やインターネット上に自分に関するデータを残しておくという人が非常に多いです。
デジタル機器にご自身に関係するデータを残すという行為は、年配の方でも特に珍しいことではありません。
しかし問題なのは、その方が亡くなった時にこれらのデータ(デジタル遺品)がどのような内容のもので、どこに保管されているのかが分からなくなる可能性が高いという点です。
もし、これらのデータが何らかの形で悪用されたり、また流出したりすれば、残されたご遺族の方々にとっても非常に大きな負担となりかねません。
そこで、そのような事態を未然に防ぐためにも、まだ元気なうちに家族や親族にデータの保管場所を話しておくことや、その取扱いの方法について伝えておくことがデジタル終活の主な内容となってきます。
パスワードなどについてもあらかじめ教える
データの保管場所がパソコンや、インターネット上のクラウドサービス(インターネット上でデータのやり取りや保管を行うためのサービスのこと)である場合は、ご家族やご親族のうち、特に信頼できる方にあらかじめそこにログインするためのIDもしくはメールアドレスやパスワードについて教えておくのを忘れないようにしましょう。
できれば、教えておく相手を複数人選んでおくと安心です。
というのは、仮に1人にのみ教えておいた場合、その方が何らかの事情でパスワードのことなどを忘れてしまったら、ご自身が亡くなった後にそのデータにアクセスしたり、管理したりする手段が永久に失われる恐れがあります。
不測の事態を未然に防ぐためにも、複数人の信頼するに足る人物(できれば配偶者やお子さんといった人物)に教えておくことが大切です。
逆にメモなどという形で残して、誰にでもわかるような場所に保管しておくことは逆に危険です。
例えば、ご自宅に泥棒などが入ったりした場合に、簡単に盗まれて悪用される原因になりかねないためです。
エンディングノートを活用する
終末期を迎えた方がご自身の希望や思いなどを書き留めておくために非常によく活用される品物としてエンディングノートが挙げられ、一般の終活の中でも欠かせない道具の1つとなっています。
実は、このエンディングノートはデジタル終活においても非常に役に立つ道具です。
エンディングノートを活用したデジタル終活の方法としてはまず、パソコンやインターネット上にあるご自身のデータが、どこに保管してあり、またそこにアクセスするための方法や、ログインするためのIDやアカウント名、パスワードがどのようなものであるかを書き残しておくことです。
この際に、デジタル遺品について決して書き漏れがないように、なるべく細かい書き分け方(「ネットバンクのID」や「スマートフォンのパスワード」など)をすることが大切です。
そして、記載していくうえで、誰が読んでもわかりやすいように大きい字で丁寧に書くようにしましょう。
特に、ひらがなの「め」と「ぬ」と「ね」、アルファベットの「M」と「N」、また大文字と小文字とで形が似ているものなどはより細心の注意を払って分かりやすく書き残しておくことが大切です。
このようにして、あらかじめデジタル遺品にまつわる情報を残しておくことで、ご自身が亡くなった後や、またご存命であっても何らかの事情でパスワードなどを忘れてしまった場合でも、データの取扱いや処理などであわてるということを防ぐことができます。
なお、エンディングノートの保管についてですが、保管場所はご家族の中でも信頼に足る方(配偶者やお子さんなど)以外には決して口外しないようにしましょう。
また保管する方法についても、あらかじめ厳重に保管しておくことが大切です。
以下の記事ではエンディングノートの効力について解説をしていますので、併せてこちらもご覧ください。
デジタル終活で整理するものとは?

デジタル終活の中で実際にどのようなことをするのかについて触れていきました。
今度は、デジタル終活の中で整理したり処分したりするべき対象について見ていきましょう。
写真や映像などのデータ
長い生涯の中でたくさん保存した写真や映像などのデータは、ご自身が亡くなった後も、生きた証としてご遺族の方が見たいと考えることも少なくありません。
しかし、せっかくご遺族が思い出の写真などを見たくても、例えば「保存してある場所がわからない」とか、あるいは「パスワードがわからなくて見ることができない」といったトラブルに遭遇しないとも限りません。
そこでそのようなトラブルをあらかじめを防ぐためにも、前もってそれらの写真や映像のデータの整理が必要です。
いらなくなったデータは消去し、また残しておくべきデータはきちんと保存場所やそこにアクセスするためのパスワードをエンディングノートに明記しておくことが大切です。
株やネット銀行等のインターネット上の情報
近年ではネット上でも株や仮想通貨などの取引ができるような時代で、終活に取り組む年代の方でも多くの人々が取引を行っています。
当然ながら、株やネット銀行等のインターネット上の情報についてもあらかじめ整理しておく必要があります。
特に、ネット銀行やクレジットカードのIDやカード番号などのインターネット上で保存してある情報が何らかの事故によって流出すると、非常に深刻な事態になりかねません。
また、高額での取引も可能な株式なども経済情勢の影響で価格が大きく変動した場合は、残されたご遺族に対して大きな被害をもたらす危険性があります。
以上のような危険性をなくしておくためにも、元気なうちに金銭関係のデータも管理や整理しておくことが必要です。
デジタル終活についてのまとめ

デジタル終活について見てきましたが、いかがでしたか?
今回の記事の内容をまとめると、以下のようになります。
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デジタル終活とは、お墓を用意するなどの一般的な終活とは異なり、ご自身が亡くなった後などに備えて、元気なうちにデジタル機器(パソコンやスマートフォンなど)やインターネット上に残したデータ(デジタル遺品)などの取り扱うかについて考え、対策を講じるための一連の活動のことを指す。
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デジタル終活の具体的な方法として、元気なうちにあらかじめご家族やご親族にパソコンやインターネット上のデータの保管場所について話しておくことや、データを取り扱うためのIDやパスワードなどを教えておくこと、そしてエンディングノートを活用してデジタル遺品にまつわる情報を残しておくことなどが挙げられる。
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デジタル終活の中で整理や管理をしておくべき情報として、ご自身の写真や映像のデータや、株式やクレジットカード、ネット銀行などのインターネット上に保管してある金銭関係のデータなどがある。
現代社会では、ご年配の方であってもパソコンやスマートフォンといったデジタル機器や、インターネット上にご自身の写真や映像、あるいは金銭関係のデータなどを残しているというのはごく日常的なことです。
このため、デジタル終活を通じて、何かあった時のためにそれらのデータをどう扱うか考え、かつ対策を講じることは非常に重要です。
ましてや、今後ますます情報関係の技術が進歩することが見込まれるため、それに伴ってデジタル終活の重要性は時を経るにつれてますます増していくといえます。
デジタル終活を行う際にこの記事を参考にしていただければ幸いです。
今回終活ねっとでは、「デジタル終活」について解説しましたが、他にも終活に関する記事を多数掲載していますのでそちらも参考にして見てはいかがでしょうか。
以下の記事では終活を行うメリットについてご紹介しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。