喪服といえば黒?昔の日本は白い喪服での葬列だった?

現代の日本のお葬式には皆黒い服を着て参列することが常識となっています。しかし、かつて日本は白い喪服を着て死者を弔っていたのです。白にはどんな意味があったのか、そしてどうして喪服は黒に変わっていったのか、その変遷を紐解きます。

目次

  1. なぜ葬儀を行うのでしょうか
  2. 死に対する意識
  3. 白い喪服の意味
  4. 黒い喪服の定着
  5. 白い喪服についてのまとめ

なぜ葬儀を行うのでしょうか

葬儀というものは人間の一生の間に親、親戚、知人の死に際して何回かは経験するものです。
しかしながら私たちはそのしきたりや意味を理解したうえで葬儀に参列しているとはいえません。
そもそもなぜ人の死=葬儀なのでしょうか。
葬儀において様々決められている手順。
それは何を目的として行っているのでしょうか。
喪服を着るという行為もその手順の中にあるのなら、なぜ喪服を着るのでしょうか。
以下、喪服の変遷に着目しつつ葬儀を行うことの意味を考えてみましょう。

死に対する意識

あの世への旅立ち

今自分が生きている世界を「この世」とか死んだ後に行く世界を「あの世」とか、
私たちはよく使います。「冥府」とか「黄泉の国」とか言ったりします。
つまり、死ぬことがその人の終焉ではないという意識が元々の根底にあったのではないでしょうか。

死者とはまさに今「あの世」へ行くための旅支度をしているところで、
まだ「あの世」へ行ききっていない状態として死者を旅立たせるのが葬儀というものなのです。

霊魂というものへの意識

人は死ぬと「死体」と「霊魂」に分かたれ、
「死体」は物理的に「この世」にありますが、
「この世」と「あの世」どちらにも属さない状態の「霊魂」は不安定なものと解されました。

死者は不安定で危うい存在

死は周辺に悪い何らかの力を与えてしまうと考えられてきました。
死体や不安定な霊魂に魔物が引かれてやってくると解されていたのです。
死に対する忌避、死の穢れ(けがれ)というものを意識するのはそのためなのです。

白い喪服の意味

どうして私たちは死者を送るとき、衣服を改めるのでしょうか?
その行為にどんな意味があるのでしょう。

かつて日本では喪服は白いものを着用するのが通常でした。
それは上記に述べた「不安定な霊魂」と「死の穢れ」と関連しています。

死者と同じ着物を着る

納棺されたご遺体には白装束を着せるのが通常でした。
白い喪服を着るということは、

死者と同じものを着ている → 死者と同じ状態

とみなされるのです。

死者は親しい人を引っ張るということがよく言われます。
また、魔物のような悪しき影響をおよぼす「何か」を引き寄せるとも考えられてきました。
白い着物を着る、つまり死者と同じ姿でいるということは、

「死」という悪いものを死者の身内の範囲内でとどめておく

という意味合いがあるのだそうです。

変わる白装束

最近ではご遺体に伝統的な白装束ではなく、生前好んで着ておられた服を着せることも多くなってきました。
このことからも、死者と同じ服装をするということの意味が我々の意識の中から希薄になっていき、新しい葬儀の形というものが作られはじめています。
「新しい時代のお葬式」
というものがこれからの葬儀の歴史に加わることになるのでしょう。

死者を送り出す意識とその変化

白い喪服を着て死者と同じでいるというのは、死の穢れの拡散を防ぐというだけでなく、
これから旅立とうとしている死者の不安を和らげてあげるという意味もあるようです。
葬儀の目的は死者の気持ちに立って「供養」するというものだったと考えられます。
この世に悪影響を及ぼす存在にならないようにこの世に執着の残らないように、完全に「あの世」へ送ることが葬儀の目的だったのです。
しかし、現在では告別式が行われるようになり、「この世」の人間が死者への執着を整理することが目的になりつつあるのではないでしょうか。
これもまた、日本人の死に向き合う意識の変化と言えるのではないでしょうか。

黒い喪服の定着

近年まで喪主が白い喪服だったのが、最近では黒いスーツ姿ということに私たちは違和感を覚えません。
喪服が白から黒へ変化していった歴史を見てみましょう。

明治時代の国葬

明治時代には皇族や政治家の葬儀を国を挙げて執り行う「国葬」がたびたびありました。
その際、会葬者に対して服装の心得が明確に示され、その内容は西洋の喪の色である黒を基本とするものでした。
皇族をはじめとする上流階級では黒の喪服が定着していったのです。

一般国民については英照皇太后の大喪の際、全国民が喪に服すということがありました。
そのときに喪服についての心得が示されたのです。
礼服についての和服パターン、西洋服パターン、
礼服でない場合など細かく指定がありましたが、
黒の紋付、黒のネクタイ、黒の帽子など、
その基本色はやはり黒だったのです。

このように国葬により一般国民にも黒い喪服が広がっていったのです。
明治の中期ごろからは喪主も白装束から紋付羽織袴を着るようになり、また洋服も増え始めました。
(ただし、地方では白い喪服の習慣は変わらなかったといいます。)

参列者の服装

明治時代末になると今までなかった「告別式」というものが始まります。
その新しい「文化」に対応するため、本来喪服は死者の近親者が着るものでしたが、
参列者の服装として転用されるようになったといわれています。

物資不足の時代

物資が不足していた時代、戦時中は
男性は国民服、女性は筒袖にモンペで葬儀を行ったといいます。
戦争直後には黒い服は結婚式にも葬儀にも両方使える便利な正装とされました。
結婚式にはアクセサリーをつけ、葬儀ではそれらをつけないという使い分けをしていたのです。

ネクタイを変えるだけの便利な礼服

黒いスーツはネクタイが白か黒かで結婚式と葬儀どちらにも通用する礼服となりました。
また日常から既製品の安い洋服を着るようになった私たちは和服での喪服を着ることもなくなり、
白い喪服だけでなく、和装での喪服もほとんど見られなくなっていったのです。

白い喪服についてのまとめ

黒い喪服が当たり前の現代の私たち。
簡便さや西洋という異文化に倣って喪服が白から黒へ変わってしまった習慣になかなか本来の意味を見出すことは難しいものです。
伝統的に日本人が死にどう向き合ってきたのか。
「お葬式」をきっかけに立ち返って考えてみるのもいいのかもしれません。

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