遺言執行者とは何をする人?いないとどうなる?

遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きなどを行う人の事です。何やら難しそうですが、遺言執行者はどうやって選ぶのか、どんな権限があるのか、報酬はあるのかなどについて解説いたします。

目次

  1. 遺言執行者とは?
  2. 遺言執行者の必要性
  3. 選任するメリット
  4. 遺言執行者の選任
  5. 遺言執行者が行うこと
  6. 遺言執行者の解任と辞任
  7. 遺言執行者の報酬
  8. いかがでしたでしょうか?

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、遺言書を内容どおりに実現させるために、各種相続手続きを中心となって進めていく人のことです。

法律の専門家である弁護士や司法書士、または銀行も遺言執行者になることができますが、一般の相続人も遺言執行者になれます。

遺言執行者の必要性

遺言執行者は必ず必要なのでしょうか?

例えば、遺言書を用いて金融機関に預けてある相続財産の相続手続きを行なう場合を考えてみましょう。

遺言書に「◯◯へ相続させる」と指定されていたとしても、遺言執行者がいない場合は、多くの金融機関で「相続人全員の署名捺印が必要です」と言われます。
その場合、遺産分割協議書の作成や相続人全員の署名捺印の他に、相続人全員の印鑑証明書等も必要になりますので、相続人の人数が多いとなかなか手続きが進みません。
それどころか、もし手続きに反対して署名捺印をしない相続人がいた場合、手続きを進められない場合もあるのです。

その点、遺言執行者がいれば、複数人の相続人がいた場合でも署名捺印は遺言執行者の分だけでよいので手続きが容易になります。

金融機関によっては、遺言執行者なしでも手続きを受付けてくれるところもあるようですが、一般的に、遺言書を用いて金融機関の相続手続きを行う場合は、遺言執行者を選任するよう依頼されるようです。

なお、相続手続きをする機関(銀行や法務局等)によっては、遺言執行者の指定をする必要がない場合もありますので、まず手続きが必要な機関に確認をしてから手続きを進めましょう。

また、遺言書で子供の認知や相続人の廃除・廃除の取り消しを行なう場合は、遺言執行者が必要であると定められています。

選任するメリット

遺言執行者は相続開始後の手続きを単独で行う権限があるので、他の相続人に財産を処分する権利がなくなるため、私利私欲の財産処分を禁止できます。

相続人が複数人いる場合、作成する書類の収集や署名捺印手続などで時間と手間がかかりそうですが、遺言執行者を指定していれば、相続人代表として手続を進められるので時間短縮にもなりますね。

遺言執行者の選任

では、遺言執行者はどのように選任したらいいのでしょうか?

遺言執行者になれる人

遺言執行者は「未成年者」と「破産者」以外であれば誰でもなれますし、個人・法人問わず、一人でも複数でも可能です。

ただし、遺言書作成時に未成年だった場合でも、遺言者の死亡時に成人していれば遺言執行者になることができます。一方で、遺言書作成時には破産者でなかった場合でも、遺言者の死亡時に破産者になっている場合には遺言執行者になることができません。

遺言執行者の選任の方法

①遺言書で指定する

遺言書で「○○を遺言執行者に指定します」といった記載を残すだけで大丈夫ですが、いきなり自分が指定されても驚いてしまいますし、負担に感じると思いますので、事前に遺言執行者にしたい方に許可をもらっておく方がいいかもしれません。

②遺言執行者を決めてくれる誰かを指定する

遺言書で遺言執行者を直接指定せず、遺言執行者を決めてくれる誰かを指定しておきます。
そして、遺言執行者の選任を任された人が、別の誰かを遺言執行者を指定するという方法です。

被相続人が生前に遺言執行者を決めておいても、なんらかの理由で遺言執行者になれなかった場合を考えて、死亡時に最も適した人を選任するためです。

③家庭裁判所に遺言執行者を決めてもらう

遺言書内で遺言執行者が指定されていない場合や指定された遺言執行者がすでに亡くなっている場合、または指定された遺言執行者が辞退した場合、家庭裁判所で遺言執行者の選任手続きが必要です。

家庭裁判所は利害関係人の請求によってこれを選任することができる(民法1010条)とされていますので、まず利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人など)が遺言者が最後にいた住所地の家庭裁判所に申し立てをします。

家庭裁判所から遺言執行者に指定された場合は、承諾することも拒絶することも自由ですが、承諾したときは直ちに任務を行う必要があるとされています。

選任する際のポイント

●誰でも遺言執行者になれるからといって安易に決めてしまうと後々トラブルになるケースも出てきますので、第三者の立場から公平に実行してくれる人を選任することが大切です。

●遺言執行者を1人だけ指定した場合、被相続人より先に亡くなってしまう可能性もありますので、複数人を指定しておく方法もあります。
ただし、遺言執行者を複数人指定した場合ですが、預金の解約などの際には遺言執行者のうちの誰か1人で手続きをすることはできず、過半数の署名と実印が必要になるので注意してください。

●遺言執行者は利害関係が絡むことが多いので、相続において利害関係者ではない、かつ相続に関しての専門知識がある人が望ましいともいえます。
専門家である第三者を選任することで、効率的かつ公平に手続きを進めることができますし、何より、慣れない手続きにかける時間や手間やストレスを削減できるのがメリットでしょう。

遺言執行者が行うこと

遺言執行者が行う主な内容は以下の通りです。

①自分が遺言執行者になった旨の通知を、相続人や受遺者に対して行います。
②財産目録を作成して相続人や受遺者に交付します。
③遺贈があった場合には、受遺者に遺贈を受けるかどうかの確認をします。
④登記手続が発生する場合は、登記申請自体はできないので司法書士に依頼します。
⑤遺言書に沿って、財産の引き渡しや分配、名義変更などを行います。

その他、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をします。

遺言執行者の解任と辞任

解任

大事な相続財産をきちんと管理していなかったり、特に理由もないのに財産目録を他の相続人に交付しないなど、任務を怠った場合や任務に違反する行為をしたときは、利害関係にある相続人などがその解任を家庭裁判所に請求することができます。

辞任

遺言執行者本人に正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得てその任務を辞することができるとされています。

遺言執行者の報酬

報酬の金額

遺言で遺言執行者を指定する場合は、同じく遺言で報酬額も指定することができますし、遺言執行者が専門家などでなければ無料でも問題はありません。
また、家庭裁判所で遺言執行人を選任する場合は、家庭裁判所が報酬を決めることもあります。

弁護士等の専門家の場合

一般的に30万円から相続財産の1~2%程度と言われていますが、報酬金額は事務所によって違います。

報酬額が高いからといって特別なサービスを行ってくれるわけではありませんが、相続に詳しい方の場合は、必要なアドバイスを受けながら相続手続きを進めることができますし、手続きも迅速に行えます。

専門家の中で相続を得意とするかは事務所によっても異なりますので、事前によく調べておきましょう。

銀行の場合

遺言執行手続き時に相続財産の1~2%が報酬として発生する銀行が多いようです。

支払い方法

弁護士などを選任した場合の報酬の支払い方法は依頼する事務所によって異なりますが、基本的には、遺言執行の依頼をした時点で発生する「着手金」と、遺産相続が終了した段階で支払う「報酬金」の2段階方式が一般的です。

また、報酬は相続人の財産から支払うわけではなく、報酬は相続財産から支払うことになります。

いかがでしたでしょうか?

せっかく遺す大切な財産です。その相続が原因で親族関係が悪くなることは避けたいものですね。そのためにも遺言執行者はとても重要ですので、遺言書を作成する際には慎重に選任しておきましょう。

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