神社での手洗いの作法と意味を解説。

あなたは幼い頃、神社の手洗い場で手を洗うと年配の方から教えられたことはありませんか?最近では神社の作法の仕方を詳しく紹介している雑誌やテレビが増えていますが、マナーについて知っている方は少ないです。今回は手洗いの由来から作法、マナーまでご紹介いたします!

目次

  1. 第1章 神社と俗界
  2. 神社と手洗い場
  3. 神社での作法 ~手洗いの作法~
  4. 神社の中にある摂社・末社
  5. 手洗いの注意点
  6. 手洗いの作法と注意点のポイント

第1章 神社と俗界

神社とは、神道の神々をお祀りする神殿のことをいいます。
神道は古代日本で誕生した日本固有の宗教で、崇める神は神話の神や歴史上の偉人、海や山、川などの自然物から雷や台風などの天候まで実に多くの神様をお祀りしています。
全国にある神社の総数は国に登録されているお社だけで8万5千社、登録されていない小さなお社を含める10万社を超えると言われています。

神社

八百万(やおろず)の神々と神社

神道の神様のことを「八百万(やおろず)の神々」といいます。
由来は「神様が数えきれないほどたくさんいらっしゃる」という意味です。
日本最古の正史「古事記」には、日本を造られた神様がたくさん登場します。
その神様たちは山や川、海、岩、土、水、風、火、太陽、月…など森羅万象を司る神様ばかりです。
それらの神様は神社にお祀りすることで日々の日常の感謝の気持ちと、これからの安寧をお祈りしてきました。
代表的なものでは、出雲大社にお祀りしている神様は大国主命であることを知っている方は多いでしょう。

奈良時代に伝来した仏教の神々も八百万(やおろず)の神々と混同されたことから、
お寺の中に神社の鳥居があったり、お寺の中に賽銭箱と鈴があったりとアバウトになっていきました。

神社と俗界

神社は神様がいらっしゃることから、私たちの住んでいる日常空間とは別の神聖な空間と考えられています。
普段私たちが住んでいる所を「俗界」と呼びます。
俗界にはよこしまな気持ちを持っている人や幽霊から出る邪気などで溢れているといわれます。
そのため、邪気が神社に侵入してくるのを防止する「結界」が張られています。
その結界の一部が神社の入り口に立つ鳥居です。

神様は何よりも穢れを嫌います。
俗界の邪気だけでなく私たち自身が不潔なことは大変なタブーです。

鳥居から神社に入る時に身体に取り付いてた邪気をある程度取り除かれます。
しかし、まだ邪気が残っているので神様にお参りすることができません。
その微かに残った邪気を払い、身を清めるのが
神社内にある手洗い場です。

神社と手洗い場

神社

鳥居をくぐると参道の途中で柄杓(ひしゃく)の置いてある水飲み場のような建物があります。
その施設を手水舎といいます。
手水舎の読み方は「てみずや」「ちょうずや」とどちらでも使います。

神社と水の関係 ~手洗いの由来~

古来から水には穢れを払い、身を清める力があるとされています。
古代日本では神社に参拝するときは神域の手前を流れる川や湧き水で全身を洗ってお参りしました。
現在でも三重県の伊勢神宮には神宮内を流れる五十鈴川そのものを手水舎として使います。

しかし時代が経つにつれて、全身を洗って身を清めることは大変難しくなり
簡単に身を清めることができる設備を整えたのが手水舎の由来です。

手洗い場と龍神様

手水舎は各神社によって水が流れ出る所が様々なデザインになっています。
その中でも「龍」の口から水が出ている手水舎を一度は目にしたことがあるかと思います。
なぜ龍の口から水が出てくるデザインになっているのか…?

日本では龍は神様の一柱であり、水と雨、雲を司る神様として信仰されてきました。
水がなければすべての動植物は生きていけません。
まさに水は命の源であり、邪気を払う神聖なものとされました。
そのため、神社で身を清める手水舎に流れる水を龍神様から出る水で神聖なご神水として表現したのです。

その他にもご神体が山の神社では、ご神体の山から湧き出てくる水を手水舎に引き込んでいる神社もあります。
ご神体がもたらしてくれる水そのものが神聖だからです。

手洗いと柄杓(ひしゃく)の意味

手水舎は四方を柱で囲って屋根を設けた東屋のような作りです。
四方の柱にはしめ縄が飾られてドアのない吹き放しとなっています。
吹き放しにすることで手水舎の中に邪気が溜まることを防いでいるからです。
また、屋根を設けて四方をしめ縄が張ることで手水舎自体を神聖な場所であることを示しています。

手水舎にある柄杓(ひしゃく)を使って身を清めます。
柄杓は神社によっては金属製や木製のものなど材質とサイズが違いますが、使い方はどの神社も一緒です。

柄杓は古くから水をすくうための日常道具として使われています。
そのため、神社でも一般的な道具の一つとして手水舎におきました。

手洗い場の文字

手水舎は大きな岩をくりぬいて水瓶のように水が溜まる水盤の部分と、余分な水を排出する排水溝のような部分を合わせた作りになっています。
この岩を「手水鉢(ちょうずばち)」と言います。
手水鉢には表面に大きな文字で「洗心」と彫られています。
この文字の意味は「身体だけでなく心についた穢れを洗い流して邪心をなくしなさい」という教えです。

私たちは参拝する時に私欲に富んだ願い事をすることがありますが、
本来は日々の生活を送れることへの感謝を伝えるためにお祈りをします。
手水舎では神社での心構えを参拝者に教えているのです。

手洗い場と小銭

手水鉢を覗き見ると水盤の底に小銭が入っている所を見たことがありませんか?
この小銭は賽銭箱に入れる感覚で手水鉢に小銭を入れる参拝者がいるためです。
しかし、この行為はタブーです!
手水舎は神聖な場所であり、水盤の水はご神水です。
その中に物を入れることは絶対にやってはいけません。

小銭は拝殿の賽銭箱以外の所には置きません。
手水舎で賽銭を出す際は、手を清める前に出して、ポケットなどにしまっておくのが無難な作法です。

神社での作法 ~手洗いの作法~

神社

次に神社に参拝する時の作法をご紹介します。
各神社は地域によって施設の規模や配置が違いますが、
ほとんどは同じ作りになっています。
また、作法も「その神社にしかない決められた作法がある」というお社以外は全国的に同じ作法をします。
特有の作法のある神社を参拝する時は、神社内にそれぞれの案内板がありますので、
そちらをご確認しながらお参りをしてください。

1 鳥居の前で一礼する

神社の入り口の鳥居の前で一礼(軽いおじぎ)をします。
これは神様に「今から神域に入ります」という挨拶です。
一礼する時は参道の真ん中に立ってはいけません。
参道の真ん中(正中)は神様の専用の通り道だからです。

一礼した後は参道の真ん中(正中)以外を通ります。
神社によっては参道の途中で鳥居が何基もある場合がありますが、
そのつど一礼をして通ります。

2 手水舎で手を清める ~手洗いの作法~

参道の途中にある手水舎で手を清めます。

➀手水舎に入る前に手水舎にむかって一礼をします。
②右手で柄杓を持って水盤から水を汲みます。
③左手を水で清めます。
④柄杓を持ち替えて右手を清めます。
⑤また柄杓を右手で持ちます。
⑥左手に水を少し溜めて口を清めます。
⑦口がついた左手を清めます。
⑧柄杓を垂直に立てるようにして柄杓の持ち手を洗い清めます。
⑨柄杓を元の場所にうつ伏せに戻します。

作法の説明文を読むと難しそうに感じますが、
手水舎にはイラストでわかりやすく説明されていますので安心してください。

3 神社の拝殿にお参りをする。

手水舎で身体を清めた後は拝殿に向かいます。
拝殿は参道のつきあたりにある神社の中で一番大きな建物のことをいいます。

拝殿の前には賽銭箱と賽銭箱の上に吊るされた大きな鈴があります。
その前に立って「二拝二拍手一拝の作法」をします。
「二拝二拍手一拝の作法」もしくは「ニ礼二拍手一礼の作法」「再拝二拍手一拝の作法」とも呼ぶ参拝の作法です。
呼び方は違いますが作法の仕方は同じです。

➀拝殿の前に立つ。
②賽銭箱にお賽銭を入れる。
③鈴を鳴らす。
④直立した姿勢から腰を90度に曲げる深いお辞儀を2回する。
⑤手を胸の高さに上げて、右手を少し引いた形になるように2回拍手をする。
⑥2回目の拍手の後、手を離さないようにしてお祈りをする。
⑦祈り終わった後、手を下して深いお辞儀を1回する。

賽銭を入れるタイミングやお辞儀と拍手の回数など覚えきれないかもしれませんが、
拝殿の前にイラストでわかりやすく作法の仕方が書かれていますので、
素直な心のまま神様にお参りをしてください。

神社の中にある摂社・末社

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神社の敷地内に小さなお社がたくさんある場合があります。
この小さなお社を摂社もしくは末社と呼びます。
摂社・末社には本社(本殿)と縁のある神様をお祀りしています。
拝殿へ参拝した後にそのまま摂社・末社にお参りしてください。
その際は再び手水舎で清める必要はありません。

手洗いの注意点

神社

手水舎で手を清めた後によくやってしまう間違いがあります。
神社の敷地内でも注意事項として紹介していないことが多いのでご存じない方も多いかと思います。

手洗いの柄杓を直接口に付けない

よくやってしまうマナー違反の一つです。
手水舎にある柄杓は神社の備品であり、柄杓自身に穢れを付けてはいけません。
穢れは口から出るとも言われています。
柄杓を直接口に付けずに口を清めるために左手で口を清めるのです。

手洗い場で口を清めた水は水盤に入れない

口を清める水の量は唇と前歯などを湿らせる程度で大丈夫です。
うがいをするような量を口に入れる必要はありません。
口を清めた水の捨て方ですが、手水鉢に排水溝がある場合はその中に、
ない場合は、手水鉢の外に捨ててください。

手洗いの作法は1掬いの水ですべて行う

手水舎での一連の作法は、1掬いの柄杓の水で使い切ります。
そのため水を掬い取る時に各作法で使う水の分量を考える必要があります。
作法が終わる前に水を使い切ったからといって再び水を掬わないでください。
作法の最後は残った水をすべて使い切って柄杓を清めます。

手洗いの後はハンカチなどで手を拭かない

手洗いを終えた後に、手が濡れているからとハンカチなどで水気をふき取る方がいます。
手水舎での作法はただ手を洗うのではなく、神様にお参りする前に自分自身を清めて穢れを払うことを意味します。
ハンカチなどで手を拭きとると、せっかく身を清めた意味を失くしてしまいます。
手洗い後は自然に手が乾くのを待ってください。

手洗いの後は頭などを触らない

手洗いした後から参拝するまでの間は、ほかの物に触らないようにします。
何かに手が触ることで手を清めても再び穢れてしまうからです。
なので、お賽銭を取り出すのは手を洗う前に行う方が無難と言えるでしょう。

また、注意すべき点は自分の顔や頭などを触ってしまうことです。
神様に捧げる供物を運ぶ時、巫女さんは自分の頭より上に供物を持ち上げて運びます。
これは口から出た穢れによって供物が穢れるのを防ぐためです。
同じように参拝する時は自分の身体でも顔や髪の毛などは触らないように注意してください。

トイレの後は手洗い場で身を清める

参拝中に神社の敷地内のトイレに行く人はあまりいないかもしれませんが、
トイレの後はトイレ内で手を洗った後でも、もう一度手洗い場で身を清めます。
トイレに行くことは穢れてくることを意味します。
一度手水舎で身を清めた後でも、もう一度手水舎で身を清めてください。

手洗いの作法と注意点のポイント

神社

ここまでご覧になって神社の手洗いの作法は難しいと感じた方も多いと思います。
確かに、作法の一連の動きを覚えることは大変ですし、
参拝するまでに注意点に触れないようにするのはかなり緊張します。

しかし、作法と注意点のポイントを覚えておくと気持ちが楽になります。

作法のポイント
➀左右の手と口を水で洗う
②使った水は外に捨てる
③使った道具をきれいにする

注意点のポイント
➀誰が見ても「汚い!」と思う行為をしない

手水舎の作法はイラスト付きで目立つ所にあるので細かく覚えて行かなくてもこの3点を覚えておくだけで大丈夫です。
注意すべきは、身なりを整えて身を正すこと。
誰が見ても嫌な気分になることはしないことです。
これは神様でなくても人同士のお付き合いの中でも共通するマナーの一つになります。

最後に、参拝する時の心構えは素直になることです。
手順通りに作法ができなかった!と動揺せずに
落ち着いた気持ちになって日頃の感謝の気持ちを捧げることが一番肝心なポイントです。

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