掛け軸の掛け方や外し方、扱い方を紹介します。

掛け軸は、日本の伝統的な文化の一つです。昨今の和室ブームとともに、若い人にも掛け軸を購入して掛ける人が増えてきました。この記事では、掛け軸の意味と掛け方、外し方、扱い方などを説明します。掛け方については、手順だけでは無く、選び方なども紹介しています。

目次

  1. 掛軸について
  2. 掛け軸の種類
  3. 床の間と掛け軸
  4. 掛け軸の掛け方
  5. 掛け軸を楽しむ
  6. 掛け軸の外し方
  7. 掛け軸の保管や手入れ
  8. まとめ 掛け軸の楽しみ

掛軸について

掛け軸

「四季花鳥揃」という名の掛け軸、季節ごとに掛け替えられるのも掛け軸のいいところです

掛け軸とは

掛け軸というのは、布地(これを裂(きれ)といいます)や和紙で軸物に表装して、床の間や壁などに掛けて鑑賞するように作られた書や画のことをいいます。
掛け軸は、掛け物(かけもの)ともいいます。
和室の装飾として重要で、季節や時間、内容により掛け変えるのが一般的です。

掛け軸の歴史

最初は中国で広まる

掛け軸は、中国の北総時代に仏画用として、掛けて拝む物として広まりました。

日本では飛鳥時代から

日本では、仏画として飛鳥時代に入ってきた後、鎌倉時代後期に禅宗や墨画の流行から掛け軸も広まっていきました。

室町時代

日本では、仏画として飛鳥時代に入ってきた後、鎌倉時代後期に禅宗や墨画の流行から掛け軸も広まっていきました。
室町時代になると、千利休の言葉もあり、茶の湯の席で茶室の床の間に水墨画の掛軸を掛けるようになりました。そして、季節や時間、掛け軸の内容、来客により掛け軸を掛け替えることが行われるようになったのです。

江戸時代、大正時代、昭和時代

江戸時代には、日本画の流行と表具技術の発達により、芸術性の高い掛け軸が多く作られるようになりました。この傾向は、明治、大正時代も続いていき、掛け軸も普及しました。
しかし、昭和時代には、戦争や洋風の生活が広まり、床の間のない部屋が増えたこともあり、掛け軸は廃れていきました。

現代

平成の今日、和式の生活が見直され、床の間のある和室も増え、床の間がない部屋にも和風の趣を得るため、掛け軸を掛ける人が増えてきました。

掛け軸の種類

掛け軸には、床の間に掛ける「床掛け」という掛け軸と仏壇の中に掛ける掛軸があります。床の間の掛け軸については項を改めて説明します。

仏壇の掛け軸

仏壇に掛ける掛け軸の大きさには特別な決まりはありません。
最上段の中央にご本尊様をお祀りし、その左右に宗祖名号の描かれた掛け軸を掛けます。
具体的な掛け方は、宗派によって異なりますので、お寺さんにご相談ください。

床の間と掛け軸

床の間とは

床の間は、畳の部屋にみられる座敷の飾りでで、座敷の正面上座に一段高く作られています。16世紀頃に登場した書院作りに由来します。
掛け軸や花などを飾る上座となります。

床の間に掛け軸をかける理由

床の間と掛け軸の関係は、茶道において、床の間が神の宿る場所であるからです。
神が宿る床の間に、縁起のよい掛け軸を掛けることで、家内安全、健康長寿、金運など運気が上昇するといわれています。

床の間の掛け軸は茶道具のひとつ

床の間の掛け軸は、実は、茶道具のひとつです。茶道では、お茶とお茶菓子だけではなく、茶道具や雰囲気を味わうことも重要です。茶会の目的に応じた内容の掛け軸を掛けて楽しむのです。

床の間に掛ける掛け軸の種類

結婚・結納・正月・慶事全般

「松竹梅高砂」や「鶴亀松竹梅」などを内容とした掛け軸で、祝い事やお正月に掛けます。

結納・結婚・結婚記念日

「鴛鴦」「夫婦昇鯉」など夫婦円満を意味する掛け軸です。冬には「鴛鴦」を、夏には「夫婦昇鯉」を掛けます。

お正月

「旭日」「旭日と鶴」「七福神」などを元日から1月末まで掛けます。
元旦から1月末まで掛けます。

仏事や弔事

「六字名号」「観音」「蓮華」などをお彼岸やお盆、弔事などに掛けます。
仏事用として最低限必要なものです。

新築祝い・落成祝い

「竹に雀」「富峰」「山水」など縁起物として掛けます。
「竹に雀」は、地に根をはる竹、子孫繁栄と吉鳥である雀という縁起物の掛け軸です。
年中、夏に掛けて使用することもできます。

開店・開業

「七福神」「赤富士」などを商売繁盛の縁起物として掛けます。

長寿

「松竹梅高砂」「鶴亀松竹梅」「亀」などを長寿の縁起物として掛けます。還暦や喜寿などのお祝いに掛けることもあります。

選挙・昇進

「大昇鯉(画像)」
「鯉の滝登り」という意味です。
黄河の龍門を昇れば龍に進化するという故事から、出世を願うときに掛ける掛け軸です。
五月の節句、夏にも掛けることができます。

季節による掛け軸

春には「梅に鶯」、初夏には「鮎」、秋には「紅葉」などがあります。

掛け軸の掛け方

掛軸の取り扱い

掛け軸は普通桐箱に入っています。この桐箱は、後で保管する際に使用しますので、捨てないでください。封入されて購入します。この時ですが、桐箱は捨てないで残しておくようにしましょう。
掛け軸は、以前の日本家屋の場合は1カ月掛け続けても痛むことはありませんでした。しかし、現代の空調されて乾燥気味の部屋では、一週間以上の間、同じ掛け軸を掛けておくと、開け軸が痛む可能性があります。
購入して最初のうちは、三日間ぐらい掛けたら、取り外して、ほかの掛け軸に替えた方がよいです。
空気の乾燥だけでは無く、湿度が高い部屋も避け、直射日光が当たらないように配慮してください。

掛け方の順序

二つの掛け軸が対になっている双幅対、二幅対、連幅の掛け軸の掛け方は、向って左の軸から掛け、つづいて右の軸を掛けます。
三つの掛け軸が一組になっている三幅対の掛け軸は、中央の軸を最初に掛けます。それから、向かって左の軸、右の軸と掛けます。

掛け軸を掛ける際に使う道具

高いところに掛けることができる矢筈

掛け軸を掛けるには、「矢筈(やはず)」という、先が二股になった棒を使います。高い位置に掛ける掛け方が楽になります。

風などで掛け軸が揺れないようにする風鎮

掛け軸の軸の両下端に下げて、巻き癖を直し、風などで揺れないようにする道具を「風鎮(ふうちん)」と言います。風鎮は、掛け軸が斜めにならない様にバランスを考えて取り付けます。
また、「自在(じざい)」は、掛軸の長さに合わせて掛ける高さを調整する道具です。

掛け軸を掛ける高さを調節する自在

「自在(じざい)」は、掛軸の長さに合わせて掛ける高さを調整する道具です。

掛け方の手順

掛け軸の各部の名称は図を参照してください。

掛け方の手順を説明します。

掛け軸は、軸箱から取り出して、巻緒を解き、畳の上など水平で平らなところに置き、一文字のところまで広げます。

巻緒を目立たないように左側に寄せ、風帯の癖を直します。
右利きの場合、右手に矢筈を持って掛緒に掛け、左手で袱紗を添えて表具の中央を持って立ち上がり、床の釘に掛緒を掛けます。

矢筈を右側に立てかけ、次に両手で軸先を握って静かに下ろします。
巻癖がつよいといは、ほんのちょっとだけ逆巻きにして修正します。強く逆巻きしてはいけません。

掛けたら、離れた場所に立ち、表具の高さ、左右のバランスなどを確認します。
このとき、掛け釘が高すぎてバランスが悪い場合は、自在を使って掛け方を調整します。

最後に、風鎮を掛ければ完成です。風鎮は、軽い物であれば問題ないですが、重い風鎮は長時間掛けると掛け軸を痛めることがあります。デザイン的に問題なければ、巻き癖があったり、風が強くて掛け軸が揺れるような場合にだけ掛けるように掛け方を調整したいものです。

掛け軸を楽しむ

掛け軸は、いろいろな表装がなされているため、設置場所の温度変化や湿度変化に敏感で、掛け方に注意が必要です。ひびが入ったりを掛けている間は、温度や湿度にも注意しなければなりません。湿度が高すぎても、乾燥し過ぎていても、掛け軸には良くないのです。気温も同じです。エアコンで空調されているような部屋に掛け軸を掛ける場合には注意が必要です。

もちろん、直射日光も厳禁です。日が当たる時間帯は、窓のカーテンを閉めるなどして、直射日光が当たらないような掛け方にして下さい。

つぎに、風などで掛け軸がかっかすることもあるので、掛け軸の下には何も置かない方が良いです。

複数の掛け軸を並べて掛ける場合には、最初から組になっている掛け軸では無ければ、組み合わせをよく考えて、掛け方を変えます。何らかの共通テーマを考えて、掛け軸を組にして掛けるよう掛け方を工夫します。

掛け軸の外し方

掛け軸は掛け方だけではなく、外し方にも注意が必要です。

手順

まず、柔らかい羽ぼうきで軽くほこりを払います。
矢筈を立てかけ、両手で軸先を持って上の一文字の所まで両手で巻き上げます。
掛けた時と逆の動作で、矢筈をつかって掛け釘から外します。
畳など、水平な平面の上に置き、風帯を折り目通りにたたみます。
つづいて、両手で軸をゆるく巻き、掛緒を巻いて、柔かい紙に包み、軸箱に収納します。

掛け軸を外すポイント

できれば、2人でやった方が安全です。
1人でやる場合には、先に矢筈を壁に立てかけておきます。
軸をまくときは両手でゆっくりゆるく巻き取って下さい。
軸箱に収納する場合には、軸の端にある八双(はっそう、装飾金具)が上手く収まるよう意識してください。

風帯のある掛軸の場合

風袋は、折り目どおり、向かって左手側の風帯を右手側の風帯の下に曲げ込み、右手側の風帯を左手側の風帯の上に載せるよう畳みます。風帯の先があまってしまう場合には、折り目に合わせて曲げます。風帯を垂らしたまま巻き上げてはいけません。

巻紙がある場合

巻紙は、幅が5㎝から7cmぐらいで長さが20㎝から25cmぐらいの紙です。
掛け軸は巻紙の一端を掛軸に巻き込む形で巻き付ける。
掛軸を左手に、巻緒を右手に取り、巻緒を掛軸を巻いてきたのと同じ向きに左から右へと3回ぐらい巻きます。巻緒が長い場合には、4回以上巻くことがあります。
巻緒の右端で輪を作り、掛緒の右下からくぐらせてから、左下に通します。

掛け軸の保管や手入れ

掛け軸を保管するときは、揉紙(もみがみ)という包み紙で包んでから、軸箱に納めます。湿気の多いところに置いておくと、カビが発生します。湿度の少ない風通しの良い場所に保管します。さらに、掛け軸を外してしまうときは、雨の日を避けて下さい。

また、ナフタリンや樟脳は染みの原因となるので、専用の防虫香を利用します。

掛軸は、長期間掛け続けると、掛軸上の金具が抜けたりするので、定期的に掛け替えます。できるだけ1カ月くらいにして、休ませるようにします。
逆に、いつもは使わない掛け軸も、1年に1回か2回は虫干しを兼ねて掛けましょう。虫干しは。春や秋の晴天のときがよいです。軸箱もかるく陰干しをして、乾いた布でふいて軸を収納します。その際には、桐箱も陰干しして、乾いた布で拭きます。

まとめ 掛け軸の楽しみ

最近は、それほど高価ではなく、手に入りやすい価格の掛け軸も増えています。掛け方についても、気軽に季節や気分などに応じて掛けたり掛け替えたりしながら、部屋の雰囲気を整えていくのも心を豊かにします。

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