源義経の愛用した刀【膝丸・今剣】を紹介!

牛若丸の幼名で知られ、その激動の人生から現代でも多くの人に愛されている源義経ですが、生涯を通じて数々の刀に囲まれていた事でも知られています。今回は源義経が愛用した刀を紹介します。

目次

  1. 源義経にまつわる刀の数々
  2. 源氏に伝わる名刀「膝丸」
  3. 源義経が自刃に使った短刀「今剣」
  4. 真偽の程は?青森で発見された短刀の正体
  5. 複数存在する名刀と歴史の楽しみ方

源義経にまつわる刀の数々

義経

判官贔屓なという言葉の語源になるなど源義経は今でも多くの日本人から愛されています

平安時代から鎌倉時代に掛けて活躍した源義経はその悲劇的な人生だけでなく、生涯を多くの名刀とともに過ごした事でも知られています。

今回は、名刀とともに短い人生を駆け抜けた源義経の愛用した刀を紹介します。

源氏に伝わる名刀「膝丸」

刀

源氏ゆかりの膝丸(薄緑)と伝えられる刀が所蔵されている大覚寺

源氏に伝わる名刀として知られ、持ち主とともに何度も名前を変えた事でも知られるのが膝丸です。

10世紀に源満仲の命によって、源氏に伝わるもう一振りの名刀として有名な髭切とともに作られ、罪人を試し斬りした際に膝まで切れたとためこの名が付けられたという逸話も有名ですが、前述の通り持ち主が変わるとともに名前も次々と変えられた事でも有名です。

主とともに名を変えた源氏の名刀

膝丸と名付けられた刀は源頼光の山蜘蛛退治によって蜘蛛切と名前を変え、12世紀中頃の源為義の代には犬吠と再度名を改められています。

その後、犬吠は源氏の人間の手元を離れ源為義の娘婿だった熊野別当の教真の手に渡ります。
一方、犬吠を譲られた教真は源氏に伝わる刀を自分が持つべきではないとの理由で熊野権現に奉納し、源氏の名刀は一旦所有者がいなくなります。

熊野権現で再び自分を使ってくれる主を待っていた犬吠は、教真の子息で後の熊野別当となる湛増から源氏の御曹司である源義経の手に渡り、源氏の名刀が贈られた事を心から喜んだ源義経は刀に吉野の山にちなんで薄緑と名付け、平家討伐でも常に手元にありました。

源義経と薄緑の運命

平家討伐で大きく名を上げた源義経ですが、自身の名が広がるとともに源頼朝から疎まれるようになります。

ここから先は書物によって内容が異なるため説はいくつか存在しますが、源義経は薄緑を箱根権現に奉納しています。

その理由に関して自分が源氏の名刀を持つ事により源氏の総大将である兄と対等な立場になり、源氏を割るとの危惧から薄緑を奉納したという説や、源頼朝との関係を修復を願って奉納したという説もあり、断定するだけの証拠もありませんが、自身の誠意を示すための行動も実らず、愛刀の薄緑と別れた源義経は平泉でその生涯を閉じる事となりました。

伝説の名剣の現在

源義経の死後、箱根権現から薄緑を贈られた曽我時致、祐成兄弟による曾我兄弟の仇討ちを経て薄緑は源頼朝の手に渡り、髭切と膝丸の兄弟刀が久し振りに揃う事になります。

どちらも源氏を語る上で欠かせない名刀ですが、現在は再び離れ離れになっており、髭切改め鬼丸と伝えられる刀が北野天満宮と多田神社に、そして薄緑と伝えられる刀が大覚寺と箱根神社に保存されており、時折行われる公開展示も好評を博しています。

源義経が自刃に使った短刀「今剣」

鞍馬寺

源義経が過ごした鞍馬寺を出るときに今剣を授かったとされています

現代でもその非劇的な最期が語り草となっている源義経ですが、最期の場所となった衣川の高館で自害する際に使ったとされているのが今剣(いまのつるぎ)と呼ばれる短刀です。

刃の長さは6寸5分(約20センチ)で、平安時代の刀匠である三条宗近が作り、源義経が幼少期を過ごした鞍馬寺に奉納したとされています。

そして、源義経が鞍馬山を出る際に寺の別当だった東光坊蓮忍から今剣を授けられ死の瞬間まで手放さなかったと義経記で伝えられています。

今剣が記された義経記とは

源義経の守り刀として終生ともにした今剣ですが、上記の記述が残されている義経記は軍記物語でありフィクションも多く、源義経の家来として有名な武蔵坊弁慶も正史である吾妻鏡にほぼ記述がなく、伝説上の人物としての側面が強いのが現実です。

そして、吾妻鏡には一切その名が出ない今剣も当然ながら現存していないため源義経が愛用した名刀として有名ではあるものの名前だけが残っている事も見逃せません。

真偽の程は?青森で発見された短刀の正体

薄緑として伝えられている刀が存在する膝丸と違って歴史書に登場せず、言葉の通り伝説の名刀として語り継がれて来た今剣ですが、2016年の6月に歴史ファンが驚く発見がありました。

むつ市在住の男性が知人から譲り受けた刀を研いで錆を落としたところ、三条宗近の名が入っており、現地では源義経は生き延びて北へ向かったという義経北行伝説があるためこれは今剣ではないかとちょっとした騒ぎになりました。

鑑定の結果、刀自体は偽造ではなく三条宗近によって作られた「本物」である事は間違いないものの、それだけでは今剣という証拠にならず、それ以上に有力な手掛かりもなかっため、新たに発見された刀にはほうき星宗近と名付けられました。

複数存在する名刀と歴史の楽しみ方

膝丸のように各地で伝えられているものもあれば、今剣のように所在不明で実在したか議論になっている刀があるのも歴史の面白いところですが、青森で発見された短刀も現段階ではほうき星宗近という名前となっていますが、義経記の中だけでなく実際に源義経が三条宗近の短刀を使っていた可能性も捨てきれない(歴史書が書いてある事が真実とは限らない)ので、また新たな発見があるかもしれません。

どれが本当の膝丸(薄緑)なのか、本当の今剣は発見されるのかという論争に結論が出る事は恐らくありませんが、1000年近くその形を留めている現物を見て武将に思いを馳せるのも歴史の楽しみ方であり、これを有名な武将が使っていたと当時の光景を想像するのもロマンがありますね。

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