立派な沖縄のお墓・亀甲墓ってどういうもの?

沖縄には、とても大きく立派な亀甲墓(かめこうばか・きっこうばか)というものがあります。この亀甲墓には、どのような歴史があるのでしょうか。本州の人には馴染みのない亀甲墓を通して、うちなーんちゅ(沖縄県民)のご先祖様を大切にする気持ちをご紹介します。

目次

  1. 沖縄の埋葬の歴史
  2. 亀甲墓とは?
  3. 亀甲墓の歴史
  4. 亀甲墓の構造
  5. 沖縄のお墓参り
  6. あの世での生活も安泰
  7. 終活の専門家に相談してみよう

沖縄の埋葬の歴史

沖縄では古来、天然の洞窟や岩陰に遺体を運んで風葬にする習慣がありました。遺体が風化すると、親族がきれいに洗骨を行い、遺骨を「厨子甕(ずしがめ)」に納骨します。厨子甕は洗骨後の遺骨を丸ごと納めるものなので、本州の骨壺よりも大きい造りになっていました。

このような埋葬の風習から、一定期間遺体を安置できる大きな敷地を確保する必要がありました。そこで最初に登場したとされるのが「掘込墓」というお墓です。斜面や岩盤に人工的に横穴を掘り、その入口を石積みや漆喰で塞ぐ形式のものでした。
16世紀になると、掘込墓の正面をさらに切石で装飾した「破風墓(はふばか)」と呼ばれる家型のお墓が登場します。三角屋根の側面に山形につけられた板を「破風」ということから、この名が付けられました。台風が多い沖縄で墓室を守るために、破風が雨・風を防ぐ役割を果たしているのです。

亀甲墓

亀甲墓とは?

亀甲墓は、破風墓を真似て造られたもので、正面屋根の部分を亀の甲羅状に装飾したものです。
形が亀の甲羅に似ているところから、そう名づけられたといわれています。
しかし、この亀甲墓には別の謂れもあり、実は女性の子宮を模したものだという説があります。お墓の入り口を産道と見立てて全体を見ると、確かに子宮の形という感じもします。「人は母の胎内から生まれ、死ぬとまた帰ってゆく」という「母体回帰」の思想からくるものといわれています。

亀甲墓の歴史

亀甲墓は17世紀後半から建てられ始めました。王朝時代の亀甲墓と破風墓は、王族のみ造ることが許された貴重なお墓でした。
その形は、中国南部の唐墓から伝わったと考えられており、台湾や福建省にも良く似た形式のお墓があります。沖縄県では本島中南部に多くの亀甲墓が建てられました。
1879年の廃藩置県以後、庶民でも亀甲墓を建てることができるようになります。そして明治中期から昭和初期にかけて、その数が増えていきました。
しかし、第2次世界大戦により多くの亀甲墓が被害を受けます。戦時中は防空壕がわりに利用されていたこともあったのですが、時には軍事施設と誤認されて爆撃されることも…。沖縄戦の被害と、戦後の米軍による命令で、那覇市首里にあった多くの亀甲墓は失われてしまいます。

亀甲墓の構造

亀甲墓は、斜面を掘り込んで基室が造られ、お墓全体は地中に埋まり、表面と入り口が地表に露出したものが一般的のようです。しかし、中には全体が地面の上に出ているものも見ることができます。
初期の亀甲墓は、穴を掘ってから石を積み、亀甲の形が造られていましたが、戦後はコンクリート製のものも増えました。しかし、現在はコンクリート製の亀甲墓の風化が進み、石製への建て替えが増加しています。
お墓正面には、カガンイシ(鏡石)、シミイシ(隅石)、スディイシ(袖石)といった装飾があります。内部の出入り口に近いところには、シルヒラシと呼ばれる棺を置くスペースを設けます。大きいお墓だと4畳以上の広さがあり、奥には石の段を作って、お骨を納めます。
古い時代に作られた亀甲墓は、入り口付近に祭祀を行うための墓庭があり、周囲は石垣の柵で囲まれています。墓庭に親族が集う光景は、現在の沖縄でもよく見られる光景です。中には、お墓の前が屋根付きの広場のようになっていて、雨天でも雨に濡れずにお参りできるよう造られているものもあります。
沖縄では「門中墓」という一族で所有するお墓が多くみられます。

沖縄のお墓参り

うちなーんちゅは、亀甲墓にどのようにお参りしているのでしょうか。
お墓参りの時期が本州とは少々違うようです。

十六日(ジュールクニチ)

旧暦1月16日に行われる先祖供養のお祭り。「あの世のお正月」と言われており、お供え物をしてウチカビを焼いてお参りします。
ウチカビとは「打ち紙」と書くもので、言わば「あの世のお金」。燃やすことでご先祖様へ送金するのです。主に藁を原料としていて、黄土色の紙の全面に銭型が打ちつけられています。

清明祭(シーミー)

中国から伝わった「二十四節気」の一つで、4月下旬~5月頃までに行われる祖先供養の行事。
シーミーは親戚が一同に会し、基本的には墓前で行われます。重箱に詰めたごちそうや果物、お菓子、お花などをお供えし、お線香をあげ、ウチカビも焼きます。その後、墓前で皆揃ってごちそうを頂くのです。
ご先祖様やお墓の土地の神様に感謝し、親戚同士が久しぶりに再会できる賑やかな行事となっています。
本来であればシーミーの入り(新暦4月5日頃)から2週間以内に行われますが、混雑回避や親類の都合を考え、日にちをずらす事もあります。

七夕(旧暦7月7日)

お盆を前に「もうすぐお盆です。お迎えする準備が出来ています」とご先祖様に伝えるためのお参り。この日は、お花やお酒、お茶、線香をお供えします。草刈りや伐採も行い、墓周辺のお掃除もしてお盆の準備をするのです。

旧盆(旧暦の7月13日~15日)

沖縄では旧暦の7月13日~15日にお盆の行事を行います。一部の地域では本州のように初日にお墓参りをしてご先祖様を迎えに行くところもありますが、基本的にはそれぞれの家の仏壇だけにお供えをして3日間を過ごすようです。最終日にはウチカビを焼いてご先祖様を見送ります。
旧盆には地域ごとにエイサーという踊りも披露されます。

お彼岸

本州と同じ様に、彼岸の期間内に仏壇とお墓をきれいにしてお参りします。
仏壇に餅やごちそう、お酒をお供えし、ウチカビを焼きます。
ただ、沖縄ではお彼岸にお墓参りに行く方は少ないようです。家によっては「お彼岸にお墓参りに行くと不吉」などという解釈があるとか…。

あの世での生活も安泰

うちなーんちゅのご先祖様たちは、立派なお墓の下、子孫から大切にされていることを感じます。ウチカビを焼くなど、あの世での生活も心配してくれる子孫たち。「ご先祖様がいるからこそ、今の自分たちがいる」沖縄の人たちは、そういう思いをしっかりと受け継いでいるのでしょう。

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