社会死ー状態次第で避けて通れない判断も。そのとき当事者は?

あまり聞かれませんが社会死と呼ばれる状態があります。一般に事故に遭った、死体を発見したとすると警察へ連絡するとともに救急車を呼びます。しかし救急車が被害者を置いて帰ってしまうとしたらどうでしょう、それが社会死の状態です。ここでは日本の社会死の状態を考察します

目次

  1. 死の社会学ー社会死
  2. 社会死とはどんな状態?
  3. 社会死と誤判断された事例
  4. 救急隊員の悩みと状態
  5. 現在の社会死の状態についてのまとめ

死の社会学ー社会死

私たち生きている人間には、死という問題から目をそらしあえて話題にするのをためらう人もいるのではないでしょうか。わたしはこの社会死のコラムを書くにあたって資料を集めるのに苦労しました。
 けれども情報がないのではありません。興味本位でグロテスクな部分に焦点をあてたものであったり、宗教色の強い情報であったりするのが現在の状態なのです。ここでは事実をなるべく冷静にお伝えします。

社会死とはどんな状態?

ここで客観的に社会死について説明します。通常、死亡は医師による死亡宣告により決まります。しかし特殊な事情、死体がミイラ化している、白骨化している、頭部の損傷が激しい、胴体が切断されているという蘇生が不可能とみられるときにこの状態を社会死と呼びます。

社会死と確認されるのは

さらに次の七つの状況が当てはまるときも判定されます。
1.意識がない
2.呼吸がない
3.脈がない
4.体温が低下している
5.瞳孔の散大が見られる
6.死後硬直している
7.死斑が表れている
これらすべての状態が当てはまるときです。ではこれらの判断を常に誤判断なく下せるでしょうか。

社会死と誤判断された事例

 救急隊員に生死の判断を任せても安心か、心配にさせるような事例は割とあります。
 
 例えば「生きているのに死亡と誤判断=救急隊員引き揚げ、検視で判明」。これはつい最近の中国地方で起きた例です。119番通報で駆け付けた現場で、生きている高齢男性を社会死と誤判断し引き上げてしまいました。
その後、不審死として検視のために訪れた警察が生存の状態に気づき再度救急車を呼んで病院へ搬送するということがありました。
 
 このようなケースが散見されているため、あえてニュースで取りだたされることもないような状態です。

252は852の様子

なんのこっちゃと思われるかもしれないですが、これは東京消防庁での社会死の略語です。「人身事故発生。252は852の様子」という無線を飛ばしていたら一般用語に直すと「人身事故発生。要救護者は社会死の様子」という風になります。ちなみにさいたま市では「420」となり、横浜市では「程度ゼロ」にかわります。いずれにせよどんな状況でも聞きたくありません。

救急隊員の悩みと状態

さて、ここで救急隊員の視点で問題を提起してみたいと思います。
 
 このところ、何か珍しいものを見つけるとスマフォで写真を撮ってそのあとは何もなかったかのように歩き去るという風潮があります。それが有名人であったり美しい景色を撮るのであるなら問題になる状態ではないでしょう。
 
 しかし人命がかかった一分一秒を争う事態でも同様の光景が見られるといいます。何年か前にあった都内での歩行者天国で起きた凄惨を極める状況での光景に、そこに到着した救急隊員は目を疑ったとのことです。そこでは被害者を手当てしようとせず写真を撮りまわっていた若者たちがいたのです。

「もしそこで止血をしたり蘇生措置を先に始めていてくれたなら、あと一人ぐらいの命を救うことができたのではないか、一人でも社会死の人を減らせたのではないか」そう考え忸怩たる思いを噛みしめたのです。率先して手当てをしていたバイスタンダーがいたのがせめてもの救いであっても、常識とかルールとかいう以前に「自然の情愛」が全くもって感じられないのではないでしょうか。

一般の人にとっても

日本の国内線に搭乗した男性が心肺停止の危機に陥って医者も乗り合わせていないという状況での話です。一時期ネットでも騒がれた出来事なので覚えている方も多いかもしれません。
 
 勇気ある女性が蘇生措置を施していたところ、周囲の男性客が野次馬状態になり写真を撮ったりしはじめました。その時の状況により、中年男性が多数いる場所にいると過呼吸症候群に陥ったり、カメラの音が怖くて自分で写真を撮ることもできないほどのPTSDになってしまったようです。 
 
 独りで人工呼吸や心臓マッサージをし、文字通りの孤軍奮闘のおかげで(客室乗務員も手伝わず)男性は呼吸が戻り、規則的な心拍も回復して命を取り留めました。
 
 この間、多くの中高年の日本人男性乗客らが「テレビと同じ」「やめたら死ぬんでしょ」と携帯やビデオで撮影していたという。このような環境で、これからこの勇気ある女性のような行動をとるのを躊躇する人が増えれば、助けられたはずの人が社会死となっていくことも増えていくことでしょう。

JCSIII-300とは

JCS方式は意識の覚醒の状態を表します。数字が高ければ意識障害の度合いが重いです。JCSIII-300は全く反応がない状態です。

社会死について確認しておきたい事

現状において納得するしないにかかわらず社会死とは文字通り社会からの死後通告であり遺族が、友人知人が、勤務していた会社が何と言おうと「死亡」なのです。

 緊急搬送されるときに、あきらかに亡くなっている人を(肋骨が折れていて内臓に傷をつけるだけだとしても)心臓マサージを施してほしいと思うのが残された人の気持ちでしょうし、救急隊員にとっても判断に苦悩する場面も多いことでしょう。

社会死と警察

これはネットで現役の救急隊員たちの交流場で交わされていたことですが、車両事故で社会死の状態にある要救護者を、警官に緊急搬送するよう強く求められ対立したとのことです。
 警察の中にも社会死の持つ意味をよく理解されていない警官が居るのでしょう。

社会死によって見えてくること

遺族にとっても救急隊員にとっても社会死と向き合うのはつらいことです。こんな状態になるまで気づかなかった、救えたかもしれない命をふいにした。色々な感情を呼び起こすことでしょう。

現在の社会死の状態についてのまとめ

医学が発達し善意の人が増えても人間にはできることが限られています。死やケガ、病気のわずらわしさから解放される時が来るでしょうか。人類共通ののぞみでしょう。

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