イスラム教でお酒が禁止されている理由はいったいなぜ?

イスラム教でお酒が禁止されている理由はいったいなぜ?

イスラム教の「ハラール」で禁止されているものの代表が、「酒」です。普段お酒を飲む人にとっては考えられないことかもしれませんね。この記事では、イスラム教におけるお酒の扱いを詳しくご紹介します。

2018-05-26

お酒は「ハラール」で禁止されている

イスラム教には「ハラール(ハラル)」という飲食に関する厳格な決まりがあります。
ハラールに代表されるのが、豚肉とアルコールの禁止で、ムスリムはお酒を飲むことができません。
当然、多くのイスラム教国ではアルコールの販売や醸造もされていません。

なぜイスラム教では酒が禁止なのか

酒

イスラム教の聖典クルアーンの記述

クルアーンには、「酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である」という記載があります。
また、それらは敵意と憎悪を起こさせ、アッラーに礼拝をささげるのを妨げようとする、とも書かれています。

確かに、お酒を飲むと思考力を低下したり、怒りっぽくなったりすることがありますよね。
イスラム教では、飲酒をすることでお祈りを忘れてしまったり、悪事に繋がるなどと考えられています。

お酒が飲めないのは現世だけ

お酒を飲む人は天国に行けないとも言われています。
また、イスラム教で酒が禁止されているのは現世だけで、天国には酒の流れる川があり自由に飲酒ができると考えられています。
なんでも、死後の世界では悪酔いをすることも無いのだそうです。

イスラム教国の禁酒の歴史

人々

禁酒のはじまり

イスラム法では酒をはっきりと禁止していますが、聖典クルアーンが誕生した初期では飲酒が盛んだったため、後になって禁酒が徹底されたとも考えられています。
人によって何を酒と見なすかの判断に差があり、クルアーン成立後に開発されたという蒸留酒アラックについても解釈はさまざまです。

クルアーンに登場する酒

聖典クルアーンにも酒と思われる単語がいくつか登場します。
「真白」、「強い飲み物」、「ハムル(ワイン)」は酒を表していると考えられますが、酒の定義に関しては現在まで議論され続けています。

文学作品に登場する酒

イスラムの文学作品に酒が書かれることがありました。
ウマル・ハイヤーム(1048年~1131年頃)の詩歌には酒屋や酒場がたびたび登場するため、必ずしも禁酒が守られていたわけではないという考えもあります。

現代のイスラム教国での酒

厳格なイメージのあるイスラム教ですが、飲酒に関しては各イスラム教国によってかなり扱いに差があります。

公式に飲酒が禁止されている国

アフガニスタン、イラク、イエメン、クウェートでは飲酒は全面的に禁止されています。

しかし、アフガニスタンではゾロアスター教や仏教が繁栄していたため、飲酒も盛んだったと考えられます。
また、イラクのアッバース期(750年から1517年)ではバグダードの宮中で酒宴がされていたと言われています。

ムスリムの飲酒が公然としている国

トルコや欧州の一部、中央アジア、インドでは、イスラム原理主義の勢力が及んでいないため、ムスリムの飲酒が堂々と行われることがあります。
特にモンゴルなどの中央アジアで作られる馬乳酒は、遊牧民族にとって栄養を取るために欠かせないお酒で、生活のために飲酒をしています。

これらの国々では、お酒に対する許容に差があります。

その他の国々

マレーシア

多民族国家であるマレーシアでもムスリムの飲酒は禁止され、飲酒した場合は鞭打ち刑などを執行されることがあります。
しかし、非イスラム教徒の場合は飲酒だけでなく豚肉などの食肉も認められています。

イラン

公式には飲酒が禁止されていますが、イラン革命(1979年2月)以前は禁止されていなかったため、現在でも多くの国民が飲酒を続けています。
飲酒の歴史が長い国なので、国をあげて禁酒をするのはなかなか難しそうです。

インドネシア

インドネシアの国民の約9割はムスリムですが、お酒の販売は法律で認められています。
また、ムスリム以外の少数民族には酒文化があり、一部のムスリムの間でも飲酒を楽しむ人が増えているようです。

ただし、アチェ州だけはイスラム法に基づいて自治されているため、酒の販売はもちろん飲酒は禁じられています。

飲酒だけじゃない!

サウジアラビアなどでは、飲酒だけではなく消毒などに使われるアルコールさえも禁止する傾向があります。
病院によっては消毒アルコールを使わないということも多いらしく、病院で処置を受ける際は注意が必要です。
また、アルコールで作られたバイオ燃料の使用もイスラム法に反すると考えられています。

みりんや醤油もNG

人々

みりんや醤油などの調味料も、アルコールを含むものは口にしてはいけません。
料理に日本酒やワインを使われている場合はその料理を食べてはいけませんし、バニラエッセンスが使われているお菓子も食べることができません。

そのため、キッコーマンなどの食品メーカーからはアルコールが一切含まれていないムスリム用の醤油が販売されています。

日本に住む私たちにとって気にもならないことが、ムスリムにとっては大問題になるのです。

いかがでしたか?

一部の国では公然と飲酒が認められているようですが、ムスリムの間では飲酒の禁止が基本です。
日本では考えられないという部分も多いかと思いますが、この記事がイスラム教への理解に少しでも役に立てば幸いです。

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