散骨と納骨堂について

近年、従来のお墓という形式に縛られず散骨や納骨堂の供養方法を選択する人が増えています。
散骨とは自然葬に分類される埋葬方法で、自然の中にご遺骨を撒くことで自然と一体になることを目的としています。
一方、納骨堂とは複数のご遺骨をひとつの建物の中に収蔵し供養する場所です。
今回終活ねっとでは、散骨と納骨堂について
- 散骨の種類(海洋散骨・陸上散骨・宇宙葬・樹木葬)のご紹介
- 納骨堂の種類(仏壇式・ロッカー式・位牌式・合葬式・機械式)のご紹介
- 納骨堂と散骨の共通点
- 納骨堂と散骨の相違点
などの点を中心にご紹介していきます。
終活をしている人だけでなく誰にとっても役に立つ内容となっております。
是非最後までお読みください。
散骨とは

散骨には複数の種類があり、それぞれに特徴があります。
ここでは、散骨について種類別に詳しく説明していきます。
海洋散骨
散骨の中で最も人気があるのが海洋散骨です。
「死後は母なる大地に還って安らかに眠りたい」「生まれ故郷の大好きな海に眠りたい」といったニーズの高まりもあり、海洋散骨を選択する人は増えています。
その海洋散骨も複数の種類があることをご存知でしょうか?
ここでは、その複数ある海洋散骨の種類について、それぞれご紹介します。
委託散骨
委託散骨とは、ご遺族の方がご遺骨を直接散骨するのではなく、専門の会社に依頼し、ご遺骨を海に撒く形態の散骨です。
費用面でメリットが大きく、海洋散骨をやりたいけど費用はできるだけ抑えたいというニーズを持った方に適した散骨方法です。
合同散骨
合同散骨とは、海洋散骨を希望する複数のご遺族と一緒に船で散骨おこなう形態の散骨です。
費用は委託散骨よりは高くなりますが、ご遺骨との別れの最後まで一緒にいたいといった方や自分自身でご遺骨を海に撒きたいという方に適した海洋散骨です。
複数のご遺族と一緒に海に出なければいけないので、日程に融通が利かないという面もあります。
個別散骨
個別散骨とは、自分だけで船を貸し切り散骨する形態の海洋散骨です。
自分の手で散骨をしたく、故人との別れを静かにゆっくりとしたいという方に向いている散骨の方法です。
個人で船を貸し切るため、費用は高くなりがちです。
陸上散骨
陸上散骨とは読んで字の如く、陸に散骨することを言います。
ただし、故人が好きだったという場所に勝手に散骨して良いわけではないです。
自宅の庭や散骨する場所として許可を得ている場所に散骨することが一般的です。
注意が必要なのが自宅の庭に散骨する行為ですが、その自宅を将来売却する予定があるのであれば、散骨は控えておいた方がいいです。
その理由は売却時に散骨をしていることを重要事項のひとつとして記載する必要があるからです。
また、散骨を許可されている場所の一例として島根県隠岐郡にあるカズラ島があります。
カズラ島にある散骨場は2018年現在唯一の公式散骨場です。
宇宙葬
全人類の中でも宇宙に足を踏み入れたことのある人間はごく僅かです。
そのため宇宙という場所に神秘性を感じる人もいます。
死後には神秘的な宇宙にご遺骨を撒いてほしいという人も中にはおり、そういったニーズを満たすために生まれたのが宇宙葬です。
散骨の中ではまだ珍しく、頻繁に宇宙ロケットが打ち上げられるわけではないので、費用が高く時期も選びにくいという面があります。
樹木葬
厳密には散骨の形態ではありませんが、自然葬という点で散骨と共通することと多くの人に散骨と同一視されている点で樹木葬もご紹介します。
樹木葬はご遺骨を埋葬することを許可されている場所に、樹木を墓標代わりにして埋葬することを言います。
樹木葬ができる場所は首都圏などにもいくつかあり、散骨の中でも主流になりつつある埋葬方法のひとつです。
納骨堂とは

散骨のご説明は上記の通りですが、散骨と納骨堂を比較するにあたり、納骨堂に関してもご説明が必要になります。
ここでは、納骨堂について、種類別に詳しくご説明していきます。
仏壇式
仏壇式納骨堂とは、ご遺骨を収蔵するものが仏壇の形態となっているもののことです。
仏壇式の納骨堂の場合、上部が仏壇となり下部にご遺骨を納めるスペースとなっています。
一般的にはご遺骨を納めるスペースが広いのが特徴で、家代々で使っていくことができます。
一方、家代々で使っていくことができる分、その他の納骨堂よりも費用が高くなる傾向にあります。
ロッカー式
ロッカー式の納骨堂はコインロッカーのようになっており、ひとつのロッカーに一人のご遺骨を収蔵するタイプが基本です。
スペースが小さくなりがちなため、その分費用が抑えられるという特徴があります。
位牌式
位牌式の納骨堂では祀られている仏様を中心にして、その周りにご位牌を置いて故人を供養します。
そのためご位牌とご遺骨が別々に保管されることが多く、ご遺骨は分骨するパターンが多いです。
安置するためのスペースが小さくて済むため、費用も安価な傾向にあります。
合葬式
合葬式の納骨堂では、永代供養墓や永代供養塔という大きなお墓の中に、血縁関係のない人達のご遺骨と一緒になって収蔵されます。
ひとつのお墓を共有するため費用は納骨堂の種類の中では最も安価になります。
一旦はロッカー式などの納骨堂でご遺骨を安置し、33回忌などの区切りが来た段階で合葬式に切り替えるといったことも行う納骨堂があります。
機械式
機械式の納骨堂では、ご遺骨は地下などの収蔵スペースに安置され、遺族が参拝する際に収蔵スペースから自動的にご遺骨を運んできてくれます。
ICカードやタッチパネルでご遺骨の移動を操作したりする、比較的最新の納骨スタイルです。
納骨堂と散骨を徹底比較

ここまで納骨堂と散骨の情報を見てきました。
それでは、納骨堂と散骨を徹底比較していきましょう。
比較するにあたり、納骨堂と散骨で共通する点と異なる点をここではピックアップしたいと思います。
特に、相違点はどちらの形式でご遺骨を埋葬するか決めるのに重要な要素になってくるので、しっかり両者の違いを把握しておきましょう。
共通点
まずは共通点について情報を整理します。
異なる埋葬方法ですが両者には共通するところがあります。
永代供養である
まず一つ目の共通点は永代供養であることです。
納骨堂と散骨の両方とも永代供養であることは共通しています。
ただし注意が必要なのは、納骨堂によっては永代供養ではない場合もあることです。
納骨堂によっては33回忌や50回忌以降などは合祀墓にご遺骨を移すところもあります。
そのような納骨堂の場合、注意点として納骨堂側がアナウンスしていることがほとんどですので、納骨堂選びの際に考慮すると良いです。
承継者を必要としない
納骨堂も散骨も承継者を必要としない点も共通しています。
納骨堂は少子化問題や継承していくことを前提とした伝統的なお墓への意識の薄れから生まれたというのが背景のひとつとしてあります。
そのため納骨堂は継承者を必要としていないのです。
また、散骨は海や陸上にご遺骨を撒くため、故人が眠る墓標がありません。
墓標がないということはそれを管理していく人も不要です。
それ故に散骨も継承者を必要としないのです。
費用が抑えられる
次に挙げられる共通点は、費用が抑えられることです。
納骨堂と散骨はご遺骨の収蔵スペースや管理する人の有無といった点から、従来のお墓を建てる供養方法よりは費用が抑えられる場合が多いです。
従来のお墓だとその費用は100万~200万円というのが平均的ですが、それと比較して納骨堂と散骨がどのくらいの費用なのかを見てみましょう。
まず、散骨の費用ですが、散骨にも複数の種類がありました。
その種類ごとの費用の目安は以下の通りです。
- 海洋散骨の委託散骨:約5万円
- 海洋散骨の合同散骨:約10万円
- 海洋散骨の個別散骨:約30万円
- 陸上散骨(自宅の庭に散骨する場合):無料
- 宇宙葬:20万~250万円
- 樹木葬:5万~200万円
次に、納骨堂の費用ですが、こちらも納骨堂の収蔵タイプ別に費用の目安をご紹介します。
- 仏壇式:約30万円
- ロッカー式:約20万円
- 位牌式:約10万円
- 合葬式:10万円~30万円
- 機械式:50万~100万円
散骨と従来のお墓の費用を比較すると、最も安い散骨の方法では95万~195万円の差があります。
納骨堂の場合であれば、90万~190万円の差があります。
ご遺骨を取り出せない
納骨堂と散骨は、ご遺骨を取り出せないという共通点もあります。
散骨は自然にご遺骨を撒く形であるので想像が容易です。
納骨堂の場合は、ある時期を境にご遺骨を合祀されると、もうご遺骨を取り出すことはできません。
ただし、ロッカー式や位牌式といった個別にご遺骨を預かってもらっている段階であればご遺骨を取り出すことはできます。
相違点
ここまで、納骨堂と散骨の共通点についてみていきました。
それでは、納骨堂と散骨の相違点には何があるのでしょうか。
相違点もご遺骨の埋葬方法を決定する際の重要なポイントになるので、しっかり把握しておきましょう。
個別でお墓参りをする場所があるかないか
まず一つ目の相違点は、個別でお墓参りが出来るかどうかです。
納骨堂であれば参拝スペースが設けられていたり、ご遺骨を取り出すことができ、対面したご遺骨に手を合わせることはできます。
散骨の場合は海や宇宙にご遺骨を撒いてしまえば、お墓参りをする対象がありません。
一方、樹木葬であれば故人一人に対して1本の木を植える場合もあれば、シンボルとなる木が植えられている場合もあるためお墓参りをすることが可能です。
粉骨するか否か
身内である故人のご遺骨を粉骨するのは気持ちが良いものはありません。
納骨堂と散骨の場合、この粉骨をするか否かという点も相違点として挙げられます。
納骨堂の場合は骨壷にご遺骨をそのまま入れ収蔵します。
一方、散骨はご遺骨をそのままの形で自然に撒くことは法律に反してしまいます。
ご遺骨も粉骨すればその法律には触れないため必ず粉骨をしなければなりません。
自然葬であるか否か
最後の相違点として挙げられるのが自然葬であるか否かです。
納骨堂であればロッカーなどお墓に代わるものにご遺骨を納めます。
また合祀された後も、合祀墓や合祀塔にご遺骨は納められます。
一方、散骨は自然に還るというのを特徴としているため自然葬になります。
故人の遺志としてご遺骨になった後でもご遺族と時折会いたいという場合であれば納骨堂が適していますし、死後は自然と一体となり安らかに眠りたいということであれば自然葬である散骨が適しています。
散骨と納骨堂まとめ

今回終活ねっとでは、散骨と納骨堂について紹介してきましたがいかがでしたでしたか?
この記事の内容をまとめると以下になります。
- 散骨の種類として海洋散骨・陸上散骨・宇宙葬・樹木葬をご紹介。
- 海洋散骨は委託散骨・合同散骨・個別散骨に分かれる。
- 納骨堂の種類として仏壇式・ロッカー式・位牌式・合葬式・機械式があることのご紹介
- 納骨堂と散骨の共通点として、「永代供養」「継承者を必要としない」「費用が抑えられる」「ご遺骨を取り出すことができない」ということがある。
- 納骨堂と散骨の相違点として、「お墓参りをする場所の有無」「粉骨の有無」「自然葬であるか否か」があること。
今回の記事が、どちらの埋葬方法にするかの参考になれば幸いです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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