自動搬送式の納骨堂について

新しく墓地を作るのに適した土地がなく、恒久的なお墓不足に悩む都市部の救世主として、現在自動搬送式の納骨堂が注目を集めています。
終活中に存在は耳にしたけれど、具体的にどういう施設なのかいまひとつよくわからない。
紹介を見ると、良いことばかりが書いてあるけど、実際はどうなの?
と疑問に思っていらっしゃる方も多いと思います。
そこで今回終活ねっとでは、自動搬送式の納骨堂について
- 自動搬送式納骨堂のシステム
- 自動搬送式納骨堂のメリット
- 自動搬送式納骨堂のデメリット
- 自動搬送式納骨堂の費用相場
- 東京・大阪の自動搬送式納骨堂具体例
について、順にご紹介していきます。
自動搬送式の納骨堂は都市部において今後、主流となるかもしれない新しいスタイルのお墓です。
終活中でお墓をとお考えの方も、納骨堂を検討中の方も、ぜひお読みください。
自動搬送式の納骨堂とは

自動搬送式の納骨堂は、近年になって、都市部に造られるようになった現代的な納骨堂です。
納骨堂は、以前はご遺骨の一時的な安置所という位置づけでした。
その後、都市部では住宅事情や墓地不足から仏壇式の施設が登場し、納骨堂をお墓のようにお参りする施設としても考えるようになりました。
しかし、同じタイプの仏壇が肩を寄せるように整然と並んでいるため、プライベートな空間と感じることができず、ゆっくりお参りしづらいと思っている方もいらっしゃるようです。
そこで登場した最新式の墓地が、可動式の室内墓である、自動搬送式の納骨堂です。
施設はビル型で、外見はまるでおしゃれなマンションかミュージアムのようにも見えます。
地下、ないしはビル内に巨大な収蔵スペースを持ち、ご遺骨はそこに収蔵されます。
お墓ごと収蔵する納骨堂と、墓石は共用でご遺骨を納める厨子のみの納骨堂があります。
納骨堂の所有者はICカードキーを渡されます。
建物内に作られた参拝スペースで、カードキーを使って操作すると、コンピュータ制御された搬送システムを使い、ご遺骨の納められた墓石が目の前に運ばれてきます。
また、自動搬送式の納骨堂の参拝スペースは、パーティションで仕切られたものや、個室型のものがあります。
環境の整ったパーソナルなスペースで、お墓参りと同様の感覚で、ゆっくりと墓石に向き合うことができます。
自動搬送式の納骨堂の特徴

自動搬送式の納骨堂は、これまでの墓地とはどう違うのでしょうか。
自動搬送式の納骨堂の特徴を、メリット・デメリット両方の観点から見ていきましょう。
メリット
まず、自動搬送式納骨堂のメリットから見ていきましょう。
メリットの多くは、ビル型の室内墓地だという点に由来します。
アクセスがいい
自動搬送式の納骨堂の利点は、なによりも立地、アクセスの良さにあります。
現在、墓地を新設しようとすると、河川や海、公園や学校や病院といった公共的施設、さらに人家からも一定の距離をとらなければいけないという制限が設けられており、都市部に新たに墓地を作るのは、難しくなっています。
しかし納骨堂には、立地に制限が少なく、商業地や住宅地にも作ることができます。
自動搬送式の納骨堂は、ビル型のために広い土地を必要とせず、法律上の制約も少ないので、都市部の駅の近くにも建てることができるのです。
自家用車やタクシーを使わずにお墓参りができる至便性から、離れた郷里や、駅から遠く不便な墓地を返上し、自動搬送式の納骨堂へ改装する方も増えているようです。
天候に左右されない
自動搬送式納骨堂の大半は完全屋内型で、空調も整っています。
風雨はもちろんですが、夏の強い日差しなどといった天候に左右されずにお参りすることができます。
また、堂内はバリアフリーで、車椅子でもお参りできるように作られています。
体力に自信がなくなって、お墓参りにも行くのがつらい方には、とても心強い施設です。
お墓の手入れがいらない
お墓参りといえば、掃除用具が必須ですが、自動搬送式納骨堂のお墓は、室内にあるために、周囲の草をむしったり、お墓を水洗いしたり、拭き上げたりといったお墓のお手入れが不要という点も自動搬送式の納骨堂の特徴の1つです。
風雨や泥で汚れることがないうえに、施設によって管理されているので、なんの手間もかかりません。
また、お線香やお花も施設に用意されているところが多く、お参りはカードキーだけを持って、手ぶらで出かけることができます。
セキュリティが万全
墓地や霊園は、いつでも、誰でも、出入りすることができます。
一方、屋内にある自動搬送式納骨堂は、カードキーによって入館制限ができるために、墓地内に不審者が侵入するリスクを減らすことができます。
人の出入りが管理され、さらに館内には防犯カメラなどが設置されているため、セキュリティーが万全で、夕方や夜にも不安を感じることなく、お参りをすることができます。
デメリット
一方で、屋内施設ならではのデメリットや不安な点もあります。
ここでは、自動搬送式の納骨堂のデメリットについて見ていきましょう。
建物の老朽化などの不安
建物の老朽化などの不安もあります。
建物もですが、自動搬送システムはメンテナンスが必要です。
故障したら、その部分の入れ替えも必要になります。
自動搬送システムの運営経費は、管理料で賄われます。
管理料は施設ごとで異なりますが、安ければ良いというものでもありません。
納骨堂の説明書をよく読み、管理料と長期修繕計画は適切かどうかを見極める必要があります。
また、火災や地震や災害が起きた際の対処も気になります。
しかし、どれだけ大切にし、改修しながら保たせても、建物には耐久があります。
建て替えなんて先のことだし、と思わずに、その点もしっかり確認した上で検討しましょう。
お盆やお彼岸などは混む
自動搬送式の納骨堂では、お参りに来た人は、堂内に作られた参拝スペースでお墓と対面します。
収蔵施設には何千というお骨やお墓が納められていますが、場所をとる参拝スペースには数に限りがあります。
そのため、お盆やお彼岸といった、皆が一斉にお参りに訪れる日には、かなりの混雑が予想されます。
待ち時間が発生するだけではなく、長い時間待つことで、墓前を他の方と共有しているのだということに思い至り、違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
墓石のデザインなどを選べない場合が多い
墓石を収蔵するタイプの自動搬送式納骨堂でも、システムの関係から、墓石のデザインなどを選べない施設が大半です。
彫刻も限られたスペースにしか入れられないため、故人の個性を活かした墓石にすることが難しくなります。
また、手ぶらでお参りできるという気楽さのある反面、多くの施設で、故人の好きだった花などお供え物を持ち込めないため注意が必要です。
お線香も備え付けの電子式しか使用できないケースがあります。
自動搬送式の納骨堂の費用相場

次に、自動搬送式の納骨堂の費用相場について見ていきましょう。
交通の便の良い、都心の一等地でお墓を持とうとすることに比べると、自動搬送式の納骨堂はリーズナブルな価格になります。
ただ、他のタイプの納骨堂と比べると、最新型の機械を導入しているため、費用は高めです。
自動搬送式納骨堂は、明るくシンプルな施設から、ラクジュアリーなホテルのようなものまで、幅広い施設があります。
相場は約50万円から130万円が目安となっています。
この価格には、永代使用料、墓碑の加工費用、永代供養料などが含まれます。
また、管理料もやや高めで、年間1万5千円~2万円が徴収されます。
納骨堂にかかる料金について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
納骨堂に納骨する際の料金はどのくらい?費用の相場を詳しく紹介!
近年、永代供養という供養方法が注目を浴びています。特に納骨堂での永代供養は、お参りのしやすさと料金の安さ、そして個別で遺骨を管理してもらえることから大人気です。今回は、そんな納骨堂に納骨する際にかかる料金の相場を、納骨堂のタイプ別に詳しく紹介していきます。
オススメの自動搬送式の納骨堂

最後に、オススメの自動搬送式の納骨堂をご紹介していきます。
具体的に東京都、大阪の自動搬送式納骨堂を見てみましょう。
どちらも見学も受け付けているので、気になる方はぜひ、足を運んでください。
東京
東京には数多くの自動搬送式納骨堂があります。
お好きな街、便利な沿線、運営組織、雰囲気などからご自分にあった施設を選ぶことができます。
應慶寺光の華 目黒御廟
應慶寺光の華 目黒御廟は、2018年1月にオープンしたばかりの、新しい施設です。
運営は浄土真宗本願寺派應慶寺です。
場所はJR山手線目黒駅から、山手線内側に向かって徒歩3分とアクセス良好です。
付近は東京都庭園美術館や自然教育園があるオシャレな街で、有名なカフェやレストランもあります。都心ながら緑豊かで落ち着いた雰囲気のある閑静なエリアです。
ペットのご遺骨も一緒に収蔵可能です。
大阪
大阪にはまだ自動搬送式の納骨堂は数えるほどしかありません。これから増加すると思われますので、適宜、インターネットで検索するなどして探してみてください。
大阪みやこ霊廟 縁凛堂
大阪みやこ霊廟 縁凛堂は、宗教法人奥之坊の運営する自動搬送式納骨堂です。
場所は、地下鉄谷町線・都島駅3番出口より徒歩約3分。
JR環状線「桜ノ宮」駅から徒歩10分。
大阪の中心である梅田からも約15分で歩くことできます。
納骨人数に上限がなく、また、代が続く限り使用できます。
3霊廟は2Fの本堂を大収容法要室として利用することもできます。
自動搬送式の納骨堂まとめ

今回終活ねっとでは、自動搬送式納骨堂について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
この記事では以下の内容について説明してきました。
- 自動搬送式の納骨堂は、ビル内に作られたお墓で、ご遺骨は、コンピュータに制御された搬送システムを使って、その都度、参拝スペースに運ばれてくる
- 自動搬送式の納骨堂は駅から徒歩圏内や、都心の一等地にもあり、交通の便が良い場所を選べる
- 自動搬送式の納骨堂は室内墓であり、雨風や日差しを気にすることなく、四季を通して快適な環境でお参り出来る
- 経年による建物や搬送システムの老朽化が心配される
- お盆や、お彼岸は、混雑して待ち時間が生じる
- 墓石に個性が出し難い
自動搬送式納骨堂の建設計画は、今も、東京をはじめとすと大都市で急ピッチで進んでいます。
2017年には大阪で、近隣住民の建設反対運動も起き、今後、各地で同様な問題が起きるのではないかと見る識者もいます。
自動搬送式の納骨堂はまだ歴史の浅い施設なので、未知数の部分もあります。
ご遺骨を家に置いておくこともできず、遠くに埋葬するのもつらい、というような都内在住の方にとっては、たいへん貴重な選択肢となることは間違いありません。
自動搬送式の納骨堂のメリット、デメリットの両方をお読みのうえ、ご検討ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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