自宅の庭にお墓を建てるのは可能か

人が亡くなると、火葬し、そのあとの供養方法を考える機会がやってくるでしょう。
その時は家族墓や納骨堂、永代供養墓、樹木葬などに埋葬する人が多くいますが、大切な人やペットと離れがたく、自宅の庭にお墓を作って埋葬したいと考える人もいるでしょう。
また地方に行くと、畑の中や自宅の庭にお墓や慰霊碑があるのを見かけることもあります。
自宅の庭にお墓や慰霊碑を建てても良いのでしょうか。
お墓は霊園や寺院に埋葬するものとばかり考えていましたが、自宅墓も可能なのか気になります。
今回終活ねっとでは、自宅の庭にお墓を建てるのは可能かについて
- 庭に個人墓地を作ることはできるのか
- 庭に慰霊碑を建てることについて
- お墓以外に自宅でご遺骨を供養する方法
- 自宅の庭にペットのお墓を建てるには
上記の点を中心に解説します。
今まで、考えることもなかった個人墓地について知ることができます。
お墓の一つの形として個人墓地を知ることも大切ではないでしょうか。
ぜひ、最後までご覧ください。
庭に個人墓地を作ることはできるのか

以前は自宅の裏庭や畑にお墓がありました。
今でも地方に行けば、畑の中や山の中、裏庭にお墓を見かけることはあります。
しかし、それらはみな古いお墓のように感じます。
現代ではお墓と言うと寺院や霊園にある家族墓や、最近注目を集めている納骨堂、永代供養墓、自然葬などが思いつきますが、昔と同じように庭に個人墓地を作ることはできるのか、と疑問に感じる人も多いでしょう。
自宅の庭に個人墓地を作ることはできるのか調べてみました。
以下で詳しく説明します。
個人墓地とは?
まず、聞きなれない「個人墓地」と言う言葉ですが、この個人墓地とはどのようなお墓のことを言うのでしょうか。
個人墓地とはその言葉のとおり、一個人の墓地、お墓で墓地使用者が自ら経営するお墓と定義されています。
地方などで見かける庭や畑にある個人墓地は「みなし墓地」と呼ばれ、墓地、埋葬などに関する法律ができる前からあったものが大半です。
現代では、庭に個人墓地を作ることは法律上困難ですが、みなし墓地がある場合は改修することによってご遺骨を改葬することは可能です。
その際、お墓の使用権者の承諾が必要となります。
自宅に建てるには自治体の許可が必要
では、新たに庭に個人墓地を作ることは困難だと述べましたが全く方法はないのでしょうか。
墓地埋葬法やそれに関連する通達などにより、個人の所有する土地に新たに、個人墓地、自宅墓地を作ることは原則的に認められなくなりました。
また、現在農地になっているところにお墓を新設する場合は、農地法の規定に基づいて農地の転用許可を得なければなりません。
このように自宅に個人墓地を建てるのはハードルが高いと言えるでしょう。
しかし、全く許可されないわけではありません。
既存の墓地を使用できない特別な事情があるなど例外的に許可を受けることができれば、個人墓地を作ることもできます。
例えば、岡山県津山市の場合は津山市長の許可を得れば、個人墓地を新設することができます。
その条件として土地の面積が20平方メートル以下であること、付近に利用できる公共墓地がないこと、自身または親族のために設置する場合で、近接して多数の墳墓があり、支障がないと認められる時、住宅などの敷地から100メートル以上離れている時などの条件があります。
個人墓地が多く見られていた沖縄でも、同じで、以前のように勝手に自宅の裏庭や山に個人墓地を設置することはできなくなりました。
しかし、長年の風習もあるので、個人墓地の申請をして墓地を設置する人も少なくありません。
沖縄での個人墓地の申請条件として、少なくとも墓地設置時には、申請者の所有にできる土地を設定する、墓地の面積は原則30平方メートル以下とする、原則、市町村の墓地指定区域がある場合はその地域に、指定区域がない場合は墓が多い地域に設定するなどの条件がありますが、他の地域より、緩やかなように見られます。
このように、個人墓地を自宅に建てるには自治体の許可が必要となりますが、認められれば設置することができます。
庭に慰霊碑を建てることについて

自宅の庭に個人墓地を設置し、納骨することはハードルが高いことがわかりました。
しかし、大切な故人とのつながりを常に感じていたい、常に祀りたいと考えた場合、庭に慰霊碑を建てることもあるでしょう。
庭や個人の敷地に慰霊のための碑を建てることに関しては特に問題ありません。
しかし、慰霊碑には戦争や自然災害で亡くなった不特定多数の人や、動物を慰霊するために建てる碑の意味があるので、あまり大きな慰霊碑を建てると違和感があります。
また、慰霊碑を建てる場合は近所の人に理解を得ることが大切でしょう。
ここからは慰霊碑にまつわる知識をご紹介します。
お墓と慰霊碑の違い
お墓と慰霊碑の違いは何でしょうか。
慰霊碑と聞くと、個人的なものと言うより、たくさんの人が亡くなった場所で、その原因を戒めたり、霊を慰めるものというイメージがあるかもしれません。
慰霊碑とは霊を慰めるために建立した碑のことを言います。
お墓は亡くなった方や先祖のご遺骨を安置したり、お参りするための目印と考えられます。
埋葬した場所を示したり、いつまでも供養する気持ちを忘れないために建てるがお墓です。
そのことから、お墓は個人的なもので、慰霊碑は不特定多数のものと考えられます。
お墓と慰霊碑のどちらも故人や先祖の霊を弔い慰霊するという意味では同じものと言えるでしょう。
慰霊碑と共に埋めてもよいもの
慰霊碑と共に埋めても良いものは何でしょうか。
例えば、広島にある原爆死没者慰霊碑の中央にある石棺には国内外を問わず、亡くなった原爆被爆者すべての氏名が書かれた名簿が安置されています。
慰霊碑には故人の氏名や、慰霊の原因が刻まれているものも多くあります。
慰霊碑と共に埋めて良いものに制限はありませんが、ご遺骨などを埋めることはできません。
原爆死没者慰霊碑のように名簿のようなものや故人の思い出の品が慰霊の意味も込めて一緒に安置されることが多いでしょう。
お墓以外に自宅でご遺骨を供養する方法

お墓が遠方にあって高齢のためお参りに行くことが難しいなど、お墓参りに行くことが困難になることもあります。
しかし、故人や先祖の供養をしたいと考えている人もいるでしょう。
古くから、敷地内に墓地がある場合は、改装して新たなご遺骨を埋葬することも可能ですが、新たに自宅の庭などに墓地を設置することは難しいと言えます。
それでは、お墓以外で自宅にご遺骨を供養する方法はあるのでしょうか。
自宅にご遺骨を安置するのは合法
大切な人が亡くなり、ご遺骨にして骨壷に入れ、時期が来たらお墓に納骨することが一般的であると言われていますが、近年は自宅墓という形をとる人も増えてきました。
自宅にご遺骨を安置することは合法とされています。
ご遺骨を安置する期限は決まっておらず、残された人が納得するまで手元に置いておくことができます。
いつまでも故人を近くに感じていたい、一緒にいたいと考える人にとって、お墓にご遺骨を入れることはとても辛いことでしょう。
自宅墓とは、骨壷を長期保存することを前提とし、骨壺ごと石棺の中に収容して供養することを言います。
仏壇や床の間、棚の中なども自宅墓にすることができ、形も小さな御堂のようなもの、ミニチュアのお墓、円筒状のシンプルなものなどがあります。
他にもご遺骨の一部を分骨して手元供養する方法もあります。
散骨も法的規制はない
故人の遺志により散骨する方法もあります。
散骨は、ご遺骨をパウダー状にして海や山に撒くことを言います。
散骨は法律上の規制はないのですが、撒く場所によってはトラブルになることがあります。
1998年6月に厚生省生活衛生局も「散骨についての理解は進んでいるが、散骨する場合は適切な方法で実行し、認可された社会的な合意が必要」と報告書で示しています。
このように、散骨する場合は、周囲の理解が必要となります。
自宅の庭にペットのお墓を建てるには

昔は、飼っていたペットが亡くなった時、自宅の庭に埋葬した経験のある人も多いのではないでしょうか。
しかし、自宅の庭にペットを埋葬するのは良くないと言う話を聞いたこともあります。
自宅の庭にペットのお墓を建てるには、どうしたらよいのでしょうか。
ペットのお墓を建てるのは合法?
では自宅にペットのお墓を建てるのは合法なのかについてお話しします。
結論から言いますと、人のお墓と違い、ペットのお墓を自宅の庭に建てるのは法律的に問題はありません。
しかし、土葬の場合は、衛生上の問題があるので、遺骨にしてから埋葬することをおすすめします。
ペットごとの埋葬方法について
ここでは、ペットごとの埋葬方法について解説します。
自宅の庭にペットの遺骨を埋葬し、お墓を建てたり、遺骨をパウダー状にして、散骨することもできます。
また、庭に埋葬するのも寂しいと考える人には、可愛らしい骨壺に納め、自宅に保管する方法もあります。
家族同然だったペットの終の棲家としての埋葬方法を家族で話し合って決めることがペットの供養にもなります。
犬
犬を自宅の庭に埋葬するときの方法についてお話しします。
まずは、遺体を火葬して遺骨にしてさらしやガーゼで包みます。
次に、埋葬する場所に穴を掘り、遺骨を納めたのち、土をかぶせます。
その際、土を平らにすると後にへこむことがあるので、少し盛り上がるようにします。
そこに目印となる墓石を建てて完成です。
埋葬する場所は人が通らないところを選び、東向きか南向きが良いとされています。
また、墓石はインターネットなどで購入できます。
猫
可愛がっていた飼い猫を庭に埋葬する方法は愛犬と変わりません。
遺骨にしてから埋葬すると良いでしょう。
ペットの墓石は数多くの種類が販売されています。
ペットのイメージに合う墓石を選んで、建ててあげると家族同然だったペットも喜んでくれるでしょう。
そして、お墓の周りに花を植えてあげると季節が巡ってくれば、たくさんの花に囲まれてペットも寂しくないでしょう。
ハムスター
ハムスターなどの小動物も、遺骨にしてから埋葬することをおすすめします。
土葬の場合は、土に還るのに長い時間がかかり、状況によっては掘り起こして再度、遺骨にして埋葬し直すこともあります。
自宅の庭にお墓を建てることまとめ

今回、終活ねっとでは自宅の庭にお墓を建てることについて詳しく解説いたしましたが、いかがでしたか?
この記事の内容から
- 個人墓地とは、一個人の墓地で墓地所有者が自ら経営する墓地と定義されている
- 墓地、埋葬などに関する法律以前からある個人墓地は「みなし墓地」と言われている
- 個人墓地は自治体の許可が必要だが、特別の事情がない限り許可が下りない
- 慰霊碑を庭や個人の敷地に建てることは問題ないが、ご遺骨を入れることはできない
- 自宅でご遺骨を安置することは法律上、問題なく自宅墓という埋葬方法もある
- ペットを庭に埋葬しお墓を建てることはできる
ということがわかりました。
残念ながら、自宅の庭や敷地に個人墓地を作ることは、自治体の許可が必要で、許可を得るにはハードルが高いこともわかりました。
しかし、慰霊碑や記念碑などを建立することはできます。
また、自宅でご遺骨を安置することもできるので、遠いお墓にご遺骨を安置するのは忍びないと考えている人には良い方法です。
大切な人やペットの埋葬方法は急いで決めなくても良いので、残された人が納得できる形を探すのが良いでしょう。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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