墓地・霊園の地目変更について

お墓を建てる場所といえば、墓地・霊園です。
そして、墓地・霊園にお墓を建てるにはさまざまな手続きが必要となります。
お墓を建てる上で必要な手続きといえば、ご遺骨を納骨するうえで必要な埋葬許可証の発行や、また改葬の際に必要な改葬許可証の発行などが挙げられますが、お墓を建てるための土地にまつわる手続きについてはなかなか見聞きする機会がないのではないでしょうか。
そのお墓の土地に関連して必要な手続きが「地目変更(ちもくへんこう)」です。
はたして、この地目変更という手続きがなぜ必要で、どのような内容で、かつどういう方法で行われるのでしょうか?
そういうわけで、今回は「地目変更」と呼ばれる手続きについて見ていきます。
なお、この記事では
- そもそも地目変更とはどのような手続きなのか?
- 墓地・霊園を新設する場合に必要な手続きとは?
- 墓地・霊園の廃止の際に必要な手続きとは?
- 地目変更に必要な費用はどのくらいか?
の4点のポイントを中心に、墓地・霊園の地目変更について内容を進めていきます。
終活の一環で墓地・霊園について考えている方はこの記事を参考にして見てはいかがでしょうか。
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そもそも地目変更とは

地目変更という手続きについては、多くの方がこのようなものが存在することさえも見聞きしたことがないのではないでしょうか?
ここでは、地目変更がどのようなものかについてを一緒に見ていきましょう。
地目とは土地の種類のこと
まず、地目というものについて見てみましょう。
簡単に言えば、地目とは土地の種類を意味します。
世の中にある土地は、法律によって住宅地や山林、田畑、果樹園など23種類に分けられます。
もちろん、故人のご遺体を埋葬するための土地としての墓地・霊園もその地目の1つとして数えられます。
そして、地目は土地の登記記録(不動産登記簿)にもその土地の利用状況を示す情報として明確に記されています。
なお、墓地・霊園が該当する「墓地」は、法律(「墓地、埋葬等に関する法律」=墓埋法)によれば、「人の遺体又は遺骨を埋葬する土地」と定められています(墓埋法第2条5項)。
許可を得た土地にしかお墓は建てられない
お墓を立てるということは、どこででもできるわけではありません。
むしろ、墓埋法の規定によって「墓地」として許可を受けた土地にしかお墓を建てることができません。
つまり、たとえ自分でお墓を建てられそうな土地を持っていても、「墓地」として使用できる許可がなければお墓を経てることが出ないといえます。
ちなみに、無許可の土地にお墓を建てると墓埋法違反ということで1000円以下の罰金または拘留、もしくは科料の処罰が下されます。
地目変更には都道府県知事の許可が必要
地目変更とは、文字通りその土地の登記簿に登録されている土地の種類を変更することです。
そして、その地目変更を行う手続きは全国各地にある法務局で行うことができます。
ただし、どこの法務局でもよいというわけではなく、地目変更をしたい土地がある最寄りの法務局でなければ手続きを行うことができません。
申請の際には、かなり細かいところまでチェックが入るため、少しの間違いがあると修正や書き直しが必要となるため、慎重に必要事項を明記することが大切です。
申請書が受理されると、まもなく都道府県知事から許可が下りて、地目変更が承認されます。
墓地・霊園を新設する場合

墓地・霊園を新しく作る場合でも所定の手続きが必要となります。
そして、ここでも地目変更の手続きが大きな役割を果たします。
ここでは、墓地・霊園の新設に必要な手続きの流れについて地目変更も含めて見ていきましょう。
分筆登記
墓地・霊園を新設する際の地目変更で欠かせない手続きが分筆登記とよばれるものです。
これは、ある1つの土地を分割して、2つ以上にするための手続きを指します。
墓地・霊園の場合は、お墓そのものを建てるための土地のほかに、休憩所など共用施設のための土地や、お墓の中の通路用の土地などさまざまな用途に使われます。
つまり、仮にある1つの土地を墓地・霊園とする際には、地目が「墓地」だけではとても足りなくなる、ということとなるのです。
このため、新しく墓地・霊園を設置するには、この分筆登記という手続きは避けて通ることができません。
その土地の周囲の方の同意をいただく
墓地・霊園の新設予定地の地目変更が完了したら、次はその土地の周囲に土地を持っている方々から墓地・霊園の新設に関する同意を頂くという段階があります。
このことについては、国の法律レベルでは特に明記している条文はありませんが、実際に墓地・霊園を新設する予定地を管轄する地方自治体が条例で具体的に定めている場合も少なくありません。
そして、自治体の条例によっては、墓地・霊園の設置基準の中に住民の方々の同意が必須条件であることを明記しているところもあります。
このように周辺住民の方々の同意が必要な理由としては、やはり住民の方々の中にはご自分の住んでいる土地や持っている土地のすぐ近くに墓地・霊園が建設されると聞いて、あまり気持ちのよい感情を持たないという方もいるためです。
なお、仮に墓地・霊園の新設予定地の周辺の住民の方々の多数から同意を得ることができなかった場合は、その土地での墓地・霊園建設の計画が暗礁に乗り上げることもあり得ます。
言い換えれば、せっかくその土地を地目変更した努力が水の泡となる場合もあるということです。
元の土地が農地の場合は法令制限がある
その土地を「墓地」に地目変更をする際に、もともとが農地だった場合は法令制限があります。
つまり、農地から地目変更をするには、農地法の手続きについても考えなければいけない、というものです。
農地法では農地となっている土地の地目を変更するには、通常の地目変更に必要な手続きに加えて、農地転用届や農地転用許可も合わせて必要となります。
さらにややこしいことに、農地が存在する場所によっても、その手続きが簡単かどうかまで異なってきます。
地目変更をする農地が市街化された区域にあるのであればまだ比較的簡単に手続きができますが、市街化調整区域といった区域では都道府県の農地転用許可も必要となります。
ちなみに市街化区域の土地の中には元来農地のための土地として確保してあったまま長い年月が経って、そのままの状態や別の目的のために使われているという状態の場合もあります。
このような場合は、都道府県の農業委員会より非農業証明を発行してもらったうえで、地目変更が可能です。
地目変更に必要な書類を提出する
地目変更の際には何種類かの必要な書類の提出が不可欠です。
必要な書類とは、登記申請書、土地の案内図、そしてその土地の公図の写しの3種類です。
ここでは、それらの地目変更に必要な書類について紹介します。
登記申請書
まず、登記申請書についてですが、その土地の所在地(住所)や地番(登記上振られた土地の番号)、登記上の地目と変更後の地目、変更前と変更後の地積(土地の面積のこと)、地目変更の申請人の住所と氏名、そして登記の原因など必要事項の記載が求められます。
登記申請書については、申請の際の様式(A4サイズ)からその記入内容に至るまでがすべて法律(不動産登記法)の規定という形で明記されているため、事前によく調べたうえで、もれなく記入することが大切です。
ちなみに、ちょっとでも記入漏れや誤りなどがあると、修正や書類の再作成を求められる場合があるため、慎重さが必要です。
土地の案内図
土地の案内図については、地目変更を申請した法務局の職員が実際に現地を調査することができるように住宅地図などを用いて、該当する土地がどこにあるのかを示すように作成します。
もちろん、土地のわかりやすさを心がけるというのが非常に重要であることはいうまでもありません。
より詳細さを期すのであれば、住宅地図の該当する地域にわかりやすい色のペンで囲うなり、またはその土地の写真を添付するという方法もあります。
その土地の公図の写し
土地の公図とは、登記簿に乗せられているその土地の地図のことです。
公図を取り寄せるには、全国各地にある法務局やその支局・出張所で直接取得するか、もしくはネット上(法務局のホームページなど)からダウンロードをする方法があります。
墓地経営の許可を受ける
最後に必要となるのが、墓地経営の許可を得るという段階です。
許可を下すのは、全国の都道府県知事や、政令指定都市や中核市の市長です。
ただし、実際に手続きを行う先はその土地の最寄りの保健所の窓口となります。
ちなみに墓地経営の許可は、基本的には長期的に墓地・霊園を経営していくことができるだけの経済基盤を持っている宗教法人や公益法人などだけが得ることができます。
墓地・霊園を廃止する場合

墓地・霊園が経営できなくなったといった事情などで廃止する場合についても、所定の手続きが必要です。
そして、こちらについても地目変更が大きな役割を果たします。
ここでは、墓地・霊園を廃止する場合の地目変更について解説します。
墓地使用者の承諾
まず、その墓地・霊園を現時点で使用している墓地使用者の承諾を得ることが不可欠です。
使用者の方々からすれば、その墓地・霊園が廃止とならないことを前提にお墓を建てているうえ、別の土地にお墓を移転などには墓じまいなどを行う必要があるのですから、その方たちに告知し、承認を得ることは当然やるべき義務といえます。
承諾を得るには、その墓地・霊園を廃止する理由とそれまで継続するための努力の内容、そして廃止後の墓所をどのように確保するかについての説明が最低限必要となります。
墓地廃止許可申請書の提出
墓地・霊園の新設と同様、それらの廃止についても法律で手続きに関して規定があります。
こちらについても都道府県知事や、あるいは政令指定都市や中核市などの市長の許可が必要です(墓埋法第10条)。
それらの許可は墓地・霊園使用者からの承諾が円滑に得られてさえいれば、ほぼ例外なく得ることができます。
墓地廃止許可申請書の提出は、その墓地・霊園を廃止する時点で必要事項を明記の上で提出することとなります。
墓石の撤去を行う
墓地・霊園を廃止にするとなれば、当然ながら墓石の撤去を行うこととなります。
ただし、墓石の撤去は単に石材店の方に撤去工事や更地化すればよい、というものではありません。
ご遺骨を別の墓地などに移すとなれば最寄りの市町村の役所への改葬許可の申請が必要ですし、また実際にお墓を撤去する前に墓じまい(閉眼供養)の準備等が必要となってきます。
これらの段階をきちんと踏んで、初めて墓石の撤去が可能となってくるのです。
墓地から地目変更する
墓地・霊園が廃止となれば、もはやその土地の地目を「墓地」としておくことができなくなるため、地目変更の手続きが必要となります。
こちらについても都道府県知事、あるいは政令指定都市や中核市などの市長の許可が必要です。
その土地が今後どのように活用されるかによって登録される地目や細かい手続きが異なってきますが、こちらについても登記申請書や公図の写し、そして土地の案内図をそろえて最寄りの法務局に提出することとなります。
地目変更にかかる費用

地目変更の際の費用ですが、残念ながらタダではありません。
登記簿に記載されている土地1つ分につき、おおよそ5万円前後が基本的な費用です。
そして、これに加えて、ほとんどの場合で土地家屋調査士などの専門家に依頼する費用も発生します。
ちなみに、登記簿に記載されている複数の土地の分の地目変更を行う場合は、7万円から8万円費用に加え、やはり土地家屋調査士などに依頼する費用が必要です。
墓地・霊園の地目変更まとめ

お墓を建てるための土地や、墓地・霊園を建設もしくは廃止する際に必要な地目変更についてみてきましたが、いかがでしたか?
今回終活ねっとでは
- 地目変更とは、登記簿上に登録されている土地の種類を変更するための手続きのことを指す。お墓は地目が「墓地」となっている土地でなければ建てることができないうえ、地目変更には法務局に申請し、都道府県知事などの許可が必要である。
- 墓地・霊園を新設するには、そのための土地の地目を「墓地」に変更する必要がある。その土地の周囲の住民の方々の同意を得たうえで、地目変更の申請書類(登記申請書、その土地の案内図、公図の写し)をそろえて提出する。加えて、墓地の経営許可も必要である。
- 墓地・霊園の廃止の場合、まずそこを使用している方々の承諾を得る必要がある。そして、墓地廃止許可申請書の提出が求められる。あわせて、墓石に撤去に必要な準備や段階を経た後で墓石を撤去し、最後に「墓地」以外の地目への変更を行う。
- 地目変更に必要な費用は、登記簿に登録されている土地1つ分につき5万円が相場で、土地家屋調査士など専門家に手続きを依頼するとなると追加で費用が必要となる。
以上のことを中心に、墓地・霊園の地目変更について解説しました。
一見すると、お墓関係の地目変更は終活とはあまり縁がないように見えます。
しかし、地目変更のことを知っておくことで、例えば何らかの事情で個人所有の墓地を廃止するといった手続きが必要な場合にそのための手続きや法的根拠にまつわる知識が役に立つといえます。
そういう意味では、終活において地目変更について知っておくことは決して無駄なことではありません。
今回終活ねっとでは、「墓地・霊園の地目変更」について解説しましたが、他にも終活に関する記事を多数掲載していますのでそちらも参考にして見てはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お墓を建てたいけどどうすればいいかわからない方へ...

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