墓地・霊園の維持費について

終活を行う際、墓地・霊園の維持費について詳しく知らない方も多いのではないのでしょうか。
お墓は建ててしまえばおしまいというわけにはいかず、それを維持するための費用というのがかかります。
今後長い目で見ると、維持費は決して無視できない費用となるので、詳しく知っておく必要があります。
この記事では、
- 墓地・霊園ではそれぞれ維持費はどのような内訳となっているか
- 墓地・霊園の維持費の相場はどれくらいなのか
- 墓地・霊園の維持費は誰が払うべきなのか
- 墓地・霊園の維持費を払えなくなった場合はどう対処すれば良いのか
上記のことを中心に墓地・霊園の維持費について解説していきたいと思います。
ぜひ最後までお読みください。
墓地・霊園の維持費の内訳

墓地・霊園では維持費の内訳が異なります。
維持費には様々な費用が含まれている場合もあるので、ここでは具体的な維持費の内訳についてご説明します。
管理費
墓地・霊園いずれの場合も維持費には管理費がかかります。
この管理費は、園内の公共の設備や光熱費、清掃費、お墓掃除のために使う備品などに使われるものです。
したがって、ここでいう管理費は園内全体の管理費であり、個々のお墓の管理費ではないので注意してください。
個々のお墓の管理費はこの維持費には含まれていません。
それぞれのお墓は、各自が故人を敬う気持ちを持って自ら管理を行うようにしましょう。
護持会費
護持会費というのは、寺院に対して支払う管理費のことをさします。
寺院でお墓を建てる場合、その寺院の檀家となる必要がありますが、檀家となった際には毎年護持会費を支払うのが一般的です。
この護持会費は、上述した通り寺院のインフラ設備を維持するのに使われるだけでなく、お寺の修繕や改装に当てられることもあります。
法要の際のお布施
法要の際のお布施も、寺院にお墓を建てたときのみ発生する費用となります。
法要の際は僧侶の方が読経を行ってくれるため、そのお礼代という意味でお布施を支払うのが一般的です。
お通夜や四十九日法要、一周忌などの大事な法要の際にはお布施を多めに支払うのが通常です。
また、お寺から遠いところで法要を行う際には、お車代や御前料などもお布施と共に渡すようにしましょう。
墓地・霊園の維持費の相場は?

墓地・霊園の運営先によって維持費は異なります。
主な運営主体として、「寺院墓地」「民営霊園」「公営霊園」があります。
ここでは、それぞれの運営主体の特徴と一年あたりの墓地・霊園の維持費の相場について解説します。
寺院墓地
寺院墓地の維持費の費用の相場は年間2万円から8万円となり、3つの運営主体の中ではもっとも費用がかかります。
これは上述したように、寺院墓地では管理費の他に、お布施がかかるためです。
その他、寺院の修繕の際に寄付が求められることがあります。
寄付の相場は5万円から10万円となっていますが、あくまでも任意のものなので無理に支払う必要はありません。
稀に法外な料金の寄付を求められることがあるので注意しましょう。
このように寺院墓地は費用が高いですが、そのぶん、法要がしっかり行われることや、墓地の管理が行き届いてることなど、サービスがしっかりしています。
費用は高くてもしっかりと供養をしたいという方なら、寺院墓地がおすすめです。
民営霊園
民営霊園は、民間企業が主体となって運営している霊園です。
維持費の相場としては、年間5000円から1万5000円となっております。
民営霊園の場合は、他の霊園との競争が激しいことから、設備などもしっかりしているところが多いです。
また、アクセスが良い場所に立地していることが多く、お墓参りに行くのに大変便利となっております。
そして、維持費は管理費しか含まれておらず、寄付などを求められることもありません。
お寺のようにお付き合いがあるわけでもないので、気楽に利用できるのも魅力的ですね。
維持費はその地域の地価によって変動しますが、その地域の相場よりも比較的安いところは、設備が簡素化されているなど、何か理由がある場合が多いです。
値段だけを見て決めるのではなく、一度足を運んで設備を確認してから見るようにしましょう。
公営霊園
公営霊園は、地方自治体や都道府県が運営している霊園です。
費用は年間4000円から1万円と、いちばん安くなっております。
また、公営霊園は自治体が運営しているため、設備も安定しているところが多いです。
ただ、安い上に使い勝手がいいため、当然公営霊園は人気となっております。
そのため、順番待ちとなったり、中には抽選を行ったりする霊園もあります。
また、公営霊園を利用する際には、その地域に住んでいる年数などに条件が課される場合もあるので注意が必要です。
公営霊園は入りたいと思っても必ず入れるわけではないので、まずは一度相談に訪れて決めるようにしましょう。
墓地・霊園の維持費は誰が払うの?

墓地・霊園の維持費は誰が支払うべきかは、遺族の間で議論となる問題のうちの一つです。
結論から言うと、維持費を支払うのはそのお墓の継承者であることが一般的です。
継承者は、喪主が生前に指名しておくのが妥当でしょう。
喪主の指名の際は、直接口頭で言ったり、簡単な手紙を書いたりなどの方法でも構いませんが、後々トラブルとなるのを防ぐためには、遺言と言う形で残しておくのがベストです。
また、遺言書は亡くなった後に第三者から継承の手続きを行ってくれる弁護士に預けておくのが良いでしょう。
継承者として指名する相手は、子供がいる場合は長男・長女を指名するのが一般的ですが、必ずしもそうしなくてはいけないわけではありません。
他の親族よりもお墓の近くに住んでる方、経済的に余裕のある方を指名することも可能です。
また、血縁者である必要はなく、友人を指名することもできます。
しかし、公営霊園は継承者が血縁者でないと使用できないため注意しましょう。
近年では、喪主が自ら維持費を生前に支払い、子孫に自分のお墓のことで負担をかけさせない永代供養と言う方法もあります。
これは、生前にお墓に関する費用を喪主自身が一括払いすることで、死後に管理費などの費用がかからないため、維持費を支払えなくなって無縁仏となってしまうなんてことはありません。
ただし、一定期間供養されたあとは、共同墓へ埋葬されてしまうため、それに抵抗がある方は考えた方が良いでしょう。
万が一、喪主が突然の事故で亡くなってしまったなどで継承者を指名していない場合には、親戚同士で相談する必要があります。
その際は、お子さんがいらっしゃれば長男・長女が継承するのが良いでしょう。
もしお子さんがいらっしゃらない場合は、親戚の方が受け継ぐか、永代供養など維持費がかからない方法を取るのが良いでしょう。
いずれにせよ、多くの方法があるので、お墓を建てた後に維持費を支払わないなど言うことがないよう、あらかじめ決めておくのが良いです。
維持費を払えなくなったらどうなる?

近年維持費が支払われていないお墓が急増しています。
維持費を支払っていた継承者が亡くなってしまい、その後のお墓の管理をする人がいなくなってしまった場合が多いようです。
ここでは、維持費を支払えなくなった場合はどうなるのか、その際どのような対処をすれば良いのかについて説明いたします。
無縁墓になるのはいつから?
無縁墓とは、お墓の継承者がいなくなり、誰からも管理されなくなったお墓のことをさします。
現代では、本当の意味で無縁墓となる方は少なく、継承者が遠方に引っ越してしまった、またはお墓参りをする習慣がないなどの理由でお墓の管理が滞り、無縁墓となってしまうケースがほとんどのようです。
平成11年に決まった法律では、管理費が3年支払われていないお墓の継承者に、寺院が郵送で無縁仏となる旨を通知します。
そして、そのお墓の前に立て看板を建て、それでもなお5年間支払われなかった場合には、そのお墓を無縁墓とみなして良いことが定められました。
寺院も檀家さんとの付き合いがあるため、簡単にお墓を撤去できませんが、現在はお墓不足が深刻化していることもあり、管理費を支払っていただけないお墓をずっと放置しておくこともできません。
そのため、この法律に従い、5年管理費を支払われてないお墓は無縁墓として遺骨が取り出され、共同墓に埋められてしまいます。
その際、墓石なども撤去されてしまい、そこには新しいお墓が建つのです。
お墓の土地を永代に渡って使う権利のために支払った永代使用料を返還してもらえるのではと考える方もいらっしゃいますが、永代使用料が返還されることはないので注意しましょう。
無縁墓となってしまったら、遺骨を取り出すことは不可能となってしまいます。
先祖のお墓が無くなってしまうのは悲しいですよね。
そうならないためにも、定期的にお墓参りに行き、しっかり管理費を支払うことが必要です。
維持費を払えなくなった際の対処法
お墓の管理をしていた継承者が遠方へ引っ越す、または亡くなってしまうなど、色々な理由で墓地・霊園のお墓の維持費を払えなくなってしまうことがあります。
そのようなお墓の維持費を支払えなくなった場合の対処法について、いくつがご紹介します。
永代供養を利用する
上述した通り、永代供養は一度料金を支払ってしまえばその後の管理は寺院・霊園に全面的に任せることができ、その後の維持費がかかりません。
そして、最初から合葬をするのであれば3万円から利用が可能となっております。
費用も高くないので、お墓の維持費をずっと払い続けることができない場合は永代供養を利用するのも一つの方法です。
樹木葬を行う
樹木葬は、墓石を建てる代わりに、樹木や芝生を墓標とする供養方法です。
樹木葬も、永代供養と同様に維持費を支払う必要がありません。
暮石を購入する必要がないので、費用も安くつくことが多いです。
また、樹木葬は、ずっとお墓が残るため、いつまでもお墓参りに来ることができます。
そのため樹木葬は、しっかり供養をしつつ、維持費を支払わなくて良い方法として大変人気となっております。
自宅供養
自宅供養は、その名の通り自宅で遺骨を安置し、祭壇に飾るなどして故人を慰る供養方法です。
自宅供養の場合、かかる費用はまちまちですが、2万円ほどで済ませることができます。
自宅で供養するので維持費はもちろんかかりません。
さらに、わざわざお墓参りに行く必要もなく、故人を身近に感じることができます。
遺骨は骨壷に入れる他、アクセサリーなどに保管するのが一般的です。
ただし、自宅供養ができる人数は限られているため、家族墓などの場合は不向きかもしれません。
親の代のご遺骨のみ引き取るときなどには、自宅供養も一つの選択肢として考えてみるのが良いでしょう。
今までの管理費を突然請求された場合
お寺の方も、継承者と連絡がつかなくなった場合、誰に連絡をすればいいのか把握できてないことがほとんどです。
その際、お寺が連絡先を把握している親類の方に管理費の請求をする場合があります。
請求された側からすれば、突然のことでわけがわからず慌ててしまうかもしれません。
しかし、突然請求された場合は、安易に支払うことはしないでおきましょう。
本当にその管理費を払うべきかは、状況によって異なります。
また、中には何十年分もの管理費を請求されることがあるので注意が必要です。
このような時は、家庭裁判所を通せば、管理費を支払うべきか、もし支払うとしても誰がどれほど支払うのが妥当かしっかり判断してくれますので、家庭裁判所に相談するのが良いです。
「気が動転して支払ってしまったけど、本当はそんな必要がなかった」なんてことを防ぐためにも、請求が来た際は慎重に行動するようにしてください。
墓地・霊園の維持費についてまとめ

いかがでしたか。
この記事では墓地・霊園の維持費について解説しました。
簡単にまとめると
- 墓地・霊園の維持費の内訳は、運営主体によって異なるが、大体は管理費が主な内訳となっている
- 寺院の維持費は管理費以外のものも含んでいるため高くなっているが、民営・公営霊園の場合は基本的には管理費しかかからないため維持費は安くなる
- 維持費は喪主が生前に支払う、または喪主が指名した継承者が支払うのが妥当である
- 維持費を長年支払えないと、お墓が無縁仏とみなされ撤去されてしまう場合があるので注意する
- 維持費を支払えなくなった際には、多くの対処法がある
- 突然維持費を請求された場合は慎重に行動する
などのことについて解説しました。
お墓は建てたら終わりではなく、その後も長きに渡って管理を行い、後世へと継承していくものです。
その際にかかる維持費は安いものではありませんが、故人を弔うためにもしっかりと払っていきたいですよね。
現代では、色々なニーズに合わせた供養方法があるので、維持費もそれによって大きく異なります。
自分の納得する供養方法を選んで、充実した終活を送れるようにしましょう。
今回終活ねっとでは、「墓地・霊園の維持費」について解説しましたが、他にも終活に関する記事を多数掲載していますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お墓を建てたいけどどうすればいいかわからない方へ...

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