散骨は違法になる可能性がある?散骨にまつわる法律を解説!

少子高齢化の後継問題や墓地事情から散骨を選ばられる方が増えています。 一方日本には墓埋法があり遺骨はしかるべき所に収めなければ違法となってしまいます。 はたして散骨は違法になるるのでしょうか? ここでは散骨を法的な側面からご説明します。

目次

  1. 散骨は違法なのか
  2. 散骨関連の法律
  3. 違法となる海での散骨
  4. 違法となる陸地での散骨
  5. 違法とならない散骨可能な場所
  6. 散骨の許可に必要な手続き
  7. ペットの散骨は違法?
  8. 散骨が違法なのかについてまとめ

散骨は違法なのか

困った人々

少子高齢化によってお墓を継いでくれる親族がいなくなってしまった方、経済的・地理的な問題から墓地を確保でない方、さらに最近の自由な宗教観、等の理由から埋葬法として散骨を選ぶ方々が増えています。

実際、散骨を扱う葬儀業者も多数あり、お客様の要望に応じて様々なプランが用意されるようになっています。

しかし、散骨はどこでも自由に出来るわけではありません。
日本には遺体の扱いに対する刑法や、埋葬方法に関わる墓埋法が存在し、この法律に従わなければ散骨も違法となってしまいます。

今回終活では、散骨は違法になるのかどうか、以下のことに触れながら解説していきます。

  • 散骨に関わる法律はどのようなものがあるのか?
  • 海に散骨する場合はどのような法律に注意しなければならないのか?
  • 陸に散骨する場合はどのような法律に注意しなければならないのか?
  • 散骨に手続きは必要なのか?
  • ペットの散骨に法律はあるのか?

まずは散骨に関わる法律に関して見て行きましょう。

散骨関連の法律

六法全書

散骨に関しては以下の法律に抵触すると考えられます。

死体損壊等

まず、散骨は遺骨をバラバラにする行為なので、刑法190条の規定に抵触すると考えられます。

刑法190条には「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」とあり、散骨は死体損壊等の罪に該当するという考え方です。

死体等遺棄罪

散骨は死体である遺骨をある意味捨てる行為なので同じく刑法190条に抵触すると考えられます。

墓地・埋葬に関する法律

また、散骨は墓地以外の場所に遺骨を撒く行為なので墓地、埋葬等に関する法律第4条に抵触すると考えることができます。

墓埋法第4条では「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあり、違反した場合には罰則が課せられる場合があります。

散骨に関する法務省の見解の経緯

かつて、石原裕次郎による「遺骨を大好きな海に撒いて欲しい」という遺言があったため、遺族が法務省に問い合わせたところ、墓地埋葬法があったため許可が下りなかったことがありました。

しかし、これは憲法に規定する「信教の自由」と「思想・信条の自由」に抵触します。
そのため1991年に法務省が、2つの法律に対して「社会的習俗として宗教的感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で、 節度をもって行われる限り問題はない」 という見解を非公式ながら示したことで散骨が行えるようになったのです。

節度を持って行えば散骨は違法ではない

刑法190条も墓埋法4条にしても、死者に対する敬虔感情を保護法益とすることを目的として設けられ、ご遺体をぞんざいに扱うことで犯罪行為があったとみなしたり、公序良俗を乱す行為を未然に防止するためにある法律です。

散骨自他は死者に対して敬虔な感情を伴って行われる行為です。
つまり、犯罪に見られないように良識をもって散骨をすれば、散骨自体は違法ではないのです。

しかし、どこでも散骨しても良いのかと言えば、決してそうではありあません。
日本にはほかにも様々な法律が有り、場合によってはその法律に抵触する場合があるからです。
なので、散骨を行う場所をしっかり考え、その場所で散骨を行ってもいいいのか、事前に確認する必要があります。

違法となる海での散骨

海

まず散骨で思い浮かぶのは海への散骨です。
日本は四方を海に囲まれていますし、母なる海という言葉もあるように、生命の生まれた海に還えるのはある意味大変ロマンのある埋葬法だと言えるでしょう。

実際、散骨を選ばれる方の多くが海での散骨を希望されています。
ですが、本当に海で散骨を行っても違法にならないのでしょうか?

海での散骨

海は誰のものでもないから自由に散骨できるのでは?と思うかもしれません。
しかし決してそうではありません。

確かに公海であれば国際法に公海自由の原則があり、どこの国のものでもないので、どの国の人間がどんな使用しても一部の行為(海賊行為や薬物取引)を除いて罰せられることはありません。
もちろん公海での散骨も自由です。

公海といっても、ここでは日本の管轄権内である排他的経済水域を言います。
排他的経済水域内であれば日本人であれば誰でも使用でき、且つ誰のものでもありません。
法務省や海上保安庁で散骨を禁止していることもありません。

場所によっては散骨できない場所がある

しかし、同じ海でも散骨ができない場所がありまます。

それは港や養殖場などの漁業権が付与された場所や海水浴場、観光地など海によって生活が成り立っている場所です。

散骨そのものは違法ではありませんが、遺骨は死体でもありますので、関係者にとってはやはり気持ちが良いものではありません。
また、マナーという点でも良くないので避けなければなりません。

風評被害にあえば関係者は感情を害しますし、場合によっては慰謝料請求や損害賠償請求といった訴訟を起こされる場合があります。

また、散骨のために定期航路以外で不特定の乗客を乗せて船を出すにには国土交通省に不定期航路運行の許可を得なければななりません。
知り合いだからといって漁船に乗せてもらって散骨をすると、その漁船が操業違反となり罰せられます。

違法となる陸地での散骨

山

海以外では陸地に散骨することになりますね。
法律上では陸地の散骨する行為自体は違法ではありません。

しかし、海と同様に法律上散骨を行うと違法となる場所は存在しています。
ここでは陸地での散骨について見ていきましょう。

陸地で散骨できない場所

陸地は海と違い所有権が存在し個人、法人、国のどれかが所有していることになります。
所有権があるということは、その土地の所有者に使用の許可が必要になります。

許可を得なければ所有権の侵害に該当し民法で損害賠償請求の対象となってしまいます。
つまり、すでに誰かの所有物となっている土地には散骨はできません。

観光地や住居近くでは散骨できない

国有地は国民全体の共有財産であるため、私的に所有する行為ではない散骨は可能となります。
しかしながら、観光地や住居地近くではやはり風評被害が起こる可能性があるため、慰謝料や損害賠償請求の対象になる可能性があります。
つまり、国産地でも観光地や住居近くでは散骨できません

ちなみに日本一の富士山は風光明媚で国有地だからここに散骨したいと思われるかもしれませんが、八合目以上は浅間神社が所有者になっており、全体が観光地なので散骨はできないと考えたほうが良いでしょう。

取水河川や地下水源近くでは散骨できない

飲用水に使われる取水河川や、名泉と言われるような地下水源があるような場所の近くでは散骨はできません。

墓埋法の土葬に関して水源汚染に配慮するように指摘されているような衛生的な方面と、やはり散骨を気持ちが悪いと思う方もいるという感情的な方面から考えても適切ではないと言えるでしょう。

条例で散骨を制限している自治体もある

一部の自治体では、条例で自治体内での散骨を制限しています。
住民感情に配慮して制定されたものが殆どです。

例をあげると、北海道の岩見沢市・長沼町・七飯長、長野県の諏訪市、埼玉県の秩父市・本庄市、静岡県の熱海市・西伊豆市・御殿場市・伊東市、東京都などです。

自治体によっては、個人の私有地であって自由に散骨できない場合があるので、散骨したい場所が該当する自治体であれば事前に役所に確認を行い、散骨を行う場合はその自治体の許可が必要です。

許可を得ない場合は条例違反となり罰則が課せられます。

違法とならない散骨可能な場所

木々

では逆に、違法とならない散骨可能な場所はどこなのでしょうか。

まず、自分の所有している自宅や土地であれば自由に散骨することができます。
しかし、やはり近隣住人の感情に配慮して行わなければなりません。

また、国有地や共有地で散骨に関して規制している自治体の領有地ではなく、近隣に観光地や住民のいない土地であれば散骨が可能です。

また最近では、空や宇宙は海と同様に所有権が発生しないので、空や宇宙に散骨をする業者が現れています。
これらの場所は個人ではさすがに無理があるので業者に頼むことになります。

散骨の許可に必要な手続き

お墓

節度をもって行われる限り散骨自体は違法ではありませんし、法的に決まったルールがあるわけでもありません。
しかし、散骨の行為自体は近隣住人やそこで生活の糧を得ている人に配慮して行わなければなりません。

まず一般的に散骨で必要な作業は、遺骨を粉状になるまで粉骨する必要があります。

骨と分かる状態で散骨すると先に触れているように死体遺棄に取られる可能性があるのと、やはり誰かが見つけた場合に感情的に気持ちがいいものではありません。
自身で故人の遺骨を粉状にするには感情的に辛いものがありますし、肉体的にも大変ですから専門業者に依頼した方が良いでしょう。
一週間ほどで粉状にして返却してくれます。

第二に、陸地に散骨した場合には散骨した遺骨の上に土をかけたり、落ち葉などで覆ったりしてはいけません。
この場合は埋葬に当たる行為になるので墓埋法違反になります。

第三に自分の所有地以外での散骨の場合は、その土地の所有者や自治体の条例を確認する必要があります。
所有者がいたり、条例があったりした場合はそれぞれその許可を得る必要があります。

ペットの散骨は違法?

ペット

最近ではペットも家族と一緒と考え葬儀を出す家庭も増えています。
中には愛したペットの遺骨と散骨して欲しいという人もいるかもしれません。
ペットの散骨はどういう扱いになるのでしょうか?

結果から言うとペットの埋葬を規定する法律はありません
またペットの散骨を規制する法律もありません。

愛するペットであってもその遺体は人間の遺体と違い、一般廃棄物に分類されるためペット葬儀業者に火葬や葬儀をしてもらったとしても、その遺骨は一般のゴミと同じ扱いになってしまいます。

つまり、法律上はペットの散骨は一般ゴミを撒く行為と一緒とみなされているのです。
ですのでペットを散骨することは違法ではありませんが、やはり節度をもって行わなければならず、人間の場合と同様に遺骨はそれと分からないよう粉状にし、近隣住民の感情に配慮しなればなりません。

散骨が違法なのかについてまとめ

葬儀

この記事では、散骨は違法なのかについて解説してきました。

散骨そのものは節度をもって行う限り違法ではありません。
ただし、散骨を行う場所に関しては、その場所によって民法や条例に触れる場合があり、また近隣住民に配慮して行わなければなりません。
ここで最後に、散骨に関する注意事項をまとめておきます。

  • 散骨そのものは違法ではありませんが、散骨の仕方によっては刑法190条の死体遺棄罪や死体損壊罪、墓埋法の埋葬地に関する法律に抵触する場合があるので注意が必要です。
  • 海や陸で散骨してはいけないという法律はありませんが、海であれば漁業権、陸地であれば所有権などが存在し、それを犯した場合には民法で慰謝料や損害賠償請求の対象になる場合があります。
  • 自治体によっては散骨を制限している所もあり、事前に調査が必要です。条例があった倍は許可申請が必要になります。
  • 散骨は散骨を行う場所の近隣住民の感情に配慮する必要があります。遺骨を粉状にすることでそれと分からないようにして散骨しなければなりません。

いかがでしたでしょうか?
散骨を選ばれた際には、今までご説明してきたことを注意しましょう。
散骨は新しい葬送のかたちとして徐々に広まりつつあります。
人は亡くなると最後は自然に還るのですから、理にかなった葬送であると言えるでしょう。

散骨について考える際にはぜひこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

今回終活ねっとでは「違法となる散骨」について解説しましたが、他にも「終活」に関する記事を多数掲載していますので、もし良ければ他の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。

最後までご拝読いただき、ありがとうございました。

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