死後事務委任契約書の意味とは?死後事務委任契約書とは何か、解説いたします
最終更新日: 2018年08月26日
死後事務委任契約書とは
読み方 しごじむいにんけいやくしょ
死後事務委任契約書とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。
) に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約のことです。
委任者と受任者双方の実印が必要となっているので気を付けましょう。
死後事務委任契約書の文例
以下に、死後事務委任契約書の例を挙げます。
ここに紹介するのは、ひとつの例です。
事情に応じて適宜内容を変更してください。
委任者〇〇〇〇(以下「甲」という)及び受任者△△△△(以下「乙」という)は、以下のとおり死後事務委任契約を締結する。
記
(委任者の死亡による本契約の効力)
第1条 甲が死亡した場合においても、本契約は終了せず、甲の相続人は、委託者である甲の本契約上の権利義務を承継するものとする。
2 甲の相続人は、前項の場合において、第10条記載の事由がある場合を除き、本契約を解除することはできない。
(委任事務の範囲)
第2条 甲は乙に対し、甲の死亡後における次の事務(以下、「本件死後事務」という)を委任する。
(1) 行政官庁等への諸届け事務
(2) 通夜、葬儀、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
(3) 老人ホーム入居一時金等の受領に関する事務
(4) 医療費、入院費等の清算手続に関する事務
(5) 生活用品、家財道具等の整理及び処分に関する事務
(6) 以上の各事務に関する費用の支払い
2 甲は乙に対し、前項の事務処理をするにあたり、乙が復代理人を選任することを承諾する。
(通夜・告別式)
第3条 前条の通夜及び告別式は、○寺に依頼する。
(永代供養)
第4条 第2条の納骨及び埋葬は、○寺にて行う。
(連絡)
第5条 甲が死亡した場合、乙は、速やかに甲が予め指定する親族等関係者に連絡するものとする。
(預託金の授受 預託金を設定する場合)
第6条 甲は、乙に対し、本契約締結時に、本件死後事務を処理するために必
要な費用及び乙の報酬に充てるために、金○万円を預託する。
2 乙は、甲に対し、前項の預託金(以下「預託金」という。)について預かり証を発行する。
3 預託金には、利息をつけない。
(費用の負担)
第7粂 本件死後事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、預託金からその費用の支払いを受けることができる。
(報酬)
第8条 甲は、乙に対し、本件死後事務の報酬として、金○万円を支払うものとし、本件死後事務終了後、乙は、預託金からその支払を受けることができる。
(契約の変更)
第9条 甲又は乙は、甲の生存中、いつでも本契約の変更を求めることができる。
(契約の解除)
第10条 甲又は乙は、甲の生存中、次の事由が生じたときは、本契約の解除することができる。
(1) 乙が甲からの預託金を費消するなど信頼関係を破綻する行為をしたとき
(2) 乙が健康を害し死後事務処理をすることが困難な状態になったとき
(3) 経済情勢の変動など本契約を達成することが困難な状態になったとき
(契約の終了)
第11条 本契約は、次の場合に終了する。(次の場合は省略)
(預託金の返還、精算)
第12条 本契約が第11条(契約の解除)又は第12条(契約の終了)により終了した場合、乙は、預託金を甲に返還する。
2 本件死後事務が終了した場合、乙は、預託金から費用及び報酬を控除し残
余金があれば、これを遺言執行者又は相続人若しくは相続財産管理人に返還する。
(報告義務)
第13条 乙は、甲に対し、1年ごとに、預託金の保管状況について書面で報告する。
2 乙は、甲の請求があるときは、速やかにその求められた事項につき報告する。
3 乙は、遺言執行者又は相続人又は相続財産管理人に対し、本件死後事務終
了後1か月以内に、本件死後事務に関する次の事項について書面で報告する。
(1) 本件死後事務につき行った措置
(2) 費用の支出及び使用状況
(3) 報酬の収受
(免責)
第14条 乙は本契約の条項に従い、善良な管理者の注意を怠らない限り、甲に生じた損害について責任を負わない。
終活としての死後事務委任契約書作成

ご自身が亡くなるようなことがあった場合に備えて、諸々の事務処理を行ってくれる人を予め決めておくと、ご自身にとっても周囲の方々にとっても安心です。
そういった意味で、生前に死後事務委任契約書を作成しておくのは、重要な終活のひとつといえます。
司法書士に相談するのも良いでしょう
死後事務委任契約書を法律の専門家に依頼するという方法もあります。
専門家の例としては、司法書士が挙げられます。
司法書士に相談するメリット
司法書士には、契約書作成の経験が豊富であるのみならず、不動産登記のプロという方もたくさんいます。
死後事務委任契約書に所有不動産に関する事務が含まれていれば、将来相続登記手続きなどもスムーズに進められるというメリットが期待できます。
司法書士に相談するデメリット
一口に司法書士といっても、その専門は登記や負債整理などさまざまです。
司法書士のすべてが、死後事務委任契約書に精通しているとは限りません。
よく確認して依頼しないと、多額の費用を払ったのに問題の多い契約書を作られてしまい、あとでトラブルのもとになった…などということになりかねません。
司法書士に限らず、専門家は慎重に選びましょう。