
葬儀の宗派ごとの違いの見分け方とは?宗派ごとの葬儀の特徴を解説!
葬儀に参列すると馴染みがない作法に遭遇することもあります。仏教には宗派がたくさんあり、葬儀にも違いがあることをご存知でしょうか。この記事では葬儀の宗派ごとの違いの見分け方を、それぞれの宗派の特徴と併せて解説します。
目次
最終更新日: 2020年12月17日
宗派ごとの葬儀について

仏教や神道、キリスト教など宗教によって葬儀の行い方は違ってきます。
日本人に一番な馴染みがあるのは仏教の葬儀です。
仏教の葬儀に参列しても宗派が変わると、葬儀の進行の仕方や作法などに戸惑うことがあるものです。
そもそも、どこの宗派かも見当がつかないこともありますよね。
仏教の葬儀では、宗派ごとにどのような違いがあるのでしょうか。
違いがわかっていると、安心して葬儀にも参列できるように思えます。
そこで今回「終活ねっと」では、葬儀の宗派ごとの違いや見分け方を宗派ごとの葬儀の特徴と併せて以下の項目を解説していきます。
仏教の宗派の種類について
仏教の宗派にはどんな種類があるのかを解説します。
葬儀の宗派ごとの割合は?
葬儀が行われる際の宗派による割合を解説します。
宗派による葬儀の違いや特徴について
宗派別に葬儀の特徴を解説します。
葬儀における宗派の見分け方とは?
葬儀で宗派を見分ける方法を解説します。
葬儀で宗派が間違っていた場合はどうすればよいか。
葬儀で宗派を間違えていたことに気がつた時の対応策を解説します。
宗派の違いで香典の表書きも変わってくる?
宗派別の香典の表書きを解説します。
葬儀の宗派による違いや見分け方を詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧いただき、役に立てていただければと思います。
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仏教の宗派の種類

日本人の多くは仏教を信仰しています。
仏教には全てを列することが難しいほどの宗派がります。
宗派ごとに開祖も違えば、経典や教えも変わってきます。
その多くを理解している人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、仏教の主だった宗派の種類を解説します。
浄土宗
開祖は法然で、本尊は阿弥陀如来です。経典は観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)です。極楽浄土には念仏を唱えることで至るとされ、修行は不要とされています。
浄土真宗
開祖は親鸞で、本尊は阿弥陀如来です。経典は無量寿経(むりょうじゅきょう)です。胸の内で念仏を唱えれば往生できるとされています。他力本願が特徴です。
時宗
開祖は一遍で、本尊は阿弥陀如来です。阿弥陀経を経典としています。念仏さえ唱えれば信心がなくとも往生できるとされています。特徴は踊り念仏で、踊りながら念仏を唱えるというものです。
天台宗
開祖は最澄で、法華経が経典となります。本尊はありません。他の宗派と比べて、比較的広範において穏やかで、円・密・禅・戒・念仏の全てを受け入れるという考えを持ちます。
日蓮宗
開祖は日蓮で、経典は法華経です。本尊は釈迦になります。南無妙法蓮華経を唱えることで現世において救われるという考えが特徴的です。
真言宗
開祖は空海で、大日経と金剛頂経が経典です。本尊は大日如来となります。密教で知られており、他の宗派は真言密教の一部であるという考えが特徴的です。
臨済宗
禅宗の一つで、開祖は栄西です。本尊や経典はありません。座禅を行う際は対面式で行い、公案に対して座禅をしながら答えていきます。全ての仏様や神様を祀るのが特徴的です。
曹洞宗
開祖は道元で禅宗の一つです。本尊は釈迦ですが、経典はありません。座禅を行う場合は面壁で行い、悟りを求めず悟りを開くため、ただひたすら座禅を組みます。悟りにこだわっていない点が特徴的です。
葬儀の宗派ごとの割合

日本で葬儀が行われる場合、仏式と神式、キリスト教と無宗教葬に分かれます。
この内、最も多い葬儀は仏式で全体の90%以上を占めています。
仏式の葬儀の中でも宗派を見ていくと、日本人が信仰している宗派の傾向がわかります。
日本における宗派の割合は最も多いのが浄土真宗で全体の20%を占めます。
次いで曹洞宗が12%で真言宗が8%、浄土宗が7%で日蓮宗が4%となります。
臨済宗や天台宗は各々1%で時宗については0.1%になります。
全般的に見て、浄土真宗や浄土宗などの浄土系の信仰がトータルとして多いとされています。
宗派ごとの葬儀の違い・特徴

仏教のお葬式が90%を超えると言っても、全てのお葬式が同じ作法や儀式で行われるわけではありません。
宗派によりかなり違ってくることもあるのです。
その違いを理解していると、自分の宗派ではない葬儀に参列することになっても慌てることもないと言えます。
ここでは、宗派ごとの葬儀の違いや特徴を解説します。
浄土宗
浄土宗は、念仏を唱えることで極楽浄土に辿り着けるという考えが基本です。
葬儀では仏の世界へと導く引導と、仏様の弟子にするための授戒が行われます。
南無阿弥陀仏を唱え、お線香は1本立て、お焼香は1回から3回行います。
卒塔婆を立て、お経は般若心経を読みます。
僧侶と参列者全員が南無阿弥陀仏を10回唱える十念を行います。
浄土真宗
同じ浄土真宗でも宗派が分かれることが知られています。
人は死ぬことで極楽浄土に迎えられるという考えが浄土真宗の基本です。
葬儀では引導や授戒は行われません。
浄土宗と同じく南無阿弥陀を唱えますが、お線香は1本を立てずに寝かせます。
位牌を使用せず、戒名にあたる法名を付けます。
故人に死に装束などは着せず、卒塔婆も立てません。
なお、お焼香の回数は宗派により違い、本願寺派は1回、真宗大谷派は2回、真宗高田派は3回となっています。
時宗
浄土宗の流れである時宗は少数派の宗派です。
時宗は、念仏を唱えることで極楽浄土に行くことが出来るという考えが基本です。
葬儀は浄土宗と似ており、引導と授戒が行われます。
南無阿弥陀仏を唱え、お線香は1本立て、お焼香は1回から3回です。
戒名にあたる法名を付けます。
僧侶と参列者全員が南無阿弥陀仏を10回唱える十念を行います。
以下の記事では、浄土真宗の葬儀の流れや特徴をより詳しく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。
天台宗
多くの宗派の原点であると言われる天台宗は、誰しもが仏になることができると説く法華経を重視しています。
葬儀では法華経を中心として読経され、引導が行われます。
南無阿弥陀仏を唱え、お線香は3本立て、お焼香は1回から3回行われます。
お経の際には念仏を唱えますが、抑揚や節を付けることが特徴となります。
棺の中に花びらや花の形をした紙を僧侶が撒く散華(さんげ)という儀式も独特です。
日蓮宗
日蓮宗は、お題目を唱えることで、生きたまま悟りを開く即身成仏になることが出来るという考えが基本です。
葬儀には独特の風習があります。
南無妙法蓮華経というお題目を唱え続けることが基本で、故人が極楽に辿り着けるように願います。
故人にとって、葬儀も現世での最後の修行であるという捉え方をします。
戒名にあたる法号を使用し、死装束を着用しない場合もあります。
お線香は1本もしくは3本立てで、お焼香は1回または3回押しいただきます。
真言宗
生きながらにして即身成仏ができると説く真言宗は密教の代表的な宗派です。
南無大師遍照金剛のお題目を唱える真言宗の葬儀は独特の雰囲気があります。
複雑な印を組んだり、他では見かけない密教法具などを用い、葬儀は進行します。
故人の頭に水をかける灌頂(かんじょう)と砂をかけて納棺する土砂加持は特徴的です。
お線香は3本立て、お焼香は3回押しいただきます。
以下の記事では、真言宗の葬儀の流れや式次第やお経の意味をより詳しく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。
臨済宗
臨済宗は禅宗の一つで、日々の行い全てが修行であるとされ、お釈迦様の心を看話禅(かんなぜん)で伝えます。
葬儀は引導と授戒、経文で仏に祈りを捧げる念誦を中心に行われ、南無釈迦牟尼仏というお題目を唱えます。
臨済宗では極楽往生ではなく、故人に悟りをもたらすために葬儀が行われます。
葬儀の後半では鳴り物や太鼓などで仏様を供養するという特徴があります。
お線香は1本立て、お焼香は1回で行われます。
曹洞宗
曹洞宗は禅宗の一つで、座禅によって体と心、息を調和させ安息が得ることが出来ると仏の姿に近づけるという考えが基本です。
葬儀は引導と授戒、経文で仏に祈りを捧げる念誦を中心に行われます。
お題目は南無釈迦牟尼仏を唱えます。
葬儀により故人は仏の弟子になるとされ、3人の僧侶がシンバルのような形をした鳴り物や太鼓を鳴らすのが特徴です。
お線香は1本立て、お焼香は2回行います。
葬儀の宗派ごとの見分け方

仏式の葬儀に参列すると、進行などは概ね理解できても、どこの宗派の葬儀なのかを理解するのは意外と難しいものです。
ここでは、葬儀の宗派ごとの見分け方をお経とご焼香の回数、太鼓の使用で見分ける方法を解説します。
宗派がわかって参列すると失礼がないように対応もできますし、安心してお祈りすることもできます。
お経
同じ仏式の葬儀でも宗派が違えば、経典も違いますし読まれるお経も大きく違ってきます。
葬儀では各宗派とも色々なお経が読まれます。
読まれるお経を聞くだけで、どこの宗派なのかを判別するには宗派ごとに違うお題目を知っておくことです。
各宗派の唱えるお題目は以下の通りです。
浄土宗
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
僧侶と参列者全員で十念を行うことが特徴です。浄土真宗
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
時宗
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
天台宗
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)、南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
日蓮宗
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
真言宗
南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)
臨済宗
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
曹洞宗
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
ご焼香の回数
お焼香とは、香料を小さく刻んで混ぜた抹香を香炉にくべることを指します。
故人の冥福を祈るため参列者全員が行います。
葬儀に参列した際に、お焼香は何回行うべきか迷うことも多いのですが、宗派によりお焼香の回数については違います。
以下が宗派別のお焼香の回数になります。
なお、押しいただくとは、抹香をつまみ目の位置よりも高くにかかげることを指します。
浄土宗
1回から3回押しいただく
浄土真宗本願寺派
1回押しいただかない
浄土真宗真宗大谷派
2回押しいただかない
時宗
1回から3回押しいただく
天台宗
3回押しいただく
日蓮宗
1回か3回押しいただく
真言宗
3回押しいただく
臨済宗
1回押しいただく
曹洞宗
2回(1回目のお焼香の際のみ、押しいただく)
以下の記事では、葬儀での正しい焼香のやり方をより詳しく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。
太鼓を使うかどうか
葬儀では鳴り物と言われるものが使用される場合が意外と多いです。
木魚やおりん、鈴やシンバルに似た妙鉢(みょうはつ)という楽器など色々なものが使用されます。
しかし、使用される鳴り物は宗派によって違います。
太鼓を葬儀で主に用いる宗派は次の通りです。
日蓮宗では、妙鉢や団扇太鼓が使用されます。
曹洞宗では「鼓鉢三通(くはつさんつう)」という儀式が知られています。
妙鉢や引磐(いんきん)、太鼓を用いて音を鳴らす儀式です。
故人を現世から仏の世界に導かれることを表しています。
臨済宗でも同様に太鼓を葬儀で用います。
葬儀の宗派が間違いだった場合はどうする?

近年は、お寺と縁がないという方が増えています。
宗教のことにも無関心で、自分の家の宗派もわからないという方も意外と多いようです。
そのため、思いがけなく葬儀を執り行なうべき立場になった際に、宗派を間違えて葬儀をあげてしまうという方もいらっしゃいます。
そんなときはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、葬儀の宗派が間違いだった場合はどうすれば良いのかを解説します。
戒名を授かるまでは他宗派でも大丈夫
葬儀の宗派が間違っていたことに気が付いた場合は、直ぐに葬儀をあげてくれたお寺の住職か本来お願いするべきだった宗派の住職に連絡をすることから始めましょう。
宗派が間違っていたことに気が付くのが四十九日までであれば、故人はまだ極楽浄土へは辿り着いていないことになるので解決方法はあるのです。
お寺への連絡後、正しい宗派のお寺の住職に改めて儀式を行っていただき、戒名を授かれば問題はありません。
当然、お布施や戒名代などは別途必要になります。
また、間違って葬儀をお願いしてしまったお寺の住職に対しても何らかのお詫びをするのは忘れずに行いましょう。
宗派を変えることはできる?
葬儀で宗派を間違えたことをきっかけに宗派を変えてしまうという判断をすることも出来ます。
特に本来の宗派に信仰心がないということであれば、宗派を変えることも可能です。
ただし、気をつけなくてはいけない点もあります。
それはお墓の問題です。
本来、葬儀をあげてもらうべきだったお寺と縁も薄く、お墓も宗派に関係なく使用できる公営や民間の霊園にあるのであれば問題なく改宗はできます。
逆に、先祖代々のはお墓が寺院墓地にあり檀家であるということならかなり面倒です。
基本的に、改宗するとお寺にあるお墓には入ることは出来ません。
新たにお墓を購入することが必要になります。
場合によっては、しっかりとした手続きを経て檀家を離れるという選択も必要になります。
いずれにしても別で費用がかかる話になってきます。
改宗するにも経時的な面も考えて冷静に判断をすることが必要です。
葬儀をする前に宗派の確認が大事
自分の家の宗派がわからないのであれば、葬儀を執り行う前には宗派を確認することが必要です。
宗派によって葬儀の中身や進行もまったく変わってきます。
一番良い方法は、身内に確認をすることです。
親戚に確認をするのも良いでしょう。
多くの場合、それで周知できるはずです。
できれば、葬儀が目前に迫っている時に調べるのではなく、日常の中で確認をしておくようにすることが望ましいです。
どうしても、宗派がわからない場合は菩提寺があるならそれで判断が可能です。
菩提寺の宗派が自身の家の宗派になります。
仏壇があれば、中の掛け軸や御本尊は宗派によって違いがあるので、どこの宗派かも判断が可能です。
位牌に描かれている戒名でも宗派の判別はおよそ可能です。
宗派によって戒名に入る文字に傾向があるからです。
宗派別の香典の表書き

葬儀に参列する際には、受付でお香典をお渡しすることになります。
お香典の表書きに関しても宗派によっての違いがあるので注意が必要です。
ほとんどの宗派に共通する葬儀の際のお香典の表書きの基本形は「御霊前」もしくは「御香典」、「御香料」です。
ただし、浄土真宗の葬儀の際は、「御仏前」が表書きとなります。
「御仏前」は浄土真宗以外では四十九日の法要以降でしか用いませんので気をつけましょう。
以下に葬儀でのお香典の表書きを一覧にまとめました。
浄土真宗
御仏前が基本。
御香典、御香料でも構わない。浄土真宗以外の宗派
御霊前、御香典、御香料
香典の書き方についてより詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
宗派ごとの葬儀に関するまとめ

葬儀の宗派ごとの違いの見分け方に関して、おわかりいただけたでしょうか。
今回「終活ねっと」では、葬儀の宗派ごとの違いの見分け方や宗派ごとの葬儀の特徴について以下のことを解説してきました。
仏教の宗派の種類はいくつかあり、宗派ごとに教えや経典などが違うということ。
葬儀の宗派ごとの割合は浄土真宗が一番多く、曹洞宗や真言宗に浄土宗がそれに続くということ。
宗派ごとに葬儀には特徴や違いがあるということ。
葬儀の宗派ごとの見分け方はお経やご焼香の回数、太鼓の仕様の有無などを見ると良いということ。
葬儀の宗派が間違いだった場合には、正しい宗派で改めて戒名を授かれば問題ないということ。
お香典の表書きは、ほとんどの宗派では御霊前や御香典に御花料が基本だが、浄土宗のみ御仏前にする必要があるということ。
仏教の宗派には色々とあり、葬儀の際でも宗派によって作法や儀式内容はかなり違うのですね。
葬儀に参列して、どこの宗派かを知るにはお焼香の仕方やお題目などを知っていれば大いに役に立つということがよくわかりました。
各宗派の教えなども知っておくと、より葬儀の儀式の内容が理解できるかも知れません。
「終活ねっと」では「葬儀の宗派ごとの見分け方」に関する記事以外にも、葬儀や宗派に関して詳しく解説した記事を多数掲載しています。
ぜひそちらの方もご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
以下の記事では、葬儀の費用について内訳や安くする方法をより詳しく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。
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