
香典返しの熨斗(のし)の書き方は?|選び方・水引・マナー
香典を頂いた方には香典返しをしますが、香典返しにつける熨斗(のし)はどうすればよいのでしょうか?今回は沢山ある香典返しのマナーの中で、香典返しに使うのしの書き方や選び方、包み方などについて解説していきます。
目次
最終更新日: 2019年09月13日
のしの選び方や書き方に決まりはあるの?

日本では、親族が亡くなって自身が喪主として葬儀を主催することになった時、たくさんの方に香典を贈っていただくと思います。
また、香典を頂いた人にそのお礼や法要が無事終わったご報告も兼ねて香典返しをするのが習慣になっていますね。
香典返しをする際、品物やお返しをする時期などで悩まれる方も多いようですが、慶事の時の贈り物のように熨斗(のし)を付ける必要はあるのかと疑問に思われる方も多いかと思います。
不幸は突然やってくるものですから、いざというときに慌てることのないよう香典返しのマナーについては抑えておきたいものです。
そこで今回「終活ねっと」では、香典返しの熨斗(のし)について選び方や書き方などのマナーも含め以下の流れで解説していきます。
香典返しに使用する熨斗について
香典返しに使う熨斗の書き方について
香典返しの内のし、外のしについて
香典返しの挨拶状の書き方について
49日が近づき香典返しの準備を始めようとしている方や葬儀の当日に渡そうと考えている方など、ぜひ最後までお読みいただき、香典返しをするときの参考にしていただければ幸いです。
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葬儀にかかる費用についてわからないことがある方は、「葬儀費用の相場はいくら?内訳や料金を安くする方法、注意点まで解説」をご覧ください。
以下の記事では、香典返しに関する基礎知識やよくある疑問をまとめています。
香典返しの基本的なマナーを知りたい方は、ぜひご覧ください。
香典返しに使う熨斗(のし)とは

贈り物にのしを付けるというのはよく聞くと思いますが、そもそも熨斗(のし)とは何なのでしょうか?
ここでは慶事などに使うのしと香典返しなど弔事で使うのしについて解説します。
熨斗とは
のしとは慶事の際の贈り物などにつけられる飾りのことで、水引と呼ばれる紐の飾りと併用されます。
また、あわび貝を薄くのばして乾燥させたあわび熨斗をお祝い事の贈り物に付ける慣習がのしの由来とされています。
現代ではのしは黄色い紙を六角形の紙で包んだものになっていますが、近頃は熨斗紙(のし紙)という贈り物に巻く紙にその絵が印刷されていることが多く、「のし」の2文字だけが印刷されている場合もあります。
しかし、のしと水引が印刷されたのし紙はあくまで略式とされているので、大切な贈り物などでは使えないこともあるので気を付けましょう。
香典返しの熨斗は掛け紙という
香典返しも熨斗紙のような紙に包んで贈られることが多いようですが、香典返しなど弔辞で使われるのは熨斗飾りのない掛け紙と呼ばれる紙になります。
そのため、香典返しに「熨斗を付ける」と言う人もよくいるのですが、正確には掛け紙になります。
香典返しに使う熨斗の選び方

香典返しに使うのし紙、つまり掛け紙はどのようなものを選べばよいのでしょうか?
ここでは水引や印刷されている絵などについて解説します。
水引のみが印刷されているもの
香典返しに使う掛け紙はのしのついていない、水引のみが印刷されたものになります。
熨斗飾りは祝い事など慶事で使うものなので、弔事である香典返しでは水引のほかにのしが印刷されているのし紙はふさわしくありません。
水引は結び切りで色が黒白か黄白のもの
香典返しに使う掛け紙に印刷されている水引はどのようなものを選べばよいのでしょうか?
基本的に水引は宗教問わず黒白か黄白の結び切りのものとなります。
黄白の水引は主に関西地方で使われます。
また、水引の結び方には、蝶結びと結び切り、あわじ(あわび)結びの3通りがあります。
蝶結びは何度も結び直せることから、何度あってもよいという意味でお祝いごとに使われます。
結び切りは結び直せないことから、弔事が繰り返されないようにという意味で弔事の時に使われます。
また、あわじ(あわび)結びは慶事・弔事両方に使われます。
あわじ(あわび)結びは、結び切りと同じように結び直すことが難しいものですが、水引の両端を持って引っ張るとさらに強く結ばれることから、末永く付き合うという意味もあります。
香典返しの水引には、結び切り、もしくはあわじ(あわび)結びを使いましょう。
蓮などの絵がついている場合
基本的に香典返しには水引のみが印刷されたものを使いますが、仏式用の掛け紙には蓮(ハス)の絵が印刷されていることがあります。
仏式の場合はこのタイプの掛け紙を使うことができますが、キリスト教や神式の場合はマナー違反となってしまうので気を付けてください。
ちなみに、絵の上に後述する名前や表書きを書いても問題ありません。
のし紙のテンプレートを使う手も
のし紙の水引などのテンプレートをインターネット上でフリーでダウンロードし、印刷できるサービスがあるのをご存知ですか?
慶事用のサイトが多いですが、中には弔事用のテンプレートを扱っているサイトもあり、後述する表書きや名前を設定して印刷することもできます。
無料で利用できる上、熨斗を買いに行く手間もかからないので、葬儀や法要の片付けで忙しいときなどに活用してみてください。
香典返しの熨斗の書き方

香典返しに使う熨斗は水引のみが印刷された掛け紙ですが、掛け紙には何を書けばよいのでしょうか?
基本的には表書きと喪主・喪家がわかる名前を書きます。
ここではのし上・のし下に書く表書きや名前の書き方、薄墨で書かなければいけないのかなどの疑問について解説していきます。
のし上の表書き(上書き)の書き方
掛け紙(のし紙)の水引の上をのし上と呼びますが、のし上には表書きを書きます。
ここではその表書きについて宗教や地方別に見ていきます。
宗教問わず使える志
香典返しの表書きには一般的に志と書きます。
これは、宗教を問わず使うことができます。
志の意味は気持ちと言われています。
そのため、お礼の気持ちを込めて志と書きます。
仏式
仏式、つまり仏教においては使われる表書きは志になります。
浄土真宗
浄土真宗において香典袋に書く表書きは通常の仏式と異なるので、香典返しでも異なる表書きを使うと思われる方がいらっしゃると思いますが、香典返しの場合は仏式と同じく志で問題ありません。
キリスト教・神式
キリスト教や神道の場合は、掛け紙に偲び草と書くことが多いです。
そもそも、香典とは故人の御霊前にお香をお供えする代わりに金銭をお供えするもので、仏式のものです。
そのため、キリスト教や神道ではそういう香典返しという習慣はもともとありません。
ですが、昔からキリスト教や神道のご葬儀の時には、香典に代わる御花料や玉串料をお供えする風習がありますので、そのお礼を込めて品物をお返しするようになりました。
偲び草には故人を偲ぶ気持ちを粗品に代えてという意味が込められています。
また、キリスト教式や神道の場合でも志を使って大丈夫です。
関西・西日本では満中陰志
関西・西日本では、仏式の香典返しの表書きには満中陰志と書くところもあります。
中陰とは仏教用語で亡くなられてから四十九日の期間を指し、満中陰とは四十九日目の忌明けを迎えることを意味する言葉です。
香典返しは四十九日の忌明けの時にお渡しすることが一般的なので、満中陰に贈る志(気持ち)という意味で香典返しの表書きに満中陰志と書くようになりました。
粗供養と書く場合
粗供養(そくよう)とは、ご葬儀や法要などで御供養して下さった方にお礼を込めてお返しする粗品のことをいいます。
主に西日本で多く使われます。
東日本では法要の返礼品全般には志が使われることが多いですが、西日本ではこの粗供養という言葉が使われることが多くなっています。
最近ではご葬儀の当日返しなど、忌中にお返しを贈る際にこの言葉が使われるようになりました。
しかし、西日本では志と同じように粗供養という言葉が使われますので、当日返しのみならず、四十九日などの法要の際のお返しの時にも粗供養と書いても問題はないと言えます。
のし下の名前の書き方
香典返しを包む掛け紙の水引の下をのし下と言いますが、ここには名前を書きます。
ここでポイントとなるのは、受け取る側に誰からの香典返しかがわかるように気を付けることです。
名前は喪主・施主のフルネームか苗字
のし下に書く名前は喪主・施主のフルネーム、または苗字を真ん中に縦書きで書きます。
苗字を書く場合は喪家の姓をそのまま書くか「○○家」と書くのが一般的とされています。
実家が喪家の時は旧姓
実家が喪家の場合で現在の姓と異なる場合などは、受け取った側が誰の葬儀に贈った香典の香典返しかがわかりやすいように、喪家の姓に合わせて旧姓を使用しましょう。
名前なしでも良いか
のし下に名前を入れる必要があるかどうかですが、基本的に名前を入れることが望ましいです。
なぜなら、名前がないといつ誰のご葬儀の香典返しか分からないからです。
喪主側の何かしらの事情で名前を書かないこともあるようですが、かなり稀なケースになります。
のし下にはきちんと名前を書いておきましょう。
濃い墨でも薄墨でも良い
文字の色は黒(濃墨)でも薄墨でもどちらでもよいとされています。
基本的に亡くなられた直後は「悲しみの涙で墨が薄くなった」という意味から薄墨を使います。
忌明け(四十九日)後は「気持ちが落ち着いて穏やかに暮らしています」という意味から濃墨を使います。
しかし、最近では忌明け後でも「悲しみがまだ癒えません」という意味から薄墨を使うことも増えてきています。
だだし、薄墨でなくてよいとされていても、ボールペンやサインペンで書くのは避けるのが無難といえます。
また、先ほどご紹介したインターネットからダウンロードできるテンプレートには表書きや名前を印刷できるものありますが、その場合は印刷でも問題ありません。
香典の薄墨については以下の記事を参考にしてみてください。
内のし(内掛け)外のし(外掛け)とは

香典返しののしのかけ方には、内のし(内掛け)と外のし(外掛け)の2種類があるのをご存知ですか?
内のし(内掛け)とは、品物の上に直接のしをかけてそれを包装紙で包むものです。
外のし(外掛け)とは、品物を包装紙で包んでその上にのしをかけるものです。
当日返しなど相手に直接香典返しを手渡しする場合は、外のしをかけることが一般的です。
外のしの場合、誰から贈られたものなのか受け取る側が一目でわかるというメリットがあります。
しかし、最近では宅急便などで香典返しを贈ることが増えてきて配送途中でのしが破れてしまう可能性があります。
そのため、香典返しを発送する場合は内のしをかけるのが一般的です。
また、外のしに比べて内のしの方が控えめに感じるという人もいます。
香典返しはお祝いごとではありませんので、より控えめな内のしを選ばれる方も多くなっています。
香典返しの挨拶状の書き方

ここまで香典返しにつけるのしについて解説してきましたが、香典返しにはお礼などを書いた挨拶状を添えるのもマナーとされています。
挨拶状に書く内容としては
会葬していただいたことや香典をいただいたことへのお礼
忌明けの法要や納骨を無事に終えたことの報告
香典返しの品物を贈ったというお知らせ
略儀で済ませることへのおわび
の4点を必ず入れましょう。
また、挨拶状を書くときの注意点は以下の通りです。
繰り返しの言葉は使わない
季節の言葉は入れない
句読点を使わない
香典返しに添える挨拶状については以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
香典返しの熨斗についてまとめ

いかがでしたでしょうか?
今回「終活ねっと」では、香典返しの熨斗(のし)について以下のポイントを中心に解説してきました。
熨斗とは慶事の際に使われる飾りのことだが、弔事である香典返しにおいては熨斗のついたのし紙ではなく、水引のみが印刷された掛け紙を使う。
水引は宗教関わらず黒白か黄白の結び切りか、あわじ(あわび)結びのものを使う。
蓮の絵が描いてある掛け紙もあるが仏式用なので、キリスト教・神式では避けるべきである。
インターネット上でフリーでダウンロードできるのし紙のテンプレートを活用する方法もある。
のし上には表書きを書くが、基本的に全宗教共通で「志」と書く。
キリスト教・神式の場合は「偲び草」と書くこともある。
また、関西・西日本の場合は「満中陰志」や、期中の場合「粗供養」と書くこともある。のし下に書く名前は喪主のフルネームか苗字である。
実家が喪家の場合は実家の姓に合わせる。
名前を書かないのはマナー違反。
名前を書く上で重要なのは、いつ誰からの香典返しかが受け取る側にわかりやすいようにすること。香典返しの熨斗を場合は濃い墨でも薄墨でも良いが、ボールペンやサインペンは避けたい。
香典返しはお礼や葬儀・法要を終えたことの報告などを書いた挨拶状を添えるのがマナー。
ご不幸は突然起こります。
香典返しをするときも忌明けとはいえ、まだまだ慌ただしい日々の中で準備しなければならないと思います。
香典返しをする際はぜひこの記事を参考にしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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