
仏壇の仏具の正しい並べ方は?|曹洞宗・真言宗・浄土真宗・浄土宗
仏壇を置く際には、仏壇に並べる仏具の種類や並べ方に気を遣う必要がありますが、並べ方がよく分からないという人が多いのではないでしょうか?今回は、仏壇の仏具の正しい並べ方や宗派による違い、仏壇に関する注意点などについて解説します。
最終更新日: 2020年12月17日
仏壇の仏具の並べ方を紹介します!

仏壇を置く際に考えなければならないことは、仏壇本体のことだけではありません。
仏壇に並べる仏具の種類や並べ方にも気を遣う必要がありますが、いまいちよく分からないという人が多いのではないでしょうか?
今回「終活ねっと」では、仏壇の仏具の正しい並べ方や宗派による違い、仏壇に関する注意点などについて解説します。
仏壇に並べる仏具にはどんなものがあるの?
仏具の並べ方は宗派ごとに違うらしいけどどうやって並べるの?
仏壇を置く際に注意しなければならないことは何?
仏壇にはどんな種類があるの?
以上の項目について解説します。
仏壇の仏具の並べ方について不安がある人は、ぜひ最後までお読みください。
仏具の正しい並べ方

仏壇には本尊や掛け軸、位牌など数多くの仏具が並べられます。
現在ではそれほどうるさく言われることはありませんが、仏具には宗派ごとに異なる並べ方があります。
ここではそんな仏壇の並べ方について詳しく解説します。
仏壇に飾るその他の仏具について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
仏壇に並べる仏具
仏壇に並べる仏具には数多くの種類があります。
しかし、現在は上置き仏壇や壁掛け仏壇などの小さな仏壇が増えたたため、必ずしも全ての仏壇が並べられるとは限りません。
そこで、仏具の中から特に重要なもののみを挙げてみましょう。
本尊(ほんぞん)
仏教における信仰の中心となる仏を象った像。宗派によって異なるが、本尊が仏壇の中心となる点は共通している。
掛け軸
菩薩などが描かれた掛け軸。一般的に仏像は本尊の両脇に控える脇侍(菩薩や明王など)とセットになっているが、仏壇の場合は脇侍を掛け軸で代用する。
位牌
故人の戒名などが記された木版。霊の依代とされる。先祖代々受け継いでいる位牌があれば、1つの仏壇に複数の位牌を並べる場合もある。
火立(ひたて)
ロウソクを立てるための台。三具足(後ほど解説)の1つ。
花立(はなたて)
仏壇に供える花を立てるための台。三具足の1つ。
香炉
香を入れて焚くための器。古代インドの風習に由来する。三具足の1つ。
上記の仏具のうち、火立・花立・香炉の3つを三具足(さんぐそく)と呼びます。
三具足とは、仏壇を飾るための最も基本的な仏具のことです。
宗派によって微妙な違いはありますが、仏壇に最低限必要な仏具は、本尊と三具足であるとされています。
特別な法要などを行う場合は、花立と香炉を1対(2つ)ずつにした五具足(ごぐそく)を用いて仏壇をさらに豪華に飾ることもあります。
上記の仏具以外にも、仏飯器・茶湯器・線香差・高月などの仏具が用いらますが、必ず必要なものではありません。
仏壇に飾るその他の仏具について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
宗派ごとの仏具の並べ方
以前は仏具の並べ方に宗派ごとに特色がありました。
しかし、住環境の変化によって小さな仏壇が増えたことで、風習に則って仏具を並べることが難しくなりました。
現在は仏具の並べ方を厳密に守らなければならない宗派は少なくなっており、本尊と脇侍、位牌の並べ方さえ守っていれば、その他の仏具は自由に並べてよいとされています。
以下で宗派による仏具の並べ方の違いを、本尊・掛け軸・三具足・位牌などの重要な仏具に絞って解説します。
解説を参考にしつつ、仏壇の大きさやデザインに合わせて仏具を並べましょう。
浄土真宗
浄土真宗は本願寺派(西本願寺)と大谷派(東本願寺)で並べ方が微妙に異なります。
浄土真宗の仏具の並べ方は以下の通りです。
最上段の中央に本尊(阿弥陀入来)を置く。脇侍は、本願寺派は左に親鸞聖人、右に蓮如聖人の掛け軸、大谷派は左に十字名号、右に九字名号の掛け軸を飾る。
下の段の中央に香炉を置き、左に花立、右に火立を置く。
浄土真宗の仏壇の最大の特徴は位牌がないことです。
浄土真宗には「故人の霊が位牌などの依代に宿る」という考え方がないため、基本的に位牌は作りません。
ただし、一部の信徒は他の宗派に倣って位牌を作ることもあります。
位牌がある場合は、他宗派の並べ方を参考にするとよいでしょう。
浄土宗
続いて浄土宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(舟型光背をつけた阿弥陀入来)を置く、脇侍は右に善導大師、左に法然上人の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置き、同じ段に仏飯器や茶湯器、高月などを置く。
さらに下の段の左右に火立・花立を置き、中央に香炉を置く。
舟型光背とは、蓮華の花びらの形をした後光のことです。
浄土宗の本尊は正式には舟型光背の阿弥陀如来像ですが、通常の阿弥陀如来像でも構いません。
また他の宗派の位牌の置き方にも言えることですが、下段に置く位牌で本尊が隠れてしまわないように注意しましょう。
真言宗
続いて真言宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(大日如来)を置く。脇侍は、右に弘法大師、左に不動明王か興教大師の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置き、同じ段に高月や仏飯器を置く。
さらに下の段の左右に火立や花立を置き、中央に香炉を置く。
真言宗の本尊は大日如来ですが、信徒が個人的に信仰している仏があれば、そちらを本尊にしても構わないとされています。
天台宗
続いて天台宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(釈迦如来)を置く。脇侍は、右に天台大師、左側に伝教大師の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置く。左右に高月や仏飯器などを置く。
さらに下の段に左右に火立や花立を置き、中央に香炉を置く。
天台宗の本尊は釈迦如来ですが、阿弥陀如来や観世音菩薩を本尊としても構わないとされています。
特に近年は阿弥陀如来を本尊とする人が増えています。
曹洞宗
続いて曹洞宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(釈迦如来)を置く。脇侍は、右に承陽大師、左に常済大師の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置く。左右に高月や仏飯器などを置く。
さらに下の段に左右に火立や花立を置き、中央に香炉を置く。
曹洞宗や後に解説する臨済宗などの禅宗は、正式に本尊を定めていません。
そのため、個人が信仰している仏を自由に本尊としてよいとされていますが、一般的には釈迦如来が本尊とされています。
曹洞宗のお盆について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
臨済宗
続いて臨済宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(釈迦如来)を置く。脇侍は、右に文殊菩薩、左に普賢菩薩の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置く。左右に高月や仏飯器などを置く。
さらに下の段に左右に火立や花立を置き、中央に香炉を置く。
先に解説した曹洞宗と同じく、臨済宗も正式に本尊を定めていません。
ただし、臨済宗の各宗派が釈迦如来を便宜的に本尊としていることから、一般家庭でも基本的に釈迦如来を本尊とします。
脇侍は多種多様で達磨大師や観世音菩薩の掛け軸を飾る場合もあります。
日蓮宗
最後に解説するのは日蓮宗の仏具の並べ方です。
最上段の中央に本尊(大曼荼羅)の掛け軸を飾り、掛け軸の前に日蓮上人の木像を置く。脇侍は右に鬼子母神、左に大黒天の掛け軸を飾る。
下の段の右端に位牌を置く。左右に高月や仏飯器などを置く。
さらに下の段に左右に火立や花立を置き、中央に香炉を置く。
日蓮宗は本尊に対する考え方が少々特殊です。
日蓮宗で本尊とされる大曼荼羅とは、宗祖の日蓮が法華経に登場する仏などを書き表した曼荼羅のことです。
仏壇には大曼荼羅の掛け軸さえあればよいとされていますが、宗祖である日蓮の木像を曼荼羅の前に置く場合もあります。
仏壇に関する注意点

仏壇を置く際に気をつけなければならないことは、仏具の並べ方だけではありません。
以下で仏壇に関するその他の注意点について解説します。
仏壇の相続について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
位牌の位置に注意する
先に解説した通り、仏壇の位牌の位置には特に注意しましょう。
位牌は基本的に本尊の下の段に置きますが、位牌によって本尊が隠れてしまわないように注意しなければいけません。
位牌の位置をずらすなどして本尊の位置と重ならないように注意しましょう。
また位牌が複数ある場合の並べ方にも注意が必要です。
位牌は右奥に最も古い先祖の位牌を置き、左に向かって世代の古い方から並べていきます。
一段に並べきれない場合は、下の段の右から左に向かって再び並べていきましょう。
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位牌の購入をご検討中の方、位牌に関して疑問がある方は、下記のリンクからお気軽にご相談ください。
直射日光や湿気を避ける
仏壇にとって直射日光や湿気は大敵です。
最近はさまざまな仏壇が作られていますが、どの種類の仏壇も基本的に木製で塗装が施してあります。
直射日光が当たる場所に仏壇を置くと、日光による熱で塗装が剥げてしまいます。
また湿気の多い場所に仏壇を置くと、木材の腐食が進み、仏壇の劣化が早まります。
仏壇本体だけでなく仏具も直射日光や湿気に弱いものが多く、このような場所に仏壇を置いてもよいことはありません。
仏壇は日光が直接当たらず風通しのよい場所に置きましょう。
神棚と同じ部屋に置く場合は?
一つの部屋に、仏壇と神棚の両方が置いてあることに問題ありません。
ただし、仏壇と神棚を向かい合わせにして置いてはいけません。
仏壇と神棚を向かい合わせにしてしまうと、一方を拝む際にもう一方に背を向けざるをえません。
仏壇にしろ神棚にしろ背を向けることは大変失礼であるとされているため、両者の位置をずらすなどして向かい合わせにならないように配置しましょう。
どのような仏壇がある?

最近は多様化した日本の住宅事情に合わせたさまざまな仏壇が作られています。
以下で仏壇の種類について解説します。
唐木仏壇
唐木仏壇とは、唐木(紫檀や黒檀などの丈夫な木材)で作られた木目調の仏壇です。
素材を生かしたシンプルなデザインが特徴であり、癖のない見た目であらゆるインテリアに合わせられます。
価格はピンからキリまであり、高級品である無垢材(丸太から切り出したままの合板ではない木材)使用したものは100万円を超えることも珍しくありません。
無垢材ではなく合板を使用したものは安価であり、20万円程度で購入できるものもあります。
金仏壇
金仏壇とは、黒の漆の上に金箔を施した仏壇です。
浄土真宗の信徒の間でよく用いられている仏壇ですが、他の宗派で使われることもあります。
工芸品としても有名であり、産地ごとにさまざまな手法による金仏壇が作られています。
基本的に高級品であり100万円を超えるものも多いですが、中には30万円~50万円程度のものもあります。
金仏壇について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
モダン仏壇
モダン仏壇とは、現代風・洋風のインテリアに調和するように作られた仏壇の総称です。
従来の仏壇は基本的に和風のデザインですが、最近は和室のない家も珍しくないため、洋風の家具のようなデザインの仏壇が作られるようになりました。
価格は和風の唐木仏壇や金仏壇に比べると安価であり、10万円を下回るものもありますが、中には高級品もあります。
ミニ仏壇
ミニ仏壇とは、高さが30cm~50cm程度しかない小さな仏壇の総称です。
タンスなどの家具の上に置くだけで場所を取らないため、アパートやマンションなどにも簡単に置くことができます。
デザインはモダン仏壇のような現代風・洋風が多いですが、和風のものもあります。
簡素なものであれば1万円を下回るものもありますが、唐木製などの高級品だと20万円近くするものもあります。
仏壇の仏具の並べ方まとめ

いかがでしたか?
今回「終活ねっと」では、仏壇の仏具の並べ方について以下のように解説してきました。
仏壇の仏具にはさまざまな種類があるが、最も重要なものは本尊(各宗派の信仰の中心となる仏像)と三具足(火立・花立・香炉)である。
仏具の並べ方は宗派ごとに異なっており、特に本尊や脇侍の並べ方に気をつける。
位牌を並べる際には位置に注意する。
仏壇を直射日光が当たる場所や湿気が多い場所に置かない方がよい。また仏壇と神棚を向かい合わせにしてはいけない。
唐木仏壇や金仏壇のような以前からある和風仏壇のほかにも、最近はモダン仏壇やミニ仏壇などの現代風・洋風の仏壇もある。
仏壇の仏具は他にもさまざまな種類がありますが、一気に全てを購入する必要はありません。
本尊や位牌など、最低限必要なものをとりあえず並べておき、後は何が必要かを考えながらゆっくりと揃えていけばよいでしょう。
「終活ねっと」では、他にも仏壇や葬儀などに関する記事を掲載してます。
そちらもぜひご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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