東京都での家族葬の特徴としては、家族葬への理解が深い地域であることが挙げられます。
家族葬は首都圏を中心に広がりを見せていますが、東京都での家族葬を選ぶ人の割合は一般葬と同等程度であると言われています。
したがって家族葬に対して寛容で、理解の深い葬儀社や寺院も多いのです。
地域によっては自宅で通夜や葬儀を行うことが多いですが、東京都では斎場や寺院で執り行うことが多いです。
都心の地域はこの傾向がより強く見られます。
また、一般の参列者は通夜にのみ参列する人が多いことも東京都の葬儀の特徴です。
逆に、葬儀・告別式は親族などに限られることが多いです。
その他にも全国から人が集まる東京ならではの特徴や風習がありますので紹介していきます。
東京都のお通夜
では東京でのお通夜の特徴は、他県とどのような違いがあるのでしょうか。
ここからは主に東京のお通夜のルールについて解説していきます。
お通夜の時間帯
現代人の生活様式に合わせるように、最近は「夜通し親族のみで故人に付き添い線香をつなぐ」という本来の意味での本通夜は少なくなりました。
近年では東京などの都市部を中心に、18時頃から始まり1、2時間ほどで終わる半通夜が主流になっています。
お通夜の服装・マナー
お通夜での服装はまず、故人への弔意とご遺族の心に寄り添う気持ちを表すものが基本です。
それを踏まえた上で、東京ではどのような決まりごとがあるのでしょうか。
ここからは東京のお通夜の服装やマナーについて、具体的に解説していきます。
大前提として、お通夜に着ていく服装は喪服でなくてもかまいません。
さらに地味な色とデザインの平服であれば黒でなくても、紺やグレーで問題ありません。
ですが最近の東京では、お通夜からブラックフォーマルのスーツやアンサンブルで参列する方を多く見かけます。
時代とともに変化している東京のお通夜における服装マナーは、現在さまざまな判断基準が混在した状態から少し脱し、整理がついたような状況です。
基本的にお通夜に参列する時の態度は「とり急ぎまず駆けつける」という気持ちで伺うことが重要です。
そのためお通夜では、その気持ちを表す地味めの平服を着用するのが正式なマナーとされています。
逆に喪服でお通夜に参列することは、本来ならば「不幸の予測」の表れとして非礼なことと考えられていました。
ですが近年は時流の変化に伴い、お通夜における喪服の意味が変わってきました。
東京などの首都圏においては通夜、告別式の両日に参列するケースは少なく、お通夜が故人との最期のお別れになる一般参列者がほとんどです。
そのため、お通夜から喪服を着用して参列する人が年々増加しています。
また東京ではなかなか会場の予約が取れず、お通夜が訃報から1週間後になるということも珍しくありません。
そうなると喪服着用は必然になるなど、東京ではさまざまな理由で、大半がお通夜から喪服を着用するようになっています。
東京独自の葬儀の風習
葬儀における昔ながらの風習も、東京では独自のものがあります。
ここからは、東京独自の葬儀の風習について詳しく説明していきます。
通夜振る舞いは一般の人も食べる
通夜が終わると、喪家が食事やお酒を振る舞う通夜振る舞いの別室に案内されます。
関西を中心に西日本では、通夜振る舞いは親族を接待するものですが、東京の通夜振る舞いは一般参列者も含めて通夜の参加者全員に振舞われるものです。
別名を「お清め」ともいい、食事をしながら故人を思い語らうことが供養とされる昔ながらの習わしです。
別会場に案内されて大皿に盛られた料理やお酒などをすすめられたら、遠慮なく一口でも箸をつけるのが礼儀です。
また福生市では、通夜振る舞い自体行いません。
同じ都内であっても地域による慣習の違いが存在します。
香典はほとんど受け取る
東京における一般葬の場合、香典は断らずに受け取るのが一般的です。
香典を受け取った後、忌明けに香典返しを贈るという手続きを実直に行うのが東京の流儀です。
それに対して大阪では香典を辞退するケースが多くあります。
また家族葬などの小規模葬が増えるに伴い、近年は関西圏においてますます香典の受け取りをお断りする傾向が強まっています。
東京都では後火葬が多い
東京では通夜、葬儀・告別式を終えたのちに出棺して火葬する後火葬が一般的です。
通夜の翌日に火葬を行い、ご遺骨になってから葬儀・告別式を執り行うことを前火葬といいます。
またはじめに火葬を行い、ご遺骨になってから通夜、葬儀・告別式を執り行うことを骨葬といいます。
日本にはこれらの火葬の習わしがそれぞれまだらに点在しており、前火葬や骨葬は東北や北海道に多いことからも、地域それぞれの気候や風土に由来するものだと考えられています。
収骨は全骨
火葬後はご遺骨をお骨上げして骨壷に収めますが、その場合、東京ではつま先から頭の先まですべてを骨壷に収める全骨が主流です。
その一方で関西では、ご遺骨の主要部分のみを骨壷に収め、残りは斎場に引き取ってもらう部分収骨が中心となっており、西と東では人間観の違いとも言えるほど方法が異なっています。
また東京都は全国の方が集まるので、葬儀社にお願いして地域の風習を取り入れる場合があり、多様な特徴が見られます。
東京都における葬儀の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
東京都内でも変わった風習のある地域
東京都内には全国のお通夜・葬儀の風習が集まったところから、時代の流れに応じて変化してきた経緯があり、今でも独特な風習が残る地域があります。
以下よりいくつかご紹介していこうと思います。
瑞穂町
瑞穂町ではお通夜で一般参列者へお清めで接待する代わりに、お茶、砂糖、清酒をセットにしたお清めセットをお渡しするという習わしがあります。
あきる野市、日の出町
あきる野市や日の出町ではお通夜は通常どおり行いますが、翌日の朝にまず火葬を行う習わしがあります。
そのため荼毘に付した後に葬儀・告別式を行うという、他とは違う進行になります。
多摩地域の一部
西多摩地域では火葬を終えてご遺骨とともに自宅に戻った時に、逆さにした臼に腰かけて清め塩をするしきたりがあります。
これは逆さ臼と呼ばれ、臼がない場合は半紙に臼の絵を描いたものを逆さにしてイスに貼り、そこに座って清め塩をしてから家に入ります。
逆さ臼にはこの世にはもうあなたの食べ物はありませんよと告げる意味があるとされています。