
仏事のマナーをスマートに!宗派別の数珠の持ち方。
みなさんは、お通夜や告別式に出席した時に、数珠の持ち方で悩んだことはありませんか?列席者が見ていないからいいや!というのではなく、葬式の参列時に恥をかかない為にも、大人のマナーとして、宗派別に数珠の持ち方を覚えておきましょう。
目次
最終更新日: 2020年02月28日
数珠とは?

数珠の持ち方を説明する前に、数珠について紹介します。
「数珠」(じゅず)は、「念珠」や「寿珠」などとも書き、葬祭に使われる仏具です。
数珠は、お経や念仏を唱える時に、唱えた回数を覚えておくため使われたことから、数珠と呼ばれるようになったと言われています。
数珠を持ち合掌し御仏と繋がりを持つことにより、人間の煩悩が消えて功徳が得られると言われ、また、数珠は持ち主と御仏を結び、縁をもたらすお守りとも言われています。
本来の数珠は、人間の煩悩の数の108個の玉を繋いだものです。
仏教以外にも、キリスト教やイスラム教など他の宗教にも数珠があります。

「終活ねっと」運営スタッフ
今回「終活ねっと」では、数珠の持ち方について以下のような事例を中心に説明していきます
- 数珠の歴史について
- 数珠の持ち方は宗派によって異なる
- 宗派によらず使える数珠とは
時間がなくお急ぎの方も、知りたい情報をピックアップしてお読みいただけます。
ぜひ最後までお読みください。
数珠の歴史
数珠の発祥の地はインドで、お釈迦さまの誕生される以前から仏具として使われていたようですが、詳しいことは解っていません。
日本には仏教とともに数珠が伝来しましたが、庶民が一般的に使うようになったのは鎌倉時代以降で、唱えた念仏の回数を数えることの元々の意味の他に、現在のような礼拝用に携帯する習慣がついたと考えられています。
宗派により違う数珠と持ち方
数珠は、宗派ごとに形の異なる「正式念珠」と宗派を問わないで使える「略式念珠」があります。
宗派の違うお葬式に参列する時は、ご自分の宗派の数珠で参列しても特に問題はありません。
日本には、宗派がたくさんありますが、代表となる7つの宗派の数珠と持ち方を紹介します。
(五十音順)
浄土宗の数珠
浄土宗の正式な数珠は、2つの輪を一つに繋いだような形の連数珠で「日課数珠」と言い、一般の檀家や信徒が使います。
僧侶が普段使うのは日課数珠ですが、葬式には、「荘厳数珠」を用いることがあります。
浄土宗の数珠の持ち方
お焼香など合掌する時は、
1. 2つある輪の親玉を揃えます。
2. 合掌した手の親指に掛け、房は手前に下します。
浄土宗内の宗派によっては、房を外側に下す持ち方をする場合もあります。
お葬式などで念仏を唱え、数珠を使う時は、
1. 人差し指と中指で数珠をはさみます。
2. 人差し指と親指でもう一方の数珠をはさんで、お念仏1回に1個づつ繰っていきます。
浄土真宗の数珠
浄土真宗の男性用数珠(片手念珠)
男性は、主に略式の「片手念珠」を使います。
丸珠やみかん珠などの場合は、18~27玉の数珠が一般的で、房は紐房が望ましいとされていますが、特に厳密な決まりはありません。
浄土真宗の数珠は、一般的に主玉が108個、親玉が2個、四天玉が4個の「門徒念珠」といい、長い一連の数珠を二重にして使用します。
片方の房が「蓮如結び」になっていますが、本願寺派(お西)は頭付撚房、大谷派(お東)では切房が主に用いられています。
浄土真宗では、多く念仏を唱えた者だけが救われるという教えではなく、すべての者を救いたいという阿弥陀様の願いにより浄土にお参りさせていただけるという教えから念仏の数を数えていません。
女性は、「片手数珠」や「振分念珠」、「門徒念珠」を使います。
浄土真宗の数珠の持ち方
浄土真宗の場合は、宗派により異なります。
本願寺派(お西)
1. 数珠を二重にします。
2. 数珠を合掌した手に掛け、房を真下に垂らします。
真宗大谷派(お東)
1. 数珠を二重にします。
2. 数珠の親玉を上にし、親指と人差し指の間ではさみ、房は左手側に垂らします。
※男性用の浄土真宗のお念珠は、基本的に片手数珠の持ち方と同じです。
真言宗の数珠
真言宗の数珠は、長い一連の珠数を二重にして用いるため「振分(ふりわけ)珠数」とも呼ばれいます。
「振分数珠」は、日蓮宗以外の宗派で共通して使用できるので、「八宗用」とも言われています。
密教では、修法の終わりを知らせる合図として、珠数を擦り鳴らして音を立てる特徴があり、珠数を擦ることにより、108の煩悩をすり砕くという意味があると言われています。
真言宗の数珠の持ち方
両手の中指で数珠を掛けます。
そのまま合掌し、房は自然と垂らします。
持つ時は親玉を上にして、二輪にしてからかけ、房を握るようにします。
曹洞宗・臨済宗の数珠
曹洞宗と臨済宗の正式数珠は、「看経(かんきん)念珠」ですが、曹洞宗の数珠は「百八環金」と呼ばれる銀の輪が入っており、臨済宗の数珠にはありません。
曹洞宗や臨済宗の禅宗では座禅を重んじているので、念仏などは唱えず、他宗派のような作法や規定は存在しません。
一般的には、主珠108個の長い一連の珠数が用いられています。
看経念珠の持ち方
数珠を二輪にして左手にかけ、房を下にします。
そのまま合掌します。
天台宗の数珠
天台宗の本式数珠は、主玉が108個、親玉が1個、四天玉が4個で構成されており、親玉から連なる房には、20個の平玉と10個の丸玉が付いています。
他の宗派と違い、主珠が扁平な平玉になっています。
天台宗の数珠の持ち方
数珠を、人差し指と中指の間に掛けます。
そのまま合掌します。
日蓮宗の数珠(法華念珠)
日蓮宗の数珠は、裏房が三つの房でできている「法華念珠」です。
房の色に決まりはないようですが、日蓮宗正宗の方は白い房を使います。
日蓮宗の数珠の持ち方
数珠の輪を8の字に捻じり、中指に掛けます。
房が右手に二本、左手に三本くるように持ちます。
そのまま合掌します。
宗派を問わず使える数珠:略式念珠
略式数珠は「片手数珠」や「一輪(ひとわ)数珠」 といわれている一重の数珠のことを言います。
宗派に関係なく使えますので、宗派に所属していない無宗派の人にはとても重宝しますので、数珠をまだ持っていない方は、一つお手元に用意しておくと良いと思います。
正式な本式数珠は108珠が基本ですが、略式では通常の珠の大きさで22珠、珠が大きいサイズでは20珠や18珠になります。
片手数珠の持ち方
片手数珠の持ち方
座っている時は、左手首にかけ、歩くときは房を下にし、左手で持ちます。
焼香の時は、親指と人差し指の間に挟み、房を真下に垂らし、合掌します。
宗派に属さない方でも、現在では葬儀や法事に参列する際に、数珠を持つことが、参席する際のマナーとされていますので、社会人になったらフォーマルな服装と一緒に揃えることをおすすめします。
数珠の持ち方一つでスマートに!
数珠の持ち方の紹介をしましたが、いかがだったでしょうか。
仏事の祭、数珠の持ち方を知らない方が多くいらっしゃいます。
宗派により、持ち方が違いますが、ご自分の宗派をしっかり確認され、数珠の持ち方をマスターし、スマートな立ち振る舞いで、御仏に合掌しましょう。