いろはの意味とは?いろは歌に秘められた日本の文化と歴史

「いろはにほへと」は古くから伝わる馴染みの深い、いろは歌と言われていますが、込められた意味を知っている人はどれだけいるのでしょう?そこで今回は、日本の文化として親しまれていながら、意外と知られていない「いろは歌」に秘められた、深い意味をご紹介します。

目次

  1. 「いろは」は手習いの基本
  2. 「いろは」と言葉遊び
  3. 歌としての「いろは」全文と意味
  4. 「いろは」の意味と仏教
  5. 「いろは」と平家物語
  6. まとめ

「いろは」は手習いの基本

人々

現代の「あいうえお」として、古くから親しまれてきたいろは歌は、「いろはにほへと」から始まり、47文字の重複されないカナ文字が七五調にまとめられています。子供達が文字を覚えるための「手習い」の手本として利用されてきました。

また、物事の基本としての意味合いを持ち、広く使われてきた言葉でもあります。しかしながら、いつ、どこで、誰が作ったのかは未だはっきりと解明されていません。

日本の文化を代表する「いろはにほへと」も残念ながら時代の変化とともに、全てを間違えることなく言える人は少なく、意味ともなると知らない人のほうが多いと言っても過言ではないでしょう。

「いろは」と言葉遊び

日本には古くから、言葉のの持つ音やリズムを楽しんだり、ひとつのカナ言葉でいくつもの意味を連想させる、「同音異義語」を楽しむ習慣があり、言語遊戯とも言いますが、言葉遊びと言ったほうがわかりやすいでしょう。

「いろは」ではじまるいろは歌にも、言葉遊びの要素がふんだんに盛り込まれており、手習いの基礎として使われるだけでなく、「とがなくしてしす」などの隠し言葉を見出されたことから、赤穂の四十七士を四十七文字にかけて、「忠義の手本」とされるなど、多岐にわたり日本の文化として、現代も尚親しまれています。

歌としての「いろは」全文と意味

「いろはにほへと」で始まる七五調の「いろは歌」は、子供達がカナ文字を覚えるための手習いに広く利用されてきましたが、「今様歌(いまよう-うた)」という平安中期から鎌倉時代にかけて流行した、七・五調4句からなる新様式の歌謡で、完成度の高い美しいリズムと独特の表現で、人生の儚さや無常観が込められた歌として伝えられてきました。

いろは歌全文

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うい(ゐ)のおくやま けふこえて
あさきゆめみし  え(ゑ)いもせす

いろは歌の意味

色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ(ん)
有為の奥山 けふ(きょう)越えて
浅き夢見し 酔ひもせず

匂いたつような色の花も散ってしまう
この世で誰が不変でいられよう
いま現世を超越し
はかない夢をみたり
酔いにふけったりすまい

「いろは」で始まる歌の解釈

いろは歌の意味を単純に現代の言葉で、わかりやすく表現すると「色鮮やかに咲き誇り、香る花もいつか色あせて、散ってしまうように、人は変わり、世の中も目まぐるしく変わっていく。どれだけ繁栄しても、いつかは廃(すた)れてしまう。いま、迷わずにこの世のすべての欲を捨て、現世を超えよう、酔うこともなく」と、解釈することができ、仏教の「悟り」として、受けとることができるでしょう。

「いろは」の意味と仏教

「いろは」から始まるいろは歌の歴史と解釈は諸説あり、はっきりした解明はされていないものの、最も古い文献として承暦3年(1079年)に成立された「金光明最勝王経音義(こんこうみょうさいしょうおうぎょうおんぎ)」に記されています。

いろは歌の「いろはにほへと」はカナ手習いの手本として使われてきた他、宗教的な深い意味合いと解釈が込められており、一説には弘法大師の空海や柿本人麻呂が作られたと言われていますが、いずれも定かではありません。

いろは歌に秘められた本質と人物

いろは歌は、涅槃経(ねはんぎょう)にある「諸行無常偈(しょぎょうむじょうげ)」の四句を和訳したものと言われています。意味を紐解いてみると、「全ては無常であり、生じては滅びる(生と死)。この世(現世)の苦難を乗り越え、迷いや欲を捨てれば、安らぎ(浄土)を得られる」という、釈尊の教えと深い関わりを持っていることがうかがえます。

いろはにほへと ちりぬるを  諸行無常
わがよたれぞ つねならむ   是生滅法
うゐのおくやま けふこえて  生滅滅己
あさきゆめみし ゑひもせず  寂滅為楽

釈尊とは?

釈尊は、真理を悟った人の意味のある仏陀(ブッタ)や仏様、釈迦など様々な呼び名を持っていますが、その教えはインドから仏教として、日本に伝えられました。世の中は無常であり、生と死を繰り返す儚いものであると説いています。いろは歌だけでなく、吉田兼好作の「徒然草」や鴨長明の「方丈記」などの日本文学において、釈尊の無常観は必要不可欠な要素とも言えるでしょう。

弘法大師空海作者説

古くから真言宗の開祖である弘法大師空海が「いろは歌」の作者ではないか?と言われてきたのは、仏教的要素が含まれており、限られた文字数の中に仏教の真理を詠み込むことができるほどの人物であったこと。さらに真言宗を中心とする学僧の間で、学問的用途として使われていたのが、理由とされています。

しかしながら空海の時代には、いろは歌のような今様(いまよう)形式の歌が存在しなかったことから、空海説としての信ぴょう性は極めて薄く、真言宗の学僧が作ったという説もあります。

柿本人麻呂暗号説

飛鳥時代の歌人として万葉集でその名が知られている柿本人麻呂が作者であり、いろは歌に暗号を記したのでは?と言う説がありますが、空海より古い時代に存在した人物であるため、あくまでも推測の域をでることはできていません。

「いろは」と平家物語

鎌倉時代に成立したとされる平家物語には平家一族の繁栄と没落が描かれており、古典文学として教科書に掲載されるなど、多くの人に知られています。

有名な冒頭には「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響き有り 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」と続き、いろは歌と同じく仏教の思想として「無常観」が込められています。

平家物語冒頭の解釈

「祇園精舎の鐘の音には、無常の響きがある。沙羅双樹の花もいつか色あせるように、盛んな者もいつか衰え、権勢を誇っている人も永久には続かない。まるで春の夜の夢のようなもので、勇猛な者も最後には滅びてしまう。風の前の塵と同じである」とあり、命の儚さや栄華の果ての物語として、語り継がれてきました。

まとめ

手毬

さて、いろはの意味とは?いろは歌に秘められた日本の文化と歴史はいかがでしたでしょう?

物事の始まりや基本として、また番付などをあらわす言葉として利用されてきた「いろは」の歴史はひじょうに深く、物事の真理が文字の中に秘められた言葉であり、未だ解明されていないことが多いため様々な憶測がありますが、意味の解釈においては、人により多岐にわたります。

しかしながら、短い文字に託された真の意味を理解することは可能です。日本人の持つ豊かな感性や、言葉と表現の心をいつまでも大切にしたいですね。

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