故人を偲び、捧げるお供えのお花
葬儀が終わり、四十九日などを境に、お供えのお花も「弔う」という意味合いから、偲ぶという意味合いへ変化していきます。突然の別れに哀しみ、旅立を見送る思念から、生前の故人を偲んで、感謝の思いや遠く離れた故人に寄り添う気持ちに切り替える意味でも、お供えのお花は重要な役割を持っているのかもしれません。
四十九日など法要のお供えのお花
仏式では、いくつかの法要が葬儀後に訪れます。故人がお亡くなりになってから7日経つと初七日法要、49日には四十九日法要、そして100日には百か日法要など、家族や親しい友人が集まって故人を偲ぶ儀式があります。
この間は、何かとお供え物としてお花を贈ったり、贈られたりするものです。また亡くなった日の命日や、月ごとの命日と 同じ日を祥月命日といいます。故人と親しい関係であった場合は、法要へお花をお供えするという機会もあるでしょう。
以下は、その際のお花の色など、タイプを記してみました。
法要などへのお供えするお花のタイプ
お供え花の色: 一般的にですが、派手な色合いのお花は避けて、白一色や、ご遺族の気持ちに
寄り添う淡いピンク・紫なども良いでしょう。最近は、可愛らしい菊も人気です。
中輪の菊でも緑菊という、ライトグリーンの菊をアレンジに入れていただく方も
いらっしゃいます。
花の形など : この場合、遺族の手間を避けて、『アレンジメント』のお花が好ましいようです。
籠などのアレジメントや、墓前にそのまま供えられる花束タイプなども良いで
しょう。予算は、3,000円前後から6,000円くらいまでのものが一般的です。
お花をお供えとして贈る際、お店から自宅へ届ける場合は、故人を偲び、遺族を思いやる気持ちで、メッセージカードも添えてみるとよいでしょう。

仏壇へお供えする花事情
俗に仏花と呼ばれる、お供えのお花ですが、住宅事情から仏壇の事情も変わり、生花をお供えする人も少なくなってきている現状があります。最近では、プリザーブドフラワーなどの仏花もみられます。葬儀用供花の生花アレジメント価格で、購入可能です。
保存期間は、生花よりは長いのは当然ですが、湿度や手入れ方法によって若干異なります。5年から10年と言われますが、3年から4年と考えてもよいでしょう。ガラスのケースなどに入っている場合と、ケースに入ってない場合では、保存期間は変わってきます。
それでも生花に比べると、お水を毎日変える、いつも美しさを保っているなど、手間もかからないためお勧めです。
何より水を使わない、大きすぎない、色鮮やかで生花の風合いがそのまま残るという点でしょうか。シルクフラワーなどの造花も、安価なものから高価なものまであります。故人へ捧げるお供えのお花ですから、季節ごとに最適なお花を選ぶのも良いでしょう。
お花を供える意味(仏教)
お花を、お供えをすると言いましても、自分の心を仏様(故人)に捧げることのようですから、心をこめてお供えするのであれば、どんなお花でも問題はないといえます。しかしながら、毒気の強いお花やトゲのあるお花(バラ、あざみなど)、匂いや花粉がきつい花(ユリなどは、花粉をふき取っておけばよい)は、お供えとしては相応しくないようです。
毎日、お供えするのが基本で、生花であればお水を交換したり、しおれてきたら新鮮な花と交換して、御仏前は常に綺麗な環境を保つことが望ましいようです。
仏花としては、菊、ユリ、蓮、カーネーション、スターチス、ストックなどが一般的ですが、御仏前に適した季節のお花を、お供えするのもよいでしょう。
例えば春はアイリス、キンセンカ。夏には、リンドウ、クラジオラス、ケイトウなど。色合いでは、白・ピンク・紫・赤・黄色などの組み合わせが良いでしょう。ただし宗派によっては、樒や榊を供える場合もあります。
お供え用には、人工の花も人気
住宅事情からの仏壇事情の変化によって、お供えするお花も生花だけではなく、造花やプリザーブドも人気上昇中です。最近は、お墓のお供えのお花も、造花をお供えする方が増えてきました。
その背景の一つには、お墓の管理も大変で、夏の酷暑は生花がすぐに枯れてしまうなどの事情もあります。造花も、本物そっくり精巧なものに変わってきています。
和風、洋風などあり、光触媒で抗菌、消臭、抗ウィルス、シックハウス症候群防止などの機能性あるものまで販売されています。
お洒落なお供え花ならプリザーブド
最近では、プリザーブドフラワーのお供え用のお花も、ジワジワと人気上昇中です。仏教に限らず、キリスト教であっても、故人の写真の前にお供えすることもできます。
また、マンションなどで仏壇がおけなくても、位牌や写真の横に立てかけられる、フレーム入りのプリザーブドのお供え用のお花もあります。
プリザーブドは色々なデザイン、種類が豊富です。どんどんアレンジも増えています。また、どんなお部屋にでも適していますし、生花と変わらないフレッシュさもあります。お値段は高めですが、長い目で見ると良い選択だと思います。

ミニサイズ仏壇登場でお供え花にも変化
仏壇事情が、進化に次ぐ進化を遂げている昨今、仏壇もミニチュアになり、手のひらサイズまで出てきています。そうなれば、すべてがミニサイズになりますが、お供えするお花も、ミニサイズが登場しています。
進化すればするほど、形式に捉われないシンプルな形になっていると言えます。大事なのは、仏様(故人)を思う気持ちに集約されていきますね。
ミニサイズは場所もとらず、いつもの空間にさりげなく可憐さを放ちつつ、故人への思いを寄せられるでしょう。

お供えの考え方とお花の進化まとめ
いかがでしょうか、お葬式の在り方、形態、お墓への考え方、仏壇の形やサイズ、そうした形式は、日々変化してきています。それは、私たちの生活スタイルの多様性から、価値観の変化が見られるからだといえるでしょう。
形式に関する価値観は、よりシンプルになりつつありますが、仏様(故人)への思いは変わることなく、様々な形で表現されているように思えます。
お供えするお花に関しては、この15年の間に目まぐるしい進化を見せていると言えますが、心はより故人に寄り添うあり方を求めているのが、お供えするお花の最前線から見えてきました。
遺族の心と生活に、仏様(故人)の存在が息づいていると感じられるのは、いつも美しく咲く花からだと思います。生花、造花、プリザーブドのどれを選択したとしても、お供えの花を通じて仏様(故人)との心の繋がりが切れないことが、何より大切に思えてきます。