
神社の境内にある建物って?各々の名称や役割、配置、構造を紹介!
初詣でや健康祈願など神社に参拝する機会は多くあると思います。普段何気なく訪れている神社ですが、境内にある建物や施設の名称や役割は具体的にご存知でしょうか?神社にあるそれぞれの建物に関して具体的に詳しく解説いたします。
2018-10-31
神社の建物について

神社の鳥居をくぐると何となく空気が変わって気持ちが改まるような感覚になったことはありませんか。
ほとんどの神社の入口には鳥居がありますが、そのさきの境内の形態は神社によって様々ですね。
今回終活ねっとでは神社の建物や形態について
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神社とは何だろう?
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神社にある建物の名称や役割は?
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神社の建物の配置はどうなっているの?
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神社の屋根の構造は?
などについて詳しく解説します。
さらには、参拝の方法やマナー、参拝に適した時間などについてもご説明します。
ぜひ最後までお読みください。
神社とは?

全国に神社は8万8千社以上あります。
その神社をつかさどる宮司も1万人以上、境内にある末社・摂社を加えると実に30万社に登るといわれています。
そもそも神社とは何でしょうか。
ベースには神道という日本古来の宗教があり、その宗教施設の総称という事になります。
しかし神道には他の宗教とは大きな違いがあります。
簡潔にまとめると以下の点です。
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様々な神様がいる。
多くの宗教のように唯一神ではありません。
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勧誘・布教活動をしていない。
パンフレットなどはありますが積極的な布教はしていません。
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経典がない。
神様の多くは日本最古の歴史書「古事記」の登場人物です。
そして神社はお祈りのための施設ではなく、神様の住まう場所です。
参拝とは、神様のお家を訪問するということになります。
神社に関しては下記の記事でも詳しく解説しています。
ぜひ合わせてお読みください。
神社にある建物の名称と役割

それでは、神様の住まいでもある神社にある建物に関して詳しく解説します。
鳥居
鳥居は神様が住まう御神域と私たちの世界とを分ける境界線と言われています。
一歩くぐると神様の世界という事になります。
鳥居の起源は、古事記や日本書紀に出てくる神話に由来しています。
天照大神(アマテラスオオミカミ)が速須佐之男命(スサノオノミコト)の傍若無人な振る舞いに怒って天岩戸にお隠れになった際に、岩戸の前で鶏を鳴かせ朝のように思わせました。
この時に鶏が止まった木が鶏居、転じて鳥居という言葉になたりました。
鳥居には大きく二つの形態があります。
名称 | 主な特徴 | 主な神社 |
神明系 | 柱が丸く真っ直ぐ立っている。 | 伊勢神宮、靖国神社など |
明神系 |
上の横柱が傾斜している。 石台の上に建っている。 |
日枝神社、全国の八幡神社など。 |
また、大きな神社には複数の鳥居があります。
その場合は、遠い場所から一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と順に呼称します。
手水舎
「ちょうずや」と読みます。
拝礼の前に手や口をすすいで身を清めるための澄んだ水が龍や亀の形をした水口から湛えられています。
伊邪那岐命(イザナギノミコト)が、死んだ妻の伊邪那美命(イザナミノミコト)を追って黄泉の国をたずねた際、その穢れを落とすために海の水で全身を清めたという神話が起源です。
伊勢神宮では五十鈴川の川原におりて手や口をすすぎます。
現在の手水舎は、この禊を大きく簡略化したものですね。
山梨県にある北口本宮浅間神社の手水舎は、富士山の湧き水があふれだす実に立派な施設です。
ぜひ一度訪れてみてください。
社殿
神社にある建物を総称して、社殿(しゃでん)といいます。
主な建物には以下のものがあります。
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本殿(ほんでん)
御祭神、御神体が祀られている社(やしろ)。
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拝殿(はいでん)
参拝者が拝礼をする場所。
一般的に本殿の前にあります。 -
幣殿(へいでん)
お供え物を納める建物。
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御饌殿(みけでん)
神様のお食事を用意するための建物。
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舞殿(ぶでん)
神楽や舞を奉納する施設。
神楽殿(かぐらでん)とも言います。 -
祓殿(はらえでん)
様々なお払い、ご祈祷が行なわれる建物。
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直会殿(なおらいでん)
御祭祀が終わった後に参拝者がお食事などの会食をする施設。
社殿といわれる主な建物をご紹介しましたが、神社の規模によって設置されている施設は違ってきます。
また、本殿・拝殿・幣殿などが一体化した社殿をもつ神社もあります。
それでは社殿の中でも重要ないくつかの施設についてより詳しくご説明します。
拝殿
拝殿は御神体への遥拝や拝礼を行なう場所であり、祭祀(神事)もこの場所で執り行われます。
通常神社を参拝した際に目にするのはこの拝殿で、一般的な参拝では拝殿の前でお賽銭を入れて拝礼をします。
特別なご祈祷などの際にはこの拝殿の中に入って祭祀を受けます。
拝殿の中に入ることを昇殿と言います。
拝殿の起源は神社の本体である本殿よりも後になります。
御神体が山や巨木などの自然信仰がもともとの基本なので、神道のご祈祷は古来御神体の前の露天で行なわれていました。
その後御神体(本殿)を参拝者の目に直接触れないようにする、天候などに左右されないようにするなどの理由から拝殿が作られるようになりました。
拝殿にも以下のような種類があります。
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横拝殿
本殿に向いて建てられてる横長の構造。
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縦拝殿
縦長の構造で、本殿への通路的な役割が強い。
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割拝殿(わりはいでん)
中央が土間となっていて両脇に施設がある構造。
本殿への神門の役割をかねている。
伊勢神宮や春日大社のような古い神社には拝殿はありません。
また、伏見稲荷神社や明治神宮などのように拝殿が二つある神社もあります。
拝殿が二つある場合には手前側のことを外拝殿(げはいでん)と言い、奥側のことを内拝殿(ないはいでん)と言います。
本殿
拝殿の奥には、御神体(祭神)を安置する本殿があり、神殿とも呼ばれます。
本殿は基本的に人が入る場所ではないので他の拝殿などの他の社殿よりも小さい場合が多く見られます。
本殿は神様が鎮座されている場所なので、瑞垣で覆われたり隠棟で覆われ人の目には触れないようにされています。
古来は一つの本殿に一柱の御神体が納められていますが、比較的新しい神社では複数の御神体が納められている神社も増えてきました。
本殿も様々な建築様式があります。
主な様式をご説明します。
まずは、代表的な二つの様式です。
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神明造(しんめいづくり)
棟を境に両側に屋根が流れている切妻造りの屋根が特徴で、弥生時代の穀倉である高床造りに似ています。
三重県の伊勢神宮の本殿に代表されます。 -
大社造(たいしゃづくり)
高床、切妻造りは神明造と同様ですが、側面に入口があります。
妻入りと言いま。
島根県の出雲大社の本殿に代表されます。
この二つの造りは神明造は穀倉庫から、大社造は住居から派生したと言われていますが、それよりも鎮座する神様に大きな違いがあります。
神明造は天津神(あまつかみ)、天孫と呼ばれる天(高天原)から降りてきた神様の系統、現在の天皇の先祖にあたる神様が祀られています。
大社造は国津神(くにつかみ)、天孫が降臨する以前に日本に住んでいた神様の系統、大国主命(おおくにぬしのみこと)に代表される神様が祀られています。
神社の中でも天孫を祀る大きな神社を「神宮」と呼び、国津神を祀る大きな神社を「大社」と呼びます。
本殿には上記の二つから派生した様々な様式があります。
名称 | 読み方 | 特徴 | 主な神社 |
住吉造 | すみよしづくり | 大社造から派生、内部が内陣と外陣に別れている。 | 住吉大社(大阪府) |
春日造 | かすがづくり | 大社造から派生、正面に階隠(はしかくし)の屋根がある。 | 春日大社(奈良県) |
流造 | ながれづくり | 神明造から派生、屋根の前の部分が長く延びて被災になっている。 | 全国の神社の約7割 |
八幡造 | はちまんづくり | 軒を接して前殿、後殿が連なっている。 | 宇佐八幡(大分県) |
日吉造 | ひえづくり | 切妻造りの四方にひさしがある。 | 日吉大社(大阪府) |
権現造 | ごんげんづくり | 本殿と拝殿を別の棟でつなげた構造。 | 日光東照宮(栃木県) |
また、本殿を持たずに拝殿のみがあり御神体を直接拝む神社もあります。
このような社殿のない神社が神社の本来の姿であるとも言われています。
奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)などに代表され、大神神社は日本最古の神社です。
いかがですか。
本殿の様式、形状はこのほかにも多種多様です。
なかなか文字で読んでもイメージできないかもしれません。
ぜひ、いろいろな神社にご参拝して自らの目で確かめてみることをおすすめします。
社務所
社務所とは一言でいうとその神社の事務所です。
神職や巫女さんが机に座って事務を行なっていますが、神社では仕事のことを事務ではなく社務よぶので社務所という名前になっています。
社務所には神社の事務のほかにも以下のような役割があります。
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参拝者の待機場所
ご祈祷や昇段参拝をまつ参拝客が待合所としてのスペースです。
大きな神社ではホテルのロビーのような豪華なスペースもあり、喫茶などが併設されている場合もあります。 -
ご祈祷の受け付け
合格祈願、安産祈願、厄除け、商売繁盛など様々なご祈祷の受付を行ないます。
多くの神社では社務所にご祈祷の受付用紙が置かれていて、初穂料を支払うことによりご祈祷をしていただけます。
結婚式も本来はこのご祈祷の一つです。 -
お守りなどの授与
破魔矢や神札、お守り、絵馬などの授与をします。
これらは購入するのではなく初穂料をお納めして神様より授与していただきます。
おみくじなどもこれらの一部となります。 -
御朱印
御朱印をいただく場合も社務所でお願いします。
初穂料をお納めすると参拝した証として御朱印帳に御法印を押印し、御神体名、参拝日、神社名などを記載していただけます。 -
住居
神職や巫女さんの休憩場所となっている場合も多く、また、神主の住居を兼ねている場合もあります。
以上のように社務所には事務所的な役割が強く造りや様式には決まりはありません。
広さも神社の規模によってさまざまです。
神社によっては、参拝客の宿泊施設をかねたホテルのような社務所も存在します。
神社にある建物の配置は?

神社の建物は本殿・拝殿・幣殿が中心となります。
神社の規模や由来によってはこの3つの建物が集合して一つの建物となっている場合もあります。
鳥居の横には社号標という神社の名称を刻んだ石標が建ち、狛犬が神域との境界線を守っています。
鳥居から参道が続き、手水舎があります。
その先には舞殿(神楽殿)、幣殿、拝殿、本殿と続いています。
本殿はたいていの場合は拝殿の後ろに隠れて一般の参拝客には目ない場合が多いですが、拝殿から広報に回り込んで後ろから社殿を見学できる神社もあります。
その場合は、本殿の一部を見ることができるかもしれません。
拝殿・本殿の周囲には本殿の御神体に深いゆかりを持った神様を祀る摂社が建てられています。
主体神の后や御子、主体神の荒御魂(荒魂社)などが代表的な摂社となります。
また、摂社の基準に当てはまらない神様を末社として設置されています。
神社によっては境内の外に境外社として建てられている場合もあります。
加えて、大きな神社ではその神社にまつわる宝物が展示された宝物殿があります。
これは神社の博物館のような位置づけでたいていの場合は有料で見学ができます。
寺院の伽藍のように一定の決まりを持った様式はなく、自然の地形を生かした施設が多いのでその配置は神社によって変わります。
神社の屋根の構造とは

神社の建物と屋根の構造に関しては本殿の章でご説明したので、ここでは神社の屋根の素材や特徴に関して解説します。
主な屋根の素材は以下のとおりです。
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桧皮葺(ひわだぶき)
ヒノキの樹皮を用いて施工する古くから伝わる日本独自の手法で世界では類をみません。
神社だけではなく寺院をはじめ多くの文化財施設で使われています。
ヒノキの樹皮である桧皮を少しずつずらして重ねながら葺いてゆきます。
美しい曲線を持った厚みと重みのある見た目が特徴です。 -
銅板葺(どうはんぶき)
銅を薄く熨した板を拭いた屋根になります。
瓦よりも軽く桧皮より長持ちなので多くの社殿で用いられています。
一枚一枚の銅板が小さいほど高級とされています。
古くなった銅板葺の屋根は緑色に変色していますが、緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビが全体を覆い味わいのある屋根になり、また内部への腐食も防いでいます。
次に、屋根上部の装飾には以下のものがあります。
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鰹木(かつおぎ)
屋根の上に横になっている木棒で、奇数は陽数であり男神をあらわし、偶数は陰数で女神をあらわしています。
そもそもは実用的なもので屋根が飛ばないように押さえていたのですが、神社建築にのみ残りました。
形が鰹節に似ていることから鰹木と呼ばれています。 -
千木(ちぎ)
屋根の上に交差して突き出している柱を千木と呼びます。
千木には2種類あり、先端が垂直に立っているものを外削ぎよび男神をあらわし、先端が水平になっているものを内削ぎとよび女神をあらわしています。
時を経る中で神社建築として意味を持つようになりましたが、もともとは弥生時代から伝わる建築手法の名残です。
神社の建物の構造などについて詳しくお知りになりたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。
神社参拝の方法

それでは神社に参拝する際の方法を具体的にご説明しましょう。
手順の前に覚えておきたいこととして参道の歩く際は決して真ん中を歩いてはいけません。
参道の真ん中は「正中」といい神様の通り道です。
鳥居をくぐる
鳥居は私たちと神様の世界を区切る境界線であり、神様のお住まいの玄関でもあります。
くぐる前には立ち止まり一礼をしましょう。
心の中で「お邪魔します」と言うと神様には聞こえるかもしれません。
大きな神社には複数の鳥居があり一の鳥居はけっこう離れた場所にある場合が多いですが、ぜひ一つ一つの鳥をお辞儀をしながらくぐって参拝をしてください。
手水舎で手を清める
次に手水舎で身を清めます。
体全体を清める禊の簡易版と理解してください。
手順は以下のとおりです。
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左手を清める
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柄杓を持ち替えて右手を清める
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再度柄杓を持ち替えて左手に水をためて口をすすぐ
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左手をもう一度清める
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残った水で柄杓の柄の部分を流す。
この手順を柄杓ですくった1回の水で行ないます。
水が少なくなっても再度すくってはいけません。
また口をすすぐのは大切なことですが神社によっては流水ではなく溜まり水の場合もありますので、その場合は衛生面を考えて実際には口に含まず口をすすぐ形をとるようにすれば大丈夫です。
礼拝を行う
手水舎で清めたらいよいよ礼拝です。
参道を歩く時は真ん中を避けましたが、礼拝の際には正面に立ちましょう。
そして礼拝の手順は以下のとおりです。
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拝殿の前で腰を45度に折り深々と一礼をします。
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お賽銭を奉納します。
投げ入れるのではなく、そっと入れるのが好ましいでしょう。 -
本坪鈴(ほんつぼすず)を鳴らします。
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腰を大きく曲げて二回お辞儀をします。
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右手を少し下げる形で手を合わせて二回拍手を打ちます。
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再度深々とお辞儀をします。
参拝方法は神社により異なります。
たとえば、島根県の出雲大社では上記のよう二拍手ではなく四回拍手を打ちます。
それぞれの神社の作法に則ってお参りをしてください。
鳥居をくぐる
帰りに鳥居をくぐる際にも一旦立ち止まって振り返り、本殿の方向に向かって深々とお辞儀をしましょう。
神社参拝の際の作法や注意点は以下の記事でも詳しく解説しています。
こちらもぜひお読みください。
神社参拝時の服装マナー

神社参拝の際には、どのような服装がふさわしいのでしょうか。
ここでは、神社の参拝の際の服装について、通常の参拝と昇殿参拝に分けて紹介していきます。
通常の参拝
一般の参拝の際には特に服装に決まり事はなく、いつも通りのカジュアルな服装で問題はありません。
ただ、神様のお住まいを訪問し願い事をするので、サンダル履きなどのあまりくだけすぎた格好は避けたほうが無難でしょう。
昇殿参拝
昇段参拝とは、いわば神様のお住まいに上がりこんで具体的にお願いをするということです。
神様に限らず、目上の方にお願い事をする際にはきちんとした身なりでお伺いするのが常識ですね。
男性であればネクタイを締めて背広で、女性の場合も上着着用で参拝することが望ましいでしょう。
参拝の際の服装やマナーに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
こちらも合わせてお読みください。
神社参拝に適した時間帯って?

それでは、神社参拝の適した時間帯はあるのでしょうか?
神社参拝に適した時間帯
神社参拝は午前中が望ましいとされています。
午後の参拝も問題はありませんが、大事なことは先に行なうという日本人の心構えからきているのでしょう。
夕方や夜の参拝は大丈夫?
夕方や夜の参拝も問題はありません。
ただ、夕方暗くなりかける時間を「魔の刻」とよんで避ける場合もあります。
また、夕刻で門が閉ざされ参拝が出来なくなってしまう神社もありますので、夜間の参拝は事前の確認をおすすめします。
神社への参拝時間などに関しても以下の記事で詳しく解説しています。
合わせてお読みください。
神社の建物についてのまとめ

いかがでしたか?
今回終活ねっとでは、神社の建物について詳しく解説いたしました。
まとめると以下のようになります。
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神社の建物や施設にはすべて名前と役割がある
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社殿の造りには日本古来の建築手法が用いられている
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様式は祀られている神様や由来によって違う
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屋根の装飾により、男神か女神かがわかる
さらには神社参拝の作法や服装などのマナー、参拝時間などについてもご説明しました。
終活ねっとではこのほかにも神社にまつわる様々な記事を掲載しています。
ぜひ、そちらも参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。