神社の美しい屋根の構造をご存知ですか?名称・素材をご紹介します!

神社にお参りをした時、拝殿の屋根の造りの美しさに見入ってしまうことがあります。拝殿の屋根は神社によって形や素材が違い、独特の荘厳な雰囲気を醸し出しています。 ここでは神社の屋根について構造や素材、部位の名称や屋根飾りまで詳しくご説明します。

目次

  1. 神社の屋根について
  2. 本殿の屋根の構造
  3. 屋根に使われる素材
  4. 神社の屋根の部位名称
  5. 屋根が緑色の理由は?
  6. 屋根飾りの懸魚(げぎょ)とは?
  7. 神社の屋根についてまとめ

神社の屋根について

神社

複数の神社にお参りをした時、それぞれの神社によって拝殿の雰囲気の違いに気づくことがあります。
それは神社の屋根の構造によることが大きいのではないでしょうか。

神社の拝殿を目にした時、建物を覆う大きな屋根はとても強い印象を参拝者に与えます。
また優美な曲線を描くゆったりとした銅板の屋根もあれば急傾斜の茅葺の屋根もあり、見比べてみればそれぞれの神社によって決まった特徴があることにも気が付きます。

普段、何気なく見ている神社の屋根の特徴が詳しくわかれば、観光地の神社を巡る際にも比べて見る楽しみが増えますね。

今回終活ねっとでは、神社の屋根の構造について以下のご説明をします。

  • 神社の本殿の屋根の構造
  • 神社の屋根に使われる素材
  • 神社の屋根の部位名称
  • 神社の屋根が緑色の理由は?
  • 屋根飾りの懸魚とは?

日本にはさまざまな時代に建てられた神社が数多く残されています。
神社の建築様式から歴史をひも解いてゆくのも興味深いのではないでしょうか。

終活として、それを新たな趣味に加えるのも良いかもしれません。
神社の屋根の構造について詳しくご説明をしていますので、ぜひ最後までお読みください。

本殿の屋根の構造

神社

始めに神社の本殿の屋根の構造をご説明します。
本殿の屋根は現代の建物とはまったく違う形をしており、神様のいらっしゃる場所として神々しい印象を与えます。

そのような神社の本殿は見た目が美しいだけではなく、日本建築の伝統的な技の集約ともなっています。

一見、神社の屋根にはさまざまな個性があるように思われますが、「切妻屋根」と言われるものが多く、構造的には「平入形式」と「妻入り形式」の二つに大きく分類することができます。

また「平入形式」「妻入り形式」の中でも細かな構造の差によって、いくつかに分類されます。

ここでは神社の屋根の代表的なものを、形式別に特徴をご説明します。

平入(ひらいり)形式

神社の建物の構造の代表的なものとして「平入形式」があります。

正面から神社の建物を見た時、建物の長辺、または屋根の棟(むね)と平行になっている面を「平(ひら)」と呼びます。
「平入」はその「平」の面に正面出入口がある建物のことです。

神社の本殿で見られる「平入形式」の屋根として代表的なものに「神明造」と「流造」があります。
それぞれの特徴をご説明してゆきます。

神明造(しんめいづくり)

平入形式の神明造は最も古い構造の屋根のひとつで、全体的に直線的な外観となります。

神明造の建物は奥行きよりも幅の方が広い長方形であることから、高床式倉庫から発展した建築様式だと考えられています。

神明造の大きな特徴は、屋根の勾配がかなりきついことです。
屋根の勾配をきつくすることで雨や雪がすべり落ちやすくなり、屋根の劣化を防ぐことができます。
神明造は主に茅葺ですが、木の板や銅板が使われることもあります。

神明造の代表的な神社は伊勢神宮内宮(三重)です。

流造(ながれづくり)

平入形式の流造は神明造が発展したもので、建築様式の歴史から見れば比較的新しい様式となります。

神明造の直線的な外観に対して流造は屋根が反るような曲線を描き、建物の前面にまで伸びて向拝(庇)となっています。
流造の神社は全国で最も多く見ることができます。

また流造は屋根の傾斜がゆるやかで、建物正面の向拝までの曲線を特に強調した形となっています。
屋根を葺く素材も茅葺には限らず、柿葺・檜皮葺・銅板葺きなど幅広く使われています。

流造の代表的な神社は上賀茂神社(京都)・伏見稲荷大社(京都)です。

妻入(つまいり)形式

神社の建物の構造の代表的なものとして「妻入形式」があります。
正面から神社の建物を見た時、建物の短辺、または屋根の棟と直角になっている面を「妻」と呼びます。

「妻入」はその「妻」の面に正面出入口がある建物のことです。
神社の本殿に見られる「妻入形式」の屋根として代表的なものに「大社造」と「春日造」があります。
それぞれの特徴は次のようになります。

大社造(たいしゃづくり)

大社造は最も古い構造の屋根のひとつです。
大社造の大きな特徴は、ゆるやかな曲線を描く切妻屋根となっていることです。
この曲線は中国大陸の文化に影響を受けたためだと言われています。

大社造の建物はほぼ正方形で「田」の字の形に似ていることから、祭祀の場として使われていた宮殿から発展した建物だと考えられています。

大社造は主に茅葺ですが、江戸時代以降には檜皮葺も見られるようになりました。
また雨や雪がすべり落ちやすいよう急な傾斜をつけ、屋根の劣化を防ぐ構造となっています。

大社造の代表的な神社は出雲大社(島根)・熊野大社(和歌山)です。

春日造(かすがづくり)

春日造は神社でありながら寺院建築の影響を受けた構造の屋根となっています。
春日造の大きな特徴は、優美な反りを持つ切妻屋根となっていることです。

また神社建築の他の形式とは異なり、美しい彩色をほどこされています。
そのどちらも、大陸からの寺院建築の影響を受けたものです。

春日造の建物には正面に向拝(庇)が設けられ、向拝と屋根は一体化しています。
向拝の傾斜はゆるく、なだらかな曲線を描くように作られています。

春日造の屋根は茅葺・柿葺・檜皮葺・銅板葺などが一般的です。

春日造の代表的な神社は春日大社(奈良)です。

屋根に使われる素材

神社

神社の屋根に使われる素材は、一見して何が使われているのかよくわからないことが多いものです。
また屋根の素材によって神社の拝殿の雰囲気も変わってきます。

それだけではなく、神社は神様を長くお祀りする建物なので、耐久性に優れるよう配慮した素材を選んでいます。

神社の建て替えである伊勢神宮の式年遷宮や出雲大社の大遷宮には、長年に渡って屋根に使われる素材の準備がなされていたようです。

では、ここからは神社の屋根に使われる素材について詳しく見てゆきましょう。

檜皮葺(ひわだぶき)

神社の拝殿の屋根には檜皮葺がとても多く見られます。
檜皮葺は檜皮と呼ばれる檜の皮を、少しずつずらしながら重ねて葺く工法です。

檜皮は竹釘でしっかり固定されています。
また軒先を厚めにして美しい曲線を持つ屋根を葺くこともできます。

古来、檜皮葺は貴族の屋敷で使われることが多く、それに伴い檜皮葺は屋根の工法として最も格式の高いものとなってゆきました。
神様をお祀りする神社に檜皮葺が多いのは、少しでも格式の高い社殿を建てようとした証です。

銅板葺(どうばんぶき)

神社の拝殿の屋根には銅板葺も多く見られます。
屋根を葺くための銅板は薄くて小さく裁断されているほど高い技術だと評されます。
銅板葺は屋根そのものが軽くなるため神社の建物を傷めにくく重用されています。

ただ、異金属に接触すると腐食が進むという難点があるため、銅を留めるネジにも同じく銅が使われています。

日本では銅の歴史は古く、弥生時代の頃から銅鏡や銅剣として使われてきました。

記録に残っている中で、最古の銅板葺を用いたのは天平時代(765年)の奈良・西大寺ですが、技術的にまだまだ銅を薄く延ばすことが難しく、本格的に銅板葺が行われたのは江戸時代ごろからとなります。

日本瓦

日本建築の特徴として、まず挙げられるのが日本瓦の屋根です。
寺院や一般的な住宅には日本瓦が多く使われています。

ところが神社建築を見てみると神社の屋根は日本瓦で葺いたものはごくわずかです。

もともと瓦は中国から仏教と共に伝えられたため、主に寺院を象徴する素材となりました。
そのため神社では日本瓦を避け、仏教との差異を図ったようです。

ステンレス製の瓦

神社の屋根には近年、ステンレス製の瓦も使われています。
神社は長い年月、神様をお祀りする場所であるため、屋根にも耐久性の高い素材を使う必要があります。
その一つとしてステンレス製の瓦で屋根を葺く神社が増えてきました。

ステンレス製の瓦は錆びることがなく環境の変化による酸性雨にも強い素材です。
軽くて丈夫なため、神社の大きな屋根をステンレス製の瓦で葺いておけば地震の際も安全です。

銅板葺の神社の屋根をより耐久性の高いステンレス製の瓦に葺き替える神社もあるようです。

神社の屋根の部位名称

神社

神社の屋根には特徴的な部位があります。
神社の屋根そのものはシンプルで装飾が少ないのですが、神社は古来よりの建築技法を受け継いだ構造となっています。

当時の建築物には必要な役割をしていた部位が、近年ではそのまま飾りとして残っているものがあるのです。

神社の屋根独特の部位の名称を詳しく見てゆきましょう。

千木(ちぎ)

千木は神社の屋根の両端にあり、長く突き出した材を交叉させた部位のことです。
古来、屋根を作る際には二本の木材を交叉させて結び付け、そこに棟木を渡したとされています。
その交叉させた木材がそのままの形で残ったものが神社の屋根の千木ではないかと言われています。

現在は建築技術も進み千木を残しておく必要はないのですが、神社の屋根の特徴的な形として大切な役割を果たしています。
装飾としてのみ置かれる千木は「置千木」と呼ばれています。

また、千木は神社の御祭神の性別を表すこともあります。
女性の神様が祀られている場合は千木の先端が水平に切られています。
男性の神様が祀られている場合は千木の先端が垂直に切られています。

伊勢神宮など神社によっては例外もありますので、参拝した神社でご確認ください。

鰹木(かつおぎ)

鰹木は神社の屋根の頂上部に等間隔で並べられている、短い丸太のような木です。
「勝男気」「堅魚木」とも表記されます。

鰹木は元々しっかり屋根を押さえておくという役割があったものですが、今では神社独特の装飾となっています。

また、鰹木を見てもご祭神の性別がわかります。
鰹木の数は偶数が「陰数」とされ女性の神様を、奇数が「陽数」とされ男性の神様をそれぞれお祀りしていると言われています。

鰹木についても伊勢神宮など神社によっては例外がありますので、参拝した神社でご確認ください。

屋根が緑色の理由は?

神社

神社の屋根には長い年月を経たような渋い緑色になっているものがあります。
これは銅板葺の神社の屋根が、緑青(ろくしょう)という錆をふいて緑色になったものです。

緑青は銅板の表面に皮膜を作り、内側の腐食を防ぐ働きをしています。
神社独特の風情をもたらすだけではなく、実質的な役割もあるのです。

屋根飾りの懸魚(げぎょ)とは?

神社

神社の屋根の妻の頂点には、細かな彫刻を施した木の板が付けられています。
これを「懸魚(げぎょ)」と呼びます。

懸魚は古来、火除けのまじないとして取り付けられたもので、水に縁のある魚の彫刻を屋根に懸けたのが始まりだと言われています。

懸魚の「懸ける」が「水をかける」にも通じ、木造の燃えやすい構造の神社を守るまじないとなったようです。

懸魚は大陸から伝わったまじないで、神社が建てられた年代に応じて様々な形があります。
神社を参拝した際には特徴を詳しく調べてみるのも興味深いのではないでしょうか。

神社の屋根についてまとめ

神社

今回終活ねっとでは神社の屋根について、構造から素材、特徴的な部位に至るまで詳しくご説明をさせていただきました。
まとめますと以下のようになります。

  • 神社の本殿の構造には「平入形式」と「妻入形式」がある。
    また屋根の特徴から平入形式は「神明造」と「流造」に分類され、妻入り形式は「大社造」と「春日造」に分類される。
    これらは古来よりの神社の構造を代表する造りとなっている。
  • 神社の屋根に使われる素材には檜皮葺・銅板葺・日本瓦・ステンレス製の瓦などがある。
    長年にわたり神様をお祀りする神社では格式や耐久性にも考慮した素材が選ばれている。
  • 神社の屋根には特徴的な部位があり、それは古来の神社建築の構造の名残となっている。
    装飾としての千木は「置千木」とも呼ばれ、千木の先端の切り方でご祭神の性別を表す場合もある。
  • 神社の屋根に置かれている鰹木も本来の働きではなく装飾のためのものとなっている。
    鰹木の数が偶数か奇数かにより神社のご祭神の性別を表す場合もある。
  • 神社の屋根が緑色になっているのは、銅板葺の屋根の銅が錆びて緑青をふいているため。
    緑青は銅の腐食を防ぐ効果もある。
  • 神社の屋根飾りとなっている懸魚は、もともとは火除けのためのまじない。
    神社が建てられた年代によって特徴が異なる。

ここまで神社の屋根について詳しくご説明をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?
何気なく見ている神社の屋根の差異がわかれば、お近くの神社を参拝する折にも、また旅先で参拝する折にも楽しみがひとう増えるのではないでしょうか。

今回の終活ねっとの記事がお役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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