
日本の神社の歴史って?神社の成り立ちから有名な神社の歴史も解説!
私たちの日常に溶け込んでいる神社ですが、神社の歴史ってご存知でしょうか。意外と知らない神社の歴史について、今回は解説をさせていただきたいと思います。今では有名な神社にも意外な成り立ちがあり、歴史が存在していることを知っていただければ幸いです。
最終更新日: 2018年08月29日
神社の歴史について

日本で生活をしていると、ほぼ必ずと言っていいほど神社を目にしますよね。
近所にある小さな神社から、国内外から観光客の訪れる有名な神社まで、多種多様な神社が日本には存在しています。
そんな当たり前にある神社の歴史について、考えたことはありますか。
今回「終活ねっと」では、日本人にとってとても馴染みの深い神社の歴史について解説をさせていただきたいと思います。
神社とは
神社の成り立ちの歴史
有名な神社の歴史
神社の調べ方
神社をもっと深く知りたい方へ書籍の紹介
以上の点を中心に解説をさせていただきたいと思います。
最近は和風ブームの再熱や、若い女性を中心とした御朱印集めが盛んとなっており、神社への注目が高まっています。
刀剣ブームも相まって、神社に奉納された刀を見に行く人も急増しています。
せっかく神社を訪れるのですから、神社の歴史や成り立ちについて知っておいたほうがより神社を楽しむことができます。
日本の歴史と切っても切れない関係にある神社について解説をさせていただきますので、最後までご一読いただけますと幸いです。
神社とは

神社とは、神の社(やしろ)と書くように神様のお家のような扱いのものです。
宗教的には神道にあたり、境内に入る前に大きな鳥居があるのが特徴です。
神社は何かしらの神様を祀っており、それを信仰する人が足繁く参拝を行っています。
神道の方の宗教的な施設にあたりますが、神道を入信していなくとも初詣や七五三、結婚式などで神社を訪れる人は多いです。
日本に住んでいて神社に行ったことがないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
それ以外にも家内安全や合格祈願など、人はさまざまな願いを持って神社を訪れます。
このように、神社は神様のお家でありなが、人々の心の拠り所にもなっていると考えられます。
神社の成り立ちの歴史をご紹介!

ここからは、神社の歴史について解説をさせていただきたいと思います。
神社はどのようにして成り立ってきたのでしょうか。
時代別に見ていきたいと思います。
日本最古の神社
日本で一番古い神社というとどこになるのでしょうか。
諸説ありますが、一番古いのは「大神神社」(おおみわじんじゃ)と言われています。
奈良県桜井市にある神社であり、三輪山に神様がいるとされているので本殿がありません。
正直なところ、大神神社がいつどのようにして建てられたのかは不明となっています。
それくらい古い建造物であるということは確かです。
そして日本で現存する最古の歴史書や正史に大神神社の記載されていることが分かっています。
歴史書などの記述が正しいとすれば、日本国が作られる以前から大神神社はあったことになります。
もう確かめる術はありませんが、今も人々の信仰の深い神社として現存しています。
建築物として最古の神社であると言われているものは「宇治上神社」(うじがみじんじゃ)で、1060年ころに建設されたとされています。
神社の生い立ち
今でこそ神社といえば鳥居の中にあって、境内があり、本殿があるものです。
しかし、はるか昔の日本において神社というものは建物を持たないものでした。
神様が宿るものがあるとされるところに、都度祭壇などをかまえて、祈祷を行っていました。
ただ、それでは不便であることから社をつくって神様を祀ることとなります。
本殿の中にご神体やそれに代わるものなどを祀り、常設することによって誰でも気軽に祈祷を行うことができるようになりました。
しかし今でも田舎の山中などでは、注連縄のついた木や巨石があります。
これらは社殿を持ちませんが立派な祀る対象のある神様であり、そこにあるだけで神社と同じ意味をなします。
これが今の私たちが目にする神社の形の生い立ちとなります。
時代と共に変わる神社の歴史
ここからは時代別に神社の歴史や変遷について見ていきましょう。
古来の日本の人々は神社のことをどう考え、捉えていたのでしょうか。
奈良時代の神社
この頃には各地に今の神社の形と同じような神社ができており、国が認めた神を祀る神社のことを「官社」(かんしゃ)と呼んでいました。
神階や神位といった位階が与えられるようになった時代でもあります。
この当時はまだ神道が盛んに信仰されていましたが、大化の改新後からは仏教信仰が盛り上がりを見せるようになります。
国内外問わず人気の神社である伊勢神宮に付属のお寺ができたのも奈良時代です。
平安時代の神社
平安時代は「神仏習合」が進む時代でした。
神も仏も同じように扱われたどころか、仏のほうが立場が上だとする動きも現れます。
寺の境内の中に神様を祀る場所が作られたのも平安時代です。
だんだん仏教と神道を合わせて考えるのはおかしいという動きが生まれ、後に神仏習合は解かれ神仏分離がはじまります。
このように、まだ平安時代では、神社と寺の位置づけはあいまいであったことが分かります。
しかし人々が神様に救いを求める声は多くあり、特に救いを求める人々が信仰した勧請型神社というものが生まれたのも平安時代です。
お稲荷さんで有名な稲荷神社がそれにあたります。
この世に恨みや未練を残して亡くなった方たちの鎮魂のための神社もできました。
平安時代はまさに神社に救いを求める声が高まった時代と言えるでしょう。
鎌倉時代から室町時代の神社
鎌倉時代では、神社や寺院を手厚く保護をする動きが盛んになります。
わざわざ神社や寺院の仕事をする部署のようなものを設け、神社や寺院の運営をさせるようにしました。
幕府を守る神社というのも存在しており、鶴岡八幡宮がそれに該当しました。
現代に置き換えて考えてみると、日本政府を守る神社があるということになりますね。
今でこそありえないという感覚になりますが、昔は神社の守護を得て政治を行っていました。
ただし鎌倉幕府も滅亡の道を辿りはじめます。
こうなると神社や寺院を保護する力も弱まり、保護のなくなった神社の中では廃神社のようになってしまったものもあるそうです。
後にできた室町幕府も、神社や寺院を大切にする方針をとりました。
鎌倉幕府と違ったのは、神社や寺院の仕事をする部署を神社と寺院でわけたことです。
わけたことにより、さらに事細かな管理ができるようになった神社や寺院は成長を遂げ、信仰する市民を増やしていきました。
安土桃山時代の神社
戦国時代も佳境を迎えた安土桃山時代でも、神社は手厚く保護をされました。
しかし武装をする僧侶などもいたことから、戦国武将にたてつく神社や寺院は容赦なく弾圧されていったのも特徴的です。
ただ信仰心が厚いのは一般の市民も武将も同じことで、武功を挙げられるようにと信心し、祈願を行ったようです。
有力な武将や地主の力を削ぐ意味もあったのでしょうが、余分に持っているとみなされた土地は全て神社や寺院に寄付されたのも安土桃山時代のことでした。
有名な神社とその歴史をご紹介!

ここからは日本国内で有名な神社とその歴史についてご紹介をさせていただきたいと思います。
一体どのような歴史があり、有名になっているのでしょうか。
伊勢神宮内宮(三重県)
三重県伊勢市にある「伊勢神宮」を知らない人はまずいないでしょう。
ここでご紹介するのは伊勢神宮の内宮です。
内宮は皇大神宮(こうたいじんぐう)と呼ばれており、祀られているのは天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)です。
垂仁天皇(すいにんてんのう)が建てたとされており、天皇家の祖が祀られていることから一般参拝は禁止とされていました。
一般参拝が可能となったのが江戸時代のことで、ここから爆発的に伊勢神宮の参拝が増えることとなります。
今では伊勢神宮は日本の神社の中でも一番格が高い神社という位置づけをされています。
由緒ある歴史とその佇まいから、国内だけではなく国外からも魅力に惹きつけられて観光に来る人が多くいます。
四天王寺(大阪)
大阪府大阪市天王寺区四天王寺にある四天王寺(してんのうじ)はあの聖徳太子が建立した寺と言われています。
何故神社の項目で寺が出るのかと申しますと、四天王寺を守るようにして複数の神社が建てられているからなのです。
大江神社、上之宮神社をはじめとする7つの神社が、四天王寺を守るように鎮座しています。
神仏習合の習慣の名残といえるのではないでしょうか。
この神社も聖徳太子が建てたものとされ、江戸時代には村を形成したと言われています。
四天王寺も、7つの神社も大変歴史のある寺院、神社ですから、ぜひ全ての寺院、神社に参拝されることをおすすめします。
清水寺(京都)
京都府京都市東山区にある清水寺は、修学旅行などで訪れたことがある人が多いのではないでしょうか。
こちらも四天王寺と同じく、鎮守神として神社が建てられていました。
神仏習合の名残で清水寺のすぐ隣に地主神社があり、当時は清水寺の敷地内とされていました。
これが神仏分離により、独立した神社にされたというわけですね。
地主神社は縁結びの神様として大変有名です。
清水寺は宝亀9年に延鎮が建てたとされていますが、地主神社については誰が建てたのか不明とされており、建てられた年も不明のままです。
しかし社伝によると日本が建国される前であるとされているそうで、そうなると清水寺よりも歴史の古い神社ということになります。
謎の残る地主神社ですが、京都には他にもたくさんの神社が残っており、伏見稲荷も有名です。
ぜひ京都で神社巡りをしてみてはいかがでしょうか。
出雲神社(島根県)
島根県出雲市にある出雲神社、出雲大社も大変有名ですね。
ついつい「いずもたいしゃ」と読んでしまいがちですが、正式名称は「いずもおおやしろ」と言います。
出雲大社に祀られているのは大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)とされています。
大国主大神は国を作りましたが譲ってほしいと言われ、譲る代わりに出雲大社を築いてくれと言われ出雲大社の神様となったという神話が残っています。
出雲大社も正式な建築年が分かっていませんが、神話が本当なのであれば日本が建国される前ということになります。
また、神話通りでいくと現在の高さでいう48m程度の高さの神社が建てられていたとされています。
出雲大社の本殿は天皇であっても踏み入ることができないとされています。
それほどに神様を重んじ、歴史を守っている神社に足を運んでみたいですね。
厳島神社(広島県)
広島県廿日市市の宮島にある厳島神社は、世界遺産にも登録されておる世界的にも人気な神社のひとつです。
日本三景のひとつとされており、風光明媚な景色に心を表れる人も多いのではないでしょうか。
厳島神社は推古天皇の時代に建てられたとされており、「田心姫神」(たごりひめ)、「湍津姫神」(たぎつひめ)、「市杵島姫神」(いちきしまひめ)の宗像三女神を祀っています。
また厳島神社には神体山があり、宮島の中央にそびえたつ弥山が古くから山岳信仰されています。
弥山が山岳信仰の対象と申しましたが、宮島自体が神の住む島であるとされてきたようで、あの平清盛が社殿を造営したそうです。
厳島神社では神前式を挙げることも可能です。
由緒ある神社で永遠の愛を誓ってみると幸せになれそうですね。
神社の調べ方は?

実は日本には大小合わせて10万以上の神社があるとされています。
有名な神社ならまだしも、小さい神社はどのようにして調べれば良いのでしょうか。
ここでは神社の調べ方について解説をさせていただきたいと思います。
特定の神社を調べる場合
神社の名前であったり、地域であったり、何か特定のできるものがとても早く調べることができるでしょう。
辞典・名簿類(都道府県別)
都道府県別に神社を調べたいのであれば「全国神社名鑒」をおすすめします。
こちらは全国の図書館においていることが多いので、まずは図書館に足をのばしてみましょう。
上巻と下巻に分かれておりまして、上巻には北海道、東北、関東、中部の地方の神社が収められています。
対して下巻には近畿、中国、四国、九州、沖縄の神社を掲載しています。
観光にでかける県に、どんな有名な神社があるかどうかを調べるのに県別の辞典は役に立つのではないでしょうか。
難点としては1977年に刊行されており、やや情報が古いことです。
辞書・辞典類(神社名の五十音順)
神社名の五十音順になった辞書であれば「国学院大学日本文化研究所」が発刊している「神道事典」の評価が高いようです。
図書館にもおいてることが多いですし、ネットショッピングで購入することも可能です。
こちらの事典の良いところは、神社名から神社を知ることができるだけでなく、神道について掘り下げることができたり、神道に携わった人名や出来事までを網羅してくれています。
神社だけではなく、神道について知りたい方にも最適の一冊となっています。
日本では平成24年より「神社検定」という検定がはじまっています。
そちらにチャレンジする場合にもこの本は役に立つようなので、ぜひ神道への知識を深めるために手に取ってみてはいかがでしょうか。
都道府県別・地域別の文献
上記において2冊の事典をご紹介しましたが、やはり全国を網羅しているだけあって、有名どころの記載が多く、地方の小さな神社については未記載となっていることがほとんどです。
無名な神社について調べたい場合は、地方の図書館が最適です。
その土地にしかない郷土の資料というものが、地方の図書館には存在します。
また歴史博物館などでも手がかりを得ることができるでしょう。
そういった文献はまず地域を出ることがありませんから、地方の神社の文献が欲しいのであれば、その地域に赴くのが一番です。
伊勢神宮や明治神宮など大きな神社であれば、ネットを通して様々な知識が得られますが、地方の神社はそうもいきません。
フィールドワークがてら、足を使って文献を探してみましょう。
神職の人名を調べる場合
神職とはいわゆる「神主さん」のことを言います。
神に仕える職に就いているいいます。
宮司(ぐうじ)、禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)も神職となります。
そんな職に就いている人名を調べることができるのでしょうか。
神社名から調べる
特定の神社に仕える神職の方を調べたいのであれば「全国神社名鑒」が最適です。
神社の項目に宮司の名前も記載してくれているので、神社名で検索をすると調べることが可能です。
ただ1977年の内容になっていますので、現在とは変わっている可能性もあります。
こちらの事典で調べて分かった人名を、さらにインターネットなどで検索してみると良いかもしれません。
宮司以外の神職の方を調べるのは困難そうです。
人名で調べる
残念ながら、2000年代以降の神職の人名を調べられる事典は存在していないようです。
2000年代以前であればいくつか事典が存在しているので、その中からご紹介させていただきたいと思います。
「神道人名辞典」では昭和20年以前の宮司の人物名と昭和20年以降の宮司の人物名を記載していますが、1986年に刊行された辞典なので昭和61年までの情報となります。
「神道人物研究文献目録」でしたら1996年までの宮司の名前や経歴などの記載があるようです。
どちらの文献も貴重なもののようで、入手するのは困難かもしれません。
まずはお近くの図書館に問い合わせをしてみると良いでしょう。
神社について知れる本ランキング!

ここでは通販で手軽に購入できる、神社の知識をつけられる本についてご紹介をさせていただきたいと思います。
1冊は手に取っておけば、神道について詳細に知ることができますよ。
1位 神社に秘められた日本史の謎
ここまで解説させていただいた中でもうお分かりになられている方も多くいらっしゃると思いますが、神社というものは日本の歴史を語る上で切っても切れない関係にあります。
日本の建国以前から神社があったりするわけですから、神社を知れば日本の歴史を知ることができると言っても過言ではないのです。
日本の歴史にはまだまだ謎の多い部分が残っています。
それを神社を知ることによって、紐解いていこうというのが本書の目的となっています。
著者は國學院大学・大学院教授をされている新谷尚紀さんです。
神道について知識が浅くても、Q&A形式となっていて一から知識をつけることができますので安心できます。
1千円と大変手ごろなお値段なのも嬉しいですね。
2位 日本の神社がよくわかる本
こちらの本は戸部民夫さん著書の本であり、神社の歴史というよりも、気になる神社の神様についてやご利益についての記載がある本となっています。
ご利益について知りたいのであれば最適なのではないでしょうか。
ご利益の内容が知りたいだなんてかなり現金なイメージがあるかもしれませんが、興味を持つきっかけになるのであれば良いのではないでしょうか。
この神様にはこういったご利益があり、こんな由縁から神社に祀られているということが分かれば、きっともっと神社について知りたくなるはずです。
3位 日本の神様がよくわかる本
日本にはどれくらいの数の神様がいらっしゃるかご存知でしょうか。
この本では八百万もいらっしゃると言われている神様の起原から、どんな神話があるかについてを解説してくれています。
著者は先ほどの「日本の神社がよくわかる本」と同じで戸部民夫さんとなっています。
2冊読破すれば、かなり日本の神様と神社に詳しくなれるのではないでしょうか。
2冊合わせても2千円しないので、ぜひ揃えて読んでみることをおすすめします。
神社の歴史についてのまとめ

いかがでしょうか。
今回「終活ねっと」では、日本の神社の歴史について解説させていただきました。
日本の神社は歴史がとにかく古く、詳細な起原が残っていないことも多く、未だに謎が残っているのが実情です。
そういった未知の部分に惹かれて、神社への興味につながっているのかもしれませんね。
日本の歴史に重要な影響を与えている神社について、この機会に興味を持っていただければ幸いです。
ここで総括です。
元々神社というものは今のように常設されているものではなく、祭事があれば特設するようなものであった
神社をもっと身近にし、祭事もやりやすく、さらに信仰しやすくするために今のような神社が建てられるようになった
神社のあり方は時代のあり方と共に大きく変わり寺院の一部にされたりしたこともあったがないがしろにされたことはなく、いつの時代も保護をされ、信仰される対象であった
神社の歴史については様々な書籍が発刊されているので、図書館や地元の民俗館、ネットショッピングで入手することが可能である
何を信仰するかは人それぞれ自由ですが、日本人の生活と神社は密接な関係にあります。
神社にあまり興味がなかった方もこれを機に目を向けてみてはいかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。