お墓に戒名彫刻をする際の流れや費用の相場をご紹介します

お墓を建てた際にさまざまな彫刻が施されていますが、その中でも故人に直接かかわるものが戒名と呼ばれる亡くなってからつけられる名前です。この戒名ですが、どのような流れでお墓に彫刻され、またその際にどのくらいの費用が必要となるのでしょうか?

目次

  1. お墓に彫る戒名について
  2. 戒名とは
  3. お墓に彫る戒名の特徴
  4. お墓の戒名彫刻の流れ
  5. お墓の戒名彫刻にかかる費用の相場
  6. お墓に彫る戒名についてまとめ

お墓に彫る戒名について

お墓

お墓が多く立っている墓地や霊園に出かけ、そのお墓の1つ1つをよく見ると何やらやたらと長い名前みたいなものが彫られています。
これは、戒名と呼ばれる亡くなった方が死後につけてもらう名前を指すのですが、特に墓石の隣にある墓誌と呼ばれる石製の板にはそのような戒名が多く彫刻されていることも少なくありません。

戒名を彫刻してもらうということは、そのお墓に眠る方がどういう方であるかを示すうえでも非常に大切なことです。
さすがに名無しのお墓というのはどこか虚しいものがあるといえます。

さて、そこでお墓に戒名を彫刻してもらうにはどのような手続きや作業が必要で、またそれに対して必要となってくる費用はいったいどのくらいになるのか。
そこで今回終活ねっとでは、お墓に彫る戒名について解説していきます。

なお、具体的な内容は

  • 戒名とはいったいどのようなものなのか?
  • お墓に彫られる戒名の特徴とは?
  • お墓に戒名を彫る流れとは?
  • お墓に戒名を彫刻する際の費用や値段の相場とは?

という4つのポイントを軸に見ていきます。

特に終活の中で、生前にお墓を建てる場合や、ご自身が亡くなった後に戒名に関する費用をどのように残しておくのかを考える際に参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

戒名とは

仏壇

まずは、戒名とはいったいどのようなものであるかや、どのような構成になっているのかについてを簡潔に見ていきましょう。

戒名は仏門に入った証

戒名とは、仏門に入ったこと(出家して仏様の弟子になったこと)を示す名前のことです。
仏門に入ることは、単に髪を切りおろし、修行と共同生活のために寺院に入るというだけでなく、仏様の弟子として守るべき戒律と呼ばれるルールを守ることが求められます。

言い換えれば、仏様の弟子として戒律を守って修行に励むことに対する誓いの証としてつけてもらう名前が戒名です。

現在では、日本の仏教の「亡くなった方は成仏する」という考え方に基づいて、人が亡くなった際にそのまま仏様の弟子となったということで菩提寺などで戒名をつけてもらいます。
なお、宗派によっては戒名ではなく法名や法号といった呼ばれ方がされます。

戒名の構成

戒名と聞くと「○○院××居士」と位牌に書かれているものをイメージする方も非常に多いのではないでしょうか。
ここでは、戒名の構成について説明していきます。

院号

院号とは戒名で最も上につくものです。
院号をつけられる方の条件として、生前にお寺を建てたというように仏教に教えの広まりに尽くしたり、また社会に対して多大な貢献をしたりしたという方であることが挙げられます。

ちなみに、もともとは天皇が譲位もしくは隠居した後の住まいとなった御所を指し他もので、それが時代が下るにつれて下の身分の者が使ったり、金銭で買えるようになったりして今日に至っています。

道号

道号は、院号に比べるとあまり聞き慣れないものですが、もともとは禅宗の僧侶が座禅修行の結果、何らかの悟りを開くなどした場合にその方に尊敬の念を込めて呼んでいたものに由来します。
日本には禅宗の伝来と同時に伝えられ、いつしか二文字の戒名の上につけられるようになりました。

主に宗教活動や公益活動で貢献した方につけられますが、その功績の大小によって同号の長さも変化します。

戒名

一般的にいわれる「戒名」の中でも、本来戒名とされていたのがこの部分です。
原則として二文字で表され、この点は仏様の前ではすべての人が平等であることを理由に身分の上下なく関係ありません。

位号

戒名の下につけられる「居士」や「大姉(だいし)」などを位号といいます。
位号は一言でいえば仏教徒としての地位を示すもので、その種類はいくつかあり、性別や年齢、信仰心の篤さ、仏教や社会に対する貢献の度合いによってつけられるものが変化します。

戒名を与えられるのにお布施はかかる?

戒名は菩提寺などお寺の方につけてもらうものですが、この戒名をつけてもらうのにお布施を手渡す必要はあるのでしょうか?

結論から言えば、お布施は必要です。
そして、戒名のランクによってつけてもらう際に必要なお布施の額は変化し、最も高い院号で100万円以上ほど必要です。

お墓に彫る戒名の特徴

お墓

お墓でよく見られる戒名ですが、その特徴とはいったいどのようなものなのでしょうか。
お墓に彫ってもらう流れを知るうえでも、まずはお墓に彫る戒名の特徴について見ていきましょう。

墓石に彫る戒名の順番

墓石に彫られる戒名ですが、実は彫る順番に決まりがあります。
それではどのような順番で彫られていくのでしょうか?
ここでは、墓石に彫る戒名の順番について見ていきましょう。

亡くなった順番に彫る

最も一般的なのが、故人が亡くなった順に彫っていくというものです。
言い換えれば、お墓のご遺骨が納骨された順であるともいえます。

このため戒名を彫刻していく際にも、よほどのことがない限りはほとんど間違いが起こることなく彫刻されていきます。

ご夫婦ごとに彫る

お墓によっては戒名をご夫婦ごとに彫るという場合もあります。
例えば、ご両親の戒名を夫婦ごとに彫ったら、その次は息子夫婦の戒名を彫るというようにすることで、その家でどのような方々が夫婦となっていたのかが一目でわかります。

ただしこの場合は、例えば祖父母の名前の後に息子夫婦の名前が来るようにすることを考えると、それを見越してスペースを空けておく必要があるなど、工夫が求められます。

戒名の字体

お墓に彫られている戒名はすべて漢字で表記されていますが、よく目を凝らして見てみると、字体もさまざまです。
というのは、お墓への彫刻に用いられる字体については、特に決まりがないためです。

ここでは、お墓に戒名が彫刻される際に使用される字体について見ていきましょう。

楷書体

私たちが一般的に漢字を使う時に最も慣れ親しみ、かつ最もよく使っている字体が楷書体です。
お墓に彫られる字体の中でも最も広く採用されています。

その理由として、小さく彫られてもすっきりとした見た目で分かりやすい、ということが挙げられます。

行書体

行書体は、まるで流れる線のように続けて書かれている書体で、実際のところは楷書を崩したような形状をしています。
なお、登場したのは楷書が登場するよりも前のことです。

お墓への彫刻も、やや崩したような字体にしたいという方を中心に取り入れられています。
ただ、あまり細かく彫刻する場合には不向きな字体といえます。

草書体

行書体以上に崩れている字体が草書体です。
特に速く書くことができるように発明されたものであるため、字画の省略が大きく行われることも少なくありませんが、風流さを感じさせるということであればおすすめです。

ただし、字画の省略が大幅に行われる分、読みにくいという場合も少なくありません。

隷書体

まるで中国の漢文をほうふつとさせるような隷書体も、特に味わい深い字体が好みという方を中心に採用されているうえ、昔のお墓でもよく見られます。
独特の雰囲気を醸し出すため、お墓にお参りする人に対しても非常に目立つ字体であるといえます。

ただし、あまり見慣れない字体であることと、文字に旧字体が使われることが多いため、実際はあまり使われることはありません

お墓に彫る戒名の色

お墓に彫られる戒名にも実は何種類かの色が使われる場合があります。
ここでは、お墓に彫る戒名の色について見てみましょう。

戒名の色は白か黒が定番

お墓に彫られる戒名の色は白もしくは黒であることが一般的です。
地方によっては、白や黒以外の色で塗られる場合(例えば九州では金色)もありますが、白と黒は基本としてそのお墓を建てた方がすでに亡くなっていることを示しています。

赤字の戒名は存命を意味するもの

時折、戒名の彫られている部分が赤色である場合がありますが、この場合はその戒名の方がご存命中であることを意味しています。
より具体的には、生前に戒名をつけてもらった場合に赤色で入れられます。

なお、その方が亡くなった場合は、文字の色が赤色から白色もしくは黒色に塗り替えられます

戒名彫刻をする時期

お墓に戒名彫刻を施す時期としては、いつ頃が理想的なのでしょうか?

一般的には、故人が亡くなった後にお墓に納骨する際の納骨式に間に合うのが理想的とされています。
なお、すでにお墓が用意されているということであれば、四十九日が明けた際に納骨が行われる時までということとなります。

もちろん、ご家庭の状況によっては四十九日が明けるときに納骨といかない場合もあるでしょう。
その場合は、納骨式や納骨ができるようになった時期に間に合うように戒名彫刻を済ませておくとよいです。

墓誌や戒名板って必要なの?

戒名を多く彫るためにお墓の横に立てるのが墓誌や戒名板とよばれるものです。
その役割としては、お墓に眠っている故人の没年月日や戒名、俗名、享年といった故人にまつわる情報を彫っておくことでその方のことを後世に伝える役割があります。
いわば、その家の人間に関する一種の歴史的な資料ともいえます。

ただし、供養を行っていくうえで墓誌や戒名板が必ず必要かといえば、そういうわけではありませんし、立てなければ災いが起こるというものでもありません。
ただ、墓誌などを立てないということになると、墓石そのものに戒名を彫っていくことになりますが、スペースが限られているため、そう多くは彫ることができません。

戒名を彫らないという選択は可能?

逆にお墓に戒名を彫らないという選択は、実際のところできるのでしょうか?

これについても結論から言えば、彫らなくてもよいです。
そもそも、戒名をお墓に彫らなければいけないというしきたりがありません。

あまりケースは多くありませんが、実際に戒名を彫刻しないという方もいますし、逆に戒名を彫刻してあっても納骨が行われていない場合もあります。
いわば、必ずしも戒名を彫らないといけないということにこだわる必要はないといえます。

お墓の戒名彫刻の流れ

お墓

お墓に戒名を彫刻してもらうとなると、いったいどのような流れで行われるのでしょうか?
ここでは、戒名彫刻の流れについて一緒に見ていきましょう。

お墓に彫る文字を決める

まず、最初にお墓に彫る文字を決める段階があります。
いわば、お墓に戒名などを彫刻する際の原稿を依頼主の方に出していただくというものです。

一般的に彫る内容は、亡くなった方の戒名と没年月日、俗名、享年(亡くなった時の年齢)となります。

この段階で注意すべき点として、漢字や享年の数字の間違いや誤字脱字がないかどうかをよく確認しておくということです。

戒名などお墓の彫刻は半永久的に残るため、間違いなどがあるとそれに気づくまでそのままの状態ということになってしまいます。
もちろん、修正できないというわけではありませんが、修正にはもちろんそのための費用や手間がかかることとなります。

拓本を取る

墓誌や墓石などにすでに戒名などが彫刻されている場合は、まずその拓本を取る必要があります。

追加で戒名を彫刻する場合は、すでに彫刻されている方の戒名に続けて彫っていくこととなるため、大きさを合わせたり、うまく後に続くようにあらかじめ拓本を取り、それに追加していくという形です。

ゴムシートへの転写

拓本を取り終えたら、その拓本をパソコンに読み取ってデジタル上のデータにします。
そして、そのデータをゴムシートに転写したうえで、この後の専用のカッティングマシーンによる彫刻作業ができるように準備します。

彫刻作業を行う

ゴムシートへの転写が終われば、そのシートを彫刻を施す対象となる墓石や墓誌に貼り付けて、いよいよ文字の部分を彫刻していきます。

実際の彫刻作業は、工場で行う場合もあれば、現場で行う場合もあります。
そして、現場でやるということであれば、現場専用の彫刻機械を使って丹念に彫刻を進めていきます。

なお、現在では現場での彫刻技術が一昔前よりも向上したこともあって、主に現場で作業を行うことが多いです。
ただ、さまざまな事情で現場での作業が難しいという場合には工場で行うこともあります。

新しく建てるお墓に彫刻をする場合

新しくお墓を建てる際に戒名の彫刻を施す場合の手順としては、墓石や墓誌に彫る内容の原稿を提出してもらい、それをそのままゴムシートの転写したうえで、墓石や墓誌にそのシートを張り付けて文字部分の彫刻の作業を行います。

なお、先ほど戒名の色の話でも触れましたが、そのお墓が生前に建立された場合や生前戒名をつけられている場合は、文字の部分を赤色に塗ります。

すでにあるお墓に追加彫刻をする場合

これに対して、すでにあるお墓に追加彫刻を施す場合は、追加で彫刻する戒名などの文字に関する原稿を預かったうえで、すでに立っている墓石や墓誌から拓本を取り、それをパソコン上のデータに読み込んだ後に、ゴムシートに転写します。

そして、そのままゴムシートを現地に運んだあとで、新たに彫刻を施すスペースにすでに彫刻されている部分との間隔などと調整しながら追加する文字を彫り込んでいきます。

ただし、何らかの事情で現地での作業が困難な場合は、一度墓石や墓誌を外して工場に運んで作業をすることになります。
この際に墓石に彫刻を施す場合は、閉眼供養と開眼供養(元に戻すとき)とが必要となります。

お墓の戒名彫刻にかかる費用の相場

お金

戒名を彫刻してもらう際にも、やはりお金は必要となってきます。
戒名彫刻に伴って必要となる費用がどのくらいになるのでしょうか?
ここでは、お墓の戒名彫刻にかかる費用の相場について解説していきます。

戒名彫刻にかかる費用の内容

戒名彫刻にかかる費用について見ていく前に、まずは戒名彫刻の中でどのような項目に費用が発生するのかについて触れていきます。

戒名料

戒名料とは、戒名をつけてもらう際に発生する費用のことです。
基本的には仏教式の葬儀を執り行う際に、僧侶の方に戒名をつけてもらうため、その際に僧侶の方に手渡すお布施と考えられます。

そして、戒名にはいくつかのランクがありますが、そのランクに応じて必要となる戒名料の額が異なってきます
最も低い信士から始まり、最も高い院号になるにつれてその額は高くなっていきます。

具体的な費用の相場としては、信士・信女で20万円から50万円、居士・大姉で50万円から80万円、院号で100万円以上が一般的なものです。
ただし、これらの相場は宗派や寺院、そして故人の寺院や社会に対する貢献度によって変化するという点はあらかじめ理解しておきましょう。

彫刻代

彫刻代とは、墓石や墓誌に戒名を彫刻する際に発生する費用を指します。

基本的には、戒名を彫刻する故人の方1人当たりの費用はほとんど決まっており、人数が多くなるほどその費用は高くなっていきます。
具体的には、故人の方1人当たり2万円から8万円といわれていますが、その中でも多いのが4万円台とされています。

なお、戒名を彫刻する費用がほとんど決まっている理由は、パソコンを用いて簡単に彫刻作業ができるようになったという事情があるためです。
そのため、昔のようにノミなどの工具でやった場合であれば一文字単位で費用が発生するところですが、その手間が省けたためにこのような費用設定の方法が用いられています。

ただし、いくら故人1人当たりの彫刻費用がほとんど決まっているからとはいえ、彫刻を施す対象となる墓誌などが大きいような場合は彫刻代が高くなることもあります。

戒名彫刻の費用が異なる要因

戒名を彫刻するのに必要な費用は、何らかの条件によっては大きく変わる場合があります。
どのような条件があれば、戒名彫刻にかかる費用が異なってくるのでしょうか?
ここでは、戒名彫刻の費用が異なる要因について見ていきましょう。

戒名をお墓のどの場所に彫るのか

まず戒名彫刻の費用が異なる要因として挙げられるのが、お墓に戒名を彫る位置です。
戒名をお墓に彫る場合は、墓石もしくは、その横にある墓誌に彫ることとなります。

そして、墓石に彫る場合と、墓誌に彫る場合とでは、墓誌に彫る方が墓石よりも若干安くなります。
具体的な数字を見ると、墓石に彫る場合が6万円ほどであるのに対し、墓誌に彫る場合は5万円ほどです。

そのうえ、何らかの事情で墓地や霊園にあるお墓の敷地から一度取り外して工場へ運ぼうとする場合は、墓石の場合は閉眼供養や開眼供養のお布施も必要となりますが、墓誌の場合はそこまで必要とはなりません。

彫刻作業を行う場所

彫刻作業を行う場所がお墓のある墓地や霊園といった現地である場合と、石材店の工場である場合という違いでも費用に差が発生してきます。

現地で作業をする場合であれば、ゴムシートを張り付けてそこに専用の機械で彫り込みを行うだけで済みますが、工場で行う場合となると墓石や墓誌をいったん工場に運び込むため、その際の往復の輸送費と、墓石の場合の閉眼供養と開眼供養に必要なお布施の金額が追加で必要です。

お墓に彫る戒名についてまとめ

お墓

お墓の戒名彫刻についてここまで見てきましたが、いかがでしたか?
今回の内容をまとめると、以下のようになります。

  • 戒名とは、本来は仏様の弟子となって戒律を守る証につけられた名前のことだが、今では亡くなった方につけられる名前となっている。なお、戒名をつけてもらうにはお布施が必要となってくる。
  • お墓に彫る戒名の特徴には、彫られる順番がある程度決まっていることや、楷書体をはじめさまざまな字体が見られること、基本的に白か黒色で塗られることなどが挙げられる。
  • お墓の戒名彫刻の流れとして、お墓に彫る文字を決めた後で、追加彫刻の場合は拓本を取り、そのあと原稿や拓本の内容をパソコンを使ってゴムシートに転写したうえで彫刻作業を行うという段取りである。
  • お墓の戒名彫刻の費用の相場は、彫ってもらう故人の戒名1名分につき4万円台が平均的な相場である。また戒名をつけてもらう際のお布施の額は、戒名のランクに応じて変化する。加えて戒名彫刻の費用は、彫る場所や作業を行う場所によっても異なってくる。

お墓の戒名を彫ってもらうことは、ほとんどの場合で必ずなされることです。
そのためにも、終活の取り組みの中でしっかりと戒名彫刻にまつわる流れや費用のことを把握しておくことが大切といえます。

この記事を参考にして、お墓の戒名について考えてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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