終活で遺言は絶対に書くべき!遺言の種類や書き方を解説します

終活で取り組むことのできる項目はいろいろとありますが、その中でも相続のことにも関わってくるのが遺言です。終活で遺言と聞くと多くの方は「縁起でもない」と感じますが、実は今のことも先のことも考えるならば書いた方がよいものといえます。今回は遺言について見ていきます。

目次

  1. 終活で遺言は書いた方がいいの?
  2. 終活で遺言を書いた方がいい理由
  3. 遺言の種類を解説
  4. 遺言の効力は?
  5. 遺言書を書く際の注意点は?
  6. 遺言書以外の公正証書
  7. 遺言と遺書とは何が違うの?
  8. 遺言とエンディングノートとの違いは?
  9. 終活で遺言を書きましょう〜まとめ〜

終活で遺言は書いた方がいいの?

遺言

終活に取り組むこととしてよくイメージされることといえば、ご自身が亡くなった後の葬儀やお墓に関することを挙げるという方も少なくありません。

当然、葬儀やお墓のことを終活で考え、手を打つというのも非常に重要です。

しかし、葬儀やお墓のこと以外にも終活で大事なことがあります。
それが、遺言を書くということです。

遺言(いごん、ゆいごん)とは、一般的には亡くなる前に後に残されるご家族に宛てて自らの意思を書き残した書類のことを指します。
特に遺産相続や分割の件に関しては、法的効力を持つ場合もあり、遺産を巡る醜い争いを防ぐうえで有効な手段ともなるため、遺言は残す方がよいといえます。

そこで、今回終活ねっとでは終活の中で遺言を残すことについて見ていきましょう。
なお、具体的には、

  • 終活で遺言を書いた方がいい理由とは?
  • 遺言の種類にはどのようなものがあるのか?
  • 遺言の効力とはどのくらいのものなのか?
  • 遺言書を書くときに気を付けるべき点とは?
  • 遺言書以外の公正証書とは?
  • 遺言と遺書との違いとはどのようなものか?
  • 遺言とエンディングノートとはどう違うのか?

という各ポイントを軸に内容を進めていきます。ぜひ最後までご覧ください。

終活で遺言を書いた方がいい理由

人々

一般的に、遺言をは書き残した方がいいといわれています。
ここでは、終活で遺言を書いた方がいい理由について見ていきましょう。

相続時のトラブルを避けられる

遺言を残すメリットはやはり、財産の相続の際のトラブルを避けられるという点が挙げられます。

遺言はきちんとした書式や形式さえ守っていれば、強力な法的効力を持つことができるため、書かれている内容に従って誰に相続させるかや、財産のうちどのくらいを分割させるかという点に関してもその内容に従って行うことができます。

相続や遺産の分割に関しては、特にご家族の中でトラブルのもとになりかねません。
この点については話し合いで解決できれば苦労はしないのですが、骨肉の争いに発展することも多々あります。

そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、遺言はあらかじめ残しておくことが大切であるといえます。

遺産相続人の手間が省ける

遺言を残しておくことは、遺産相続人の負担を省くことにもつながります。

一般的に遺産分割には、大変な量の事務手続きが必要です。
具体的には、故人の遺産がどのくらいであるかを調べたうえで、故人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本もそろえて相続人を確定するということが必要となってきます。

そのうえ、この作業を行っている間は故人の銀行口座などは一時的に凍結されて、誰も手出しができません。

このように遺産分割の手続きは非常に煩雑で、かつ大変な負担を強いられますが、法的効力があると認められた遺言さえあれば、このような作業からほとんど解放されます。

そのほかお世話になった方にも相続が可能

遺言を残しておくことは、本来法律(民法)相続人と認められないような方、例えばご自身がお世話になった方にも相続させることが可能です。

例えば、ご自身のご長男のお嫁さんが介護をしてくれたお礼にある程度遺産を相続させたいという場合にも、遺言でその意思を明確にしていれば彼女も相続する権利を得ることができます。

余談ですが、一般的にお嫁さんは法律上、その家の相続人とみなされません。
このため、お嫁さんにも相続させたいということとなると、あらかじめ遺言でその旨を明確にしておく必要があります。

遺言の種類を解説

書状

一言で遺言といっても、その種類は非常に多いです。
ここでは、法的に認められる遺言の種類について1つずつ見ていきましょう。

なお、遺言は大きく分けて、普通方式遺言特別方式遺言とがあります。

普通方式遺言

普通方式遺言とは、法的に一般的な方式に基づいた遺言のことです(民法967条)。
普通方式遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、ご自身で全文手書きで作成した遺言のことを指します。
具体的には、遺言書の内容全文にとどまらず、作成の日付と署名に至るまですべて手書きにしたうえで、ご自身の捺印もされているものを指します。

ご自宅にある筆やペンと髪を用意すれば手軽に作成することができますが、法的効力を持った正式な遺言として認められるようになるには、民法で定められた書き方や形式に関する細かいルールをすべて満たしていないといけません。

なお、少しでも条件を満たしていない項目があった場合や、内容が改ざんなどされている時点で法的効力は無効となります。

さらに、自筆証書遺言は相続人が発見した段階で、家庭裁判所による検認と呼ばれる審査を受けることとなります。
遺言書が封筒などに封印(糊付けと押印が施されている状態)されている場合は、この審査が終わるまでは開封はできません。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言を残す方が2人以上の証人の立会いのもとで、遺言として残す内容を公証人に伝え、その内容に基づいて公証人が筆記する遺言のことです(民法969条)。

専門家である公証人が作成にあたり、遺言書の原本は公証役場で保管されるため、改ざんなどの心配はありません。
加えて、家庭裁判所による検認も省略されるため、相続人が速やかに相続手続きを行うことも可能です。

また、自筆証書遺言に比べると公証人が作成にあたっている分、法的効力が無効になる可能性も大幅に低くなります

デメリットとしては、作成の際に立ち会う証人を選び出さないといけないことや、作成にあたっては費用が発生すること、証人が遺言の内容を知ることになることが挙げられます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、2人以上の証人の立会いの元で、公証人が遺言の内容を聞いたうえで遺言書を作成するという点に加えて、本人以外にはその内容を秘密とすることができる遺言のことです(民法970条)。

公正証書遺言に比べて、内容が漏れることがなく、遺言書が発見されないということを防ぐこともできますが、非常に手間や手数料がかかるため、あまり利用する方は多くはありません。

特別方式遺言

特別方式遺言とは、病気やその他の事情でご自身に最期が迫っているような場合や、その他やむを得ない事情にある場合に、それぞれの状況に応じて法的に認められた方式で残す遺言を指します(民法983条)。

特別方式遺言の種類として、一般危急時遺言と難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言が挙げられます。

なお注意点として、遺言者が普通の方式で遺言を残せるようになってから6か月以上経過した場合は、特別方式で残した遺言は法的に無効となるという点が挙げられます。

一般危急時遺言

一般危急時遺言とは、病気などの理由でご本人に最期が迫っている状況で残される遺言を指します(民法976条)。

この場合の遺言が法的効力を持つには、その場に立会う証人が3人以上いる状態で、遺言者がそのうちの1人に遺言の趣旨を伝え、それを受けた証人が筆記を行ったうえで、遺言者とそのほかの証人に読んで聞かせ、最後に各証人がその内容が正確であることを認めたうえで、署名捺印することです。

なお、この遺言は20日以内に家庭裁判所に対し遺言の確認請求を行わない場合は、その時点で無効となる点に注意が必要です。

難船危急時遺言

難船危急時遺言とは船舶が遭難した場合に、その中で死期が迫っている方が残すことができる遺言のことです(民法979条)。

法的に有効になるには、2名以上の証人の立会いの下に口頭で伝えるだけですが、証人側でその趣旨を筆記したうえで、署名捺印をする必要があります。

こちらも後日家庭裁判所に確認請求を行うことが必要ですが、一般危急時遺言とは違って確認できるようになった段階で遅滞なく行えばよいということになっています。

一般隔絶地遺言

一般隔絶地遺言とは伝染病にかかっている事情で、行政処分によって隔離されている方が死期が迫っている状態で残すことのできる遺言を指します(民法977条)。

法的効力を持つには、警察官1名と1名以上の証人の立会いで遺言書を作成すること、遺言者と執筆者、証人、立会人の署名捺印がされることが必要となります。
なお、この場合は口頭での遺言だけでは無効となります。

船舶隔絶地遺言

船舶隔絶地遺言とはさまざまな事情で船舶に乗船している方が遺言書を作成するときに用いられる方法です(民法978条)。
法的効力を持つには、その船舶の船長もしくは事務員1名および2名以上の証人の立会いで遺言書を作成し、遺言者と執筆者、証人、立会人の署名捺印がされることが必要となります。

遺言の効力は?

court

遺言を残す目的として、相続の際に法的効力を持たせることで、相続関係で起こるトラブルを防ぐという点が挙げられます。

それでは、遺言の法的効力とはいったいどのくらいのものなのでしょうか?

相続人を指定できる

遺言を残すことで特定の人物を相続人として指定することができます
遺言がない場合に備えて、民法では法定相続人を選ぶ方法もあらかじめ定めていますが、遺言がある場合は民法の規定よりもその内容が優先されます。

このため、先ほども見たように法的に相続人とみなすことができないような人も、遺言によって相続人に指定することが可能です。

相続分を指定できる

遺言で相続人を指定できるということは、彼らが相続する財産の割合、つまり相続分も遺言によって指定することが可能です。

こちらも相続人の場合と同じで、遺言がない場合に備えて、民法では法定相続分もあらかじめ定めていますが、遺言がある場合は民法の規定よりもその内容が優先されます。

このため、特定の人に多く相続してほしい場合は、法的効力を持ち得る遺言の中でそのように明記すれば可能となります。

相続財産を処分できる

相続財産の処分についても遺言で明記することで可能です。

ご自身が亡くなった後に相続財産を法定相続人とみなされない特定の人物もしくは団体に遺贈したり寄付したりすることを「相続財産の処分」といいますが、遺言でその旨を明記することでそれが可能となります。

先ほども挙げた、介護をしてくれた奥さんの例でいえば、彼女を相続人に指定しないままその感謝の気持ちとして財産の一部を贈ること(遺贈)も「相続財産の処分」に入ります。

遺言執行者を指定・委託できる

遺言を行うことができる人間(遺言執行者)を指定したり、委託したりすることも可能です。

これは、特に相続財産の名義の変更が生じる場合、その際に必要な事務的な手続きを行う人間をあらかじめ指定したり、第三者に委託することができるということを指します。

遺言書を書く際の注意点は?

困った人々

ここまで見てきたように、遺言は法的効力さえ持つことができれば、相続に関する故人の意思を実現するうえで強力な道具となります。

しかし、遺言が法的効力を持つようになるには、さまざまな点に注意しなければいけません。
ここでは、遺言書作成の際の注意点について見ていきましょう。

文言を正確に書く

遺言を文書の形にした遺言書が法的な効力を持つには手書きであることが大前提です。
そのため、遺言の内容を正確かつ読みやすく書くことが求められます。

なぜならば、例えば字が乱雑であったり、不明瞭であったりした場合は、相続時のトラブルを防ぐためにその時点で法的効力が無効となってしまうためです。

また、文言についても注意が必要です。
例えば、「すべて譲る」や「すべて渡す」といった話し言葉は無効となる原因になります。
きちんと明確な表現である「遺贈する」や「相続させる」といった表現を用いて、遺言を行う時にご家族が戸惑わないようにする工夫が必要です。

推定相続人を把握する

現時点でご自身が亡くなった場合、遺産を相続させる対象となる法定相続人である推定相続人をきちんと把握しておくことも大切です。

正確に把握するには、ご自身の出生から現在までの戸籍を取得したうえで、現時点での親族関係を明確にしておくことが大事です。

なお、推定相続人が過去に被相続人(ご本人)に対し著しい非行を行っていた場合は、相続資格をはく奪する「相続廃除」請求が可能です(民法892条)。

遺言内容を細かく説明する

遺言書には、それを説明することができる物として、本文とは別に付言という項目を設けることができます。

その遺言の内容にした理由などを説明することで、遺言の内容に対する誤解や解釈の不正確さによって生じる争いを未然に防ぐうえで有効です。

遺言執行者を必ず決める

遺言執行者を必ず決めましょうl。
遺言書の内容を実現させるために、各種財産の相続に必要な事務手続きを行う人物を遺言執行者といいます。

これは遺言が間違いなく、かつスムーズに実行されるうえでは非常に有効な手段といえます。
なお、遺言執行者には信頼のおける人物を指定するとよいでしょう。

財産の棚卸しを正確に行う

財産の棚卸を正確に行いましょう

特に遺産の中に財産額の大きい不動産が含まれる場合は、最寄りの法務局で「登記事項証明書」を取り寄せたうえで、しっかりと特定し遺言書に記載することを忘れないようにしましょう。

また、額面の大きい預貯金がある場合についても、銀行で残高証明書を発行してもらったうえで、その内容ももれなく記入しておきます。

遺言書以外の公正証書

certificate

終活にかかわってくる公正証書は遺言書だけではありません。
ここでは、遺言書以外の公正証書について見ていきましょう。

尊厳死宣言公正証書

尊厳死宣言公正証書とは、ご本人が治療不可能な病気にかかった場合に、過剰な延命措置を自らの意思で断る旨を公式に示した公正証書を指します。

任意後見契約

任意後見契約とは、認知症などの精神的な事情によって判断能力が著しく衰えた場合に、特定の人物を後見人に指定して、ご本人に代わって財産管理や日常取引などを代行してもらう制度のことです。

いわゆる後見人制度の一種ですが、このうちご本人自身の意思によって取り交わされる後見に関する委任契約を指します。

ちなみに、後見に関する委任契約はこのほか裁判所が後見人を指定する「法定後見」があります。

死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、ご自身が亡くなり、遺産相続手続きや、葬儀・埋葬に関する手続きなど死後のことに関する事務手続きで頼れるご親族がいない場合、信頼のおける知人や法律の専門家に委託する契約を指します。

その具体的な内容には、死後に関する事務手続きであればいろいろなことを盛り込むことができます。
死亡届や埋葬許可申請の提出や、医療費・介護費の支払いなどがその例です。

特に近年では、一人暮らしの状態で亡くなる孤独死が急増して社会問題となってきていることもあって、終活に取り組む中でも注目されてきているといえます。

財産管理委任契約

財産管理委任契約とは、ご自身の財産の管理や日常生活にまつわる事務のすべてもしくは一部について、特定の人物を指定して委任する契約です。

一見すると、任意後見契約の財産関係に特化した形に見えますが、こちらの場合は判断能力の減退がみられるかどうかに関係なく契約を結ぶことができます。

このため、例えば将来判断能力が低下することを見越して、早いうちからこの契約を取り交わすということも可能です。

遺言と遺書とは何が違うの?

困った人々

遺言と遺書とは一見すると同じように見えますが、はたして違いはあるのでしょうか?

遺言が将来的に亡くなることを見据えて、遺産などの相続に関することを残しておくための手段であり、それが書類となったものが遺言書です。

これに対し、遺書とは自分がこれから死ぬことを前提に、身の潔白や加害者への恨みつらみ、家族への思いなどを書き残す性格のものを指します。
ちなみに、これから自殺しようとする人が残すのは遺書の方です。

加えて、遺書には死後の財産の相続などについてはほとんど触れられることはありません。

遺言とエンディングノートとの違いは?

ノート

終活の中で遺言が重要なものであることはここまで見てきたとおりですが、終活の中で注目されているものにエンディングノートもあります。
エンディングノートには、ご自身が亡くなった後の葬儀屋お墓などに対する希望やご家族などに伝えたいこと、ご自分のこれまでの歩みや個人情報などを書き残しておくための文具です。

遺言とエンディングノートの決定的な違いとして、遺言は所定の書式や形式を満たせば法的効力を持つことができますが、エンディングノートの方は気軽に書くことができる分、そのような法的効力を持たせることは不可能であるという点が挙げられます。

終活で遺言を書きましょう〜まとめ〜

人々

終活において遺言を残すことがどれほど大事なものであるのかについて見てきましたが、いかがでしたか?
今回の内容をまとめますと、以下のようになります。

  • 終活で遺言を書いておいた方がよい理由として、相続の際のトラブルを避けることができることや、遺産相続人の負担を軽減できること、そのほかお世話になった方についても相続が可能とすることができる点が挙げられる。
  • 遺言の種類には大きく分けて普通方式遺言と特別方式遺言とがあり、通常は普通方式がとられる。なお、普通方式遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言がある。一方、特別方式遺言の種類として、一般危急時遺言と難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言が挙げられる。
  • 遺言書作成の際の注意点には、文言を正確に書くこと、推定相続人を把握すること、遺言の内容を細かく説明すること、遺言執行者を必ず決めておくこと、財産の正確な棚卸しを行うことが挙げられる。
  • 遺言書以外の公正証書として、尊厳死宣言公正証書、任意後見契約、死後事務委任契約、財産管理委任契約が挙げられる。
  • 遺言と遺書の違いとして、遺言は主に死後の相続関係について記したものである一方、遺書は家族への思いや加害者への恨みつらみといった内容が主である。
  • 終活でともに重要な位置づけにある遺言とエンディングノートの違いは法的効力が伴うかどうかという点にある。

ここまで見てきたように、終活に取り組む中で遺言を残しておくことは、後になってから財産を相続するうえでの無用な争いを防いだり、お世話になったへの恩返しをしたりするうえで有効な手段であるといえます。

終活に取り組むということであれば、遺言についてもきちんと考えてみるとよいでしょう。

今回ご紹介した記事以外にも終活ねっとでは終活に関する記事を多数掲載しております。そちらも併せてご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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