終活の身辺整理について

普段、皆さんは身の回りの片付けに気を配っていますか?
所有しているものが多すぎると、片付けをするのにも何かと手間がかかるのではないかと思います。
また、家の中が散らかっていて、どこに何があるのかあまり把握していないという方などもいらっしゃるのではないでしょうか。
終活を始めたならば、この機会に家の中の片付けを含めた身辺整理をするのが良いでしょう。
しかし、終活の一環として行う身辺整理について、あまりよく分かっていないという人は意外と多いです。
例えば、「身辺整理は具体的に何を整理するのか」「身辺整理の前に、まず終活が分からない」など、様々な疑問を抱えていることと思います。
この記事では
- 「終活」の意味
- 終活で行う身辺整理の対象
- 身辺整理を行う際に使うエンディングノートについて
- 身辺整理は福祉整理とどう違うのか
- 終活の身辺整理の専門家とはどういったものなのか
以上のことを中心に、終活の身辺整理について解説していきます。
終活の身辺整理の専門家には、どういった人が依頼するのかについてもまとめていますので、終活を考えている方は是非最後までお読みください。
そもそも終活って何?

テレビや雑誌などで終活という言葉を見聞きする機会は、よくあるのではないでしょうか。
しかし、終活という言葉自体を知っている人は数多くいても、具体的にはどういう意味なのかまで分かっている人となるとその数は急に少なくなります。
終活にあまり興味がなかったり、自分には関係のないことと考えていたりする人が多い為、終活の意味まで積極的に知ろうという気持ちが湧かないのです。
終活という言葉はそもそも「人生の終わりを迎えるための活動」の略称です。
つまりは自身の終末期について考え、最期まで幸せな人生を送れるようにすることを意味しています。
そして、人生の最期に備えて様々な準備をしていく中、やるべきことの1つとして身辺整理があるのです。
終活で身辺整理するもの

いつも家の中を片付けている人にとって、身辺整理の作業はあまり苦にはならないでしょう。
家の中が既に片付いているのだから、身辺整理すら必要ないのではと思うかもしれません。
しかし、いつも過ごしている場所の整理整頓をすることと、終活を意識した身辺整理では意味合いが少し違います。
それでは終活の身辺整理の場合、どのようなものを片付けていくのでしょうか。
この項目では、終活で身辺整理するものについて、具体的に何が身辺整理の対象となるのか、4つに絞ってご説明いたします。
土地や家、貯金などの財産
身辺整理の対象の1つとして、土地や家などの財産に該当するものが挙げられます。
通常、家の中を片付ける時に意識するのは、普段から生活を快適に過ごせるように、見た目が綺麗になるように、といったことでしょう。
そのため、財産関係の整理について考えることは、あまりないのではないでしょうか。
財産関係を整理することなく放っておくと、誰が相続するかで遺された人たちが揉める原因となりやすいです。
そのため、必要に応じて通帳の解約や名義の変更、誰に相続させるのかなど、やるべきことをやっておかなければなりません。
また、相続人が複数いる場合、法律にしたがった分割手続きなども必要となってきますので、その際は弁護士など専門家に依頼します。
形見分けしたいものを選別
身辺整理の対象の1つとして、形見分けしたいものを選別することが挙げられます。
ただ、整理整頓する場合と違う点は、通常は自分を含めたそこに住んでいる人を考えて片付けるのに対し、身辺整理は自分の死後に遺された人たちへ渡すもののことを考えて所有品を選別するという点です。
所有品の形見分けを持ち主本人が行っておくことで、何を残して、何を捨てたいのかといったことが明確になります。
特に、美術品や骨とう品などといった価値の高い代物があった場合、売ってしまって良いのか、博物館に寄付した方が良いのかなど、判断に困ることが多いです。
あらかじめ形見分けをしておけば遺された人たちの判断に委ねることがなくなるため、ご遺族の方の負担を軽くすることができます。
PCやスマホのデータといったデジタル遺品
身辺整理の対象の1つとして、パソコンや携帯などのデータといったデジタル遺品が挙げられます。
身辺整理は何も物体だけとは限りません。
普段から使っているパソコンや携帯に入ったデータも整理する必要があります。
そして、保存しているデータの中には、家族と一緒に撮影した写真や仕事関連の書類、知人・友人の連絡先など、様々な情報がつまっています。
保存しているデータの中には、自分以外の誰かに見られたくないデータなどもあるのではないでしょうか。
また、自分自身はどこに何のデータがあるのか把握していたとしても、遺された人たちは知らない、もしくは機械関連が不得意でうかつにいじれないという人もいらっしゃることと思います。
そのため、このようなデジタル遺品は本人がきちんと整理しておく必要があります。
また、デジタル遺品については、終活ねっとの以下の記事でも詳しく解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
デジタル終活って一体なに?大事なデータの管理について解説!
近年、何かとブームの終活ですが、その中でもデジタル終活というものも流行しています。終活といえば、最期に備えてお墓を用意したり、これまで保有してきた財産について整理をつけることなどが挙げられますが、デジタル終活とはいったいどのような内容のものなのでしょうか?
不用品の処分
身辺整理の対象の1つとして、不用品の処分が挙げられます。
所有しているものが多いと、中には必要のないものも出てきます。
そういった不用品は売ってしまうなり、どこかに寄付するなりして、身辺整理しておくことをおすすめします。
何故なら、身辺整理をしないまま亡くなってしまうと、遺されたご遺族の方は故人にとって何が大切なもので、何が不用品なのかその区別がつかないからです。
故人の意思が分からないまま、遺品を片付けていく作業は遺された人たちに大きな負担を与えてしまうことになります。
そのため、事前に不用品の処分をしておくことで、大切なものだけを遺せますし、遺された人たちの作業量も減らすことができます。
身辺整理のためにエンディングノートを使う

生活している中で何かを書き留めたいと思った時、皆さんは何を使うでしょうか。
チラシの裏やメモ帳、手帳にノートなど、書こうと思えば書く所はいくらでもあります。
そしてそれは終活をしている人も同じです。
終活をしているとよく耳にする言葉としてエンディングノートというものがあります。
しかし、聞いたことはあっても実際にはどういったものなのか、知らない人も多いことでしょう。
この項目では、エンディングノートの意味と身辺整理のためのエンディングノートの使い方についてご説明いたします。
エンディングノートとは
エンディングノートとは、自分の死後に望んでいることや遺された人たちへ伝えたいことなどを記しておくものを指します。
自身が亡くなる間際や死後などに家族の負担を軽くすることを目的としていますが、他にも判断力の低下や自分の意思を伝えることが難しい病気にかかった時などにも役立ちます。
また、財産のことや葬儀のことなども記しておくと、家族だけで判断しなければならない状況になっても、書いてある情報が判断材料となります。
まるで遺言書のようですが、大きな違いはエンディングノートに法的拘束力がないことです。
そのため、遺言書よりも形式を気にせず、自由に記述することができます。
自分自身に何かあった時を想定して大事なメッセージや情報を記述しておくノートなので、まさに終活には欠かせないものと言えるでしょう。
エンディングノートで身辺整理を行う方法
次に、エンディングノートで身辺整理を行う方法について解説します。
エンディングノートは先述したように、書き方や内容、書くものに決まった形式はありません。
そのため、書きたいことを思いつくままに書くのが良いでしょう。
例えば、自分が病気にかかった際の手続きについて、死後にどんな葬儀を望むか、葬儀に呼んでほしい友人の連絡先リスト、財産についての必要な情報などは書いておくことをおすすめします。
他にも家族や友人へのメッセージなど、書きたいことや必要と思ったことは全て書き、自分なりのエンディングノートを作成してください。
注意点を挙げるとするなら、他の人が見やすいように書くということです。
エンディングノートを見る人は主に家族や友人など、自分以外の人たちなので、必要な情報が見にくかったり、情報自体が間違っていたりしたら、読む人たちは混乱します。
また伝えたいメッセージなどは、相手に伝わらない可能性が高くなりますので、見やすいエンディングノートであることを心がけてください。
身辺整理と福祉整理の違いって何?

ここまで身辺整理についてご説明してきましたが、皆さんは「福祉整理」という言葉をご存知でしょうか。
この項目では、終活に関する身辺整理のおさらい、そして身辺整理と福祉整理との違いについてご説明いたします。
終活の一環として行う身辺整理とは、終活をより良いものとするため、自身が所有しているもの全ての整理をすることを指します。
福祉整理とは、住環境を整えて健康的な生活を送れるように整理することを指します。
終活の身辺整理との大きな違いは、死を意識しているかどうかです。
高齢者は年齢や病気などを理由に、住環境を悪化させてしまうことがあります。
その状況を改善し、より良い生活を目指すという、死よりも生を意識しているのが福祉整理です。
終活の身辺整理の専門家に依頼する

終活で身辺整理を行う際、自分だけで出来るならばもちろんそれでも良いのですが、1人だけだとどうにも不安な気持ちになる方は一定数いらっしゃるかと思います。
そこで1人で頑張るのではなく、終活の身辺整理の専門家に依頼するのはいかがでしょうか。
どの分野にも専門家がいるように、終活の専門家ももちろんいます。
自分でやるよりも費用はかかってしまいますが、代わりにあなたの終活の身辺整理がスムーズに進むように手伝ってくれます。
この項目では、終活の専門家である「終活カウンセラー」についてご説明いたします。
終活カウンセラー
終活カウンセラーとは、相手の悩みをじっくりと聞き、相手の身になって考え、終活に関するアドバイスが出来る人のことです。
仕事内容と費用
終活でやるべきことは多く、その分だけ悩みや不安の種類も多く出てきます。
どうすればその悩みを上手く解決できるか、どうすれば不安を解消できるかなどを専門的な知識や技術などを駆使して考えることが仕事です。
そして必要と判断すれば、お客様の悩みに応じた専門家の紹介などもしてくれます。
終活カウンセラーの相談費用は1万円前後であることが多いようですが、依頼する専門家によって料金は違ってきますので事前の確認が必要です。
どんな人が依頼するのか
- エンディングノートに書くことが思い浮かばないが、自分が亡くなる前に身辺整理を終わらせたい人
- 作業が思ったように進まなくて焦っている人
- 何から手をつけていいか分からず、途方に暮れている人
などといった人たちが終活の専門家へ依頼します。
終活に関して少しでも興味がある方は一度終活カウンセラーに相談して見てはいかがでしょうか。
終活の身辺整理まとめ

いかがでしたか?
この記事では、終活の一環である身辺整理について、様々な角度からご説明いたしました。
- 終活は「人生の終わりを迎えるための活動」の略称で、意味は自分の終末期を今のうちに考え、最期まで幸福な人生でいられるように活動すること。
- 終活で身辺整理する対象は数多くあるが、4つに絞るなら土地や家などの財産、形見分けしたいものの選別、PCやスマホのデータといったデジタル遺品、不用品の処分
- エンディングノートは、自分自身の終末期や死後に希望していることや家族・友人などへ伝えたいメッセージなどを記すもの。目的は、遺された人たちの負担を軽くするため、ある日いきなり自分の意思を伝えることが困難な状態に陥った時のためなどがある。法的拘束力はない。また、エンディングノートは見やすく書くことが大切。
- 福祉整理とは、自分が住んでいる場所を整え、健康的な生活を送っていけるように整理することで、身辺整理との違いは死を意識しているか否か。
- 終活カウンセラーは終活の専門家で、終活に関する適切なアドバイスをしてくれる。仕事内容は相手の悩みや不安の解決、場合によってはそれらに応じた専門家の紹介。費用は1万円前後だが、依頼する所によって変わってくる。
- 終活の身辺整理が思うように進まない人、エンディングノートに書くことが思い浮かばなくて困っている人などが終活カウンセラーに依頼する。
以上のことが分かりました。
終活をする上でエンディングノートは必須だと言えそうです。
終活をするということは、自分の人生と向き合う行為です。
そして、身辺整理でエンディングノートを使うことは、家族のために必要なことでもあります。
生前に身辺整理を済ませて、終活を終わらせ何も思い煩うことなく、安らかな最期を迎えましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。