墓地埋葬法での納骨堂の扱いを解説します。納骨堂には許可が必要?

最近は納骨堂に遺骨を納める人が増えているようです。 でも、きちんと遺骨の管理・供養をしてもらえるのか、心配ですね。 納骨堂のことは墓地埋葬法に決まりがありますので、よく理解しておく必要があります。 墓地埋葬法でどんなことが決められているのか、分かりやすく解説します。

目次

  1. 墓地埋葬法における納骨堂について
  2. 墓地埋葬法とは
  3. 墓地埋葬法における納骨堂の意味
  4. 納骨堂の経営は許可が必要
  5. 墓地埋葬法における納骨堂まとめ

墓地埋葬法における納骨堂について

お墓

最近は、お墓の値段の高騰やお墓が遠くて不便などの理由から、故人の遺骨を昔から先祖代々続くお墓に埋葬しないで、納骨堂に管理を頼み永代供養してもらおうと考える人も増えてきているようです。

でも、納骨堂はどんなものなのか、仕組みがよく分からないと、遺骨をきちんと管理してしっかり供養してもらえるのか、心配なこともありますね。

実は納骨堂についても、墓地と同じように、墓地埋葬法で施設の経営者や管理者が守らなければならないルールがきちんと決められているのです。
ですから、その内容をよく理解しておく必要があります。

  • 墓地埋葬法とは、どういう目的でどんな内容を決めた法律なのか?
  • 墓地埋葬法では、納骨堂の意味や設置する場合の手順や扱いなどについて、どんなことを決めているか?
  • 墓地埋葬法は、納骨堂の経営などについてどんな規制があるのか?

など、墓地埋葬法における納骨堂の扱いについて、分かりやすく解説しますので、最後までご覧ください。

墓地埋葬法とは

お墓

はじめに、墓地埋葬法とは、どのようなことを決めた法律なのか簡単に説明しましょう。

概要

墓地埋葬法は、正式には「墓地、埋葬等に関する法律」といいます。
墓地・納骨堂・火葬場の管理と埋葬などの行為が、国民の宗教的な感情に合い、公衆衛生など公共の福祉にも悪い影響を及ぼさず、適切に行われることを目的としています(墓地埋葬法1条)。

第1章「総則」では、上記の目的のほか、用語の定義を明確にしています(墓地埋葬法2条)。

  • 「埋葬」、死体を土中に葬ること。
  • 「火葬」、死体を葬るために焼くこと。
  • 「墳墓」、死体を埋葬し、焼骨を埋蔵する施設。
  • 「墓地」、墳墓を設けるため都道府県知事の許可を受けた区域。
  • 「納骨堂」、委託を受けて焼骨を収蔵するため都道府県知事の許可を受けた施設。
  • 「火葬場」、火葬を行うため都道府県知事の許可を受けた施設。

第2章「埋葬、火葬及び改葬」では、埋葬・火葬の手続きなどについて、次のようなことを定めています。

  • 埋葬は死後24時間経過後でなければならないこと(墓地埋葬法3条)
  • 埋葬や火葬は、墓地や火葬場以外で行ってはならないこと(墓地埋葬法4条)
  • 埋葬・火葬・改葬は、市町村長の許可が必要であり、許可証が交付されること(墓地埋葬法5条・8条)

第3章「墓地、納骨堂及び火葬場」では、墓地や納骨堂の経営には知事の許可が必要なことなどを定めています。
このほか、罰則などが決められています。

いつ制定された法律か

墓地埋葬法は、戦後間もない昭和23年5月末に制定され、6月から施行されています(墓地埋葬法23条)。

それまでは明治17年の太政官布達「墓地及埋葬取締規則」がありましたが、旧規則は名称どおり墓地と埋葬の取締りを目的としたもので、国民の宗教感情とか公共の福祉というような現在の墓地埋葬法の目的とは、異なる部分があります。

墓地埋葬法における納骨堂の意味

お墓

「納骨堂」は、「他人の委託により焼骨を収蔵するため、都道府県知事の許可を受けた施設」です。(墓地埋葬法2条6項)。
つまり、他人の依頼を受けて遺骨を安置する施設であり、知事の許可を得たものです。

「他人の委託により」ということですから、自分の家に遺骨を置き供養することは、例え立派な安置所を造っても墓地埋葬法の納骨堂には当たらず、許可は必要ありません。

お墓が決まらないからとずっと家においている人もいるようですが、好ましいかどうかは別として墓地埋葬法上は特に問題となることはありません。

「焼骨」を「収蔵」する施設ですので、火葬を済ませた遺骨を保管するものですが、墓地とは異なり、土中に埋蔵するものではありません。

遺骨の預かりが一時的な場合

お墓に埋葬するまでの間、一時的にお寺などに遺骨を預けることもあると思いますが、そのような場合はどうなのでしょうか。

あくまでも、埋葬までの短期間、一時的に遺骨を預けるだけなら納骨堂と考える必要もありませんので、墓地埋葬法でも、納骨堂としての許可は必要ないとされています(昭和23年9月厚生省から都道府県知事あて回答通知)。

遺骨の預かりが一時的でなくなる場合

ただし、遺骨を預かる行為の1件、1件は別々の一時的なものであっても、それらの行為を何回も継続して繰り返すときは、納骨堂として墓地埋葬法の適用があるとされています(上記、厚生省回答通知)。

寺院などによっては、お墓が決まるまでとか、いろいろな理由で、多くの人から一時預かりするところもありますが、反復継続的であれば、事業行為と考えられます。
したがって、そのような場合は墓地埋葬法の適用があり、納骨堂の設置について知事の許可が必要ということにないます。

納骨堂の経営は許可が必要

お墓

納骨堂の設置行為については一時的なものを除き知事の許可が必要なことは分かりましたが、それでは納骨堂の経営については、どんな規制があるのでしょうか。

基本的に許可を必要とする

墓地埋葬法10条では、「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。

墓地や納骨堂といっても、昔からあり先祖代々引き継いだものも多いと思いますが、そのように墓地埋葬法施行の際すでに存在していた納骨堂は、どういう扱いになっているのでしょうか。
墓地埋葬法は、墓地埋葬法の施行前からある墓地や納骨堂などについては、次のように定めています。

  • 旧墓地及埋葬取締規則(明治17年)に基づき、既に都道府県知事の許可を受けて墓地・納骨堂などを経営している場合は、墓地埋葬法の許可を受けたものとみなす(墓地埋葬法26条、いわゆる「みなし墓地」です)。
  • 墓地埋葬法の施行前には知事の許可が必要でなかつた地域で納骨堂を経営していた場合で、引き続き納骨堂を経営するときは、墓地埋葬法の施行後3か月以内に10条の知事許可の申請をしなければならない(墓地埋葬法27条)。

ですから、墓地埋葬法の施行前からあった納骨堂などは、旧墓地及埋葬取締規則に基づく都道府県知事の許可を得ていれば「見なし墓地」となり、そうでない場合は墓地埋葬法に基づき新たに知事の許可を受けたものしか、認められていないということです。

したがって、いずれの場合であっても、旧墓地及埋葬取締規則か、現行の墓地埋葬法に基づく都道府県知事の許可を得ていることになります。

また、納骨堂の施設を変更したり廃止するときは、旧規則に基づき許可を得た見なし墓地であっても、墓地埋葬法に基づき改めて都道府県知事の許可が必要となります(墓地埋葬法10条2項)。

ただ、都市計画事業や土地区画整理事業による納骨堂などの新設・変更・廃止は、事業の施行に伴い必要となるものですので、その事業認可等があれば、知事の許可があったものとみなされています。

もし、必要な都道府県知事の許可を得なかったときは、6月以下の懲役または5,000円以下の罰金が課されます。
この都道府県知事の許可は、現在は第3章の2の雑則に基づき、市・区長に移されている場合が多いので注意が必要です。

経営許可の相手は、基本的に、地方公共団体や公益法人・宗教法人などに限られ、墓地・納骨堂などの設置場所や構造についても厳しい基準が設けられています。
ですから、個人が経営許可を得ることはほとんどの場合できないと考えたほうがよいでしょう。

墓地と許可の種類が別

墓地埋葬法10条は、「墓地・納骨堂・火葬場を経営しようとする者は知事の許可を受けなければならない」と定めていますが、墓地の経営の許可があれば納骨堂の経営の許可は必要ないのでしょうか。

「墓地」は墳墓を設けるために都道府県知事の許可を受けた区域です(墓地埋葬法2条)。
そして、「墳墓」とは死体を「埋葬」し、焼骨を「埋蔵」する施設ですから、墓地は遺骨を土中に埋めて葬る点で、焼骨を「収蔵」する納骨堂とは基本的に異なります。

埋葬を前提とする墓地と、収蔵を前提とする納骨堂では、許可基準や施設の構造基準も当然違いますので、片方の経営許可を受けたからといって、もう一つの経営ができるということにはなりません。
墓地経営の許可と、納骨堂の許可は別のものですので、それぞれの許可を得る必要があります。

納骨堂の管理者の義務

納骨堂などの経営者は、管理者を置き、氏名などを市町村長に届けなければなりません(墓地埋葬法12条)。
この納骨堂の管理者は、

  • 遺骨の収蔵を求められたときは、正当の理由がなく拒んではならない(墓地埋葬法13条)、
  • 火葬許可証を受理した後でなければ遺骨を収蔵してはならない(墓地埋葬法14条2項、
  • 納骨堂などの管理者は、図面や帳簿・書類等を備えておかなければならず、また依頼者から請求があったときは閲覧を拒んではならない(墓地埋葬法15条)、

と決められています。
納骨堂への納骨を拒否される場合もあるようですが、そのような場合は「正当の理由」の有無が争点になるのです。

墓地埋葬法における納骨堂まとめ

お墓

墓地埋葬法における納骨堂の扱いについて見てきましたが、以下のようなことが分かりましたね。

  • 墓地埋葬法は、墓地や納骨堂の管理や埋葬が、国民の宗教感情に合い、公共の福祉にも悪影響なく適切に行われることを目的として必要な手続きなどを決めている。
  • 納骨堂とは、他人の依頼を受けて遺骨を納めて安置する施設で、設置については知事の許可が必要である。
  • 納骨堂を経営しようとする者は、墓地埋葬法により都道府県知事の許可を受けなければならない。
  • 墓地経営の許可と、納骨堂の経営許可は別のものなので、それぞれ許可を得る必要がある。
  • 納骨堂の管理者は、正当な理由がなければ、遺骨の収蔵依頼を拒否できない。

お墓をめぐる問題は他にもたくさんありますが、なじみのない言葉が多く、どんな仕組みになっているのかなど、まだまだ分からないことがあると思います。
終活ねっとではそれらの問題についても分かりやすい記事を用意していますので参考にしてください。

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