中国式仏像ー歴史上に見る流転と興亡の背景

西方地域より中国へと伝来した仏像。その時代背景には、どの様な出来事が起きていたのか。中国式仏像の様々な光と影の歴史を、ここで述べていきます。

目次

  1. 仏像の意味と特徴とは?
  2. 中国の仏教の歴史
  3. 中国最古の仏像
  4. 仏教弾圧の歴史
  5. 仏像販売の実態
  6. まとめ

仏像の意味と特徴とは?

仏教の礼拝の礼拝対象として造られた仏の彫像です。
広義では画像や版画も仏像とされますが、ここでは彫像の方を指していきます。

主な対象は仏陀ですが、如来(悟りを開いた仏=大日如来・阿弥陀如来・薬師如来・釈迦如来他)、菩薩(如来になる為に修行中の仏=観世音菩薩、千手観音菩薩他)、明王(悪人を従わせる為に如来が化身した姿=不動明王・愛染明王他)、諸天(六道という天に在する仏=帝釈天・七福神の弁才天他)も含まれます。
彫像による仏像の材質。
金属、石造、木造、塑造、乾漆造など様々です。

中国の仏教の歴史

中国に仏教が伝来したのは紀元前後

仏教はシルクロードを通って中国地域へ伝わりました。
当時の中国には儒教や道教が既に成立しており、他国(しかも漢民族以外が崇拝する宗教)からの精神文化を受け入れる事は相当な時間を要したはずです。
しかし、特に経典の翻訳を通じて受容されていきました。
時を経て約400年後の南北朝時代(439~985年)になると、国家の保護のもとで仏教は急速に繁栄していき、5世紀には900近くの寺院が建立されて、多くの仏像も造られました。

中国仏教の最盛期

北周(557~581年)の武帝による廃仏(仏教弾圧の項をご覧ください)から、特に中国の北方では無宗教政治が続いていました。
その後、隋(581~619年)が建国され初代皇帝の文帝が即位すると、直ちにに詔を出し文帝自らが先頭に立って復興事業を進めていきました。

彼は長安に新しく都城を建設すると、城内に国立寺院の大興寺を建造させ、隋と次の王朝である唐(618~907年)の名立たる僧たちが住する中央仏教随一の名刹となります。
そして国内の州県に州・県立の寺を建てるように勧めました。
文帝は学徳の高い高僧を招くと、学僧たちに南北朝時代までの教学を学ばせました。

時代は唐に移ります。
645年に玄奘三蔵が17年ものインドへの旅から帰国し、多数の仏像や経巻を持ち帰りました。
皇帝の太宗は玄奘から西域地方に対する最新の知識を聞き、大いに喜んで当時の仏教界の俊英を集め、経典の翻訳を助けました。
次の高宗の時代になると、玄奘が持ち帰った仏像や経巻が焼失するのを防ぐ為に、大雁塔を作らせました。

これらの事業をまとめていくと、最盛期は隋及び唐初時代だと推測されても良いでしょう。

中国最古の仏像

二つの仏像の矛盾

西暦67年頃、インドから伝わった仏像

考古学的に中国へ仏教が伝来した説話の中で、最も有力視される西暦67年の『白馬寺の求法説』によると、その年に中国から派遣した使者及びインドの高僧たちが、白馬寺に経典と仏像を運んだ、と
されています。最古の仏像とされるとしても過言ではないでしょう。
余談ですが、白馬寺は中国に仏教が伝来して最初に国費で創建された寺院です。

建武四年像の存在

けれども、白馬寺に伝わったとされる仏像は今では現存していないようです。
しかしながら、サンフラシスコのドゥ・ヤング記念博物館の建武四年像(西暦338年作)である金銅物座像には制作年がはっきりと刻まれ、それを証拠に中国最古の仏像とされています。
何故、白馬寺の仏像と建武四年像の様な”最古の仏像説”、という食い違いが起きたのでしょうか。
それは次の項に関係があると考えられます。

仏教弾圧の歴史

三武一宗の法難

四人の皇帝が行った、中国史上最も規模も多きい廃仏事件です。
各皇帝の廟号や諡号を取って、こう呼ばれています。
別名を、三武一宗の廃仏といいます。

四人の皇帝と法難の時期は?

北魏(386~534年)の太武帝の太平真君年間
北周(556~581年)の武帝の建徳年間
唐の(618~907年)の武宗の会昌年間
後周(951~960年)の世宗の顕徳年間です。

弾圧政策とは

具体的な内容としては、寺院や仏像の破壊、財産の没収、僧侶の還俗です。

ここで仏像の破壊という言葉が出てくるので、ようやく上記した”二つの最古の仏像の矛盾”の件を述べる事にします。
西暦67年にもたらされたとされる仏像が最古ではない=前者は弾圧で破壊されてしまったが、なおかつ、現存していて制作年次が刻まれている建安四年像が最古の仏像、という仮説が生れる事になります。
余談ですが法難時代に破壊された仏像は、極端に多く残されてはいません。

話を元に戻しましょう。
経済政策については二つほど理由があります。
第一に国家公認の僧籍にある者は、納税の必要がありません。
それを悪用し、脱税目的で僧籍を取った者を還俗させて課税者にする財政改善を狙った事。
第二に仏寺中の仏像や梵鐘資材を得る事です。
銅(貨幣の材料)や鉄(武器の材料)を中心とした金属物資は、主に唐の武宗期の銅銭不足や、後周の世宗期による国家の再統一事業が絡む為に、重要な問題でした。

廃仏は儒教や道教の中国古来の宗教を保護する為と考えられますが、経済政策の側面も持っていたと推測されます。

仏像販売の実態

法難という名の廃仏令により、くしくも破壊されず埋められた仏像は、近年徐々に発掘されています。
そうした仏像はとても希少で歴史的や美術的にも、おのずと価値が高くなり高値で取引が行われています。
中国は領土の範囲が広大な為、まだまだ土中に眠った仏像が見つかる可能性があるのではないでしょうか。

まとめ

最後までこの記事を読んで頂き、中国と仏像の関係についてどういった感想を持たれましたでしょうか?
特に、日本でも様々な時代に行われていた廃仏運動が、同様に中国でも繰り返しあった事は筆者にとっても驚くべき事実でした。
そして弾圧時期に破壊されず、姿をとどめた中国式仏像の希少価値が高いという事も、日本での考古学的認識としては低いでしょう。
筆者同様に中国の仏像に興味を持って頂ければ、幸いです。

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