仏像修復とそれを職業にする人達について書いてみました

日本にはたくさんの仏像や神々の像があり、人々の信仰を集めています。このような仏像は国宝や重要文化財であることも多く、古来より修復を繰り返すことで受け継がれてきました。今回は仏像の修復とその修復を職業とする人達について書いてみました。

目次

  1. 仏像の制作の方法
  2. 仏像の損傷について
  3. 仏像の修復について
  4. 仏像修復を職業としている人達の勤務先
  5. 勤務先は民間の仏像修復会社など
  6. 漫画に登場する修復家
  7. 学芸員になるには?
  8. 学芸員となるため大学で必要な科目を履修
  9. 記事のまとめ

仏像の制作の方法

仏像には、木像、銅像、乾漆像、塑像、石像、鉄像があり、その材質は多様ですが、日本の仏像のほとんどは木像で作られています。
その理由ですが、造形がしやすく、また、日本では良質の木材が採れたことがあげられます。
以下に、木像の仏像を制作するにあたり、その主な技法についてまとめてみました。

【木像制作の技法について】
木像は、一本造り、寄木造り、割矧(わりはぎ)造りの技法があります。
なお、日本の木像は、ひび割れを防ぐため、内刳り(うちぐり。芯をくり貫く技法)が行われています。
・一本造り・・・・1本の木をくり貫いて彫刻をしていく技法で、1本の木から造るので大きな仏像には向きません。
・寄木造り・・・・大きな像を造るために木を寄せ合わせて作る技法のことで、パーツ毎に組み立てて造ります。
・割矧(わりはぎ)造り・・・1本の木を割り放し、それぞれに内刳りを施して貼り合わせる技法のことです。

仏像の損傷について

さて、仏像は、長い年月を経過すると各所に傷みが生じてきます。
その場合は、修復をすることになりますが、日本での仏像の大半を占める木像仏像はどのような傷みが生じるかについて書いてみました。

まず、木像仏像の表層の損傷になりますが、この原因は、剥落(剥離や浮き上がりのこと)、風化・摩耗、変質(変色や褪色を含みます)、古色(塵や埃の付着)などが複合的に重なって起こります。
そして、基部(木質部分など)については、干割れ(ひわれ)、ねじれ、虫食い、朽損、風化・磨損等が修復の要因となります。
構造部(接合部)については、矧目離れが起きやすいので、この部分の修復が行われます。

なお、造形や図像が失われることも多く、元の形状がわからないことや仏像が完成時に持っていた持ち物が何であったかわからないことも多々起きています。
また、後補と言って、欠損箇所を過去の修復時に補足している仏像については、材質、造形共に程度の低いものも多くあり、仏像としての品格を損ねる原因となったり、新たな腐食の原因となったりしています。

仏像の修復について

ここでは、木像仏像の修復について書いてみたいと思います。
木像仏像の修復方法ですが、剥落止め、材質硬化(虫喰朽損対策)、解体修理、修正・新補(候補、欠失対策)、着色(古色)、素地古色などがあります。
いずれも手間と時間のかかる作業となっています。
最近では、コンピューターの普及により、修復家の勘や技と合わせて、科学的な分析により、より仏像の修復に合致した手法が取られるようになりました。

仏像修復を職業としている人達の勤務先

さて、仏像修復を職業にしている人達には、どこに務めているのでしょうか?
勤務先ですが、主な勤務先として、
①民間の仏像修復会社
②大学付属の研究室や博物館
③全国の国立・市立博物館 などがあります。
以下に、簡単ですがまとめてみました。

修復家は博物館や研究機関、民間の修復会社などに勤務しています。

勤務先は民間の仏像修復会社など

仏像修復を職業としている人ですが、その主な勤務先は以下の通りとなっています。

①民間の仏像修復会社
元学芸員なども多く、すでに修復の技術を身に着けている人達が起業するケースと仏像販売と共に修復を手掛ける会社があります。
全国の寺や神社等から受注を受け、木像仏像に限らず修復を行なっています。
会社により、受託する修復範囲が異なり、修復費用もばらばらであると言えます。

②大学付属の研究室や博物館
古美術や仏像、歴史・文化、仏像修復を専門に研究する人達が個人の研究テーマに応じて研究を目的に仏像修復を手掛けています。
作業に従事する人達は、調査専門職員の他に、調査器具を専門に操作する技術者、コンピュータ解析を専門に行う技術者、研究目的の大学生、大学院生、教授陣などが含まれます。
調査対象の仏像は、外部から研究目的に持ち込まれた仏像、大学で所有する仏像、行政機関などから修復を委託されて持ち込まれたものなど多岐に渡っています。

③全国の国立・市立博物館
博物館で所有する仏像や寄贈品の仏像、各寺院から展示に預かった仏像、全国の寺院から修復のため持ち込まれた仏像、発掘された仏像などその修復対象は様々です。
修復作業に従事する人達は、学生を除き、ほぼ上記と同じです。
まれに、発掘などについては、ボランティアを雇う場合もあります。

漫画に登場する修復家

ここでは、仏像修復に携わる人を主人公にした漫画を紹介したいと思います。
新刊本というよりは、中古本となっている場合も多いので、ぜひ読みたいという人は、漫画喫茶やインターネットカフェをはしごするか、ブックオフなどで中古本を探してみると良いかも知れません。
なお、書店の他にインターネットのブックストアでも購入することができます。

作品名 : 壊れた仏像直しマス
作者 : 芳家圭三氏
天才仏師は修復も手掛けていたのですが、突然行方不明となり、その息子が修復を手掛けるという仏像修復の物語です。

作品名 : ギャラリーフェイク
作者 : 細野不二彦氏
ギャラリーフェイクは店の名前で、主人公の藤田とその周りの人達の人間ドラマを書いた物語です。ほとんどが1話完結の物語で、仏像修復に関する話もあります。
仏像修復というよりは、絵画修復や取引にまつわる話が多い作品です。

学芸員になるには?

仏像修復家になるには、学芸員となり、専門機関で技術を習得する方も多いので、どうすれば学芸員になれるか?について書いてみたいと思います。
学芸員とは、博物館の専門職員のことで、学芸員の資格を取得するには、以下、記載の4つのパターンがあります。
学芸員の進路は様々であり、学芸員の多くは、公営の博物館や大学博物館や付属研究機関、企業ミュージアムなどに勤務しています。

仏像

学芸員となるため大学で必要な科目を履修

ここでは、学芸員になるための4つのパターンを紹介したいと思います。
多くの人は、①の大学で必要な科目を履修するを選択しています。
これは、大学や短大の卒業単位を取るのと合わせ、学芸員の資格を取る人が多いためです。
社会に出てからでは、なかなか勉強する時間も取れませんので、効率の良い資格取得の方法と言えます。

①大学で必要な科目を履修する
大学でも短期大学でも学芸員(もしくは学芸員補)の資格は取得できますが、博物館実習という科目があり、この実習生を受け入れる機関が少ないことが資格取得のネックとなっています。

②単位+学芸員補経験
大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得したもので、3年以上学芸員補の職に就いた場合においても学芸員の資格が授与されます。

③学芸員資格認定試験に合格する
学歴要件、職歴要件がそれぞれあります。
試験は必修科目8科目と選択科目2科目の筆記試験です。

④学芸員資格認定審査に合格する
学歴要件、職歴要件がそれぞれあり、ハードルは高いものとなっています。

記事のまとめ

日本の文化財は、修復家達の日々の努力と地道な作業で守られています。
日本の文化財を後世に残すため、修復に携わる人達を育成し、その修復技術をぜひ次世代に引継いで欲しいと筆者は願っています。

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