キリスト教の葬儀の通夜って?仏教式とはだいぶ違う事情

誰もがいつかは死を迎えますが、その際に残された遺族によって行われる儀式が葬儀です。そして、葬儀の中でも告別式に先立って行われるものが通夜です。日本では葬儀にも仏教式やキリスト教式などいろいろありますが、キリスト教式の葬儀の通夜とはどのようなものなのでしょうか?

目次

  1. 一般的な通夜:葬儀の前日に
  2. キリスト教の通夜:日本独自の葬儀での風習
  3. キリスト教式の通夜(前夜祭)の流れ
  4. おまけ:葬儀の準備や作法、香典の相談は?
  5. まとめ

一般的な通夜:葬儀の前日に

葬儀

通夜(お通夜)とは、一般には亡くなった人(故人)をしのんで、故人の遺族や友人が告別式の前夜に行うささやかな儀式と、翌日の告別式が始まるまでの間、祭壇の灯を絶やすことなく故人の遺体を守りながら過ごす儀礼の時間のことです。

この通夜はもともと夜間に故人の遺体に邪霊が入ることや、野生動物に遺体を荒らされるのを防ぐために古くからおこなわれていた風習が現代に伝わっているものです。
また、遺族にとっては個人に寄り添うことのできる最後のひと時になっています。というのも、告別式の後は故人の遺体は火葬場で焼かれたのち、日を改めて納骨されるためです。言い換えれば、生前の個人の生の姿をしのぶことのできる最後の時間ともいえるのです。

一般的に日本では多くの人が葬儀を仏教式で行っています。
しかし、信教の自由が認められている我が国では、仏教のほか神道やキリスト教などの宗教が信仰されており、もちろんそれらの宗教の考え方に基づいた葬儀のやり方もまたあります。

キリスト教の葬儀については、クリスチャンが全国で100万人ほどしかいないためか意外と知られていません。そして、その中でも通夜についてはなおのこと知らない方も多いはずです。
今回はそんなキリスト教式の葬儀の通夜についてみていきます。

キリスト教の通夜:日本独自の葬儀での風習

キリスト教式の葬儀の通夜ですが、最初に書いておくと基本的にはありません。
こう書くと、「でも、教会でお通夜に参加したことがあるぞ!」という声が飛んでくると思います。

正確に言えば、日本のキリスト教会以外では見られないということです。
つまり、キリスト教式の葬儀における通夜は日本独自の風習なのです。

それではなぜ、このようなことになったのでしょうか。
それに触れる前に、まずはキリスト教における死にまつわる考え方を見ていきましょう。

日本と全く違うキリスト教にとっての「死」

十字架

キリスト教は紀元1世紀(日本では弥生時代)のころにパレスチナで活躍したイエスが開いた宗教です。開祖であるイエスはそれまでのユダヤ教の腐敗した信仰を批判した活動を展開しますが、ユダヤ教の指導者層や、当時パレスチナを支配していたローマ帝国の手により十字架で処刑されます。

しかし、その3日後に「イエスがよみがえった」という話が伝わり、それを信じたイエスの弟子たちの手によって生前のイエスの考え方や、イエスこそ救い主であり神の子であるという信仰を軸に現在に続くキリスト教が形成されるようになりました。

さて、このキリスト教における「死」にまつわる考え方ですが、イエスの復活の信仰と深くかかわっています。
イエスの死はすべての人類が生まれながらにもっている罪(原罪)を克服するために身代わりとなったものとされ、彼の復活は神による罪の赦しや永遠の命の保証を示しています。

このため、キリスト教の中で死とはその場での命の終わりではなく、故人のこの世での罪が赦されたうえで天国に召され、そこで新しい生活を送るためのライフイベントとみなされています。
死を暗いものと考えている日本とはかなり違ったとらえ方をしているのです。

キリスト教の通夜が行われるわけ:日本独自のマナー

日本の一般的な考え方と違い、キリスト教では死は希望のあるライフイベントとみなされているため、通夜というものがありません。故人の魂は死の時点ですでに神のもとにあるとみなされているため、故人の遺体に悪い霊が入るという考え方そのものが存在しないのです。

それでも、日本のキリスト教の教会では通夜が存在します。
その理由として、日本ではキリスト教会の側が日本古来の風習に合わせる形で通夜を導入しているからです。
なお、通夜の流れはあとで触れますが、基本的に仏教式の通夜と同じようなものです。

ただし、いわゆる通夜ふるまい(通夜の儀式の後、弔問客に食事やお茶を出してもてなすこと)は行われません。
神父や牧師と遺族が軽めのお茶とお菓子を飲食しつつ故人をしのぶ茶話会を開催するくらいのものです。

キリスト教式の通夜(前夜祭)の流れ

カトリックもプロテスタントもほぼ同じ流れ

ここではキリスト教式の通夜の流れを見ていきます。
キリスト教の宗派はたくさんあり、その中でも日本人にとってなじみがあるのはカトリックとプロテスタントですが、基本的な流れは両方ともそんなに違いはありません。

通夜のことをカトリックでは「通夜祭」、プロテスタントでは「前夜祭」と呼んでいます。
両方とも「祭」が付くのは、故人の魂が罪を赦され天国で新しい生涯を送ることへの感謝と喜びを示しているからです。

基本的に通夜は教会で行われますが、故人の自宅や斎場で行われる場合もあります。

流れとしては、カトリックではまず故人の遺体の納棺を神父と遺族らの手で行い、棺の枕付近に十字架と左右にろうそくを灯した燭台を立て、花を飾ります。
プロテスタントでは、牧師と遺族が納棺し枕飾りを飾ります。

その後、参列者一同は讃美歌(聖歌)を合唱し、聖書を朗読し、神父または牧師による説教が行われます。このため、案内には合掌する讃美歌(聖歌)の歌詞や朗読する聖書の文言をあらかじめ印刷しておくと良いでしょう。

説教が終わると、一同で神に祈りをささげ再び讃美歌(聖歌)を合唱し、カトリックであれば遺体に聖水をまき、プロテスタントであれば遺体の周りに献花を行います。
カトリックで使われる聖水ですが、日本ではあまりなじみがないため、近年ではカトリックでもプロテスタントと同様、献花を行う例が増えているようです。

とてもささやかな茶話会の時間

通夜の儀礼が終わると、神父や牧師と故人の遺族とで茶話会が開かれ紅茶もしくはコーヒーとお菓子を飲食しつつ故人をしのびます。
ところによっては、一般の通夜の通夜ぶるまいのように本格的な料理で飲食する場合がありますが、この際にはアルコール類は出さないようにします。

おまけ:葬儀の準備や作法、香典の相談は?

先ほども触れたとおり、日本人の中でクリスチャンは100万人で、全人口の1%にも満たない状態です。そのため、日本全国でもキリスト教式の葬儀を行っているケースは決して多くなく、日本人にとってはかなりなじみの薄いものになっています。

それでは、クリスチャンの知り合いの人が亡くなった場合やキリスト教式の葬儀を行う時はどのようにすればよいのでしょうか。

一番手っ取り早いのは故人が通っていた教会の神父や牧師に相談することです。
彼らも長い信仰生活や教会の務めの中でキリスト教式の葬儀を自らリードした経験があります。いわばキリスト教式の葬儀のエキスパートなのです。

そのほか、葬儀専門の業者に相談するのも手でしょう。
彼らも様々な葬儀の方法に通じているため、頼りがいがあります。

まとめ

いかがでしたか?
キリスト教では本来通夜がないものですが、日本では古来の風習に合わせて通夜祭や前夜祭が行われます。
ただ、その内容は日本古来のものと同じですが、雰囲気はだいぶ違いますので、参列する際には雰囲気が違っても驚かないようにしましょう。

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