白檀に伽羅…香木の種類とそれぞれの香りや効能についてご紹介

女性に人気のアロマテラピーは西洋で発展したものですが、日本にも古来より香りを楽しんだり、香りによって心身を癒す香文化がありました。その元となるのが香木です。香木にはいくつかの種類があり、香りにもさまざまな種類があります。今回はそんな香木についてご紹介します。

目次

  1. 香木とは?
  2. 香木の歴史
  3. 香木の種類
  4. 香道と香りの種類
  5. 香木の種類についてのまとめ

香木とは?

香木とは、広くは心地よい香りを持つ種類の木材のことを言います。檜や樅などもよい香りがする木材ですが、一般的に香木と言うと、香道に使われる沈香や白檀を指します。

香木の歴史

日本における香木の歴史は古く、『日本書紀』によると、553年、現在の大阪の泉に強い香りのする木が漂着し、欽明帝の命によってその木で仏像2体を造って吉野の寺に安置したと記載されています。
また、推古天皇3年(595年)に淡路島に香木が漂着したと記録されており、木片を火にくべると良い香りがしたため、朝廷に献上したとされています。

奈良の正倉院には、鎌倉時代以前に日本に入ってきたとされる巨大な香木「黄熟香」が納められており、足利義光や義政、織田信長、徳川家康といった時の権力者達が切り取ったとされています。

香木の種類

沈香

ベトナムやカンボジア、インドネシアなどフィリピンをのぞく東南アジア全域に分布する沈丁花科の樹木内に、バクテリアが作用して樹脂が蓄積したもの。老木や倒木、枯れ木、虫食いなどで傷付いた樹木に真菌類が作用することで、長い年月の間に特有の香りを発する樹脂が生成されて沈香となります。木よりも比重が重く水に沈むことから「沈水香木」と呼ばれます。

沈香の香りと効能

沈香は香道でも使われるように、それぞれ異なる独自の香りを持っています。常温ではあまり香らないため、熱したり燃やして香りを楽しみます。古来より宗教儀式に用いられていました。鎮静効果があるため、戦の前に高ぶる精神を鎮めたり、兜についた汗の香りを脱臭するのにも用いられていたと伝えられています。また、薬用として喘息や嘔吐、腹痛、腰やひざの冷え、疲労回復効果があるとされています。

伽羅

沈香の一種で「伽南香、奇南香」とも呼ばれ、沈香とは香りや成分樹脂の違いで区別されています。沈香の最高級品、香木の中でも別格とされています。

沈丁花科の木がベトナムのごくわずかな湿地帯に埋まり、数千年から数世紀かけて酸素に一切触れずに発酵したもので、非常に生産量が少ないため大変入手困難な希少な香木です。ベトナム戦争で地雷が埋められ採掘が困難となって以降、地上の香木の表面にできたこぶ状のものを土中に埋めて発酵させたものも伽羅と呼ばれています。

伽羅の香りと効能

甘い、辛い、酸っぱい、苦いと、伽羅にはすべての種類の香りがあると言われています。一流の調香師でも「伽羅の香りは、神様が創ったもので、とても我々人間が作り出せるものではない」と言うほど特別な香りです。鎮静効果に優れています。

白檀

インドやインドネシア原産の熱帯性常緑樹で半寄生植物あるビャクダン科ビャクダンの芯材。ニュージーランドやオーストラリア、ハワイといった太平洋諸島に広く分布しますが、それらの白檀は香りが少なく、香木としての利用はあまりされません。葉や樹皮はほとんど香らず、幹部の芯材に含まれている精油が香りを持っています。

インドでは紀元前5世紀頃からすでに高貴な香木として使用されていました。インドのマイソール産のものが最高級とされ、「老山白檀」と呼ばれています。白檀は近年減少しているため、インド政府は伐採制限や輸出規制をかけており、高品質のものは入手困難で大変貴重となっています。

白檀の香りと効能

線香にもよく使われているので、馴染みのある香りです。爽やかで甘みのある落ち着いた香りには緩やかな鎮静効果があり、緊張や不眠、興奮、精神疲労に効果があると言われています。宗教行事や瞑想用の薫香として用いられています。英語でサンダルウッドといい、アロマセラピーでもよく用いられる定番の種類の香りです。

また、熱を加えなくても香るため、仏像の他、扇子や数珠、匂い袋などの素材としても広く用いられ、細かく刻んだものが焼香の素材としても使われています。

香木の価値

香木はその種類や産地、樹枝の蓄積量や種類、熟成年数、保存状態などで価値が数百倍も異なると言われています。
特に伽羅は金と同じぐらいの価値あるものとされていました。極上品の代名詞、権力のシンボルともされ、戦国武将や諸国の大名たちが競って収集していたそうです。

数の激減もあって現代ではますます希少なものとなり、20年前に10gで1万円だったものが、現在は1gで2万円前後すると言われています。
原産地でもそのほとんどが採り尽されてしまっており、長い年月をかけて樹脂化したものなどは、とても希少な自然遺産です。香木の香りを人工的に作る方法はいまだ解明されていないこともあり、今後ますます手に入らない貴重なものとなるでしょう。

香道と香りの種類

香道

香道とは沈水香木の香りを鑑賞する芸道のことです。香木それぞれの独特な香りを聞き、味わって鑑賞する「聞香(もんこう)」と、香りの種類を聞き分けるゲーム性に富んだ「組香(くみこう)」が主な要素です。

香道の歴史

古代インドから中国を経て仏教と共に日本に入ってきた香文化は、宗教的な儀式の際に香木が焚かれたのが始まりです。平安時代には、貴族が香りを聞いて鑑賞するようになり、やがて武士の香や禅の教えが加わって、室町時代には茶道や華道と共に上流階級の芸道として発展しました。

香りの種類

香りの種類は、同じ木から採取したものでも微妙に異なります。しかしその違いは見た目ではほとんど分かりません。そのため、それぞれに異なる香りの種類や産地を手掛かりとして、いくつかの種類に分類される「六国五味(りっこくごみ)」という方法が生み出されました。

六国

沈水香木は、含有樹脂の質と量の違いから、以下の6種類に分類されています。

・伽羅(きゃら)…ベトナム産
・羅国(らこく)…タイ産
・真南蛮(まなばん)…マラッカ産
・真那賀(まなか)…インド東海岸マラバル産
・寸門陀羅(すもんだら)…インドネシアのスマトラ産
・佐曽羅(さそら)…インドのサッソール産

五味

香りの特色を5つの味で表現した五味という5種類に、さらに分類されます。

・甘…あまい ・辛…からい、スパイシー ・酸…すっぱい ・苦…にがい ・鹹…しおからい

香木の種類についてのまとめ

人々

香木の種類についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?香りには様々な楽しみ方があります。興味を持たれた方はいろいろ試してみてください。

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