墓地の移転とその手続きについて解説します

引越しなどで、墓地を移転しなければならない場合があります。この場合、もとの墓石を移す、新しい墓地に墓石を建てる、または納骨堂に納めて永代供養をお願いする方法があります。また、分骨することもできます。この記事では墓地の移転についてその基本を解説します。

目次

  1. お墓の法律
  2. お墓について
  3. 墓地を移転する場合
  4. 墓地を移転する手続き
  5. 公共事業による墓地移転と補償
  6. 墓地の所有権移転
  7. まとめ 墓地の移転には時間がかかります

お墓の法律

墓地については、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法:ぼまいほう)で規定されています。

お墓について

墓埋法では、遺体または遺骨を納める場所として「墳墓」と「納骨堂」があります。

お墓

墳墓に土葬はできるのか?

「墳墓」とは「死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設」です。
死体の埋葬と焼骨の埋蔵が規定されているので、実際には、全体の98%は火葬ですが、法律上は土葬も認められています。しかし、実際には、墓地経営についての都道府県知事の許可条件に、「焼骨の埋蔵に限る」と条件がつけられている場合が多く、事実上、土葬は困難です。

納骨堂を運営するには許可が必要

お墓

納骨堂は、「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」のことです。納骨堂の許可がなければ、お寺でも他人の遺骨を長期的に預かることはできません。

家族の遺骨は自宅保管できる

納骨堂は、「他人の委託」と規定されていますから、自分の家族の遺骨を自宅で保管していることは合法です。

墓地を運営するには許可が必要

墓地というのは、墳墓を設ける区域のことです。墓埋法では、「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域」と規定されています。
墓地以外に、骨を埋蔵したり、土葬したりすることが法律で禁止されています。

墓地を移転する場合

お墓

新しい墓石を建てて墓地を移転する

移転先の墓地や霊園に新しい墓石を建立します。そして、納骨と開眼供養を行います。
分骨というお骨を分けて埋葬する方法もあります。
そして、使っていたもとの墓地にある墓石は破棄します。

移転先の墓地に現在の墓石を移転する

現在使っている墓石をそのまま、移転先に移動して設置します。そして、納骨と開眼供養を行います。
墓石は、石材店などに依頼して分解して運びます。

お骨を納骨堂へ納め永代供養にする

お墓を受け継ぐ子供がいない、子供がいても女性だけで、いずれお墓は誰も世話しない無縁仏になる可能性があります。その場合には、寺院の納骨堂などに永代供養としてお骨を納めます。
そして、墓地の使用は止めます。

墓地を移転する手続き

移転手続きの基本

実際に移転するには、改葬許可申請書を作成し、市町村に提出して、改葬許可を貰う必要があります。
改葬許可申請の手続は、石材店や移転先の墓地を経営する団体が相談に乗ってくれます。しかし、個人情報の保護の観点から、移転希望者が自らしなければならない作業があり得ます。それでも相談はできます。
墓地を移転する前に、魂を抜く法要を済ませる必要があります。
墓地を移転したら、開眼供養を行います。
永代供養の場合には、永代供養していただくお寺にお骨を預け、法要を行います。

改葬と分骨

今の墓地をやめて、新しい墓地に移すのは改葬となります。
移転前の埋葬、納骨をしている寺や墓地、霊園の所在地を管轄する市町村長の改葬許可がなければ改葬できません。
しかし、今の墓地を変更せず、分骨する場合には、墓地管理者の分骨証明書があれば、別の墓地にも骨を埋葬することができます。

移転前の墓地はどうしますか

魂を抜いただけでは不十分で、お骨をすべて取り除き、原状回復しなければなりません。この点については、墓地の使用規則に記載されている場合がほとんどです。

古い墓石はどうしますか

墓地の移転で、移転前の墓地にある墓石は移転しない限り、産業廃棄物として処分されます。

公共事業による墓地移転と補償

公共事業により墓地を移転する場合には、都市再開発法にもとづく、墓地使用権を失うことに対する補償金や、改葬・祭祀料に係る明渡しに伴う損失に対して補償金が支払われます。

墓地の所有権移転

墓地は相続財産になりますか?

まず、墓地は相続財産として、相続の対象となるのでしょうか。
墓地の承継(しょうけい:受け継ぐこと)については、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する、と民法第897条に定められています。そして、慣習が明らかではない場合には、家庭裁判所が権利を承継する者を決めます。
つまり、墓地の承継は、財産の所有権の相続ではないのです。したがって、遺産相続の対象にもなりません。

祭祀を主宰する者

民法で定める、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」とは、一般的には嫡男(正妻の「男子の子供」)や配偶者(はいぐうしゃ:結婚の相手)のことだと理解されています。しかし、民法第897条の但し書きには、「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰する者があるときは、その者が承継する」とされています。
つまり、墓地を承継する人を被相続人(亡くなった人)はあらかじめ遺言で定めておくことができます。

墓地の第三者への譲渡

墓地には、通常の所有権がありません。あるのは、永代にわたって使用する権利だけなのです。
したがって、墓地を売却して、第三者に譲り渡すことはできないのです。
公営霊園や民営霊園、お寺では、使用規則で墓地を譲渡することはできないことが決められています。
それはお寺でも同じです。

墓地の承継と登録免許税

祭祀財産は資産としての価値がないので、税金が掛かりません。相続を理由として、墓地の登記を書き換えるときも登録免許税はかかりません。

霊園や寺にある墓地の譲渡

霊園や寺にある墓地を譲渡するには、管理者に対して使用権を返還します。
具体的には、使用規則の記載に従いますが、遺骨が土地の中にあっては困るので、原状復帰が必要です。

まとめ 墓地の移転には時間がかかります

お墓は墓地という土地と墓石からできています。墓石は個人の所有物でも、墓地つまり土地は利用権があるだけなのが一般です。
墓地の移転で注意したいのは、この記事で説明したように、新しい場所に移す前に、もとの墓地を移転する法律上の改葬手続きが必要です。さらに、移転のためにお骨を取り出して保管し、宗教的にもとの墓地を無効にしなければなりません。
法律上の手続きと、宗教上の手続き、実際のお墓作りや運搬作業が必要です。時間がかかりますから、時間の余裕をもってすすめてください。

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