須弥山で仏教を守護する四天王~甲冑の仏像群~

いろんな分野で活躍して頭目をあらわしている人々を四天王と呼ぶことがあります。これは仏教の教えのなかで須弥山で仏法を守護する役目をになっている四天王からきています。甲冑姿の仏像とその仏像を拝めるお寺を紹介します。

目次

  1. 四天王のいる須弥山(しゅみせん)てどこ?
  2. 四天王のそれぞれの役目
  3. 四天王の仏像を拝めるお寺~京都~
  4. うるわしの都奈良 世界遺産東大寺
  5. 仏法の守護神四天王の仏像

四天王のいる須弥山(しゅみせん)てどこ?

須弥山を知るにはまずは仏教の世界観を知らないとなりません。

仏教の世界観

四天王は須弥山という山で帝釈天様につかえて仏法を守るべく目をひからせています。その須弥山は仏教の世界観の真ん中にある山です。

仏教の祖であるお釈迦様がインドの方で、この須弥山は古代インドの世界からさまざまな宗教のなかで共有されている聖なる山なのです。
須弥はサンスクリット語という古い言語を漢字で音訳したもので意訳でいえば妙高となります。

下の図をみると仏教の世界感がとてつもなく大きいことがわかります。人の住む世界はほんの少しです。

この図にある言葉を見ると、仏教の用語からきた言葉を普段知らず知らず使っているのがわかります。

例えば、左上のほうにある有頂天は世界の中で最上階(頂天に有る)にあるところです。それが俗に転じて、いわば上の空のような状態をさす言葉になったという説があります。

そしてさらに、右下の方から順に風輪、水輪、金輪とありますが、この3つの輪は三輪といい高さ円径とも計り知れない大きさをもっていてさらにこの下は奈落の底の虚空が広がっているのだそうです。この金輪が水輪と接するところを金輪際と呼びます。そんなことから、今では「決して」や「断じて」などの強い意味を持った言葉となっています。

仏教の用語

仏教に関する言葉を調べるとサンスクリット語、梵語、漢字でいろいろな表記がされ混乱してしまいます。少し整理してみましょう。

【サンスクリット語】古代インドの言語で、「洗練された」「完成された」などを意味します。現代でもインドの公用語のひとつとされており、ほんの少数ですが言語として使っている人々もいるようです。

【梵語】サンスクリット語の中国や日本での呼び方です。サンスクリット語で書かれた仏典を音訳で漢字を充てたものが梵語と呼ばれているようです。

仏像たちのサンスクリット語での意味

如来:真実から来た者。如来自身が完成された宇宙なのだそうです。
菩薩:悟りを求める者。如来が化身した慈悲の姿。
明王:真実を伝える者。
天:超人的な力を持つ神。

四天王のそれぞれの役目

四天王はお釈迦様の説法に感銘をうけ、釈迦の入滅後仏法の守護を託されたといわれています。
四天王は持国天(じこくてん)、広目天(こうもくてん)、増長天(ぞうちょうてん)、多聞天(たもんてん)で、それぞれ東西南北をになっています。それぞれの天を説明いたします。

東の守護 持国天

サンスクリット語で「国土を支える者」という意味を持ちます。ゆえに国を持つという漢字を充てられました。

西の守護 広目天

サンスクリット語で「異なった目を持つ」という意味を持ちます。意訳から広目天となり、竜王を従えてその千里眼でこの世を見守っているのだそうです。

南の守護 増長天

サンスクリット語で「発芽し始めた穀物」を意味します。五穀豊穣をつかさどりその成長力を意味するところから増長の漢字を充てられました。

北の守護 多聞天

サンスクリット語で「財宝と蓄財の神」。七福神の毘沙門天として単独で祀られているところもあります。他の天は剣を携えていますが、多聞天は宝塔と金剛棒を携えていらっしゃいます。

多聞天

四天王の仏像を拝めるお寺~京都~

ここまで仏教と四天王に関することを簡単にお伝えしてきました。では実際にその仏像を見られるお寺をご案内しましょう。

当尾(とうのお)の里の古拙 浄瑠璃寺

当尾の里は、京都府の中でも奈良県の近くにある、鎌倉時代の石仏や石塔が点在する地域です。また、この寺は国宝や重要文化財の仏像がたくさん納められており、四天王立像も国宝に指定されています。

浄瑠璃寺の国宝

浄瑠璃寺の国宝は以下のようなものがあります。
○本殿
○三重塔
○木像阿弥陀如来坐像
○木造四天王立像

四天王立像は平安時代後期のものとされており4体のうち持国天と増長天は本堂内に安置されています。そして、広目天は東京国立博物館に、多聞天は京都博物館にそれぞれ寄託されています。

浄瑠璃寺の重要文化財

○厨子入木像吉祥天立像
○木像地蔵菩薩立像
○木像不動明王立像

他に庭園が史跡名勝として指定されています。また、厨子入木像吉祥天立像は春と秋と正月に開帳されその御姿を拝見できます。色の白いふくよかなお美しい御姿です。

【アクセス1】
京都駅からJR奈良線に乗車し、奈良駅で下車。奈良駅から奈良交通バス111系統に乗車し、浄瑠璃寺前バス停で下車
【アクセス2】
京都駅からJR奈良線に乗車し、木津駅でJR関西線に乗り換えて加茂駅で下車。加茂駅東口から奈良交通バス111系統にに乗車し、浄瑠璃寺前バス停で下車

世界文化遺産 東寺

新幹線で京都に入ると見えてくるのが東寺の国宝五重塔です。近くに行くとその高さと美しさに圧倒されます。東寺は教王護国寺とも呼ばれ、建物、敷地、お庭、仏像などあらゆるものが国宝や重要文化財に指定されています。

立体曼荼羅の中の四天王

曼荼羅(マンダラ)は仏教の世界観や仏の悟りの世界を絵に顕わしたものです。空海は曼荼羅を仏像で立体的に顕わしました。漢字はサンスクリット語を音訳したもので、漢字に意味はありません。
マンダラとはサンスクリット語は「丸い」という意味で、円は完全であるという考え方から仏の世界を表したものをマンダラと呼ぶようになったのかもしれません。

四天王の仏像は本尊の四方に配置される場合、東の持国天が向かって右前。南の増長天が向かって左前。西の広目天が向かって左奥。多聞天が向かって右奥と決まっているようです。

東寺のおまつり

東寺では毎月21日に弘法市という骨董市がひらかれています。その広い境内にたくさんの出店がでてそれはにぎやかです。

【アクセス1】京都駅から徒歩15分
【アクセス2】近鉄東寺駅から徒歩10分

うるわしの都奈良 世界遺産東大寺

奈良といえば大仏様です。その大仏さまがおわす東大寺の四天王をご紹介します。ちなみに上に紹介した四天王の写真はこの東大寺戒壇院の四天王です。

大仏殿の四天王2体

大仏殿の北西に広目天像、北東に多聞天像が安置されています。持国天と増長天の像は完成せず、頭の部分だけ大仏殿内に置かれています。

戒壇院の四天王

戒壇とは僧侶となるための戒律を授けられるための場所です。その厳粛な場所に高さ160センチほどのほぼ人の等身といっていいサイズの仏像が四方に安置されており、それぞれの深みのある表情を見ることができます。戒壇院の四天王像は塑像で、作者はわかっていません。

【アクセス1】近鉄奈良駅から登大路町を東へ徒歩20分。
【アクセス2】JR大和路線または近鉄奈良線の奈良駅から市内循環バスの外回りで大仏殿春日大社前下車徒歩5分。同じく外回りバスで氷室神社国立博物館下車徒歩5分。

仏法の守護神四天王の仏像

四天王とその仏像をご案内してきましたがその魅力は少しは伝えられましたでしょうか。仏法を守るべく託された四天王だからこそ甲冑を身につけた姿の仏像で表現されてきたのでしょうか。目をみひらき憤怒の表情の仏像と、静かに、しかし厳しく世界に目をくばっている仏像。4体の対比があざやかで特徴があってとても魅力的な仏像群でした。

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