本多忠勝の兜を飾る鹿の角とは!脇立に託した思いを解説

徳川四天王の1人で戦国最強の武将とも言われる本多忠勝は、かなり個性的な兜を愛用していました。大きな鹿の角が付いたこの兜は、神様の使いとして現れた鹿にあやかった前立てだそうです。そんな、本多忠勝の兜についてまとめてみました。

目次

  1. 本多忠勝とは
  2. 本多忠勝の兜とは
  3. 本多忠勝の兜の構造
  4. 本多忠勝の兜が見れる場所
  5. 端午の節句のお祝いに
  6. まとめ

本多忠勝とは

家康の過ぎたるもの

本多忠勝は、徳川四天王の1人に数えられる徳川家康の重臣の1人です。14才の初陣で敵の首を挙げたのを始め、生涯多くの武勲に輝いており、特に一言坂の戦いにおける殿軍での戦いぶりを見た武田軍の武将・小杉左近から「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」と讃えられたのは有名です。

本多忠勝の戦装束

本多忠勝は、戦では「蜻蛉切」と呼ばれる槍を使い、鹿の角をあしらった脇立の付いた兜と、黒い動きやすい軽装の鎧を身に付けていました。また、戦場では巨大な数珠を体に巻いていたそうです。


なお、「蜻蛉切」は、穂先にとまったトンボが真っ二つになって落ちたという逸話がある名槍で、「天下三名槍」の一つとされています。また、兜に付いた脇立は和紙でできた軽いもので、簡単に外すことができるものだそうです。戦場では、脇立を外して軽快に立ち回っていたかもしれません。

戦場を無傷で駆け抜けた武将

本多忠勝は、生涯において大小合わせて57回もの戦いに参加していますが、全く傷を負うことがなかったと言われています。徳川四天王の1人で本多忠勝と武功を競った井伊直政は、重装備で戦いに望んで毎回のように傷を負っていたそうです。それとは対照的に本多忠勝は、軽い甲冑を身に着けて戦場を無傷で駆け抜けていたのでしょう。

本多忠勝の銅像

本多忠勝は、徳川家康より、その活躍から桑名10万石の大名に抜擢されました。その後、本多家は、姫路に移封となりますが、東海道の宿場町の基礎を築いたのは本多忠勝と言われています。この功績から、桑名市の桑名城跡に造られた九華公園には、本多忠勝の銅像があります。この銅像の本多忠勝も、鹿の角の兜を身に着けています。

本多忠勝の兜とは

鹿角脇立兜

本多忠勝の兜として本多家に伝えられている兜は、大きな鹿の角の脇立が印象的な兜です。鹿の角を脇立に使った兜は、当時、多くの武将が使っており、赤い色をした真田幸村の兜も有名です。真田幸村の兜の脇立は、兜の両脇に細い角を付けたスマートな形ですが、本多忠勝の兜に付いている鹿の角は太く、力強い印象があります。

神の使いの鹿を兜へ

本多忠勝にはこんな鹿のエピソードが伝えられています。


桶狭間の合戦で今川義元が討たれた時、徳川家康は今川軍の中にいました。急いで岡崎城を目指す家康は、本多忠勝に斥候を命じます。そして、本多忠勝は矢作川が増水し、軍が渡れないことを発見します。迂回する経路を探すか、戻って渡れないことを報告するか思案していた時、一匹の鹿が現れました。その鹿も対岸に渡りたい様子で、その姿を見ていると、ある地点で川を渡って行きます。忠勝はその様子を家康に報告し、家康の軍はその浅瀬を使って無事岡崎城に帰ることができたそうです。


本多忠勝は、あの時助けてくれた鹿は、今の愛知県岡崎市に伊賀八幡宮の使いだと思ったそうです。そして、あの時の鹿のように、徳川家康を守っていこうと、鹿の角の付いた兜を作ったと言われています。

伊賀八幡宮

伊賀八幡宮は、文明2年(1470年)に徳川家康の祖先に当たる松平親忠が創建した神社です。そのため松平家を守護する神社されており、徳川家康は初陣をはじめ、大きな戦いの前には必ず参拝したそうです。今では、そんな徳川家康公を東照大権現として御祭神として祀っています。

伊賀八幡宮の基本情報

【住所】 〒444-0075 愛知県岡崎市伊賀町東郷中86
【TEL】 0564-26-2789
【アクセス】 名鉄「東岡崎駅」からバスで約10分

本多忠勝の兜の構造

鹿の角と獅噛

本多忠勝の兜は、ちょうど額の辺りに細い角が生えている獅噛(しかみ)を、そして、その上にヘラジカの立派な角を思わせる鹿の角の脇立てが付いています。大きな鹿の角が重そうに見えますが、和紙で作られているので実物は軽いものだそうです。

前立ての意味とは

鹿の角は、伊賀八幡宮の使いの鹿を表すとされています。伊賀八幡宮は徳川家の守り神。そのため、徳川家を守るための兜という強い意志が感じられます。また、額のあたりの獅噛は、鎌倉時代の兜の鍬形台としても使われた伝統的な飾りで、仏教を守護する毘沙門天のベルトのバックルに付いている飾りがモデルとされています。いずれにしても、本多忠勝は、兜の前立てに守り神を飾って戦に臨んでいました。

本多忠勝の兜が見れる場所

本多忠勝の兜は子孫の所有

本多忠勝の兜「鹿角脇立兜」は、重要文化財に指定されており、現在は本多忠勝の子孫の方が所有しています。なお、精工に造られたレプリカが「三河武士のやかた家康館」にあり、こちらはどなたでも見ることができます。

三河武士のやかた家康館

三河武士のやかた家康館は、岡崎城のある岡崎公園内にある歴史博物館です。ここでは、徳川家康を中心に、家康に仕えた三河武士に関する展示などを行っています。そして、本多忠勝の兜や鎧のレプリカ他、徳川家康の甲冑や赤い井伊直政の甲冑なども見ることができます。なお、赤い井伊直政の甲冑を試着する体験コーナーもあります。

三河武士のやかた家康館の基本情報

【住所】 〒444-0052 愛知県岡崎市康生町561
【TEL】 0564-24-2204
【アクセス】 名鉄「東岡崎駅」より徒歩で約15分
【開館時間】 9:00から17:00まで(ただし、入館は16:30まで)
【休館日】 年末
【入館料】 大人 360円

端午の節句のお祝いに

最近は兜が人気

最近の住宅事情から端午の節句では、鯉のぼりのではなく家の中で飾れる兜や甲冑が人気です。そして、昔からある鎌倉武士の兜の他に、個性的な戦国時代の武将の兜に人気が集まっています。男の子の成長を願って、戦国最強の武将と言われる本多忠勝の兜を飾ってみてはいかがでほうか。

まとめ

戦国最強とも言われた徳川四天王の1人、本多忠勝が使った兜についてまとめてみました。いかがだったでしょうか。個性的な兜が多い戦国末期の武将の中でも、力強い個性的な兜ではないでしょうか。生涯徳川家康を守ることに徹し、大小57もの戦いを無傷で駆け抜けた本多忠勝が愛用した兜です。ほんとうに神様の加護があったのかもしれません。

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