イスラム教とは?
イスラム教は、西暦600年頃にアラビア地域で広まった宗教です。唯一絶対の神・アッラーを信仰しています。預言者・ムハンマド(マホメットとも)によって伝えられた教えは、聖典・クルアーン(コーランともいう)としてまとめられています。
アラビア地域発祥のイスラム教ですが、現在全世界に12億人のイスラム教徒がいると推定されています。キリスト教徒の次にその人口は多く、世界で2番目に信者の多い宗教です。イスラム教徒が多い地域は人口増加が激しい地域でもあるので、いずれ世界最大の宗教になるとも言われています。
今回は、そんなイスラム教の聖典について解説したいと思います。
イスラム教の聖典には何が書かれているの?
聖典「クルアーン」は何語で書かれている?
イスラム教の聖典「クルアーン」は、どんな言語で書かれているのでしょうか?
もともとイスラム教は、預言者のムハンマドが神からいただいた言葉を口々に伝えていく形で、中東地域で広めていきました。けれども、それでは神の言葉が少しずつ変わってしまう可能性があるため、ムハンマドの死後その弟子たちによって書き表されたものが「クルアーン」です。「クルアーン」とは、アラビア語で「詠唱すべきもの」という意味です。
このため、聖典「クルアーン」に記されている言語は、アラビア語です。

ちなみに、聖典「クルアーン」の翻訳は禁止されています。けれども、全世界に信者がいるイスラム教ですので、たくさんの言語での翻訳本が出ています。それらの翻訳は、「注釈本」という扱いになっています。
聖典「クルアーン」に書かれていること
それでは、イスラム教の聖典「クルアーン」にはどんなことが書かれているのでしょうか?
何度も述べられていることは、「アッラーは唯一神である」ということです。イスラム教では礼拝の最初でも、「アッラーの他に神はなし」と「ムハンマドはアッラーの使徒なり」と、信仰の告白をします。
唯一神であるアッラーは万物の創造者であり、規範や価値の源泉であると考えられています。
聖典の一説をアラビア語で言うと?
イスラム教にとって大切な言葉、「アッラーの他に神はなし」をアラビア語で言うと、「ラーイラーハイラッラー」となります。その後に続く、「ムハンマドはアッラーの使徒なり」は、「ムハンマドゥンラスールッラー」です。
イスラム教徒に課せられていること
イスラム教の聖典「クルアーン」の中では、イスラム教徒がすべきことが書かれています。それを「六信五行」といいます。
イスラム教の聖典と旧約聖書の関係
イスラム教の「六信五行」では、「イスラム教徒が信ずべき信条」の中に「啓典」という言葉が出てきます。啓典とは、アッラーがムハンマドに示した啓示のことを言います。もちろん、「クルアーン」が最高のものとして神聖視されているのですが、実はそれ以外にも啓典はあります。
「クルアーン」以外の啓典には、「旧約聖書」も入っているのです。

イスラム教と他宗教との関係
「旧約聖書」もイスラム教にとって大切な啓典ですが、イスラム教と他の宗教はどのようになっているのでしょうか?
「旧約聖書」を啓典としている宗教は、ユダヤ教です。ユダヤ教はイスラム教と同じで、中東地域に起きた宗教です。イスラム教よりもずっと早く、紀元前6世紀にユダヤ教は成立しています。ユダヤ教では神・ヤハウェが万物の創造主であり、唯一神と位置づけられています。
ユダヤ教から派生したものが、キリスト教です。イエス・キリストはユダヤ教の信者でしたが、「旧約聖書」の解釈を変えて、罪のある人たちを救済する教えを説きました。イエス・キリストは十字架にかけられて処刑されますが、彼の死後弟子たちによって「新約聖書」がまとめられます。これがキリスト教にとって重要な教えの源泉です。

つまり、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教はともに「旧約聖書」を元にした宗教だということです。年代としては、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の順に成立していきました。
先に成立しているキリスト教について、イスラム教では重要な預言者の1人にイエスの名を挙げています。けれども、6人目の預言者・ムハンマドだけが神の言葉を正しく使えることに成功していて、イエスは失敗した人物という考えです。
もともと同じ神を信じる宗教なので、3つの聖地がイスラエルの首都・エルサレムに存在することになっています。これが現在の中東の混乱と大きく関わっているのです。
まとめ
いかがでしたか?イスラム教の聖典について、簡単に解説してみました。世界にたくさんいるイスラム教徒と付き合うためにも、イスラム教に対する理解を深めるきっかけになったら幸いです。