いろはかるたの歴史

お正月などで遊ぶカルタですが、子供の頃にみなさん一度は遊んだことがあると思います。
ひとまとめに「いろはかるた」と申しますが、
いろいろ種類があるのをご存知ですか?
伊呂波歌(いろはうた)を用いた47+1枚のカードを使って遊ぶ「かるた」には、
ずっと古くから、いろんなバージョンがあるのです。
京都、江戸、大阪、、上方、尾張と、
それぞれに異なったことわざや慣用句を用いたかるたが存在します。
現代ではもっと種類が増えて、
「郷土かるた」といった、各地にちなんだ「いろはかるた」もあるんですよ。
今回は、
一番歴史が古いとされる「京かるた」(京都のいろはかるた)について、調べてみました。
京都で生まれた”いろはかるた”
江戸の中期に京都で生まれ、後に江戸や全国に伝わりをみせた「いろはかるた」ですが、
その内容は東西でもかなり違いがあり、面白味があります。
いろは歌の47文字に「京」を加えた48文字を頭文字とした、
語呂の良い「ことわざ」や「慣用句」を集めてあります。
ことわざを記した字札と、それにあった絵を描いた絵札を合わせた各48枚、
合わせて96枚を1組としたものを「いろはかるた」と称します。
「いろはかるた」漢字で書くと?
伊呂波歌留多、
伊呂波骨牌とも、書きます。
カルタの語源は、ポルトガル語の「carta」(カルタ)からきているとされていて、
英語の「card」カード、ドイツ語「Karte」(カルテ)などと同じ語源と言われています。
「いろは歌」に詳しくなろう

いろはかるたは、「いろは歌」をもとにして作られたカードゲームです。
そこで、
「いろは歌とはどういったものなのか?」
ということも気になり、そのことについても少し調べてみました。
いろはにほへと、全部言えますか?
うる覚えで、私は半分ぐらいまで口に出せましたが、最後まで言えませんでした。
みなさんは、どうですか?
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
読みやすいように、漢字も交えて書き直しますと、
色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず
となります。
意味は諸説あるようですが、大乗仏教の悟りを表した歌であると言われています。
いろは歌の意味「一例」
平安時代の末期に詠われた仏教の経典「涅槃経」(ねはんきょう)の、
下段の四句を和訳したものだとするものがありました。
■色は匂へど 散りぬるを
諸行無常(しょぎょうむじょう)
「色鮮やかに香り高く咲き誇る花も、やがては散ってしまう」
■我が世誰そ 常ならむ
是生滅法(ぜしょうめっぽう)
「この世に生きる限り、私たちの命は永遠ではなく」
■有為の奥山 今日越えて
生滅滅己(しょうめつめつい
「この無常の因縁を知り、真実の道理に目覚めて」
■浅き夢見じ 酔ひもせず
寂滅為楽(じゃくめついらく)
「儚い夢を見みたり、仮想世界に酔いしれることもなく安らかな心境」
といった教えが含まれているという解釈があります。
いろは歌ってなぜ作られたの?
いろは歌は、すべての仮名を服従させないで作られた誦文(ずもん)のことです。
※誦文とは、おまじないや、経文などのことで「呪文」と同じような意味です。
七五調で整えられて、読みやすくできており、
古くから仮名や漢字を書いたり覚えたりするのに使われてきました。
「手習い歌」などとも呼ばれています。
最期の「京」の秘密
京都で生まれた「京かるた」や、江戸かるたは、
”いろは歌”の後に「京」を足した48文字で作られています。
なぜ「京」がつけられているのでしょうね?
私は、最初に「いろはかるた」が「京都」で作られたもの、
あるいは、「京都」が都であった時代に作られたものであるから、
最期に「京都」という意味で「京」という言葉で締めたのではないかと思っています。
実際のところ、これといった答えは見つかっておらず、諸説がいくつかあるようです。
拗音を覚えるため説
いろは歌は47文字すべてが「直音」であるために、
「京」(きょう)という「拗音」を教えるためにつけたという説があります。
道中双六の”あがり”が「京」だから説
道中双六は東海道五十三次を進むもので、いろはかるたよりも新しくできたものです。
ですので、こちらの説は俗説となります。
上がりが「京」というのは京都のことですね。
「京」は(かなどめ)と読むから説
相撲の四股名として「京」を”かなどめ”読むものがあったそうです。
こちらが由来ではないか、とすることもあったようですがこちらも俗説です。
いろはかるたの方が歴史が古く、
むしろ、いろは48文字の最期が「京」だったからこそ、
「京」を「かなどめ」と読むようになったと考える方が自然ですね。
京都のいろはかるた一覧

さて、京都の「いろはかるた」をすべてお見せしますね。
ことわざや教訓などがたくさんありますので、見ていて楽しいですね。
いろはかるた「京都」バージョン
い 一寸先は闇
ろ 論語読みの論語知らず
は 針の穴から天井をのぞく
に 二階から目薬
ほ 仏の顔も三度
へ 下手の長談義
と 豆腐にかすがい
ち 地獄の沙汰も金次第
り 綸言汗のごとし
ぬ 糠に釘
る 類をもって集まる
を 鬼も十八
わ 笑う門には福来たる
か 蛙のつらに水
よ 夜目遠目傘の内
た 立板に水
れ 連木で腹を切る
そ 袖振り合うも他生の縁
つ 月夜に釜を抜く
ね 猫に小判
な なす時の閻魔顔(えんまがお)
ら 来年のことを言えば鬼が笑う
む むま(馬)の耳に風
う 氏より育ち
ゐ 鰯の頭も信心から
の 鑿(のみ)と言えば小槌
お 負うた子に教えられ浅瀬を渡る
く 臭いものに蠅がたかる
や 闇夜に鉄砲
ま まかぬ種は生えぬ
け 下駄に焼き味噌
ふ 武士は食わねど高楊枝
こ これに懲りよ道斉坊
え 縁の下の力持ち
て 寺から里へ
あ 足の下から鳥が立つ
さ 竿の先に鈴
き 義理とふんどしかかねばならぬ
ゆ 幽霊の浜風
め 盲の垣のぞき
み 身は身で通る裸ん坊
し しはん坊の柿の種
ゑ 縁と月日
ひ ひょうたんから駒
も 餅は餅屋
せ 聖は道によりて賢し
す 雀百まで踊り忘れず
京 京に田舎あり
京都の「いろはかるた」が欲しくなったら
通販やネットショッピングで購入することができますよ。
京都のものだけでなく、「江戸」バージョンやいろいろありますので、
集めて見比べてみるのもまた一興ですね。
京都いろはかるた ”まとめ”

いかがでしたでしょうか。
京都の雅な風情を感じさせる「京かるた」でしたが、私が一番好きな「京かるた」は、
「鑿(のみ)と言えば小槌」です。
意味は、「万事に気が利くことのたとえ」なんですが、
私もそんな痒い所に手が届くような人になりたいと常に思っております。