江戸時代の蕎麦はどんな蕎麦?その違いに迫ってみた

日本人なら誰でも食べたことがある蕎麦。江戸時代を舞台にした時代劇や落語などで蕎麦を食べるシーンを見たことがある方も多いでしょう。では、江戸時代の蕎麦はどんな蕎麦だったのでしょうか。今回はその違いを調べてみました。

目次

  1. 江戸時代の蕎麦は今と違う?
  2. 江戸時代の蕎麦の値段はいくらぐらい?
  3. 江戸時代は蕎麦って屋台?
  4. 江戸時代の蕎麦はつゆが違う?
  5. 江戸時代の蕎麦と現代の蕎麦

江戸時代の蕎麦は今と違う?

落語や時代劇などで、蕎麦を食べるシーンを見たことがある方も多いのではないでしょうか。時代劇などの登場人物がつるつるっと蕎麦を食べるのを見ると、今も昔もかわらないんだなあと思うかもしれません。

蕎麦

蕎麦が現代のような麺の形になったのは慶長の頃(1596~1614)と言われています。もちろん戦国末期から江戸初期の時代ですが、それまでは熱湯を加えて練る「そばがき」のような形だったと言われています。ゆでてせいろに盛り、つけ汁をつけて食べるものを「せいろ」、汁をかけたものを「ぶっかけ」と呼んでいました。

江戸時代の蕎麦の値段はいくらぐらい?

落語の「時そば」の中で蕎麦代が「16文」だということが出てきますが、蕎麦代が16文になったのは1790年代ごろだと言われます。ちょうどこの少し前に四文銭ができているので、落語のように一文銭を16枚払うという方式ではなく、四文銭を4枚払う方式が多かったかもしれません。幕末の『守貞漫稿』を見ると、蕎麦は16文ですが、天ぷらなどの「種もの」は32文などの値段がついているようです。

16文という値段ですが、「ニ八そば」という言い方と関係があります。「二八」とは現代で言われる蕎麦粉八、つなぎの小麦二という割合を表すと言われ、この2×8=16、という計算から16文という値段が出たとされているようです。ただ、そば粉を入れないうどんでも「二八うどん」という呼び方があることから、その点に関しては今でも説が分かれているようです。

では、この16文という値段、現代の貨幣価値ではどのくらいなのでしょうか。実はこれはとても難しい問題です。というのは生活のしかたも物価状況も違い、いちがいには言えないからです。

日本銀行金融研究所貨幣博物館の資料では「コメの値段の比較では1両=約4万円、蕎麦の代金では1両=約13万円」という試算があり、この試算でいくと蕎麦は一杯520円くらいになるそうです。また、江戸時代の平均で1両を約6.6万円と換算し、約264円になる、とする試算もあります。

江戸時代は蕎麦って屋台?

現代では蕎麦はいわゆる「そば屋」で食べるものなのですが、江戸時代はどうだったのでしょうか。

実は江戸時代、蕎麦は屋台で売られるものでした。行商人が天秤棒をかついで歩く屋台ですが、江戸では「夜鷹そば」と呼ばれ、夜に売られました。両端に縦長の箱がついていて、その中に火も入れて持ち歩いていたのです。火を使う屋台は火事の原因になるということで江戸時代に何度も禁止されますが、むしろ火事によって職人が増え、その職人を消費者とすることで振り売りが増加したという面もあります。

蕎麦の屋台が動いたのは、主として冬です。日の出と日の入りに合わせて時が変わる不定時法だった江戸時代には、冬は特に早く夕食を済ませることになります。そうすると夜中に小腹がすくことがあったかもしれません。また商家などで夜遅くまで帳簿付けをするなどの場合にも重宝したと考えられます。

江戸時代の蕎麦はつゆが違う?

実は現代と江戸時代の蕎麦を比較して一番違うのが「つゆ」。現代では蕎麦のつゆというと醤油やみりん、だしなどを使ったものを指しますが、江戸時代は「味噌」でした。

1643年に書かれた『料理物語』によると、「汁は、うどん同前」とあり、そのうどんの汁は「煮貫」「たれ味噌」のことだとされています。「たれ味噌」とは味噌に水を加えて煮詰めて、それを布袋に入れて漉したもののこと。「煮貫」はその漉したものに鰹節を入れて煮詰めて漉したもののことをいいます。つまり、江戸時代初期の蕎麦は味噌のたれで食べていたということになります。

その後1751年に書かれた『蕎麦全書』には、たれ味噌と酒、鰹節を合わせて煮詰めて漉したものに塩と溜り醤油を入れて味を整えたつゆが出てきます。実は『料理物語』が出た少しあと、1666年には関西の淡口醤油が、そして1697年には関東の濃口醤油が作られるようになりました。醤油と言えば日本人の食生活には欠かせない調味料ですが、この醤油ができたことで、蕎麦のたれも大きく変化したということが言えるでしょう。

江戸時代の蕎麦と現代の蕎麦

江戸時代、蕎麦が庶民の食べ物として浸透するに従い、「せいろ」や「ぶっかけ」以外にもさまざまなトッピングをした蕎麦が登場します。現代にもある天ぷら蕎麦は既に江戸時代にありますし、玉子焼きやかまぼこ、しいたけなどをのせた「しっぽく」は、現在の「おかめ」になりました。また、いわゆる「卵とじそば」は「けいらん」と呼ばれていました。

一方、蕎麦の上に浅草海苔をたっぷり散らした「花まき」や、海苔を載せた上に青柳(馬鹿貝)の小柱を散らした「あられ」などは、江戸前の食材を生かした蕎麦と言えるかもしれません。

このように江戸時代の蕎麦と現代の蕎麦は同じ蕎麦でも違っている点があります。江戸時代の人たちはどんな蕎麦を味わっていたのか、なんとなく食べてみたい気がしますね。

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