こんなに深い話だったの?和歌を切り口に源氏物語の世界にひたろう!

平安時代に紫式部によって書かれた源氏物語。源氏物語には795首の和歌が登場します。物語の中で、ここぞという所に、和歌が挿入されています。和歌は登場人物の心情を表現し、場面の情景をより鮮明なものとする役割を担っています。

目次

  1. 源氏物語を読む前に
  2. 源氏物語の和歌1・帝の寵愛をうけて
  3. 源氏物語の和歌2・愛するあの方
  4. 源氏物語の和歌3・代わりに若紫を
  5. 「紫のゆかり」
  6. 源氏物語の和歌4・紫の上に先立たれる
  7. 源氏物語の和歌5・覚悟を決める光源氏
  8. 源氏物語の和歌6・ふたりに愛されて
  9. 源氏物語の和歌7・仏教の道、恋の道
  10. 「源氏物語」をもっと知りたい方に
  11. 「源氏物語」の「和歌」についてのまとめ

源氏物語を読む前に

源氏物語のあらすじだけなら知っているという方も、源氏物語に出てくる男って色好みのひどいのばかりだし、男が女をあさる物語でしょと誤解している方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、和歌に光をあてて、和歌を切り口に源氏物語を読んでみてください。
すると、源氏物語の世界が立体感を持ち出し、実は思索を深めてくれる、生と死のお話なのだと分かり、よりいっそう理解を深めることができます。

では、和歌を見ていきましょう。

源氏物語の和歌1・帝の寵愛をうけて

【光源氏の母である桐壺の更衣が、死の間際に桐壺帝に贈った和歌】
限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり(「桐壺」より)
(現代語訳)
命には限りがあるといってお別れするのは悲しいこと。もっと生きたい。

源氏物語は主人公である光源氏が登場する前に、その両親、桐壺帝と桐壺の更衣の愛について言及していきます
ことの発端はここから始まったのです。
桐壺帝が桐壺の更衣を愛しすぎるために、臣下たちは、中国・唐の玄宗皇帝の楊貴妃への寵愛が国を傾けさせたという例を引き合いに出して、眉をひそめます。
身分の低い桐壺の更衣は後宮でも肩身の狭い思いをして、しだいに体調を崩していきます。
そして、幼い光源氏を残して、桐壺の更衣は亡くなります。
亡くなる間際の桐壺の更衣の歌は桐壺帝と愛しあった日々を振り返りつつ、帝やまだ小さい光源氏とともにもっと生きていたいと望む、熱い和歌なのです。

屏風

源氏物語の和歌2・愛するあの方

【光源氏が、ひそかに愛する藤壺へ思いを伝えた時の和歌】
見てもまた逢ふ夜まれなる夢の中にやがて紛るる我が身ともがな(「若紫」より)
(現代語訳)
お目にかかったとしても、再び夜にお会いすることは難しいでしょう。今夜の夢の中にこのまま私は消えていきたい。

光源氏は母の面影を宿す藤壺に惹かれていますが、心に秘めています。
なぜなら、藤壺は父桐壺帝の妻だからです。
禁断の愛が実ることは決してありません。
それでも、後宮から宿下がりをした藤壺のもとへ忍んでいく光源氏。
その激しい思いが和歌に表現されています。

源氏物語の和歌3・代わりに若紫を

【光源氏が偶然見つけた若紫について思いをめぐらす和歌】
手に摘みていつしかも見む紫の根に通ひける野辺の若草(「若紫」より)
(現代語訳)
自分のものにしたい。紫草に縁のある若草のようなあの少女を。

のちに光源氏の最愛の妻となる若紫(紫の上)。
少女は藤壺の姪なので、藤壺の面影を感じさせます。
光源氏はどうしても少女を手元に置いておきたくて、最終的にはさらってしまいます。

「紫のゆかり」

高貴な色である紫。
その紫に関連するつながりの流れを「紫のゆかり」と呼びます。
桐壺の更衣(桐の花はうす紫)~藤壺(藤の花は紫色)~紫の上(若紫)

藤

源氏物語の和歌4・紫の上に先立たれる

【最愛の妻紫の上を亡くした光源氏の嘆きの和歌】
大空をかよふまぼろし夢にだに見えこぬ魂(たま)の行方たづねよ」(「幻」より)
(現代語訳)
大空を自由に行きかうという幻術士よ。夢にさえ姿が見えないあの人の魂の行方を捜し出してくれないか。

紫の上が亡くなった後、光源氏は悲しみに沈みこむようになってしまいます。
夢の中でもいいから、ひとめ会いたい。
しかし、紫の上は夢にも出てきません。
紫の上を亡くした喪失感でいっぱいの光源氏の姿が描写されています。

中国・唐の詩人白居易の「長恨歌」を踏まえた和歌です。
唐の玄宗皇帝と楊貴妃の愛のエピソードは物語の最初である「桐壺」の章にも出てきます。

長恨歌

源氏物語の和歌5・覚悟を決める光源氏

【光源氏の最後の和歌】
もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に年もわが世も今日や尽きぬる(「幻」より)
(現代語訳)
もの思いにふけっているうちに月日がたつのも知らずにいた。この年も自分の命も今日で終わるかのようだな。

光源氏の物語はこの和歌で締めくくられています。
光源氏はこの後出家し、亡くなったようです。
この歌にたどりつくと、光源氏の波乱万丈の物語を読みきったという充実感に満たされますよ。

源氏物語の和歌6・ふたりに愛されて

【ふたりの貴公子に愛される浮舟の和歌】
橘の小島の色は変はらじをこの浮舟ぞ行方知られぬ(「浮舟」より)
(現代語訳)
橘の小島の色は変わらないでしょうけれど、水の上にただよう舟のような私はどこへ行くのでしょう。

光源氏亡き後、世代は変わり、薫と匂宮が魅力的な公達として世の中でもてはやされています。
薫は恋人浮舟を宇治の別荘に囲いますが、それを聞きつけた匂宮は浮舟に手を出してしまいます。
誠実な薫と情熱的な匂宮のふたりに愛されて戸惑う浮舟はどうなってしまうのでしょうか?

源氏物語の和歌7・仏教の道、恋の道

【薫の、恋に執着する自分に困惑する和歌】
法(のり)の師とたづぬる道をしるべにて思はぬ山に踏みまどふかな(「夢の浮橋」より)
(現代語訳)
仏教の教えをたずね求めた道なのに、それを道案内として、いつの間にか思いもかけない恋の山に踏み入れてしまい、戸惑うばかりだ。

薫のこの歌が源氏物語の最後の和歌となっています。
薫は自分の出生をめぐる複雑さを抱えていたこともあり、人生のむなしさを感じ、仏教に帰依していくまじめな青年でした。
しかし、仏教のことをもっと知りたいと思って訪れた宇治で素敵な女性たちに出会ってしまいます。
そして、薫は恋の苦悩の沼にはまっていくのです。

源氏物語

「源氏物語」をもっと知りたい方に

源氏物語、平安時代に興味のある方におすすめします。
源氏物語の世界は色彩豊かで華やかかと思えば、モノトーンが効果的に使われる場面もあり、刺激的ですよ。

「源氏物語」の「和歌」についてのまとめ

いかがでしたでしょうか?
時は違えど、不器用な登場人物たちに、いらいら、はらはらすることでしょう。
源氏物語にひたりながら、「あほやなぁ」と関西風にツッコミを入れながら読むとより楽しむことができるかもしれません。
和歌を通じて、源氏物語への理解をより一層深めることができるでしょう。
あなたもいつの間にか源氏物語に魅了されているかもしれませんね。

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