北野天神縁起絵巻とは?その秘密に迫ってみよう

北野天神縁起絵巻という絵巻物を知っていますか?鎌倉時代に作られた国宝ですが、北野天満宮の根本縁起とされるものです。北野天神というと菅原道真、学問の神様などを連想しますが、その菅原道真の伝説が描かれているものです。今回はその絵巻の秘密に迫ってみました。

目次

  1. 北野天神はどこにある?
  2. 北野天神縁起絵巻とは
  3. 北野天神縁起絵巻の内容
  4. 北野天神縁起絵巻の評価
  5. 北野天神縁起絵巻を見に行こう

北野天神はどこにある?

北野天満宮

北野天神縁起絵巻について説明する前に、タイトルにもなっている「北野天神」について紹介したいと思います。

北野天神とは、京都市上京区にある、北野天満宮のことです。947年に菅原道真を祀る神社として創建されました。その後藤原氏により社殿の造営が行われ、987年、一条天皇の勅使が派遣され、国家の平安が祈念されたと言われます。この時に「北野天満天神」の神号が認められました。以後天神信仰の発祥の地として、現在に至るまで、全国1万2000に及ぶ天満宮、天神社の総本山という位置づけがなされています。「北野の天神さん」「北野さん」と呼ばれています。

また江戸時代、寺子屋などに天神様の像や菅原道真が描かれた「御神影」が掲げられたことから、学業成就や武芸上達の神として知られるようになりました。現在も「学問の神様」として信仰を集めています。

北野天神縁起絵巻とは

北野天神縁起絵巻は国宝で、北野天満宮に所蔵されています。

絵巻物とは紙もしくは絹を横長につなぎ、情景や物語などを連続して描くことで表現した、日本の絵画の一形式です。絵と、それを説明する詞書があり、それが交互に描かれます(詞書がないものもあります)。

絵巻物は奈良時代ごろから描かれ始め、平安時代~鎌倉時代に最盛期を迎えました。
北野天神縁起絵巻の中で現在もっとも古く、また権威があるとされているものは、北野天満宮に残されている北野天神縁起絵巻で、「承久元年(1219)」の詞書を持つことから、承久本と言われます。しかし最初の形態は1195年(建久5年)までさかのぼると考えられています。いずれにしても鎌倉時代の作品ということになります。

北野天神縁起絵巻の内容

北野天神縁起絵巻には、菅原道真の一生、死後に天満大自在天となって霊威をふるったこと、そしてその霊を鎮めるために天神社が造営されたことが描かれています。

中は八巻からなっています。そのうち六巻までは道真の伝記と怨霊になった経緯が描かれます。
菅原道真は優れた能力を持っており、学者出身の政治家として異例の出世を重ね、右大臣へと昇進しますが、政敵の藤原時平によって大宰府に左遷され、失意のうちに亡くなります。道真が流罪の無実を訴えると、天満大自在天となり、雷神となり、清涼殿を襲ったため、死者が出てしまいました。その後もさまざまな災いが起き、人々は道真の怨霊のたたりだと恐れます。そしてそれを鎮めるために道真を神として祀り、天神信仰が生まれていくというありさまが描かれるのです。

そして七巻と八巻は日蔵という僧侶の話になっています。この僧侶が鬼神とともに地獄めぐりをするのですが、その六道の有様が描かれています。この部分には詞書がありません。

北野天神縁起絵巻の評価

北野天神縁起絵巻ですが、肝心の北野天神造営にかかわる記載がありません。承久本には第九巻もありますが、これは白描と呼ばれる、墨書きだけの下絵の断簡を明治時代につないで仕立てたものとされています。そのため未完であるとされています。

また、北野天神縁起絵巻は、縦52.0㎝と現存する絵巻物の中では最大の紙幅となっています。一般的には紙を横につないで絵巻を仕立てるのですが、北野天神縁起絵巻は紙を縦につないでいるためにこの大きさが生まれました。

しかしその反面、非常に謎の多い絵巻でもあります。
そもそもこの絵巻の絵師が誰であるかということからはっきりしていません。北野天満宮には似絵を完成されたとされる藤原信実のものであると伝わっていますが、確定されていません。ただ、画風は強烈な表現と繊細な表現の両方が見られることから、多彩な才能を持った絵師であろうと考えられています。
また詞書については書の流派が違っており、複数の公家によるものとされています。

さらに前述したように、北野天神造営にかかわる記載がないことから、未完であると考えられています。
北野天神縁起絵巻が作られた鎌倉時代は、寺社などの縁起絵巻が多く作られた時代でした。寺社縁起とは本来、寺社の由緒や功徳、ご利益などを描くものなので、縁起の部分は大切な部分といえます。なぜこの絵巻が作られたのか、またなぜ未完で終わったのかなど、今でも未解決の問題が多く残されているのです。

北野天神縁起絵巻を見に行こう

北野天神縁起絵巻ですが、北野天満宮の宝物殿にあります。門外不出の根本縁起と位置づけられているのです。そのためいつも見られるとは限りません。

しかし2008年、この絵巻を高精密デジタルカメラで撮影して製作した「北野天神縁起絵巻(平成記録本)」が作られました。これにより、現在ではオンラインでも見られるようになっています。
また、京都市平安京創成館では、常設展としてレプリカを展示しています。

また、博物館の特別展などで一部ないし全巻が展示される機会も出てきました。
北野天神縁起絵巻は国宝であり、最大の絵巻物です。
機会があればぜひ見に行ってみてください。

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