【歌舞伎の女形】男性役者が女性を演じる事とは

性別を超えた演技と、美しい舞踊で観客を魅了する歌舞伎の女形。なぜ男性が女性役を演じるのか、その理由をはじめ、歌舞伎の女形についてご説明します。

目次

  1. 歌舞伎の女形とは
  2. 歌舞伎における女形の役柄
  3. 女性らしく見せる演技
  4. 女形が登場する演目
  5. 女形のカツラと装い
  6. 魅力的な歌舞伎の女形

歌舞伎の女形とは

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女形(おんながた・おやま)は、歌舞伎において登場する女性を演じる役者とその役柄。
元は歌舞伎に限らず、大衆演劇などで女性役の男性を示すことでもあります。
ちなみに、本来は『女方』と書くのが正しいようですが、今回は一般の方に馴染みのある『女形』で表記致します。

男性役者が女性を演じる理由

歌舞伎役者の家に生まれた女の子が幼い時に舞台に出ることはありますが、基本的に演者は全て男性のみです。
ではなぜ女性の役者がいないのか、下記の理由があります。
1603年に現れた踊り子・出雲阿国(いずものおくに)による『かぶき踊り』が京都で人気を博します。阿国の踊りは江戸でも評判となり、後に彼女を真似た遊女たちが、女歌舞伎なるものを始めることになりました。
しかし、遊郭で行われていたこの女歌舞伎の中には、風紀を乱す要素が含まれいたため事件やもめ事が多発。
そうして1629年に、江戸幕府が女性による歌舞伎を禁じてしまったため、代わりに男性として女形が登場すようになったとのこと。

女形(おやま)の語源

本来『おやま』とは美女や遊女の異称であり、歌舞伎以外では浄瑠璃でも使用していた言葉です。
その昔、浄瑠璃の人形遣い・小山次郎三郎(おやまじろうさぶろう)の操る人形が、とても艶っぽく美しかったため美女に対して、まるで小山人形のようだ、と褒めたのが始まりとされています。
この他に、遊女が眉墨を山の形に書いていたことから、『おやま』と称するに至ったという説があるようです。

歌舞伎における女形の役柄

人々

歌舞伎の演目に登場する女性の役柄をまとめました。
・娘方(むすめがた):町娘や田舎娘、赤い振袖の赤姫(あかひめ)など。
・傾城(けいせい):艶やかな遊女。
・女武道(おんなぶどう):男勝りの強い女性。
・方外し(かたはずし):武家の妻女や奥女中など高位の女性。
・花車方(かしゃがた):茶屋などで働く年配の中居。
・世話女房(せわにょうぼう):世話物と呼ばれる庶民が中心の演目に登場する女房。
・悪婆(あくば):惚れた男性のために悪事を働く中年の女性で、老女の意味ではない。
ちなみに、老女や尼僧役は老女形(ふけおやま)といって、通常の女形とは区別されるようです。

女性らしく見せる演技

男性から見た理想の女性像を表現することが重要といわれている、歌舞伎の女形。
演じる役柄の年齢や立場によっては、声の出し方や仕草、立ち居振る舞いなどにも違いがあります。
そして、女形を演じるには衣装に隠れて見えない部分も、肩甲骨を下げてなで肩の状態を保つ、両膝を離さずに内股で歩く、腰を落として身長を低く見せるなど女性らしさを出す工夫をしています。
更に私生活でも、柔和でたおやかな物腰と言葉遣いをして、いつでもたしなみを忘れないように心掛けるとのこと。

女形が登場する演目

美しい女形が活躍する演目を三つご紹介。

藤娘

黒塗りの笠と、藤をあしらった装いで舞踊を披露する『藤娘(ふじむすめ)』。
元々、大津絵から出てきた娘が踊るという内容でしたが、六代目・尾上菊五郎氏により、藤の花の精が娘の姿になって美しく舞うという演目に改変したそうです。

助六由縁江戸桜

助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)は、助六の通称で知られる歌舞伎十八番の一つ。
主人公の恋仲である花魁・揚巻(あげまき)が、敵役に向かって悪態をつき啖呵を切る場面が見所。

檀浦兜軍記

檀浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)は、恋人である平景清の行方と問い詰められた遊女の阿古屋(あこや)が、琴、三味線、胡弓を奏でて、身の潔白を証明する、阿古屋の琴責(ことぜめ)で有名な演目。
役者はこの三つの楽器を実際に舞台で演奏し、恋人を想う阿古屋の心情も同時に表現しなくてはならないため、女形の大役とされています。

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女形のカツラと装い

床山による女形の髪型

女形の髪型だけでも、約30種類もあるそうです。その数多い髪型を結い上げる役目が床山(とこやま)と呼ばれる方々です。
床山は、力士の髷や役者のカツラの髪を結い上げる職業。
歌舞伎に使用するカツラの場合は、役柄や演じる役者だけではなく、共演者や舞台の雰囲気にも合わせて髪型を結っていきます。
また、カツラに飾る櫛やかんざしなども床山が管理。
歌舞伎の髪型において、床山は重要な役割を持っているのです。

女形の化粧

紅は上唇の厚みを薄くすると年若い女性の化粧になるとされています。
目元に塗る赤い目はりの位置も、高く描くと年かさに見えて、低いと幼く見えるので、役柄に応じて可愛らしい顔にするか、大人の顔になるかが変わってくるのです。
また、既婚者の役ならば、お歯黒をして眉も描かない化粧になります。

役柄と衣装の色

歌舞伎で使用される衣装には役によって色分けされています。
彩り豊かな赤い着物は、姫君など良家の若い娘。
姫君ほどではないけれど華やかな着物を着ていれば町娘。
緑の着物は田舎娘を演じる時に着用。
そして豪華な刺繍の派手な着物で、俎板帯(まないたおび)という前に結んだ帯ならば、傾城と呼ばれる遊女の衣装です。
着物の衿が黒ければ町人の女房、武家など位の高い家柄の妻は、無地の着物に美しい打掛を羽織るとのこと。

魅力的な歌舞伎の女形

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いかがでしたか?
とても奥が深い歌舞伎の女形ですが、知れば知るほどその魅力に惹きつけられます。
今後、女形の演技を観る機会がありましたら、衣装や化粧にも注目してみるのも面白いでしょう。

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